二等分線と垂線の定理

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三角形の垂線に関する定理です。とある問題を考えているときにこの定理の証明が必要だったため、考えてみました。ちなみに、定理名は勝手に付けています。
Ⅰ 二等分線と垂線の定理
Ⅱ 証明


目次
  • 1. Ⅰ 二等分線と垂線の定理
  • 2. Ⅱ 証明

Ⅰ 二等分線と垂線の定理

 まずはどのような定理なのかを見てみましょう。

二等分線と垂線の定理

二等辺三角形ではない任意の \(~\triangle ABC~\) で、 \(~∠A~\) の二等分線と \(~BC~\) の垂直二等分線の交点を \(~D~\) とする。
  \(~D~\) から \(~AB~\) と \(~AC~\) に垂線を引き、それぞれの交点を \(~E,F~\) とする。

このとき、 \(~E~\) と \(~F~\) のどちらか1点だけが \(~\triangle ABC~\) の周上に存在し、 \(~BE=CF~\) が成り立つ。

 
角の二等分線と垂直二等分線の交点からの垂線ということで、「二等分線と垂線の定理」と名付けました。
 
実際にいくつかの形の例を挙げてみましょう。

・例1(二等分する角が直角)

・例2(二等分する角が鈍角)

・例3(底角の1つが鈍角)

・反例(二等辺三角形だと・・・)

角の二等分線と垂直二等分線が重なってしまうため、交点 \(~D~\) が存在しません。

\(~E~\) と \(~F~\) の位置関係や、 \(~BE=CF~\) が成り立っているように見えますね。では、実際に証明をしてみましょう。


Ⅱ 証明

単純なようで、なかなか難しかったので、座標平面を使って考えてみました。

証明

原点を \(~A~\) とし、 \(~∠A~\) の二等分線が \(~y~\) 軸となるような \(~\triangle ABC~\) を考える。
直線 \(~AB,AC~\) の式を \(~y=ax,y=-ax(a > 0)~\) とおき、
\(~B,C~\) の \(~x~\) 座標をそれぞれ \(~b,c(b < 0 , c > 0 , |b| > |c|)~\) とする。
このとき、 \(~B(b,ab),C(c,-ac)~\) となり、次のような図になる。

まずは、 \(~BC~\) の垂直二等分線の式を求める。

\(~BC~\) の中点 \(~G~\) は
\begin{equation}
\displaystyle \left( \frac{b+c}{2} , \frac{(ab)+(-ac)}{2} \right)=\left( \frac{b+c}{2} , \frac{ab-ac}{2} \right)
\end{equation}


\(~BC~\) の中点 \(~G~\) は
\begin{align}
& \displaystyle \left( \frac{b+c}{2} , \frac{(ab)+(-ac)}{2} \right) \\
\\
&=\left( \frac{b+c}{2} , \frac{ab-ac}{2} \right)
\end{align}

また、直線 \(~BC~\) の傾きは、
\begin{equation}
\displaystyle \frac{(-ac)-(ab)}{c-b}=-\frac{c+b}{c-b}a
\end{equation}
なので、 \(~G~\) を通り、直線 \(~BC~\) に垂直な直線の方程式は、
\begin{align}
& \displaystyle y-\frac{ab-ac}{2}=\frac{c-b}{(c+b)a} \left( x-\frac{b+c}{2} \right) \\
\\
y&=\frac{c-b}{(c+b)a}x-\frac{c-b}{2a} +\frac{ab-ac}{2} \\
\\
y&=\frac{c-b}{(c+b)a}x+\frac{b-c}{2a}+\frac{a(b-c)}{2} \\
\\
y&=\frac{c-b}{(c+b)a}x+\frac{1}{2}(b-c) \left( a+\frac{1}{a} \right) \\
\end{align}
これにより、角の二等分線( \(~y~\) 軸)と垂直二等分線の交点 \(~D~\) は、垂直二等分線の \(~y~\) 切片から、
\begin{equation}
\displaystyle D:\left( 0,\frac{1}{2}(b-c) \left( a+\frac{1}{a} \right) \right)
\end{equation}
と求まった。

次に、点 \(~D~\) から辺 \(~BC,AC~\) への垂線の足 \(~E,F~\) の座標を求める。
\(~D\)を通り、直線 \(~BC~\) に垂直な直線の方程式は、辺 \(~BC~\) の傾きが \(~a~\) であることから、
\begin{align}
& \displaystyle y-\frac{1}{2}(b-c) \left( a+\frac{1}{a} \right) = -\frac{1}{a}(x-0) \\
\\
y&= -\frac{1}{a}x+\frac{1}{2}(b-c) \left( a+\frac{1}{a} \right)
\end{align}
この直線と直線 \(~BC:y=ax~\) の交点 \(~E~\) なので、代入することで、
\begin{align}
\displaystyle ax&= -\frac{1}{a}x+\frac{1}{2}(b-c) \left( a+\frac{1}{a} \right) \\
\\
\left(a+\frac{1}{a} \right)x&=\frac{1}{2}(b-c) \left( a+\frac{1}{a} \right) \\
\\
x&=\frac{1}{2}(b-c) (a > 0より) \\
\end{align}
よって、点 \(~E~\) の座標は
\begin{equation}
\displaystyle E:\left( \frac{1}{2}(b-c),\frac{1}{2}(b-c)a \right)
\end{equation}
と求まり、同様の方法で点 \(~F~\) の座標も
\begin{equation}
\displaystyle F:\left( \frac{1}{2}(c-b),\frac{1}{2}(b-c)a \right)
\end{equation}
と求まる。
 
\(~b < 0 , c > 0 , |b|>|c|~\) より、
\begin{align}
\displaystyle \frac{1}{2}(b-c) &> \frac{1}{2}(b+b)=b \\
\\
\displaystyle \frac{1}{2}(c-b) &> \frac{1}{2}(c+c)=c \\
\end{align}
が成り立つため、 \(~E~\) は辺 \(~AB~\) 上に、 \(~F~\) は辺 \(~AC~\) 外に存在することがわかる。

最後に、 \(~BE,CF~\) の長さを比較する。
直線 \(~BE,CF~\) は、 \(~x~\) の増加量に対する、 \(~y~\) の増加量の絶対値は同じであるため、長さを比較するためには、 \(~x~\) の増加量を求めればよい。
\begin{align}
BEのxの増加量&= \displaystyle \frac{1}{2}(b-c)-b \\
&=-\frac{1}{2}(b+c) \\
\\
CFのxの増加量&= \displaystyle \frac{1}{2}(c-b)-c \\
&=-\frac{1}{2}(b+c) \\
\end{align}
以上より、 \(~BE=CF~\) も示された。 \(~\blacksquare\)

この証明により、 \(~E,G,F~\) の \(~y~\) 座標が等しいこともわかるため、

\(~E,G,F~\) は一直線上に並ぶ

ということも副産物として、言うことができます。


証明が非常に長くなってしまいました。もっと簡単な証明もあるはず・・・。