ハゲのパラドックス
数学的帰納法を用いて証明できる、おもしろいパラドックスを紹介します。
Ⅰ パラドックスの内容
Ⅱ パラドックスの回避
Ⅰ パラドックスの内容
いきなりですが、命題です。
すべての人はハゲである。
この命題は真でしょうか?
「周りに髪の毛フサフサの人がいるから、その人が反例。」
ということで、この命題は 偽 と言いたくなるでしょう。
しかし、数学的帰納法を使うと、この命題は真になるのです。
数学的帰納法で証明する。
ある人の髪の毛の本数を \(~n~\) 本とする。
① \(~n=0~\) のとき
髪の毛が \(~0~\) 本の人はハゲであるので、成り立つ。
② \(~n=k~\) のとき
髪の毛が \(~k~\) 本の人をハゲだと仮定する。
ハゲの人に髪の毛を \(~1~\) 本生やしても(\(n=k+1\))、ハゲはハゲである。
よって、髪の毛が \(~k+1~\) 本の人もハゲである。
①、②より、髪の毛が何本でもハゲである。
ということで、髪の毛が何本生えていてもハゲということになりますので、すべての人はハゲということになります。
さて、この議論のどこに誤りがあるのでしょうか?
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Ⅱ パラドックスの回避
まずは下のイラストをご覧ください。
0本から1本に増えましたが、これはハゲからハゲですよね?
しかし、同じ「1本増える」という状況でも、
この本数なら、フサフサからフサフサですよね?
すなわち、髪の毛が1本増えたからハゲかフサフサかが決まるのではなく、見た目の髪の毛の量でハゲかどうかは決まるのです。
そして、それは髪の毛が何本以下ならハゲで、何本以上ならフサフサ・・・というような明確な基準がなく、あくまで判断する人の主観によるものです。
まとめると、
ハゲという定義があいまいであるため、数学的な論理が使えないから。
「ハゲとは、髪の毛が100本以下の人のことをいう」など、定義をはっきりさせれば数学的な論理が使えます。(その場合、命題が偽であることがハッキリしますが・・・)
定義の大切さがわかるパラドックスでした。
髪の毛の絵、雑・・・。
ディスカッション
家族と拝見させていただきました。なんせうちの曽祖父がいわゆる「ハゲ」というやつだったので。笑
なるほど…このような視点から考えたのは人生で初めてでした!なんせ、「ハゲ」の定理について考えたことがなかったものですから…。
どうでもいいかもしれないですが、ペンギンに一本だけ髪の毛が生えている絵が、まる子の波平にしか見えなくて弟が爆笑していました。笑
ずっと思っていたんですが、あのペンギン可愛い…♡
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パラドックスはこのように楽しいものが多いです。
絵心ない中で、うまく図形を組み合わせて概形を作り、そこに手を加えて「ふくすけ」が完成しました。
ハゲの絵は描けなかったので、あんな残念なふくすけに・・・。