$~a^b~$と$~b^a~$の大小

$~a^b~$と$~b^a~$の値の大小に規則性はあるでしょうか?
 また、$~e^{\pi}~$と$~\pi ^e~$はどちらが大きいのかを考えていきます。

目次

Ⅰ 具体例

 今回の問題を考えるにあたって、$~0 < a < b~$としておきます。
 まずは、$~a~$と$~b~$にいろいろな値を代入してみて、どちらが大きくなるのかを実験してみましょう。

代入例

(1) $~a=1~,~b=2~$のとき、
 $~1^2=1~,~2^1=2~$より、
\begin{equation}
1^2 < 2^1 \end{equation} (2) $~a=2~,~b=3~$のとき、
 $~2^3=8~,~3^2=9~$より、
\begin{equation}
2^3 < 3^2 \end{equation} (3) $~a=3~,~b=4~$のとき、
 $~3^4=81~,~4^3=64~$より、
\begin{equation}
3^4 > 4^3
\end{equation}
(4) $~a=4~,~b=5~$のとき、
 $~4^5=1024~,~5^4=625~$より、
\begin{equation}
4^5 > 5^4
\end{equation}
(5) $~a=2~,~b=4~$のとき、
 $~2^4=16~,~4^2=16~$より、
\begin{equation}
2^4 = 4^2
\end{equation}
(6) $~\displaystyle a=\frac{1}{2}~,~b=4~$のとき、
 $~\displaystyle \left( \frac{1}{2} \right)^4=\frac{1}{16}~,~4^{\frac{1}{2}}=2~$より、
\begin{equation}
\left( \frac{1}{2} \right)^4 < 4^{\frac{1}{2}} \end{equation} (7) $~\displaystyle a=2~,~b=\frac{5}{2}~$のとき、
 $~\displaystyle 2^{\frac{5}{2}}=4\sqrt{2}\fallingdotseq 5.66~,~\left( \frac{5}{2} \right)^2=\frac{25}{4}=6.25~$より、
\begin{equation}
2^{\frac{5}{2}} < \left( \frac{5}{2} \right)^2 \end{equation} (8) $~\displaystyle a=2~,~b=\frac{7}{2}~$のとき、
 $~\displaystyle 2^{\frac{7}{2}}=8\sqrt{2}\fallingdotseq 11.31~,~\left( \frac{7}{2} \right)^2=\frac{49}{4}=12.25~$より、
\begin{equation}
2^{\frac{7}{2}} < \left( \frac{7}{2} \right)^2 \end{equation} (9) $~\displaystyle a=3~,~b=\frac{7}{2}~$のとき、

$~\displaystyle 3^{\frac{7}{2}}=27\sqrt{3}\fallingdotseq 46.77~,~\left( \frac{7}{2} \right)^3=\frac{343}{8}=42.875~$より、

$~\displaystyle 3^{\frac{7}{2}}=27\sqrt{3}\fallingdotseq 46.77~$,$~\displaystyle \left( \frac{7}{2} \right)^3=\frac{343}{8}=42.875~$より、

 
\begin{equation}
3^{\frac{7}{2}} > \left( \frac{7}{2} \right)^3
\end{equation}
(10) $~a=1~,~b=100~$のとき、
 $~1^{100}=1~,~100^1=100~$より、
\begin{equation}
1^{100} < 100^1 \end{equation}

 (1)や(2)のように、$~a^b < b^a~$になるかと思えば、(3)や(4)のように$~a^b > b^a~$となることもあります。
 また、(5)のように$~a^b = b^a~$となる例もあり、規則性が具体例からだと見つかりません。


Ⅱ 大小関係の規則性

 具体例から規則性は掴みづらかったため、今度は数式で解釈を試みます。
 先に結論を示すと、自然対数を利用することで、次のような関係性が現れます。

$~a^b~$と$~b^a~$の大小

 $~0 < a < b~$のとき、$~e~$を自然対数の底とすると、

\begin{cases}
0 < a < b \le e なら、&a^b < b^a \\ e \le a < b なら、&a^b > b^a \\
0 < a < e < b なら、&a~と~b~の値によって変わる \end{cases}

\begin{cases}
&0 < a < b \le e なら、a^b < b^a \\ &e \le a < b なら、a^b > b^a \\
&0 < a < e < b なら、\\ &~~~~~~~~~~a~と~b~の値によって変わる \end{cases}

