1=-1の証明??

数学間違い探し第3弾。これまた不思議な証明です。


命題??

 次の数式が成り立つ。
\begin{equation}
1=-1
\end{equation}

証明??

次の等式を考える。
\begin{equation}
\displaystyle \frac{x+1}{p+q+1}=\frac{x-1}{p+q-1}
\end{equation}
 
① 両辺 $~-1~$ を加える。
\begin{equation}
\displaystyle \frac{x+1}{p+q+1}-1=\frac{x-1}{p+q-1}-1
\end{equation}
 
② 通分して計算をする。
\begin{align}
\displaystyle \frac{x+1}{p+q+1}-\frac{p+q+1}{p+q+1}&=\frac{x-1}{p+q-1}-\frac{p+q-1}{p+q-1} \\
\\
\displaystyle \frac{(x+1)-(p+q+1)}{p+q+1}&=\frac{(x-1)-(p+q-1)}{p+q-1} \\
\\
\displaystyle \frac{x+1-p-q-1}{p+q+1}&=\frac{x-1-p-q+1}{p+q-1} \\
\\
\displaystyle \frac{x-p-q}{p+q+1}&=\frac{x-p-q}{p+q-1} \\
\end{align}
 
③ 両辺の分母が等しい。
 より、両辺の分子は $~x-p-q~$ で等しいため、等号成立のためには分母も等しくなければならない。したがって、
\begin{equation}
p+q+1=p+q-1
\end{equation}
 
④ ③の等式の両辺から $~p+q~$ をひく。
\begin{align}
p+q+1-(p+q)&=p+q-1-(p+q) \\
\\
p+q+1-p-q&=p+q-1-p-q \\
\\
1&=-1
\end{align}
よって、題意は示された。  $~\blacksquare~$

この証明が正しいとすると、
\begin{equation}
1+1=1+(-1)=0
\end{equation}
となってしまいますね(笑)
 
 どの手順で間違いがあるのでしょうか・・・。
 


[wpex more=”謎解きはこちら” less=”謎解きを閉じる”]

証明の穴

③が間違っています。
 
 分数の等式で分子が正しかったとしても、分母まで等しくなるとは限らない例が1つだけありません。
それは、

両辺の分数の分子が $~0~$ のとき

です。例えば、
\begin{equation}
\displaystyle \frac{0}{2}=\frac{0}{3}
\end{equation}
の場合、等式で分子が等しいものの、分母が違っていますよね。
 
 ここで、元の等式を $~x~$ について解いてみましょう。
\begin{align}
\displaystyle \frac{x+1}{p+q+1}&=\frac{x-1}{p+q-1} \\
\\
(x+1)(p+q-1)&=(x-1)(p+q+1) \\
\\
px+qx-x+p+q-1&=px+pq+x-p-q-1 \\
\\
-2x&=-2p-2q \\
\\
x&=p+q
\end{align}
これを、で求めた等式の、両辺の分子に代入すると、
\begin{equation}
x-p-q=p+q-p-q=0
\end{equation}
となります。上記で示した通り、分子が $~0~$ ならば分母が必ずしも等しくはならないため、の手順に誤りがあるとわかりました。 $~\blacksquare~$

 ④以外の計算に関しては、すべて正しいです。
 
 また、 $~\displaystyle \frac{c}{a}=\frac{c}{b}~$ について、 $~c=0~$ のとき $~a=b~$ に必ずしもならない理由は下の式変形からわかります。
\begin{align}
\displaystyle \frac{c}{a}&=\frac{c}{b} \\
\\
bc&=ac \\
\\
b&=a
\end{align}
最後の変形では両辺を $~\div c~$ しています。つまり、分子 $~c~$ が $~0~$ のときは $~\div 0~$ という禁断の計算をしてしまっているため、結果として $~a=b~$ とは言えなくなってしまうのです。


今回の間違い探しも根本は「÷0」にありました。それが見事に隠れていますね。

   
 
 

[/wpex]


◇参考文献等
・アルフレッド・S・ポザマンティエ/イングマール・レーマン(2015)『数学まちがい大全集』,pp.101-103,堀江太郎訳,化学同人.

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次
閉じる