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数学史のおすすめ本を紹介!学術的な本から面白い本まで40冊以上を詳しく解説!

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数学史の本 アイキャッチ

 数学の変遷をたどる学問である数学史。

 数学史を学ぶにあたり、どんな本を選べばいいか悩んでいませんか?

 数学史は学校で学ぶ機会がほとんどない分、市場に出回っている本の種類は少なく、1冊1冊が高価となっています。
 また、読者が少ない分、本に関する十分なレビューが得られないのも現状。

 そこで、数学史に関する本を40冊以上参考にしながら、数学史の記事や書籍を執筆した当ブログ管理人Fukusukeが、おすすめの数学史の本を紹介。

 本のサイズや重さといった基本情報から、記載されている内容や実際に使用した感想まで細かく解説しています。

 この記事を読むことで、目的に合った数学史の本を手に入れることができます。

 この記事では、拙著『』の紹介はしておりません。
 こちらの本については、以下の記事で紹介しています。

この記事を読んでわかること

【目的別】おすすめの数学史本

 おすすめの数学史本を目的別・段階別に1冊ずつピックアップします。
 時間が無い方は、ここから選べば間違いなし!

本の名前をクリックすると、詳しい解説までスクロールします。

数学史の流れを学ぶための本

 「数学史を本格的に学びたい!」という方向けの本です。

レベル本の名前本のおすすめポイント
初学者向け数学の世界史著者が大学の講義テキストとして執筆したため、全15章で数学史の流れを1冊で掴むことができる。縦書きで、難しい数式も部分的にしか登場しないため、数学が苦手な人でも読みやすい。
上級者向け
(数学史の流れを一通り掴んでいる人向け)
カッツ 数学の歴史1024ページからなる数学史の名著で、圧倒的な網羅性を誇る。数学者の伝記や練習問題により、数学史さらには数学そのものへの理解度が高まる。

数学者についてを学ぶための本

 「数学者について知りたい!」、「大学で特定の数学者について調べる課題が出た」という方向けの本です。

レベル本の名前本のおすすめポイント
初学者向け数学者図鑑数学史を語るうえで欠かせない約30人の数学者たちが、たくさんのイラストと共に解説されている。
上級者向け
(有名な数学者は一通り知っている人向け)
世界数学者事典古今東西700人以上の数学者たちの生涯や功績、著書が概説されている。数学者に関する網羅性が非常に高い一冊。

数学史の面白さを知るための本

 「面白い数学史の話を知りたい!」、「数学の授業で数学史に関する面白い話がしたい!」という方向けの本です。
 初学者も上級者も楽しめる一冊をピックアップしました。

面白さの方向性本の名前本のおすすめポイント
数学者たちの人間ドラマ哲学的な何か,あと数学とか「フェルマーの最終定理」の証明に向け、300年以上にわたる有名数学者たちの知のリレーが、筆者独特の文体でドラマチックに表現されている。数学の系統性を数学史の流れから感じることができる。
数学者の意外な一面天才なのに変態で愛しい数学者たちについて古今東西700人以上の数学者たちの生涯や功績、著書が概説されている。数学者に関する網羅性が非常に高い一冊。
数字ができるまでずかん 数字紀元前の世界各地において使われていた数字が一つひとつていねいに解説されている。全ページカラーのため、豊富なイラストや写真を眺めているだけでも面白い。
数学記号ができるまで身近な数学の記号たち$~+~$や$~−~$といった記号から大学数学で使う記号まで、その使用例と由来がわかる一冊。数学記号を表すゆるいイラストや、その記号の意味を表す独特な言い回しが秀逸。

Fukusukeがこれまでに読んだ41冊の数学史本リスト

 本の名前をクリックすると、詳しい解説までスクロールします。

No本の名前ジャンル主な時代レベル※1難易度※2
1カッツ 数学の歴史通史全時代
2メルツバッハ&ボイヤー数学の歴史Ⅰ通史~17世紀前半
3メルツバッハ&ボイヤー数学の歴史Ⅱ通史17世紀後半~
4数学の流れ30講上通史~16世紀
5数学の流れ30講中通史17~19世紀
6数学の流れ30講下通史20世紀~
7数学の歴史物語通史全時代
8フィボナッチの兎通史全時代
9高校数学史演習通史~17世紀
10数学の世界史通史全時代
11数学の文化史通史全時代
12モノグラフ 数学史通史全時代
13数学史 数学5000年の歩み通史全時代
14数学物語通史全時代
15世界数学者事典数学者全時代
16数学者図鑑数学者全時代
17数学を切り開いた人々1数学者~13世紀
18数学を切り開いた人々2数学者14世紀~18世紀
19数学を切り開いた人々3数学者18世紀~20世紀
20数学を切り開いた人々4数学者20世紀
21数学を切り開いた人々5数学者20世紀~21世紀
22天才なのに変態で愛しい数学者たちについて数学者全時代
23素顔の数学者たち数学者全時代
24数学スキャンダル数学者全時代
25ギリシャ数学史時代特化~5世紀
26古代ギリシャの数理哲学への旅時代特化~前3世紀
27ずかん 数字分野特化~中世
28πとeの話分野特化全時代
29代数学の歴史分野特化全時代
30幾何学の偉大なものがたり分野特化~4世紀
31アキレスとカメ有名問題紀元前5世紀頃
32ピタゴラスの定理100の証明法有名問題全時代
33ピタゴラスの定理有名問題全時代
34フェルマーの最終定理有名問題17世紀~
35哲学的な何か,あと数学とか有名問題17世紀~
36数と記号のふしぎ記号全時代
37身近な数学の記号たち記号全時代
38数学用語と記号ものがたり用語・記号全時代
39なっとくする数学記号記号全時代
40図解教養事典 数学用語全時代
41数学のしくみ用語全時代

※1:レベルは「初」(初学者向け)、「上」(数学史の流れや有名数学者は理解している上級者向け)の2段階。
※2:難易度は扱っている数学(特に数式)の難易度を表す。「難」の本は、少なくとも数学ⅢCは履修していないと理解が難しい。

 それでは、1冊1冊解説していきます。

カッツ 数学の歴史

 数学史を本格的に学ぶ人は、持っておきたい1冊です。

『カッツ 数学の歴史』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
通史全時代上級者難しい
カッツ数学の歴史 正面
『カッツ 数学の歴史』

使用感:出来事も人物も古代から現代まで抜かりない

 大きくて、厚くて、重い。
 持ち運ぶには適さないサイズとなっています。

 しかし、その分情報量が豊富
 数学の発展に欠かせない出来事や人物が細かく解説されています。

 構成としては、時代ごとに章立てされており、その章の中で分野ごとに節立てされています。
 そのため、同時代の他地域や他人物の功績を比較しながら読んでいくことが可能です。

 数式や図、写真が随所に挿入されているため、読み進めるうえでの理解にもつながります。

 また、情報量が多い分、時代ごとの年表、用語別・著書別・人名別の索引、理解を促す練習問題まで掲載されているのが嬉しい点。(練習問題の解説が無いのが残念ですが‥‥)

 「数学史と言えばカッツ」というくらい有名なので、数学史を本格的に学ぶ人は是非手にしたい1冊です。

  1章「古代の数学」は、で試し読みできるので、是非ご覧ください!

