a < x < bの最大値と最小値
数Ⅰでひっかかりやすい最大値・最小値の話です。
Ⅰ \(~a < x < b~\) の最大値・最小値
Ⅰ \(~a < x < b~\) の最大値・最小値
まずは次の問題を見てみましょう。
\(~2 < x < 5~\) における実数 \(~x~\) の最大値と最小値をそれぞれ求めなさい。
実はこれ、高校生がよく間違える問題です。最大値は \(~5~\) 、最小値は \(~2~\) と答えてしまう生徒が非常に多いです。でも実際の答えは次の通り ↓↓
実数 \(~x~\) の最大値と最小値はそれぞれ存在しない。
実は不等号が \(~<~\) や \(~>~\) で定まっている範囲(開区間)における変数の最大値と最小値は存在しないのです。
少々不思議ですが、その理由を考えてみましょう。
最大値について考える。
\(~x~\) は5より小さいので、変域内の \(~x~\) で大きい数として4.9が挙げられる。
しかし、条件を満たす \(~x~\) の中でも、4.9よりも4.99のほうが大きい。
さらに、4.99よりも4.999のほうが大きい。
この議論が永遠と繰り返されるため、最大値は定まらない。よって、最大値は存在しない。 \(~\blacksquare~\)
厳密な証明ではないですが、背理法を習っていない段階においては、この方法しかないかなぁと思います。
もう1つは背理法を使った数学的な証明です。
最大値について考える。
\(~2 < x < 5~\) における実数 \(~x~\) の最大値が存在すると仮定し、その最大値を \(~m~\) とする。
ここで、 \(~m~\) と \(~5~\) の平均 \(~M~\) を考えると、
\begin{equation}
\displaystyle M=\frac{m+5}{2}
\end{equation}
であり、この \(~M~\) について、次の不等式が成り立つ。
\begin{equation}
2 < m < M < 5
\end{equation}
よって、 \(~M~\) も \(~2 < x < 5~\) を満たしているが、この範囲の最大値である \(~m~\) よりも大きいため矛盾。
以上より、 \(~2 < x < 5~\) における実数 \(~x~\) の最大値は存在しない。 \(~\blacksquare~\)
背理法を習った後であれば、この説明は効果的です。最小値も同様の方法で示せるので考えてみてください。
今まで授業中に最大・最小の話をするときは「感覚的な説明」で片付けていましたが、「数学的な説明」も今度はしてみようと思います。多分理解してくれるはず!!
◇参考文献等
ディスカッション
位相空間を扱う予定はないですか?
苦手な分野なので、ありません・・・。