おもしろい級数①

 え!? この数列を無限に足していくとこんな数になるの!? という驚きと感動を呼ぶおもしろい級数を紹介します。
Ⅰ おもしろい級数①
Ⅱ 証明


目次

Ⅰ おもしろい級数①

 おもしろい級数シリーズ(interesting series series(笑))第1弾ということで、 $~1~$ に関する基本的な級数です。

おもしろい級数①

\begin{equation}
\displaystyle \frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\frac{1}{8}+\frac{1}{16}+\cdots\cdots =1
\end{equation}

  $~\displaystyle \frac{1}{2}~$ を先頭に、半分、半分、半分・・・と繰り返した数を無限に全部足すと $~1~$ になるというものです。
 
 ちなみに、第10項までの和は、次のように変化していきます。

$~n~$ $~n~$ 項目 $~n~$ 項目までの和
$1$ $~\displaystyle \frac{1}{2}~$ $~0.5~$
$2$ $~\displaystyle \frac{1}{4}~$ $~0.75~$
$3$ $~\displaystyle \frac{1}{8}~$ $~0.875~$
$4$ $~\displaystyle \frac{1}{16}~$ $~0.9375~$
$5$ $~\displaystyle \frac{1}{32}~$ $~0.96875~$
$6$ $~\displaystyle \frac{1}{64}~$ $~0.984375~$
$7$ $~\displaystyle \frac{1}{128}~$ $~0.9921875~$
$8$ $~\displaystyle \frac{1}{256}~$ $~0.99609375~$
$9$ $~\displaystyle \frac{1}{512}~$ $~0.998046875~$
$10$ $~\displaystyle \frac{1}{1024}~$ $~0.999023438~$

 グラフにすると、下の図のとおり。

 表やグラフからもわかる通り、第8項目あたりで $~1~$ に近い数値が出ています。


Ⅱ 証明

 では、この無限級数の和が $~1~$ に収束する理由を考えてみましょう。
 
 まずはオーソドックスな証明。数学Ⅲの知識を使います。

証明1

 数列 $~\displaystyle \left\{ \frac{1}{2},\frac{1}{2},\frac{1}{2},\frac{1}{2},\cdots \right\}~$ は、初項 $~a=\displaystyle \frac{1}{2}~$ 、公比 $~r=\displaystyle \frac{1}{2}~$ の無限等比級数である。
 
 公比 $~r~$ は、 $~|r| < 1~$ を満たすので、この級数は収束し、その和は、 \begin{align} \displaystyle \frac{a}{1-r}&=\frac{\frac{1}{2}}{1-\frac{1}{2}} \\ \\ &=\frac{\frac{1}{2}}{\frac{1}{2}} \\ \\ &=1 \end{align} と求まる。 $~\blacksquare~$

 公式を使うだけで簡単に証明ができました。
 
 ただ、小学生でも理解できる証明方法もあるんです!! ↓↓

証明2

 右辺の $~1~$ を次のように分解していく。
\begin{align}
\displaystyle 1&=\frac{1}{2}+\frac{1}{2} \\
\\
&=\frac{1}{2}+\left( \frac{1}{4}+\frac{1}{4} \right) \\
\\
&=\frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\left( \frac{1}{8}+\frac{1}{8} \right) \\
\\
&=\frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\frac{1}{8}+\left( \frac{1}{16}+\frac{1}{16} \right) \\
\\
&=\frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\frac{1}{8}+\frac{1}{16}+\cdots
\end{align}
 以上より、題意は示された。 $~\blacksquare~$

 各式の最終項を半分に分解することを無限に繰り返していくことで、求めたい級数が出来上がりました。
 難しい公式や言葉も使わないため、小学生でも理解できそうですね。
 
 さらに、これを視覚化したものが次の図です。
①  $~1 \times 1~$ の正方形を考えます。

② 正方形を半分に区切ります。
\begin{equation}
\displaystyle 1=\frac{1}{2}+\frac{1}{2}
\end{equation}

③  $~\displaystyle \frac{1}{2}~$ の長方形の1つを半分に区切ります。
\begin{equation}
\displaystyle 1=\frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\frac{1}{4}
\end{equation}

④  $~\displaystyle \frac{1}{4}~$ の正方形の1つを半分に区切ります。
\begin{equation}
\displaystyle 1=\frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\frac{1}{8}+\frac{1}{8}
\end{equation}

⑤  $~\displaystyle \frac{1}{8}~$ の長方形の1つを半分に区切ります。
\begin{equation}
\displaystyle 1=\frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\frac{1}{8}+\frac{1}{16}+\frac{1}{16}
\end{equation}

同様の作業を永遠に繰り返していきます。
\begin{equation}
\displaystyle 1=\frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\frac{1}{8}+\frac{1}{16}+\frac{1}{32}+\cdots
\end{equation}

 
 ということで、 $~\displaystyle \frac{1}{2^n}~$ のサイズの長方形や正方形によって、面積 $~1~$ の正方形が敷き詰められることがわかりました。


~おもしろい級数シリーズ~

[interestingseries]


 左辺から右辺を求めるだけでなく、右辺から左辺を求めたり、視覚的にも理解できたりと大変興味深い無限級数のお話でした。今後もおもしろい級数を見つけていきたいと思います。


 
 


◇参考文献等
・YEO・エイドリアン(2013)『πとeの話』,p.183,久保儀明・蓮見亮訳,青土社.

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