書誌情報

『カッツ 数学の歴史』の書誌情報
書籍名カッツ 数学の歴史
著者等著:ヴィクター・J・カッツ
監訳:上野健爾・三浦伸夫
翻訳:中根美知代・高橋秀裕・林知宏・大谷卓史・佐藤賢一・東慎一郎・中澤聡
出版社共立出版
サイズB5・1024ページ・厚さ5.3cm・2.1kg
刷色白黒
値段  
初版発行日2005年6月30日
使用版初版第3刷(2009年6月15日発行)

 数学史を本格に学んでいるというステータスにもなる1冊!
 まずはサンプルページをご覧ください!

メルツバッハ&ボイヤー 数学の歴史Ⅰ・Ⅱ

 数学史を本格的に学びたいけど、カッツの情報量がきついという方はメルツバッハ&ボイヤーがおすすめ!

『メルツバッハ&ボイヤー 数学の歴史』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
通史Ⅰ:~17世紀前半
Ⅱ:17世紀後半~
上級者難しい
メルツバッハ&ボイヤー
『メルツバッハ&ボイヤー 数学の歴史』

使用感:カッツよりも手軽で、地域や人物単位でまとまっている

 カッツよりも小さい紙のサイズで、2冊構成となったことで持ち運びもしやすくなりました。
 お値段も2冊合わせて、カッツの6割ほど。

 内容としては、数学の起源からポアンカレ予想の解決(2003年)まで、全時代について扱っており、17世紀で1冊目と2冊目が区切れています。

 カッツが時代ごとの章立て、地域や分野ごとに節立てしていたのに対し、メルツバッハ&ボイヤーは地域や分野ごとに章立てをしています。

 特に、エウクレイデス、アルキメデス、アポロニオス、オイラー、ガウスの5人に関しては、それぞれ1章ずつ割かれており、著作を中心に各分野への貢献内容が細かく書かれています。

 このサイトでは、このメルツバッハ&ボイヤーを教科書としたうえで、他の本で補足を加えて数学史の記事を作成中。
 個人的にはカッツよりも読みやすいと思うので、この本を中心に数学史を学ぶことをおすすめします!

  1章「起源」から2章「古代エジプト」の途中まで、で試し読みできるので、是非ご覧ください!

書誌情報

 『メルツバッハ&ボイヤー 数学の歴史』は、ⅠとⅡの2冊構成となっています。

『メルツバッハ&ボイヤー 数学の歴史』の書誌情報
書籍名メルツバッハ&ボイヤー 数学の歴史
Ⅰ:数学の萌芽から17世紀前期まで
Ⅱ:17世紀後期から現代へ
著者等著:Uta C.Merzbach and Carl B.Boyer
監訳:三浦伸夫・三宅克哉
翻訳:久村典子
出版社朝倉書店
サイズⅠ:A5・484ページ・厚さ2.7cm・630g
Ⅱ:A5・372ページ・厚さ2.3cm・510g
刷色白黒
値段  
初版発行日ⅠⅡ:2018年4月10日
使用版ⅠⅡ:初版第1刷(2018年4月15日発行)

 外出先でもしっかりと数学史を学びたい方はカッツよりもメルツバッハ&ボイヤーがおすすめ!

数学の流れ30講上・中・下

 数学史の主な流れを掴みたい人におすすめです。
 特に、上巻と中巻で数学史の主要部分はつかめます。

『数学の流れ30講』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
通史上:~16世紀
中:17~19世紀
下:20世紀~
上:初学者
中:初学者
下:上級者
難しい
 『数学の流れ30講 上』
数学の流れ30講 中・下
『数学の流れ30講 中・下』

使用感:上巻・中巻で数学史の大まかな流れをマスターできる

 上巻だけを例に挙げると、16世紀までの内容を200ページで述べているため、情報量に乏しいという印象を受けました。

 カッツメルツバッハ&ボイヤーでは細かく語られていた紀元前のインドや中国に関する内容が、数行でまとめられている程度に留まっています。

 しかし、数学の「流れ」を掴む上では、インドや中国は本流ではありません。
 あくまで数学の流れを30講×3冊で掴むために記されているため、短時間で数学史の主な流れをたどることができます

 さらに、下巻は20世紀だけで構成されているため、大まかな流れを理解するという目的であれば、上巻と中巻の計60講で十分かと思います。

 で試し読みできるので、是非ご覧ください!

書誌情報

 『数学の流れ30講』は、上と中と下の3冊構成となっています。

『数学の流れ30講』の書誌情報
書籍名数学の流れ30講
上:16世紀まで
中:17世紀から19世紀まで
下:20世紀数学の広がり
著者等著:志賀浩二
出版社朝倉書店
サイズ上:A5・208ページ・厚さ1.3cm・300g
中:A5・240ページ・厚さ1.4cm・363g
下:A5・232ページ・厚さ1.4cm・358g
刷色白黒
値段  
初版発行日上:2007年2月20日
中:2007年9月5日
下:2009年9月25日
使用版上:初版第4刷(2014年10月25日発行)
中:初版第7刷(2019年8月25日発行)
下:初版第6刷(2019年7月25日発行)

 実際のところ、下巻は細分化された後の数学を取り扱っているため、大学3年生以上の非常に高度な知識がないと読むのが難しいです。
 ただ、上巻と中巻はコンパクトに数学史の流れを追えるのでオススメ!

数学の歴史物語

 数学史の一連の流れを知っている人が、数学以外の分野を含めた細かい知識を得たいときにおすすめです。

『数学の歴史物語』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
通史全時代上級者易しい
数学の歴史物語
『数学の歴史物語』

使用感:数学史をある程度知っていないと繋がらない

 数学史の一連の流れについて触れられています。

 ただ、扱われている話題が物理学や天文学などにまで広がっており、読んでいて流れが掴みづらいのが特徴です。

 逆を言えば、流れの関係上で他の数学史の本では触れられていないような細かい話題も登場するため、数学史を学んだことのある人にとっては興味深い発見がたくさんできる内容となっています。

 また、そういった話題が多い時代だからか、古代ギリシャにページの約3割を費やしています。

 「はじめに」から1章「最古の伝説的数学者」の途中まで、で試し読みできるので、是非ご覧ください!

