約分や素因数分解のとき、「この分数、$~7~$で約分できたのか……」「$~\sqrt{}~$の中、もっと小さくできたじゃん!」のような悔しい思いをしたことはありませんか?
$~2~$の倍数、$~3~$の倍数、$~5~$の倍数の判定法は教科書にも載っていますし、多くの人が覚えています。
しかし、それよりも大きい素数である$~7~$や$~11~$の判定法は知らない人も多いのではないでしょうか?
実は作成しようと思えば、どんな大きい数の倍数判定法も作ることができます。
それらの判定法を、例や証明付きで現役数学教員が解説。
倍数判定法の一覧表やそれらの証明、倍数判定法の作り方までをていねいに説明します。
この記事を読むことで、$~11~$の倍数判定が秒でできるようになると共に、倍数判定法の仕組みがわかります。
倍数判定法の一覧
まずは、各倍数の見分け方を表で示します。
倍数 | 見分け方 |
---|---|
2の倍数 | 一の位が偶数である。 |
3の倍数 | 各ケタの和が3の倍数である。 |
4の倍数 | 下2ケタが4の倍数である。 |
5の倍数 | 一の位が0か5である。 |
6の倍数 | 一の位が偶数で、各ケタの和が3の倍数である。 |
7の倍数 | ・一の位から3ケタごとに区切り、それらを交互に加減した結果が7の倍数である。 ・(1の位を消した数)+(消した1の位の数を$~5~$倍した数)が7の倍数である。 |
8の倍数 | 下3ケタが8の倍数である。 |
9の倍数 | 各ケタの和が9の倍数である。 |
10の倍数 | 一の位が0である。 |
11の倍数 | ・奇数桁の数の和と偶数桁の数の和の差が11の倍数である。 ・(1の位を消した数)+(消した1の位の数を$~(-1)~$倍した数)が11の倍数である。 |
数学の問題を解くうえでは、$~2~,~3~,~5~,~11~$の倍数判定法は覚えておきましょう。
合成数に関しては、覚えておく必要はありません。
なぜなら、$~4~$の倍数かどうかを知りたければ、$~2~$の倍数判定を繰り返し適用すれば良いからです。
また、$~7~$の倍数に関しては、倍数判定法を使うよりは、実際に割ってみたほうが速いです。
これより先の章では、以下のことについて解説していきます。
- 以上の倍数判定法の使い方例
- 以上の倍数判定法の成立理由
2の倍数判定法
2の倍数判定法の例
最も知名度が高い2の倍数(偶数)の見分け方についてです。
自然数の一の位が偶数であれば、その自然数は2の倍数である。
これに関しては、知っている人がほとんどでしょう。
どんなに数が大きくても、一の位さえ見れば2の倍数かどうかがわかります。
- 32 の場合、一の位は2(偶数)であるため、32 は偶数。
- 50 の場合、一の位は5(偶数)であるため、50 は偶数。
- 2168 の場合、一の位は8(偶数)であるため、2168 は偶数。
- 183131 の場合、一の位は1(奇数)であるため、183131 は偶数ではない(奇数)。
2の倍数判定法の証明
証明も簡単です。
ここでは、5ケタの数について考えますが、何ケタだとしても同じように証明できます。
一万の位から$~a~,~b~,~c~,~d~,~e~$($~a~,~b~,~c~,~d~,~e~$は$~0~$~$~9~$の自然数)である5ケタの自然数$~N~$について証明する。
$~N~$は次のように表せる。
N=10000a+1000b+100c+10d+e
この式を変形すると、
N=2(5000a+500b+50c+5d)+e
となるため、$~e~$(一の位)が$~2~$の倍数であれば、$~N~$も$~2~$の倍数である。■
どの倍数判定法の証明も、基本的にはこのような因数分解を利用しています。
3の倍数判定法
3の倍数判定法の例
3の倍数については、覚えておかないと困る問題が多いです。
自然数の各桁の和が3の倍数であれば、その自然数は3の倍数である。
素因数分解等で、登場する数が奇数であれば、まずは$~3~$の倍数かどうかを疑うのは必須です。
- 18 の場合、各桁の和は、$~1+8=9~$で3の倍数であるため、18 は 3 の倍数。
- 678 の場合、各桁の和は、$~6+7+8=21~$で3の倍数であるため、678 は 3 の倍数。
- 9141 の場合、各桁の和は、$~9+1+4+1=15~$で3の倍数であるため、9141 は 3 の倍数。
