
数字はどのように表されていたのでしょうか?
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Ⅰ 甲骨文字の数字
紀元前の中国では、刀で線を切りつけて書く甲骨文字が使われていました。

骨や亀の甲羅に刻まれていて、絵や記号のような文字が多く作られました。
数字も存在していて、まず基本となる$~1~$から$~10~$までの数字を見てみましょう。
刀で描くため、シンプルな文字が多いです。
次に、$~10~$から$~19~$ですが、エジプトのヒエログリフのように、$~10~$と$~1~$~$~9~$を組み合わせることで表せます。
次に、$~20~,~30~,~40~$ですが、たし算の考え方で、$~10~$を表す縦棒を必要な数だけ書くことで新たな数字(合字)を生成します。
これに対して、$~50~$から$~90~$に関しては、かけ算の考え方で、$~10~$を表す縦棒と、$~5~$から$~9~$の数字を合わせて書くことで新たな数字を生成します。
また、$~100~$や$~1000~,~10000~$は新たな基本数字として、次のように与えられています。
以上により、$~99999~$以下の整数は、最大でも$~5~$文字の数字で表すことができます。
このたし算とかけ算の考え方で、新たな数字を作るという発想は、紀元前のインドの数字と同じです。
しかも、紀元前の中国では、これらの数字を用いて分数までも$~10~$進法で使っていたという記録もあります。
Ⅱ 漢数字へ
甲骨文字は、時と共に形が変わり、紀元前206年から紀元後220年まで続いた漢の時代には、現在の我々が使っている楷書となり、$~3~$世紀頃に日本にも伝わりました。
そこで、数字における甲骨文字から楷書(漢数字)への変遷を見てみましょう。
こうして見ると、甲骨文字の段階からすでに、今の漢数字に近い形をしていたことがわかります。
次回は計算方法について解説します。


漢字と数学のつながり、面白いよね。
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◇参考文献等
・ヴィクターJカッツ著,上野健爾・三浦信夫監訳,中根美知代・高橋秀裕・林知宏・大谷卓史・佐藤賢一・東慎一郎・中澤聡訳(2009)『カッツ 数学の歴史』,p.9,共立出版.
・中村滋・室井和男(2015)『数学史ーー数学5000年の歩み』,pp.135-137,共立出版.
・三浦伸夫・三宅克哉監訳,久村典子訳(2018)『メルツバッハ&ボイヤー 数学の歴史Ⅰー数学の萌芽から17世紀前期までー』,pp.193-194,朝倉書店.
・中村滋(2019)『ずかん 数字』,pp.70-74,技術評論社.
・ジョニー・ボール著,水谷淳訳(2018)『数学の歴史物語』,pp.167-171,SB Creative.
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