書誌情報

『数学の歴史物語』の書誌情報
書籍名数学の歴史物語
著者等著:ジョニー・ボール
訳:水谷淳
出版社SB Creative
サイズ四六版(127mm×188mm)・520ページ・厚さ3.0cm・540g
刷色白黒
値段  
初版発行日2018年7月20日
使用版初版(2018年7月20日発行)

フィボナッチの兎

 数学史に関する読み物として楽しめます。

『フィボナッチの兎』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
通史全時代初心者易しい
『フィボナッチの兎』
『フィボナッチの兎』

使用感:時代を超えた話題が多い

  タイトルだけ見ると、数学者レオナルド・フィボナッチに焦点を当てた本のように思えますが、実際は数学的な面白い発見を断片的に紹介している本となっています。

 本書のまえがきには、以下のように書かれています。

 数学的発見はすべて、フィボナッチのウサギの数列のように、先行する何かの上に築かれ、さらに大きく育ったものだ。その成長はいまもつづいている。

『フィボナッチの兎』p9より

 フィボナッチは現在使われているアラビア数字($~1~,~2~,~3~,\cdots$)を、西欧に紹介した人物として知られています。

 彼の貢献があったからこそ、その後の数学者によるたくさんの数学的発見があり、そういった意味で数学が過去未来とつながっていると述べられています。

 本の書かれ方としても、1つの話題に対して、過去や未来とどう繋がっているのかが述べられているため、数学のつながりを感じながら興味深い話題を理解することができます。

 の画像では、見開きページの例を見ることができます。
 本書随所にちりばめられているシュールな絵も特徴的です!

書誌情報

『フィボナッチの兎』の書誌情報
書籍名フィボナッチの兎
著者等著:アダム・ハート・デイヴィス
訳:緑慎也
出版社創元社
サイズA5変型(152mm×210mm)・176ページ・厚さ1.5cm・368g
刷色カラー
値段  
初版発行日2020年10月10日
使用版初版第1刷(2020年10月10日発行)

 数学史のつながりを、面白い話題から体感しましょう!

高校数学史演習

 高校レベルの数学で理解できる範囲の数学史が詳しく解説されており、理系の高校生にもおすすめの一冊!

『高校数学史演習』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
通史~17世紀上級者難しい
高校数学史演習
高校数学史演習

使用感:高校生に手に取ってもらいたい一冊!

 バビロニアの数学に始まり、微積分を生んだニュートンとライプニッツまでの数学の歴史に沿って、数学の問題を解いていくスタイルの本。

 各章は 歴史→例題→練習問題 という流れで構成されており、その歴史が非常に細かい。

 練習問題も巻末に解答がついているので安心です。

 大学受験という制度が無ければ、この本を教科書に、数学の発展の歴史に沿った教え方をしたいと思える一冊でした。

 1999年に発売されたため、多少中身のフォント等に古めかしさを感じる部分があるかもしれませんが、そこはあまり気にしないように。

書誌情報

『高校数学史演習』の書誌情報
書籍名高校数学史演習
著者等安藤 洋美
出版社現代数学社
サイズB5・194ページ・厚さ1.2cm・462g
刷色白黒
値段  
初版発行日1999年12月10日
使用版初版第3刷(2022年5月15日発行)

 リアル書店だと1冊あるかないかの希少本なので、ネットからの注文を強くおすすめします。

数学の世界史

 数学史の大きな流れを、縦書きの文章かつわずかな数式で理解できます。
 数学史の概観をつかみたい人におすすめの1冊

『数学の世界史』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
通史全時代初心者易しい
数学の世界史
数学の世界史

使用感:数時間で数学史の大きな流れがつかめる

 紀元前の数学のはじまりから、現代までの数学を全15章、約350ページの縦書き文章で説明しています。

 数式が非常に少なく、数式を読み飛ばしても数学史自体は概ね理解できるため、数学が苦手な人でも安心して読み進めることができます。

 ページの構成を見ても、15章中8章までが紀元前までとなっており、数学が難化してくるルネサンス以降についても数学がヨーロッパを中心にどう発展してきたのかを理解できます。

 これから数学史の勉強を始めようと考えている人は、理系文系問わずこの本で大まかな流れを掴むことをおすすめします。

 1章「序論」は丸ごと、で試し読みできるので、是非ご覧ください!

書誌情報

『数学の世界史』の書誌情報
書籍名数学の世界史
著者等加藤 文元
出版社角川書店
サイズ約B6・372ページ・厚さ2.5cm・412g
刷色白黒(巻頭カラーあり)
値段  
初版発行日2024年2月28日
使用版初版(2024年2月28日発行)

 日本人にとって、縦書きは読みやすい!

数学の文化史

 数学史というよりは、応用数学の歴史といったような位置づけの本となっています。

『数学の文化史』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
通史全時代上級者易しい
数学の文化史
数学の文化史

使用感:文字量が多い本に慣れていないときつい

 数学史を基調に、その数学がどう科学に応用されてきたかが縦書きの文章で述べられています。

 天文分野、芸術分野、物理分野、地理分野など、各時代にどんな応用数学が発展してきたかがわかります。

 ただ、数式や図や局所的で、ほとんどが文字
 それも1ページの中に最大21行の文章が並んでいるため、なかなか読み切るにはきつい量です。

 内容も上記の通り応用数学であるため、数学の予備知識がある程度求められます。

書誌情報

『数学の文化史』の書誌情報
書籍名数学の文化史
著者等著:モリス・クライン
訳:中山 茂
出版社河出書房新社
サイズ約B6・488ページ・厚さ3.2cm・505g
刷色白黒
値段  
初版発行日2011年4月30日
使用版新装版初版(2023年6月30日発行)

 文字量さえ気にならなければ、数学がどう使われてきたかの情報をたくさん得ることができます!

モノグラフ 数学史

 中高で学ぶ数学を、数学史的な時系列に沿って並べた1冊。

『モノグラフ 数学史』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
通史全時代初心者難しい
モノグラフ数学史
モノグラフ数学史

使用感:中高で学んできた数学と数学史を関連付けられる

 エジプトにおける等比数列の和、タレスによる対頂角の証明、ピタゴラスによる三平方の定理、‥‥などのように、中学校や高校で登場する数学の内容を、数学史の流れの中でとらえ直すことができます。

 数学者の名前がたくさん挙げられているのも特徴で、中高で学んだ内容にどんな数学者が携わっていたのかがわかります。

 数学者については名前が登場する程度なので、気になった数学者は『世界数学者事典』などで調べてみると、より深みが増すでしょう。

書誌情報

『モノグラフ 数学史』の書誌情報
書籍名モノグラフ 数学史
著者等著:矢野 健太郎
増補:茂木 勇
出版社科学新興新社
サイズ約B6・159ページ・厚さ1.0cm・187g
刷色白黒
値段  
初版発行日1967年8月1日
使用版改訂版第20刷(2021年4月20日発行)

 巻末資料には登場する数学者たちの生きていた期間が年表で表されているため、誰と誰が同じ時代を生きていたかが一目でわかります。

数学史 数学5000年の歩み

 古代エジプトやバビロニアの数学に重点を置きつつ、数学史全体を見たい人におすすめ。

『数学史 数学5000年の歩み』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
通史全時代上級者難しい
数学史 数学5000年の歩み
数学史 数学5000年の歩み

使用感:古代エジプトやバビロニアに詳しい

 紀元前から現代までを網羅した数学史の本としては、非常に手軽。

 しかし、内容としては本文全263ページ中、古代までで139ページ使っていることもあり、中世以降を知るには物足りなさを感じます。

 その分、古代エジプト(22ページ分)やバビロニア(38ページ分)の内容が充実しており、特にバビロニアの粘土板が細かく解説されています。

 また、時代を縦断するコラムが豊富なので、数学史に関する興味が引き立つ1冊となるでしょう。

  §0「『数学』という学問」から§2「古代エジプトの数学」の途中まで、共立出版HPから試し読みできるので、是非ご覧ください!

