アブー・カーミル〜生涯と功績を解説!無理数の計算で代数学に貢献!【数学史10-3】

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 中世イスラーム世界で、代数学を新たな高みへと押し上げた偉大な数学者、アブー・カーミル

 彼の最も重要な功績は、無理数(平方根)の代数的計算を本格的に導入したことです。

 すなわち、それまでは幾何的にしか扱われなかった$~\sqrt{2}\times\sqrt{3}~$のような計算を簡単に行えるようにしました。

 この記事では、アブー・カーミルの生涯と功績、そして彼にまつわる興味深いエピソードについて、数学史の先生Fukusukeが中学生・高校生レベルで分かりやすく解説

 この記事を読めば、アブー・カーミルが「エジプトの計算家」と呼ばれた理由がわかります。

この記事で主に扱っている時代と場所
時代9世紀後半~10世紀前半
場所エジプト
この記事を書いた人

Fukusuke(ふくすけ)
数学史の先生

  1. 現役の中学・高校数学教員
  2. 著書2冊重刷、ブログ累計200万PV達成
  3. ブログでは、式変形をとにかくていねいに記述
この記事を書いた人

Fukusuke(ふくすけ)
数学史の先生

  • 現役の中学・高校数学教員
  • 著書2冊重刷、ブログ累計200万PV達成
  • ブログでは、式変形をとにかくていねいに記述
  • 作図や文章校正、Texの打ち込みは文系妻が担当

この記事を読んでわかること

アブー・カーミルの生涯

 アブー・カーミル(Abū Kāmil , 850年頃 – 930年頃)は、9世紀後半から10世紀前半にかけてエジプトで活躍した数学者です。

アブー・カーミル(AIによるイメージ)
アブー・カーミル
(AIによるイメージ)

 彼は「エジプトの計算家(al-ḥāsib al-miṣrī)」という異名で呼ばれ、アル・フワーリズミーに次ぐ第二世代の代数学者として、数学史上重要な位置を占めています。

アブー・カーミルの年譜

 アブー・カーミルの生涯は以下のとおりです。

アブー・カーミルの年譜
年代出来事補足
850年頃 エジプトで生まれる詳しい出生地は不明だが、エジプトで生まれ育ったとされる。
901年頃数学者として活躍するサービト・イブン・クッラが亡くなった901年頃に、代数学者として名声を得ていた。
生きている間代数学の研究に没頭し、『代数学』を記すフワーリズミーの『ジャブルとムカーバラの計算の書』を発展させ、無理数を含む計算法を確立した。
930年頃エジプトで没する約80歳で死去。彼の著作は後にフィボナッチなど、ヨーロッパの数学者に大きな影響を与えた。

アブー・カーミルの活動場所

 アブー・カーミルは生涯をエジプトで過ごしました。

 当時のエジプトは、アッバース朝の支配下にありながらも、独自の学問的伝統を持つ地域でした。

 エジプトの中の細かい場所については、当時の写本が作成・保存されていたフスタート(現:カイロ)の可能性が濃厚なものの、詳しいことはわかっていません。

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