開平算

ルートの近似値を求めるための計算法です。例はもちろん、この方法が成り立つ原理も説明しています。
Ⅰ 開平算とは
Ⅱ 開平算の原理


目次

Ⅰ 開平算とは

 ルートの近似値を筆算で求める方法として、開平算というものがあります。教科書等ではオマケとして載ってはいるものの、覚えている人は少ないと思います。まず、例を使ってその方法を理解してみましょう。

$~\sqrt{10}~$ の近似値を小数第3位まで求める
①まず、次のような筆算を書きます。

②平方が10を超えない最大の整数(3)を書きます。また、その数を左側のメモ筆算に2つ並べます。

③メモ筆算では $~3+3=6~$ 、右の筆算では10の下にメモ筆算の3と3の積(9)を書き入れます。

④右の筆算で引き算をします( $~10-9=1~$ )。その後、00を下におろします。

⑤6〇×〇が100を超えないような最大の整数〇を、左右の筆算に書き入れます。
 (〇=0なら $~60 \times 0=0~$ 、〇=1なら $~61 \times 1=61~$ 、〇=2なら $~62 \times 2=124~$ 、よって〇=1)
 また、右の筆算では、その積を100の下に書き入れます。

⑥メモ筆算は足し算、右の筆算では引き算をし、00をおろします。

⑦62〇×〇が3900を超えないような最大の整数〇を、左右の筆算に書き入れます。
 (〇=6なら $~626 \times 6=3756~$ 、〇=7なら $~627 \times 7=4389~$ 、よって〇=6)
 また、右の筆算では、その積を3900の下に書き入れます。

⑧メモ筆算は足し算、右の筆算では引き算をし、00をおろします。

⑨同様に632〇×〇が14400を超えないような最大の整数〇を、左右の筆算に書き入れます。
 (〇=2なら $~6322 \times 2=12644~$ 、〇=3なら $~6323 \times 3=18969~$ 、よって〇=2)
 また、右の筆算では、その積を14400の下に書き入れます。

 
ということで、 $~ \sqrt{10}\fallingdotseq 3.162 ~$ が求まった。

確かに近似値 $~\sqrt{10}\fallingdotseq 3.1622~$ (三色2並ぶ)に近づいていますね。
同様に $~\sqrt{2}~$ についても計算すると、次のような筆算結果になります。

$~\sqrt{2}~$ の近似値を小数第3位まで求める

ということで、 $~ \sqrt{2}\fallingdotseq 1.414 ~$ が求まった。

次章では、この筆算方法の原理に迫ります。


Ⅱ 開平算の原理

今回は、先ほどの例で説明をした $~\sqrt{10}~$ の開平算の証明をしていきます。

証明

・整数部分までを求めるとき(手順①、②)

すなわち、 $~\sqrt{10}>a~$ となる0~9の最大の整数 $~a~$ を求める。

両辺を2乗して、 $~10>a^2~$ 。
よって、 $~a=3~$
 

・小数第一位までを求めるとき(手順③,④、⑤)

すなわち、 $~\sqrt{10}>3+\displaystyle \frac{b}{10}~$ となる0~9の最大の整数 $~b~$ を求める。
両辺を2乗して、式を整理すると、
\begin{align}
10 &> \displaystyle 9+\frac{6b}{10}+\frac{b^2}{100} \\
1 &> \frac{6b}{10}+\frac{b^2}{100} \\
\\
100 &> 60b+b^2 \\
100 &> (60+b)b
\end{align}
この式を満たす最大の整数 $~b~$ を求めたいので、 $~b=2~$
また、筆算上における右辺の意味は次のようになっている。

 

・小数第二位までを求めるとき(手順⑥、⑦、⑧)

すなわち、 $~\sqrt{10}>3.1+\frac{c}{100}~$ となる0~9の最大の整数 $~c~$ を求める。
両辺を2乗して、式を整理すると、
\begin{align}
10 &> \displaystyle 9.61+\frac{6.2c}{100}+\frac{c^2}{10000} \\
10-9-0.61 &> \frac{6.2c}{100}+\frac{c^2}{10000} \\
0.39 &> \frac{6.2c}{100}+\frac{c^2}{10000} \\
\\
3900 &> 620c+c^2 \\
3900 &> (620+c)c \\
\end{align}
この式を満たす最大の整数 $~c~$ を求めたいので、 $~c=6~$
また、筆算上における右辺の意味は次のようになっている。

 
同様の作業を繰り返していけば、 $~\sqrt{10}~$ に限りなく近づいていくため、近似値が求められる。 $~\blacksquare~$

筆算の方法だけ暗記しようとすると、手順が複雑なため覚えるのが難しいですが、原理を覚えてしまえば筆算の方法を想起することができそうです。


今まで筆算の手順をなかなか覚えられませんでしたが、原理を考えてみたらやっていることは簡単でした。もう忘れません!!

   
 
 


◇参考文献等

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次
閉じる