書誌情報

『数学史 数学5000年の歩み』の書誌情報
書籍名数学史 数学5000年の歩み
著者等著:中村滋・室井和男
出版社共立出版
サイズ四六版・304ページ・厚さ1.8cm・320g
刷色白黒
値段  
初版発行日2014年11月23日
使用版初版第2刷(2015年1月25日発行)

巻末資料には登場する数学者たちの生きていた期間が年表で表されているため、誰と誰が同じ時代を生きていたかが一目でわかります。

数学物語

 数学の誕生からアルキメデス以前の数学史に重点を置きつつ、その後の発展の様子をざっと見たい人向け。

『数学史 数学5000年の歩み』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
通史全時代初心者易しい
数学物語
数学物語

使用感:理解しやすい功績のみが扱われている

 『数学史 数学5000年の歩み』と同様、紀元前に焦点が当たっている通史本になります。

 特徴的なのは、扱われている数学が理解しやすいものばかりであること。

 デカルトの章では座標が何かということを説明したり、オイラーの章では一筆書き問題だけを功績として挙げられたりしています。

 扱っている内容に偏りはあるものの、数学の楽しい部分やわかりやすい内容だけを時系列に沿って説明しているため、初心者にもおすすめの数学史本です。

 「数え方と10本の指」「エジプトの数字」は丸ごと、で試し読みできるので、是非ご覧ください!

書誌情報

『数学物語』の書誌情報
書籍名数学物語
著者等著:矢野健太郎
出版社角川ソフィア文庫
サイズ文庫版・220ページ・厚さ0.8cm・110g
刷色白黒
値段  
初版発行日1961年12月30日
使用版改版第19刷(2019年6月30日発行)

 各地域で使われていた数字についても詳しく説明されています!

世界数学者事典

  数学者を調べる際に持っておきたい1冊です。

『世界数学者事典』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
数学者全時代上級者易しい
世界数学者事典
『世界数学者事典』

使用感:859名収録で網羅性抜群

 数学者だけで700ページが埋まるという納得の網羅性。

 一番古くは紀元前6世紀頃のタレスから、現在において存命の数学者まで、古今東西あらゆる859名の数学者の情報が収められています。

 著作や功績だけでなく、生い立ちや有名な逸話まで掲載されているため、その数学者の人となりを知ることが可能です。

 活躍した場所、出生年と死亡年、名前の英語表記などの基本情報も最初にわかりやすく書かれているのも特徴の1つ。

 数学者を調べる際には是非持っておきたい1冊と言えるでしょう。

書誌情報

『世界数学辞典』の書誌情報
書籍名世界数学者事典
著者等著:ベルトラン・オーシュコルヌ、ダニエル・シュラットー
訳:熊原啓作
出版社日本評論社
サイズA5・704ページ・厚さ3.8cm・880g
刷色白黒
値段  
初版発行日2015年9月25日
使用版初版(2015年9月25日発行)

 この本に載っていない数学者はほとんどいません!

数学者図鑑

 数学史を語るうえで欠かせない約30人の数学者たちが、たくさんのイラストと共に解説されています。 

『数学者図鑑』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
数学者全時代初心者易しい
数学者図鑑
『数学者図鑑』

使用感:絵本のように読みやすい

 オールカラーで、図や絵であふれているため、数学好きでなくても楽しめる1冊となっています。

 内容としては、タレスからアラン・チューリングまで、古今東西の数学者の中でも著名人34名が紹介されています。

 そのため、一人あたりに割かれているページ数が多く、その数学者の功績だけでなく、有名なエピソードまで収録

 数学史を細かく学ぶ上では、掲載されていない数学者が多いように感じるかもしれません。
 しかし、数学者の有名どころをしっかり抑えているため、まずは読んで興味の幅を広げてみるのもよいでのはないでしょうか?

 オールカラーで相当なボリュームなのに、2000円以下というのも嬉しいポイントです。

 実際の本の雰囲気は試し読みできるので味わってみてください。
 目次から、扱われている数学者もわかります!

書誌情報

『数学者図鑑』の書誌情報
書籍名数学者図鑑
著者等著:本丸 諒
出版社かんき出版
サイズB5変型・192ページ・厚さ1.6cm・420g
刷色カラー
値段  
初版発行日2022年5月23日
使用版第2版(2022年7月6日発行)

 数学者の有名どころはこの本で抑えましょう!

数学を切りひらいた人々1~5

 特定の数学者の功績だけでなく、幼少期から晩年の様子まで、非常に細かく知りたい人向け。

『数学を切りひらいた人々』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
数学者1巻:~13世紀
2巻:14~18世紀
3巻:18~20世紀
4巻:20世紀
5巻:20~21世紀
上級者易しい
数学を切りひらいた人々1
数学を切りひらいた人々1
数学を切りひらいた人々2~
数学を切りひらいた人々2~

使用感:選ばれている数学者にクセはあるが非常に詳しい

 『数学者図鑑』と同様、有名な数学者をピックアップした本です。

 1冊あたり10人が解説されているため、数学のパイオニアたちが50人選ばれています。

 個人的には選ばれている数学者に疑問符が浮かぶところがちらほら。
 第1巻だけで13世紀までを詰め込んだ結果、紀元前に円錐曲線を研究したアポロニウスや代数学の父と呼ばれるディオファントス、ギリシャ幾何学をまとめたパッポスなどが扱われていないのに対し、第4巻と第5巻では1900年以降に活躍した数学者を20人も挙げています。

 ただ、1人あたり約15ページの情報量は伊達ではなく、世界最初の数学者であるタレスの父親や母親の名前まで載っているほどです。

 気になる数学者がいれば、その巻だけでも購入してみてはいかがでしょうか?

