難しい極限③

 直感的には答えがわかりそうですが、厳密に解法を記すとなると一工夫必要な極限の計算です。

目次

Ⅰ 問題と解法

問題

 $~C~$を正の定数とする。
\begin{equation}
\lim_{n \to \infty}{\frac{C^n}{n!}}
\end{equation}
を求めなさい。

 $~C^n~$や$~n!~$をそれぞれバラバラにすることで、感覚的に掴めそうですが・・・。
 
 論理的に説明できますか?


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解答

\begin{equation}
\lim_{n \to \infty}{\frac{C^n}{n!}}=0
\end{equation}

\begin{equation}
\lim_{n \to \infty}{\frac{C^n}{n!}}=\frac{C}{1}\cdot \frac{C}{2}\cdot \frac{C}{3} \cdots \frac{C}{n}\cdots
\end{equation}
と考えると、最初は分子の方が大きくなるものの、あるときからは無限に分母のほうが大きくなるため、$~0~$に近づいていくことは想像しやすいかもしれませんね。
 
 この考え方を厳密に記述していきましょう。
 

解法

 $~n \to \infty~$なので、$~C < n~$として考える。 \begin{align} \frac{C^n}{n!}&=\frac{C\cdot C\cdot C\cdots C}{1\cdot 2 \cdot 3 \cdots n} \\ \\ &=\frac{C}{1}\cdot \frac{C}{2}\cdot \frac{C}{3} \cdots \frac{C}{n} \end{align} と変形をして考える。
 
 $~C~$は定数なので、分母は途中から$~C~$よりも大きくなる。
 よって、$~C < m < n~$となる自然数$~m~$が存在するので、 \begin{align} \frac{C^n}{n!}&=\frac{C}{1}\cdot \frac{C}{2}\cdot \frac{C}{3} \cdots \frac{C}{m}\cdot \frac{C}{m+1}\cdots \frac{C}{n} \\ \\ &< \frac{C}{1}\cdot \frac{C}{2}\cdot \frac{C}{3} \cdots \frac{C}{m}\cdot \frac{C}{m}\cdots \frac{C}{m} \\ \\ &=\frac{C}{1}\cdot \frac{C}{2}\cdot \frac{C}{3} \cdots \frac{C}{m} \cdot \left(\frac{C}{m} \right)^{n-m} \\ \end{align} が成り立つ。
 
 ここで、$~\displaystyle \frac{C}{1}\cdot \frac{C}{2}\cdot \frac{C}{3} \cdots \frac{C}{m} ~$は定数であり、$~\displaystyle \left( \frac{C}{m} \right)^{n-m}~$は、$~0 < \displaystyle \frac{C}{m} < 1~$より、 \begin{equation} \lim_{n \to \infty}{\left( \frac{C}{m} \right)^{n-m}}=0 \end{equation} である。
 
 よって、
\begin{align}
&~~~\lim_{n \to \infty}{\frac{C}{1}\cdot \frac{C}{2}\cdot \frac{C}{3} \cdots \frac{C}{m} \cdot \left(\frac{C}{m} \right)^{n-m}} \\
\\
&=\frac{C}{1}\cdot \frac{C}{2}\cdot \frac{C}{3} \cdots \frac{C}{m} \cdot \lim_{n \to \infty}{\left(\frac{C}{m} \right)^{n-m}} \\
\\
&=\frac{C}{1}\cdot \frac{C}{2}\cdot \frac{C}{3} \cdots \frac{C}{m} \cdot 0
\\
&=0
\end{align}
である。
 
 よって、
\begin{equation}
0 < \frac{C^n}{n!} < \frac{C}{1}\cdot \frac{C}{2}\cdot \frac{C}{3} \cdots \frac{C}{m} \cdot \left(\frac{C}{m} \right)^{n-m} \end{equation} にはさみうちの原理を用いることで、 \begin{equation} \lim_{n \to \infty}{\frac{C^n}{n!}}=\frac{C}{1}\cdot \frac{C}{2}\cdot \frac{C}{3} \cdots \frac{C}{n}\cdots \end{equation} と求まった。$~~~\blacksquare~$

 ということで、今回もはさみうちの原理を利用しました。
 
 また、この問題によって、

 $~C^n~$と$~n!~$の発散速度は、$~n!~$のほうが速い

ということが言えます。


Ⅱ $~C~$の値による比較

 余談ですが、$~C~$の値によって、$~0~$に近づくまでの速さが異なります。

$~\displaystyle \frac{5^n}{n!}~$の値

収束までのグラフ(C=5)

$~\displaystyle \frac{10^n}{n!}~$の値

収束までのグラフ(C=10)

$~\displaystyle \frac{15^n}{n!}~$の値

収束までのグラフ(C=15)
 どれも正規分布のような形をしていますが、縦軸の値が全く違います。
 
 わかりやすく、これらをまとめて同じグラフ上に表すと、
収束までのグラフ(比較)
となり、グラフの形は同じものの、前半部分の指数関数的な伸びが全く違いますね。


はさみうちって、原理自体はわかりやすいけど、はさむためには工夫が必要だよね。
ふくすけ笑顔
うむ。今回見たいに、分母を小さくしたものを用意するのはよくあるパターンだよ。

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