速さの平均??

数学間違い探し第4弾。速さの平均はなかなか難しいのです。


問題

 A君は自宅からB君の家までの距離を、行きは時速60km、帰りは時速30kmの速さで運転をした。このとき、行きと帰りの平均の速さを求めなさい。

答え??

時速45km

解説??

 行きと帰りの速さを平均すればよいので、
\begin{equation}
\displaystyle \frac{60+30}{2}=45
\end{equation}
となるため、時速45km。 $~\blacksquare$

 パッと見た感じ、間違いはなさそうですが・・・。
 何が違うのでしょうか・・・。
 


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 実際に平均の速さを計算してみましょう。

正しい求め方

 A君の家からB君の家までの距離を $~a~$ kmとする。
 
 すると、行きは $~\displaystyle \frac{a}{60}~$ 時間、帰りは $~\displaystyle \frac{a}{30}~$ 時間かかる。
 つまり、往復で
\begin{align}
\displaystyle \frac{a}{60}+\frac{a}{30}&=\frac{a}{60}+\frac{2a}{60} \\
\\
&=\frac{3a}{60} \\
\\
&=\frac{a}{20}(時間)
\end{align}
ということになる。
 
 往復の距離は $~2 \times a=2a~$ km なので、往復の速さは
\begin{align}
\displaystyle 2a \div \frac{a}{20}&=2a \times \frac{20}{a} \\
\\
&=40
\end{align}
となるため、時速40kmが正しい答えとなる。

 「平均」と言葉を聞いて、普段我々が使っている「データの和をデータ数で割る」考え方は「算術平均」言います。
 
 それに対し、今回のように2つの価値が異なる量の平均を求める際には、「調和平均」という考え方を使わなければいけません。

調和平均

 2つの数 $~a,b~$ の調和平均は、2つの数の逆数の平均の逆数で定義される。
 すなわち、
\begin{equation}
\displaystyle \frac{1}{\frac{\frac{1}{a}+\frac{1}{b}}{2}}=\frac{2}{\frac{1}{a}+\frac{1}{b}}=\frac{2ab}{a+b}
\end{equation}
と表される。

 この定義通り代入すれば、時速60kmと時速30kmの平均の速さは
\begin{align}
\displaystyle \frac{2 \cdot 60 \cdot 30}{60+30}&=\frac{2 \cdot 60 \cdot 30}{90} \\
\\
&=40
\end{align}
と、道のりについて考えなくても求まります。
 


 時速60kmと時速30kmでは、時間に対する価値が2倍違うので、普通の平均(算術平均)では求められないというのが、新発見でしたね。

   
 
 

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◇参考文献等
・アルフレッド・S・ポザマンティエ/イングマール・レーマン(2015)『数学まちがい大全集』,pp.94-96,堀江太郎訳,化学同人.

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