書誌情報

『数学を切りひらいた人々』の書誌情報
書籍名数学を切りひらいた人々
1巻:数学を生んだ父母たちー数論、幾何、代数の誕生ー
2巻:数学を育てた天才たちー確率、解析への展開ー
3巻:数学を拡げた先駆者たちー無限、集合、カオス理論の誕生ー
4巻:数学を現代化した予言者たちー数と論理からコンピュータへー
5巻:数学最前線をになう挑戦者たちー難問の解決、ゲーム理論の展開ー
著者等著:マイケル・J・ブラッドリー
訳:松浦俊輔
出版社青土社
サイズ1巻:B6・217ページ・厚さ2.0cm・334g
2巻:B6・229ページ・厚さ2.0cm・343g
3巻:B6・227ページ・厚さ2.0cm・346g
4巻:B6・224ページ・厚さ2.0cm・343g
5巻:B6・210ページ・厚さ1.9cm・329g
刷色白黒
値段  
初版発行日1巻:2009年6月17日
2巻:2009年4月15日
3巻:2009年4月15日
4巻:2009年5月7日
5巻:2009年5月7日
使用版1巻:初版第1刷(2009年6月17日発行)
2巻:初版第1刷(2009年4月15日発行)
3巻:初版第1刷(2009年4月15日発行)
4巻:初版第1刷(2009年5月7日発行)
5巻:初版第1刷(2009年5月7日発行)

 1~3巻で、ある程度有名どころの数学者たちの詳しい情報が手に入ります!

天才なのに変態で愛しい数学者たちについて

 有名な数学者の中で、何かしらクセが強いエピソードを持っている数学者が14人ピックアップされています。

『天才なのに変態で愛しい数学者たちについて』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
数学者全時代上級者易しい
天才なのに変態で愛しい数学者たち
天才なのに変態で愛しい数学者たち

使用感:数学者の功績も知りつつ、エンタメ性抜群!

 数々の天才数学者たちの中でも、変人エピソードを持つ数学者について紹介されています。

 その変人エピソードの概要は、表紙の滑稽なイラストに集約されており、どれも印象に残りやすい強烈なものとなっています。

 『数学者図鑑』などで登場する数学者たちの功績を知ったうえで読むと、数学者の新たな一面が垣間見えて面白いです。

 巻末にある監修者の千葉先生へのインタビューでは、昔も今も変わらない数学者の頭の中が見えてこれまた面白かったです!

 「ピタゴラス」については、で試し読みできるので、是非ご覧ください!
 また、目次から扱われている数学者たちもわかります。

書誌情報

『天才なのに変態で愛しい数学者たちについて』の書誌情報
書籍名天才なのに変態で愛しい数学者たちについて
著者等著:郷 和貴
監修:千葉 逸人
イラスト:和田 ラヂヲ
出版社KADOKAWA
サイズB6・256ページ・厚さ2cm・290g
刷色白黒
値段  
初版発行日2024年8月1日
使用版初版(2024年8月1日発行)

 個人的にはガロアの黒板消し投げ大会のイラスト推しです!

素顔の数学者たち

 約150人の数学者たちの、一般的にはあまり触れられていない一面に焦点を当てた本です。

『素顔の数学者たち』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
数学者全時代上級者易しい
素顔の数学者たち
素顔の数学者たち

使用感:他の本には載っていない数学者の一面を知れるけど‥

 古代ギリシャのタレスに始まり、20世紀のラマヌジャンまでよく知られている数学者たちの意外な一面を知ることができます

 例としては、牛に話しかけたピタゴラスやローマ教皇を批判したネイピア、数学を悪用したオイラーなど、他の本にはないようなエピソードも多数取り扱っています。

 この本に関して1つ不満点を挙げると、扱っている数学者約150人のうち、50人以上が日本人であること
 日本人数学者で数学史的に有名なのはそこまで多くないので、関孝和や吉田光由などはいいとしても、多くの数学者は自分ですら初めましてとなりました。

 また、1人につき1ページの紹介なので、その数学者の詳しい功績などは『世界数学者事典』などを参考にしたほうがよいでしょう。

 第1章「ギリシア・ローマの数学者」は丸ごと、で試し読みできるので、是非ご覧ください!
 目次からどんな数学者について載っているかもわかります。

書誌情報

『素顔の数学者たち』の書誌情報
書籍名素顔の数学者たち
数学史に隠れた152のエピソード
著者等著:片野 善一郎
出版社裳華房
サイズA5・200ページ・厚さ1.0cm・42g
刷色白黒
値段  
初版発行日2005年4月25日
使用版初版(2005年4月25日発行)

 数学者たちのエピソードを知るときにお世話になっています!

数学スキャンダル

 数学者の意外性ある側面を知ることができる全21話のエピソード集です。

『数学スキャンダル』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
数学者全時代上級者易しい
数学スキャンダル
数学スキャンダル

使用感:数学者の新たな一面を知れるけど‥‥

 『天才なのに変態で愛しい数学者たち』や『素顔の数学者たち』と同じで、数学者の意外な一面を知ることができます。

 各章は、当時の手紙や会話のやりとりから始まるため、タイトル時点でどんなスキャンダルが扱われているかをある程度把握していないと、よくわからないまま内容が進んでいってしまいます。

 かと言って、その手紙や会話のやりとりが詳しく解説されているわけではないため、いまいち全体として読みづらいなと感じてしまった一冊でした。

書誌情報

『数学スキャンダル』の書誌情報
書籍名数学スキャンダル
著者等著:テオニ・パパス
訳:熊原啓作
出版社日本評論社
サイズB6・184ページ・厚さ1.0cm・225g
刷色白黒
値段  
初版発行日2019年3月25日
使用版初版第1刷(2019年3月25日発行)

 題材のチョイスは面白いので、予備知識がある人なら新たな発見があるかも?

ギリシャ数学史

  古代ギリシャの数学に特化しており、情報の少ないこの時代のギリシャを深く知ることができます。

『ギリシャ数学史』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
時代特化~5世紀上級者難しい
ギリシャ数学史 表紙
ギリシャ数学史

使用感:古代ギリシャ数学を深く知りたいなら外せない!

 現存する資料が少ない古代ギリシャに約500ページも使っている点で、高い専門性が分かるかと思います。

 通史型の数学史本では、数行ないしは触れられもしないレベルのギリシャの出来事も、この本なら1ページ単位で紹介されています。

 当サイトも、ギリシャについて書く中で、この本に載っていなかったら情報収集をあきらめるという気概で使用しました。

 難点としては、数学書と同じような形式で書かれており、偉人たちの数学を理解するのが大変なこと。

 逆に言えば、古代ギリシャで考えられた数学が難易度関係なく載っているため、本気で古代ギリシャの数学史を調べたい人には必携の書籍となっています。

 目次を含む最初の約50ページや索引は試し読みができます。
 索引から、扱われている事項の多さにビックリするはずです!

書誌情報

『ギリシャ数学史』の書誌情報
書籍名ギリシャ数学史
著者等著:T・Lヒース
訳:平田 寛・菊池・大沼
出版社共立出版
サイズ四六判(縦188mm、横130mm)・492ページ・厚さ2.7cm・438g
刷色白黒
値段  
初版発行日1959年11月1日
使用版復刻版第4刷(2009年9月25日発行)

 古代ギリシャ数学ヲタクになれる一冊!

