無理数の無理数乗

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無理数の無理数乗は必ずしも無理数にならないことを証明します。
①無理数の無理数乗


目次
  • 1. ①無理数の無理数乗

①無理数の無理数乗

 分数で表すことができない「無理数」。
中1で習う" \(~\pi~\) “や中3で習う" \(~\sqrt{2}~\) “をはじめ、数学Ⅱで習う " \(~\log_{10}{2}~\) “や数学Ⅲでは" \(~e~\) “等、不規則で永遠に続く数として多々登場します。そして、これらの四則演算の一例
 
\begin{align}
&\log_{10}{2}+\log_{10}{5}=\log_{10}{10}=1 \\
&\pi-\pi=0 \\
&\sqrt{2} \times \sqrt{2}=2 \\
& e \div e=1 \\
\end{align}
を見てみると、無理数どうしの四則演算は必ずしも無理数ではない(有理数になることがある)ことが言えます。
 
 では、無理数を無理数乗するとき、その値は必ず無理数になるのでしょうか。
結論から先に述べておきます↓

無理数の無理数乗

 無理数の無理数乗は必ずしも無理数にならない。

 この結論を背理法によって証明します。

証明

 無理数の無理数乗は無理数であると仮定する。
 
  \(~\sqrt{2}^{\sqrt{2}}~\) は、無理数の無理数乗のため、仮定より無理数となる。・・・①

 次に、 \(~\left( \sqrt{2}^{\sqrt{2}} \right)^{\sqrt{2}}~\) を考える。
\(~\left( \sqrt{2}^{\sqrt{2}} \right)~\) は、①より無理数である。

ということは、 \(~\left( \sqrt{2}^{\sqrt{2}} \right)^{\sqrt{2}}=(無理数)^{\sqrt{2}} ~\) の形で、無理数の無理数乗になるため、仮定より \(~\left( \sqrt{2}^{\sqrt{2}} \right)^{\sqrt{2}}~\) も無理数である。・・・②

 しかし、実際に計算をしてみると、
\begin{align}
\left( \sqrt{2}^{\sqrt{2}} \right)^{\sqrt{2}}
&=\left( \sqrt{2} \right)^{\sqrt{2} \times \sqrt{2}} \\
&=\left( \sqrt{2} \right)^{2} \\
&=2
\end{align}
となり、有理数となる。よって②と矛盾。
 
無理数の無理数乗が必ずしも無理数にならないことが示された。 \(~\blacksquare\)

ここまではよくある証明です。ただ、この命題は無理数の無理数乗が有理数になる例(反例)を1つ見つければ証明できるので、次のような証明でも良さそうです・・・。

証明

 無理数の無理数乗の例として、 \(~e^{\log_{e}{2}} \)を考えます。この値を \(~x~\) とすると、
\begin{align}
x&=e^{\log_{e}{2}} \\
\log_{e}{x}&=\log_{e}{e^{\log_{e}{2}}} \\
\log_{e}{x}&=\log_{e}{2} \\
x&=2
\end{align}
よって、 \(~e^{\log_{e}{2}}=2 \)となり、無理数の無理数乗が有理数になる例が示されたため、題意は示された。 \(~\blacksquare~\)

あえて計算で値を出しました。


1つ目の証明は、数学の持つ論理の力と計算の力が融合したような証明でした。2つ目のただ反例を挙げるものよりも、数学をしている感がありますね。

   
 
 


◇参考文献等