エフロンのさいころ

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強さが"巡る"不思議なさいころです。サンクトペテルブルグのパラドックスと同様、期待値計算が意味をなさない例の1つです。
①エフロンのサイコロとは?
②サイコロの強さの考察
③実験


目次
  • 1. ①エフロンのサイコロとは?
  • 2. ②サイコロの強さの考察
  • 3. ③実験

①エフロンのサイコロとは?

エフロンのサイコロ

次のような正六面体のサイコロの組をエフロンのサイコロという。
 
A・・・目が 3 , 3 , 3 , 3 , 3 , 3
B・・・目が 4 , 4 , 4 , 4 , 0 , 0
C・・・目が 5 , 5 , 5 , 1 , 1 , 1
D・・・目が 6 , 6 , 2 , 2 , 2 , 2
 
ただし、全てのサイコロは全ての目が同様に確からしく出るものとする。

このサイコロは、20世紀後半にアメリカのスタンフォード大学の統計学者、ブラッドリー・エフロン(Bradley Efron)が、非推移的サイコロモデルの例として発表したサイコロの組み合わせです。

※「非推移的」とは、\( a < b,b < c~\) のとき、必ずしも \(~a < c~\) とならないこと。   つまり、エフロンのサイコロは次のような特徴を持っています。

エフロンのサイコロの特徴

 出た目の数が大きいサイコロが「強い」サイコロとする。
 
A , B , C , D のサイコロのうち、最も強いサイコロは決まらない。

すなわち、じゃんけんのように、強さが"巡る"ということです。
それぞれのサイコロの強さについて考えてみましょう。


②サイコロの強さの考察

サイコロということで、6×6の表で考えてみましょう。

AとBの強さの比較


\begin{align}
\displaystyle Aの勝つ確率&=\frac{12}{36}=\frac{1}{3} \\
\\
Bの勝つ確率&=\frac{24}{36}=\frac{2}{3} \\
\end{align}
となります。よって、
\begin{equation}
A < B ・・・① \end{equation} がわかった。

同様にすべての組み合わせを考えてみましょう。

BとCの強さの比較


\begin{align}
\displaystyle Bの勝つ確率&=\frac{12}{36}=\frac{1}{3} \\
\\
Cの勝つ確率&=\frac{24}{36}=\frac{2}{3} \\
\end{align}
となります。よって、
\begin{equation}
B < C ・・・② \end{equation} がわかった。

CとDの強さの比較


\begin{align}
\displaystyle Cの勝つ確率&=\frac{12}{36}=\frac{1}{3} \\
\\
Dの勝つ確率&=\frac{24}{36}=\frac{2}{3} \\
\end{align}
となります。よって、
\begin{equation}
C < D ・・・③ \end{equation} がわかった。

DとAの強さの比較


\begin{align}
\displaystyle Dの勝つ確率&=\frac{12}{36}=\frac{1}{3} \\
\\
Aの勝つ確率&=\frac{24}{36}=\frac{2}{3} \\
\end{align}
となります。よって、
\begin{equation}
D < A ・・・④ \end{equation} がわかった。

さて、ここまでの結果①~④をまとめると、
\begin{equation}
A < B < C < D < A \end{equation} となりました。確かに最強と言えるサイコロはなく、強さが巡っていることがわかります。   ちなみに、AとCやBとDの対戦結果はどうなるのかも考えてみました。

AとCの強さの比較


\begin{align}
\displaystyle Aの勝つ確率&=\frac{18}{36}=\frac{1}{2} \\
\\
Cの勝つ確率&=\frac{18}{36}=\frac{1}{2} \\
\end{align}
となります。よって、
\begin{equation}
A=C ・・・④
\end{equation}
がわかった。

BとDの強さの比較


\begin{align}
\displaystyle Bの勝つ確率&=\frac{16}{36}=\frac{4}{9} \\
\\
Dの勝つ確率&=\frac{20}{36}=\frac{5}{9} \\
\end{align}
となります。よって、
\begin{equation}
B < D ・・・④ \end{equation} がわかった。

これまでの結果を図にすると、こういう結果になります。

一応、Dが最も有利であるということがわかりました。(Aには勝てないため、最強とは言えないけど・・・)


③実験

最後に Excel を使って、A~Dのサイコロを100回ずつ戦わせてみました。
それが次の結果です。

~1回戦~

\begin{align}
× A 39勝 &- 61勝 B 〇 \\
× B 31勝 &- 69勝 C 〇  \\
× C 23勝 &- 77勝 D 〇 \\
× D 35勝 &- 65勝 A 〇 \\
〇 A 54勝 &- 46勝 C × \\
× B 43勝 &- 57勝 D 〇 \\
\end{align}

~2回戦~

\begin{align}
× A 25勝 &- 75勝 B 〇 \\
× B 31勝 &- 69勝 C 〇  \\
× C 44勝 &- 56勝 D 〇 \\
× D 43勝 &- 57勝 A 〇 \\
× A 45勝 &- 55勝 C 〇 \\
× B 46勝 &- 54勝 D 〇 \\
\end{align}

~3回戦~

\begin{align}
× A 34勝 &- 66勝 B 〇 \\
× B 38勝 &- 62勝 C 〇  \\
× C 30勝 &- 70勝 D 〇 \\
× D 30勝 &- 70勝 A 〇 \\
× A 47勝 &- 53勝 C 〇 \\
× B 45勝 &- 55勝 D 〇 \\
\end{align}
 ということで、理論値に準じる結果となりました。
実際に作って振ってみたいですね。


このような非推移サイコロ、作るの大変そう・・・。
頭がこんがらがりそうです・・・。(><)

   
 
 


◇参考文献等
・青柳碧人(2017)『彩菊あやかし算法帖』,pp.26-39,実業之日本社.

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Posted by Fuku