古代ギリシャの数理哲学への旅

  古代ギリシャの哲学観を学びたい人向けの一冊。

『古代ギリシャの数理哲学への旅』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
時代特化~紀元前3世紀上級者易しい
古代ギリシャの数理哲学への旅
古代ギリシャの数理哲学への旅

使用感:数学史を学ぶには適していない

 タレスピタゴラスのような代表的な数学者ではなく、ゼノンアリストテレスのような哲学者の思考を主に解説しています。

 様々な文献を文中で引用しているため専門的ではあると思うものの、一読者としては読みにくいと感じてしまいました。

 後半で登場する三大作図問題取りつくし法の説明はわかりやすかったです。

書誌情報

『古代ギリシャの数理哲学への旅』の書誌情報
書籍名古代ギリシャの数理哲学への旅
著者等著:河田 直樹
出版社現代数学社
サイズB6・235ページ・厚さ1.5cm・292g
刷色白黒
値段  
初版発行日2006年1月10日
使用版初版第1刷(2006年1月10日発行)

 アリストテレスの論理学について、詳しく解説されています!

ずかん 数字

  「数字」の歴史を知ることができる読みやすいカラー本です。

『ずかん 数字』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
分野特化~中世初心者易しい
ずかん 数字
『ずかん 数字』

使用感:端的な説明と絵によりわかりやすい

 「ずかん」というだけあって、オールカラーで見ていて楽しい中身となっています。

 数字だけに焦点を当てているため、古代エジプトやバビロニアなどの地域別の数字や、$~0~$や小数の発明についてなど、誰もが楽しめる題材となっています。

 説明文は短いながらも、当時の数字を理解するうえで必要な情報が含まれており、子どもだけでなく大人も学ぶことができます。

 誰もが知る数字を深く理解するために適した1冊。 

 の画像では、見開きページの例を見ることができます。
 本のわかりやすさを実感してみてください!

書誌情報

『ずかん 数字』の書誌情報
書籍名ずかん 数字
著者等監修:中村滋
出版社技術評論社
サイズB5・128ページ・厚さ1.0cm・508g
刷色カラー
値段  
初版発行日2019年6月5日
使用版初版第1刷(2019年6月5日発行)

 題材のチョイスは面白いので、予備知識がある人なら新たな発見があるかも?

π と e の話

 $~\pi~$と$~e~$がひたすら紹介されている一冊。

『πとeの話』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
分野特化全時代上級者難しい
πとeの話
πとeの話

使用感:端的な説明と絵によりわかりやすい

 紀元前から人々を虜にしてきた円周率$~\pi~$と、17世紀に登場し解析学では欠かせない存在となった自然対数の底$~e~$
 この2つの超越数にまつわる内容が合計約80ページ書かれています。

 主な構成としては、見開き1ページの中で、左ページに$~\pi~$や$~e~$の出てくる数式、右ページにその数式自体の解説や関係する数学者が紹介されています。
 数式の証明は巻末にまとめて載っているため、一度自分で証明してみるのも面白かと思います。

 また、$~\pi~$や$~e~$が登場しない級数も扱われており、無限の持つ奥深さを数式から感じることができるでしょう。

 余白が多くて見やすいのも特徴で、$~\pi~$と$~e~$が好きな人は眺めているだけでも楽しいかもしれません。

書誌情報

『πとeの話』の書誌情報
書籍名πとeの話
著者等著:YEO・エイドリアン
訳:久保儀明、蓮見亮
出版社青土社
サイズB6・277ページ・厚さ2.5cm・391g
刷色白黒
値段  
初版発行日2008年10月15日
使用版初版第5刷(2013年9月10日発行)

 $~\pi~$や$~e~$に関する古今東西の数式が集結しています!

代数学の歴史

 数学史の大家カッツによる、代数学に特化した数学史本。

『代数学の歴史』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
分野特化全時代上級者難しい
代数学の歴史
代数学の歴史

使用感:代数学の通史本の決定版

 数字の代わりに$~x~$や$~y~$のような文字を使って、式の性質などを研究する学問である代数学。

 古代文明に始まり、現在までに代数学がどのように発展ではしてきたかを時系列に沿って知ることができます。

 何しろ、筆者が『数学の歴史』のカッツななのもポイント。

 代数学以外の分野や数学者についての情報がほとんでど出てこないため、それほどまでに代数学に特化しています!

書誌情報

『代数学の歴史』の書誌情報
書籍名代数学の歴史
―古代から20世紀初頭まで,人はいかに未知数を手懐けてきたか―
著者等著:J. Katz , Karen Hunger Parshall
訳:佐藤勝造、佐藤文広
出版社共立出版
サイズB5・426ページ・厚さ3cm・935g
刷色白黒
値段  
初版発行日2023年7月31日
使用版初版第1刷(2023年7月31日発行)

 もともとのカッツの本よりは薄くなっていますが、それでも持ち運ぶにはちょっと重いです。

幾何学の偉大なものがたり

 古代から研究されてきた幾何学の魅力を解説する、オシャレな図形がもりだくさんの一冊。

『幾何学の偉大なものがたり』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
分野特化~4世紀上級者易しい
幾何学の偉大なものがたり
幾何学の偉大なものがたり

使用感:幾何学者の功績を多面的な観点から知ることができる

 古代エジプトの土地測量から始まった幾何学。

 本書は章ごとに解説されている国や数学者が異なっており、各地域や各数学者たちが幾何学をどう研究していたかがわかります。

 また、研究された幾何学がその後の世界で何に応用されているかが紹介されており、ただ幾何学の歴史を辿るだけではない楽しさがそこに潜んでいます。

 たくさんの写真やイラストにはデザイン性の高いものが多く、カラー印刷が存分に生かされたオシャレな一冊。

 ぜひで試し読みをしてみてください!

書誌情報

『幾何学の偉大なものがたり』の書誌情報
書籍名幾何学の偉大なものがたり
著者等著:ピエルジョルジョ・オーディフレッディ
訳:河合 成雄
出版社創元社
サイズA5・240ページ・厚さ2cm・439g
刷色カラー
値段  
初版発行日2021年5月10日
使用版初版第1刷(2021年5月10日発行)

 幾何学はオシャレで役に立つ!
 そう思える一冊です。

アキレスとカメ

 「アキレスはカメに追いつけない」という有名なパラドックスに特化した一冊。

『アキレスとカメ』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
有名問題紀元前5世紀頃上級者易しい
アキレスとカメ
アキレスとカメ

使用感:アキレスとカメのパラドックスを知りたければアリ?