- 183131 の場合、各桁の和は、$~1+8+3+1+3+1=17~$で3の倍数ではないため、183131 は 3 の倍数ではない。
普通に$~3~$で割るよりも、判定法を使ったほうが明らかに早く判別できます。
$~183131 \div 3~$を計算するのは、手間だもんね‥‥。
3の倍数判定法の証明
中Ⅰの文字式の利用分野で、証明問題としても登場します。
ここでは、5ケタの数について考えます。
一万の位から$~a~,~b~,~c~,~d~,~e~$($~a~,~b~,~c~,~d~,~e~$は$~0~$~$~9~$の自然数)である5ケタの自然数$~N~$について証明する。
$~N~$は次のように表せる。
N=10000a+1000b+100c+10d+e
この式を変形すると、
\begin{align*} N&=9999a+999b+99c+9d+a+b+c+d+e \\ &=3(3333a+333b+33c+3d)+a+b+c+d+e \end{align*}
となるため、$~a+b+c+d+e~$(各桁の和)が$~3~$の倍数であれば、$~N~$も$~3~$の倍数である。■
$~10000a~$を$~9999a+a~$に分けるという部分が難しいけど、倍数の証明ではよく使うテクニックだよ。
4の倍数判定法
4の倍数判定法の例
4の倍数については、そこまで有名ではないですし、覚えておかなくてもOKです。(理由は後述)
自然数の下2桁が4の倍数であれば、その自然数は4の倍数である。
どんなにケタ数が多くても、最後の2桁にさえ注目すればわかるというものです。
特定のケタだけに注目すればよいという点で、2 の倍数判定法と似ていますね。
- 124 の場合、下2桁は$~24~$で4の倍数であるため、124 は 4 の倍数。
- 8144 の場合、下2桁は$~44~$で4の倍数であるため、8144 は 4 の倍数。
- 32908 の場合、下2桁は$~8~$で4の倍数であるため、32908 は 4 の倍数。
- 37214 の場合、下2桁は$~14~$で4の倍数ではないため、37214 は 4 の倍数ではない。
この判定法のデメリットは、2桁の数を見たときに4の倍数かどうかを判断できないと、結局筆算することになる点です。
確かに$~66~$とか$~94~$など、一見すると4の倍数っぽいよね。
4の倍数判定法の証明
証明は3の倍数よりも簡単です。
ここでは、5ケタの数について考えます。
一万の位から$~a~,~b~,~c~,~d~,~e~$($~a~,~b~,~c~,~d~,~e~$は$~0~$~$~9~$の自然数)である5ケタの自然数$~N~$について証明する。
$~N~$は次のように表せる。
N=10000a+1000b+100c+10d+e
この式を変形すると、
N=4(2500a+250b+25c)+10d+e
となるため、$~10d+e~$(下2桁)が$~4~$の倍数であれば、$~N~$も$~4~$の倍数である。■
4の倍数判定法は不要
ここまで$~4~$の倍数判定法の具体例や証明を解説しましたが、問題を解く上では覚える必要ありません。
なぜなら、$~4~$で割れる数は$~2~$でも割れるからです。
すなわち、$~4~$の倍数かどうかを知りたければ、$~2~$で2回割れるかを考えれば事が足りるということ。
$~\div 2~$の計算を1回する必要こそありますが、$~4~$の倍数判定法を覚えるくらいなら、他の素数の判定法を覚えたほうが良いということになります。
同様に、$~6~$や$~8~$などの合成数の判定法は覚える必要ありません。ただ、知っていると数学ヲタクレベルが上がります。
5の倍数判定法
5の倍数判定法の例
5の倍数については、九九表を眺めていれば誰しもが気付けるはず。
自然数の一の位が5の倍数であれば、その自然数は5の倍数である。
これまでの判定法と同じ形式で書きましたが、要は一の位が$~5~$か$~0~$ということですね。
- 15 の場合、一の位は$~5~$であるため、15 は 5 の倍数。
- 4230 の場合、一の位は$~0~$であるため、4230 は 0 の倍数。
- 12345 の場合、一の位は$~5~$であるため、12345 は 5 の倍数。
- 505051 の場合、一の位は$~1~$であるため、505051 は 5 の倍数ではない。
九九を習っときから、気づいてた!!