 3つ目のパターンはモヤモヤしますね。
 では、$~a^b~$と$~b^a~$の大小の導出過程をお示しします。

導出

 $~0 < a < b~$において、$~a^b < b^a~$の両辺に自然対数をとって、 式変形をしていく。 \begin{align} \log{a^b} &< \log{b^a} \\ \\ b \log{a} &< a \log{b} \\ \\ \frac{\log{a}}{a} &< \frac{\log{b}}{b} \\ \end{align}  ここで、$~\displaystyle f(x)=\frac{x}{\log{x}}~$とおくと、以上の式変形から \begin{equation} a^b < b^a \Longleftrightarrow f(a) < f(b) \end{equation} が言える。
 
 次に、$~\displaystyle f(x)=\frac{x}{\log{x}}~~~(~0 < x~)~$のグラフを考える。
 1階微分から、
\begin{align}
f^{\prime}(x)&=\frac{\frac{1}{x}\cdot x-\log{x}}{x^2} \\
\\
&=\frac{1-\log{x}}{x^2}
\end{align}
なので、$~f^{\prime}(e)=0~$である。
 
 2階微分から、
\begin{align}
f^{\prime \prime}(x)&=\frac{-\frac{1}{x}\cdot x^2-(1-\log{x})\cdot 2x}{(x^2)^2} \\
\\
&=\frac{-x-2x(1-\log{x})}{x^4} \\
\\
&=\frac{-1-2+2\log{x}}{x^3} \\
\\
&=\frac{2\log{x}-3}{x^3}
\end{align}
なので、$\displaystyle ~f^{\prime \prime}(e^{\frac{3}{2}})=0~$である。
 
 また、
\begin{equation}
\lim_{x \ to 0+}\frac{\log{x}}{x}=-\infty~,~\lim_{x \ to \infty}\frac{\log{x}}{x}=0
\end{equation}
を含めて増減表を作成すると、
増減表
となるため、下のようなグラフが書ける。
グラフ
 グラフから、$~0 < x \le e~$では単調増加なので、
$~0 < a < b \le e~$なら$~f(a) < f(b)~$、すなわち$~a^b < b^a~$。
 
 グラフから、$~e \le x~$では単調増加なので、
$~e \le a < b~$なら$~f(a) > f(b)~$、すなわち$~a^b > b^a~$。
 
 $~a < e < b~$に関しては、$~f(a)~$と$~f(b)~$の値をその都度比較する必要がある。

 グラフから、$~a \le 1~$であれば、$~f(a) \le 0~$、$~e \le b~$であれば、$~f(b) > 0~$となるため、
\begin{equation}
0 < a \le 1~,~e < b なら、a^b < b^a \end{equation} ということまでは導けますが、それ以外の$~a < e < b~$に関しては、実際に代入してみないと比較ができません。
 
 また、グラフからわかることとして、$~f(2)=f(4) \Longleftrightarrow 2^4=4^2~$のように、$~1 < a < e~$を満たす$~a~$に対しては、$~a^b=b^a~$となる$~b~~(e < b)~$が存在することも言えます。 f(2)とf(4)のグラフ


Ⅲ 最強の底は$~e~$

 先のグラフから、$~\displaystyle f(x)=\frac{x}{\log{x}}~$は$~x=e~$で最大値をとることがわかります。
 そのため、$~e~$以外の$~x > 0~$において、$~e^x > x^e~$が言えます。
 
 つまり、こんな式も成り立つということです。
\begin{equation}
e^{\pi} > \pi^2
\end{equation}
 実際の近似値としては、
\begin{equation}
e^{\pi}\fallingdotseq 23.14~~,~\pi^2 \fallingdotseq 22.46
\end{equation}
となります。
 ちなみに$~e^{\pi}~$はゲルフォントの定数と言い、
\begin{equation}
e^{\pi}-\pi\fallingdotseq 19.9991
\end{equation}
で、ほぼ整数($~20~$)となります。
 この定数は、超越数の研究を行ったロシアの数学者、アレクサンダー・ゲルフォント(Alexander Gelfond , 1906-1968)にちなんで名づけられました。


ふくすけ汗
そもそもこの記事は、$~e^{\pi}~$と$~\pi^e~$のどっちが大きいのか知りたくて、まずは一般化した$~a^b~$と$~b^a~$で考えてみたら結論に行きつけたんだ。
$~e^{\pi}~$と$~\pi^e~$の大小比較をしたいと思う人、普通はいないにゃ。
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