 タイトルにもある通り、古代ギリシャの哲学者ゼノンの「アキレスと亀のパラドックス」をイラストを使って説明している本です。

 イラストが使われているので一般大衆受けしそうですが、アキレスと亀の前提条件を変えたり、そこから実数の稠密性の話が始まったりと専門的で深い考察が行われています。

 そのため、多くの人が楽しめる内容と、数学好きが知識を深められる内容が同居しているような一冊になっています。

書誌情報

『アキレスとカメ』の書誌情報
書籍名アキレスとカメ
著者等吉永 良正
出版社講談社
サイズ四六判(縦188mm、横130mm)・128ページ・厚さ1.5cm・261g
刷色カラー
値段  
初版発行日2008年7月1日
使用版初版第1刷(2008年7月1日発行)

 とにもかくにもアキレスとカメをはじめとするパラドックスについて、詳しく知ることができます!

ピタゴラスの定理100の証明法

 その名の通り、ピタゴラスの定理(三平方の定理)の証明が100種類紹介されている一冊です!

『ピタゴラスの定理100の証明法』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
有名問題全時代上級者難しい
ピタゴラスの定理100の証明法
ピタゴラスの定理100の証明法

使用感:数学史にも触れられているのが嬉しい

 100種類以上あると言われているピタゴラスの定理の証明を、まさに100種類解説しています。

 「面積を利用した証明」や「比例の関係を利用した証明」のように、証明指針ごとにある程度まとめられているのもわかりやすいポイントです。

 一部の証明方法については、どんな人物が行っているのかを解説しているため、ユークリッドの方法しか紹介されないことが多い数学通史本を補うことができます!

書誌情報

『ピタゴラスの定理100の証明法』の書誌情報
書籍名ピタゴラスの定理100の証明法
著者等森下 四郎
出版社プレアデス出版
サイズA5・196ページ・厚さ1cm・336g
刷色白黒
値段  
初版発行日2021年5月1日
使用版初版第1刷(2021年5月1日発行)

  アメリカの大統領や10代の少女も名を残しています!

ピタゴラスの定理

 ピタゴラスの定理(三平方の定理)を解説した名著です。

『ピタゴラスの定理』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
有名問題全時代上級者難しい
ピタゴラスの定理
ピタゴラスの定理

使用感:ピタゴラスの定理の歴史を知りたい人向け

 ピタゴラスの定理の歴史は、ピタゴラスの1000年以上前のバビロニアに始まります。

 その時代から現代に至るまで、ピタゴラスの定理がどのように研究され、人々を魅了してきたのかを流れで知ることができます。

 そのため、有名な証明方法はその背景と共に解説されていますが、たくさんの証明方法を知りたいという方は『ピタゴラスの定理100の証明法』をご覧ください。

書誌情報

『ピタゴラスの定理』の書誌情報
書籍名ピタゴラスの定理
4000年の歴史
著者等著:E・マオール
訳:伊理 由美
出版社岩波書店
サイズB6・353ページ・厚さ2.5cm・488g
刷色白黒
値段  
初版発行日2008年2月27日
使用版初版第3刷(2008年4月28日発行)

  新品はほぼ手に入らないので、中古での購入になります‥‥。

フェルマーの最終定理

 フェルマーの最終定理を解説した名著です。

『フェルマーの最終定理』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
有名問題17世紀~上級者易しい
フェルマーの最終定理
フェルマーの最終定理

使用感:フェルマーの最終定理の歴史を知るならコレ!

 ピエール・ド・フェルマーの死から5年、彼が持っていた数学書の隅に、次のようなメモが残っていました。

フェルマーのメモ

 $~n \ge 3~$のとき、$~x^n+Y^n=Z^n~$を満たす自然数$~X~,~Y~,~Z~$は存在しない。

 この命題について、真に驚くべき証明方法を私は発見した。だが、それを書くには、この余白は狭すぎる。

 このメモが公表されてから、数々の数学者たちが命題の証明に取り組みましたが、完全な証明が生まれるまで300年以上かかりました。

 数学者たちの知のリレーをノンフィクションで辿った数学史の読み物的な一冊です。

 で、序章を少し試し読みできます。

書誌情報

『フェルマーの最終定理』の書誌情報
書籍名フェルマーの最終定理
著者等著:サイモン・シン
訳:青木 薫
出版社新潮文庫
サイズ文庫版・495ページ・厚さ2.0cm・276g
刷色白黒
値段  
初版発行日1996年6月1日
使用版初版第24刷(2015年6月5日発行)

  アンドリュー・ワイルズが証明を完了させた瞬間は感動ものです!

哲学的な何か,あと数学とか

 タイトルに反し、実はフェルマーの最終定理の歴史物語です。

『哲学的な何か,あと数学とか』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
有名問題17世紀~初心者易しい
哲学的な何か,あと数学とか
哲学的な何か,あと数学とか

使用感:フェルマーの最終定理の歴史をライトに知るならコレ

 『フェルマーの最終定理』から難しい数式を排し、証明にいたるまでのドラマに脚色を加えた読みやすい一冊。

 ライトノベルを読んでいるような感覚で、フェルマーの最終定理が証明されるまでの約300年間を知ることができます。

 横文字で書かれており、行間が広いのも読みやすさのポイント。

 フェルマーの最終定理という有名問題を通して、数学史の面白さを感じられるため、数学史初心者に是非読んで欲しい本となっています!

 で試し読みができます!
 ライトノベル的な雰囲気を感じてみてください。

書誌情報

『哲学的な何か,あと数学とか』の書誌情報
書籍名哲学的な何か,あと数学とか
著者等飲茶
出版社二見文庫
サイズ文庫版・272ページ・厚さ1.5cm・155g
刷色白黒
値段  
初版発行日2018年2月28日
使用版再版(2020年8月13日発行)

 題名、著者名、ピンク色のカバーが特徴的です!

数と記号のふしぎ

 数字や数学記号について、それぞれの文字がなぜこのような形になっているのかを解決してくれる一冊。

『数と記号のふしぎ』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
記号全時代初心者易しい
数と記号のふしぎ
数と記号のふしぎ

使用感:記号の使い方を楽しく知れる

 『数学者図鑑』の本丸諒氏が、数字や数学記号の使い方を、たくさんのイラストとわかりやすい例えで説明しています。

 どのように数字や数学記号が出来上がったかという歴史を紹介しているものもあるため、数学史を勉強するうえでも使える1冊です。

 ただ、すべての記号についてその歴史が紹介されているわけではないため注意。

 数学記号の由来を知りたい場合には、まず『身近な数学の記号たち』がおすすめです。 

 「1対1対応」や「エジプトの数字」についてなど、で試し読みができます。
 目次から、扱われている用語や記号もわかります!

書誌情報

『数と記号のふしぎ』の書誌情報
書籍名数と記号のふしぎ
著者等本丸諒
出版社サイエンス・アイ新書
サイズB6・192ページ・厚さ1.0cm・177g
刷色カラー
値段  
初版発行日2019年11月25日
使用版初版第1刷(2019年11月25日発行)

 たくさんのカラーイラストが見やすいです!

