アブール・ワファ〜生涯と功績を解説!三角関数の関係式や単位円は彼から始まった!【数学史10-4】

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 中世イスラーム世界で、三角法を飛躍的に発展させた偉大な数学者、アブール・ワファ

 彼の最も重要な功績は、三角関数を体系化し、現代数学につながる基礎を築いたことでした。

 それまで個別に扱われていた三角法の概念を整理し、6種類の三角関数の関係性を明らかにしました

 また、さらには加法定理や正弦定理といった重要な公式を証明したり、単位円の有用性を後世に認識させています

 この記事では、アブール・ワファの生涯と功績、そして彼にまつわる興味深いエピソードについて、数学史の先生Fukusukeが中学生・高校生にも分かりやすく解説します!

この記事を読めば、アブール・ワファが三角法の歴史においていかに重要な人物であったかがわかります。

この記事で主に扱っている時代と場所
時代10世紀
場所バグダード(現イラク)
この記事を書いた人

Fukusuke(ふくすけ)
数学史の先生

  1. 現役の中学・高校数学教員
  2. 著書2冊重刷、ブログ累計200万PV達成
  3. ブログでは、式変形をとにかくていねいに記述
この記事を書いた人

Fukusuke(ふくすけ)
数学史の先生

  • 現役の中学・高校数学教員
  • 著書2冊重刷、ブログ累計200万PV達成
  • ブログでは、式変形をとにかくていねいに記述
  • 作図や文章校正、Texの打ち込みは文系妻が担当

この記事を読んでわかること

アブール・ワファの生涯

 アブール・ワファ(Abū’l-Wafā , 940年 – 998年)は、10世紀にバグダードで活躍した、ペルシャ出身の数学者・天文学者です。

アブール・ワファ
(出典:See page for author, Public domain, via Wikimedia Commons)

アブール・ワファの年譜

 アブール・ワファの生涯は、以下の通りです。

アブール・ワファの年譜
年代出来事補足
940年ペルシャのブーズガーン(現イラン東部)で生まれる。叔父から数学を学ぶ。
959年バグダードへ移住する。当時の学問の中心地で、多くの学者と交流する。
959年~998年ブワイフ朝の宮廷に仕える。カリフ(指導者)の庇護のもと、数学や天文学の研究に没頭する。
988年バグダードに天文台を建設する。観測器具「壁掛け四分儀」の製作にも関わる。
998年バグダードで没する。彼の著作は、後のイスラーム世界や”近世以降の”ヨーロッパの数学に大きな影響を与えた。

アブール・ワファの活動場所

 アブール・ワファは現在のイランに位置するブーズガーンで生まれました。

 叔父から数学を学んだワファは、当時の学問の中心地であるバグダードに移住。

 ワファの時代のバグダードはアッバース朝の衰退後にブワイフ朝が支配していましたが、依然としてイスラーム世界の学術・文化の中心地であり、「知恵の館」に代表されるように世界中から学者が集まる国際都市でした。

 アブール・ワファは、このような恵まれた環境で、アル・ビールーニーなどの偉大な学者たちと協力しながら、研究を進めることができたのです。

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