身近な数学の記号たち

 約80個の数学記号の使い方とその由来が、シュールなイラスト共に紹介されている一冊。

『身近な数学の記号たち』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
記号全時代初心者易しい
身近な数学の記号たち
身近な数学の記号たち

使用感:数学記号の由来の入門書に最適

 ポップな表紙と裏腹に、数学記号一つひとつがどのようにしてできたのかが詳しく説明されています。

 見開き1ページで数学記号が1つ紹介されており、カッパや女の子による数学記号をイメージしたイラスト付き

 その数学記号の使い方も書いているので、初心者でも安心して楽しく読むことができます。

 文字量も少ないため、読みやすいのも嬉しいポイントです。

 で自然数を表す$~\mathbb{N}~$や整数を表す$~\mathbb{Z}~$などの歴史を試し読みできます。
 目次から、扱われている数学用語もわかります!

書誌情報

『身近な数学の記号たち』の書誌情報
書籍名身近な数学の記号たち
著者等岡部恒治、川村康文、長谷川愛美、本丸諒、松本悠
出版社オーム社
サイズA5・186ページ・厚さ1.0cm・285g
刷色白黒
値段  
初版発行日2012年8月25日
使用版初版第5刷(2014年11月20日発行)

 数学記号について知りたいと思ったら、まずはこの本から!

数学用語と記号ものがたり

 数学記号だけでなく、数学の用語の由来が解説されている一冊。

『数学用語と記号ものがたり』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
用語・記号全時代上級者易しい
数学用語と記号ものがたり
数学用語と記号ものがたり

使用感:数学用語の由来までわかる

 数学記号がなぜその形になったのかを解説した書は多くありますが、本書では数学用語の由来まで解説してくれています。

 奇数、偶数、関数などのよく使われる数学用語だけでなく、「数学」という言葉の語源まで触れられています。

 その分、細かい数学記号の由来については触れられていないものの、数学記号よりも数学用語の由来を知りたいという方は本書を買うことをおすすめします。

 でp25まで試し読みができます。
 目次から、扱われている数学用語もわかります!

書誌情報

『数学用語と記号ものがたり』の書誌情報
書籍名数学用語と記号ものがたり
著者等片野善一郎
出版社裳華房
サイズA5・188ページ・厚さ1.2cm・316g
刷色白黒
値段  
初版発行日2003年8月25日
使用版第6版第3刷(2014年2月10日発行)

 数学用語の由来を知りたい人におススメです!

納得する数学記号

 大学数学以上で出てくる数学記号をも紹介されている一冊。

『納得する数学記号』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
記号全時代初心者難しい
納得する数学記号
納得する数学記号

使用感:周辺知識付きで高度な数学記号の由来まで解説している

 基本的な数学記号だけでなく、大学数学以上で出てくる数学記号をも解説しているのが本書です。

 その記号の由来だけでなく、どのように使われているかや記号に関連する有名な数式なども掲載されているため、しっかり読み込もうとすると必然的に高度な数式を理解する必要が出てきます。

 より多様な数学記号について理解を深めたい方におすすめです。

 の目次から、扱われている数学記号がわかります!

書誌情報

『納得する数学記号』の書誌情報
書籍名納得する数学記号
著者等黒木哲徳
出版社講談社
サイズB6・256ページ・厚さ1.4cm・181g
刷色白黒
値段  
初版発行日2021年2月20日
使用版初版第2刷(2021年3月11日発行)

 ガンマ関数$~\Gamma(s)~$や核$~Ker{f}~$まで扱われています!

図解教養事典 数学

 数学にまつわる用語や数学者たちが、時系列に沿って1項目1ページで解説されている書。

『図解教養事典 数学』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
用語全時代上級者易しい
図解教養事典 数学
図解教養事典 数学

使用感:年表や年譜が数学史にも役立つ

 数学史におけるキーワードやキーマンが時系列に沿って、解説されています。

 「数える」や「タレス」などの紀元前から始まり、「データサイエンス」た「テレンス・タオ」などの現代まで、計160項目が1ページずつ載っています。

 数学史を勉強するうえで嬉しいのは、多くのページで年表が載っている点。

 数学者に関するページならその生涯が追えますし、数学用語であれば各時代にどのような発展を遂げたのかを理解できます

書誌情報

『図解教養事典 数学』の書誌情報
書籍名図解教養事典 数学
著者等著:ポール・パーソンズ、ゲイル・ディクソン
監訳:千葉逸人
訳:権田敦司
出版社NEWTON PRESS
サイズB5変形・176ページ・厚さ1.4cm・557g
刷色カラー
値段  
初版発行日2021年3月15日
使用版初版第1刷(2021年3月15日発行)

 各用語についての年表が見られるのが便利!

数学のしくみ

 数学の身近で楽しい話題が豊富な一冊。

『数学のしくみ』の特徴
ジャンル主な時代レベル難易度
用語全時代初心者易しい
数学のしくみ
数学のしくみ

使用感:数学史は断片的だが、イラストや図がいっぱいで楽しい

 数学の身近で楽しい話題を見開き1ページずつで紹介している、B6サイズのコンパクトな一冊。

 数学嗜好本のようにも思えますが、紹介されているネタに関連する数学者がたくさん登場しています

 その理由として、本書の監修が『数学の世界史』の著者・加藤文元氏であること。

 図やイラストで数学を楽しみながら、断片的に数学史に触れることができます。

 で8項目の試し読みができます。
 目次から、扱われている数学の話題もわかります!

書誌情報

『数学のしくみ』の書誌情報
書籍名数学のしくみ
著者等監修:加藤文元
出版社西東社
サイズB6・224ページ・厚さ1.5cm・252g
刷色カラー
値段  
初版発行日2020年8月10日
使用版第2版第1刷(2020年12月15日発行)

 微分積分などの難しい内容もわかりやすく解説されています

コメント

コメント一覧 (4件)

  • 紹介されていた数学者図鑑を買ってみようと思います。

    他にもおすすめの数学本があったら紹介してください。
    私のおすすめの書籍は「数の悪魔」という本です。機会がありましたら紹介お願いします。

    • 山田様

      コメントありがとうございます。
      『数の悪魔』も面白いですよね。
      今度、数学ネタ系のおすすめ本記事を書きたいと思っています。

       どのような数学本を求めているかにもよりますが、数学史の読み物としては、『哲学的な何か、あと数学とか(二見文庫)』がおすすめです。
       フェルマーの最終定理が証明されるまでの300年間の数学者たちのリレーが、ハラハラする文体でドラマティックに書かれています!

  • 吉田 洋一『零の発見 ― 数学の生い立ち (岩波新書 赤版 49) 』
    は入れておいたほうがいいと思います。

    • 島田正雄様

      コメントありがとうございます。
      『零の発見』は名著ですよね。
      参考文献として使い始めたら、書くことになると思います。
      インドまでお待ちくださいませ。

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