5の倍数判定法の証明
証明についても簡単。十の位以上を、$~5~$でくくるだけです。
一万の位から$~a~,~b~,~c~,~d~,~e~$($~a~,~b~,~c~,~d~,~e~$は$~0~$~$~9~$の自然数)である5ケタの自然数$~N~$について証明する。
$~N~$は次のように表せる。
N=10000a+1000b+100c+10d+e
この式を変形すると、
N=5(2000a+200b+20c+2d)+e
となるため、$~e~$(一の位)が$~5~$の倍数であれば、$~N~$も$~5~$の倍数である。■
7の倍数判定法
6の倍数については、4の倍数判定法が不要であることと同様に、覚える必要はありません。
そのため、$~5~$の次の素数である$~7~$の倍数判定法について解説します。
$~7~$の倍数判定法としては2つあり、どちらも一長一短あります。
3桁ずつで区切る方法
まずは、計算が大変なものの手数が少ない方法から。
一の位から3桁ごとに区切り、それらを交互に加減した結果が7の倍数であれば、 その自然数は7の倍数である 。
3桁ずつ区切る方法の例
具体的にどのように計算していればよいかは、例を参考にしましょう。
・$~1234567890~$の場合
まず、3桁ごとに区切ると、$~1~,~234~,~567~,~890~$。
これらの数を交互に加減すると、
1-234+567-890=-556
$~-556~$は7の倍数ではないため、$~1234567890~$は$~7~$の倍数ではない。
・$~6097~$の場合
まず、3桁ごとに区切ると、$~6~,~97~$。
これらの数を交互に加減すると、
6-97=-91
$~-91~$は7の倍数であるため、$~6097~$は$~7~$の倍数。
・$~10455025~$の場合
まず、3桁ごとに区切ると、$~10~,~455~,~25~$。
これらの数を交互に加減すると、
10-455+25=-420
$~-420~$は7の倍数であるため、$~10455025~$は$~7~$の倍数。
この判定法は、計算回数こそ少ないものの、出てきた3桁の数が$~7~$の倍数かどうかがわからないと意味をなさない点が残念です。
せっかく判定法使っているのに、最後の最後で筆算はちょっとカッコ悪い‥‥。
3桁ずつ区切る方法の証明
3桁ごとに区切る理由は、$~1001~$によるものです。
十億の位から$~a~,~b~,~c~,~d~,~e~,~f~,~g~,~h~,~i~,~j~$ ($~a~,~b~,~c~,~d~,~e~,~f~,~g~,~h~,~i~,~j~$ は$~0~$~$~9~$の自然数)である10ケタの自然数$~N~$について証明する。
この自然数$~N~$を一の位から3ケタごとにグループ分けする。
このとき、
- $~A=100h+10i+j~$
- $~B=100e+10f+g~$
- $~C=100b+10c+d~$
- $~D=a~$
となり、この$~A~$~$~D~$を使って、$~N~$は以下のように表せる。
N=1000000000D+1000000C+1000B+A
この式を変形すると、
\begin{align*} N&=1000000001D+999999C+1001B-D+C-B+A \\ &=1001(999001D+999C+B)+(-D+C-B+A) \\ &= 7\cdot 143 \cdot (999001D+999C+B)+(-D+C-B+A) \\ \end{align*}
となるため、$~-D+C-B+A~$(3桁ずつに区切って交互に加減した結果)が$~7~$の倍数であれば、$~N~$も$~7~$の倍数である。■
11や13の倍数判定法も同様
上の証明において、$~1001~$を素因数分解すると
N=7\cdot 11 \cdot 13 \cdot (999001D+999C+B)+(-D+C-B+A) \\
となります。
ここからわかるのは、3桁ずつに区切って交互に加減した結果である$~-D+C-B+A~$が
- $~7~$の倍数なら、$~N~$は$~7~$の倍数。
- $~11~$の倍数なら、$~N~$は$~11~$の倍数。
- $~13~$の倍数なら、$~N~$は$~13~$の倍数。
の3つが言えるということです。
覚えづらいし、使いづらいけど、$~7~$と$~11~$と$~13~$の3つの素数に対応しているのはすごい!
1桁ずつ消していく方法
もう一つの方法は、1つ1つの計算は容易なものの手数が多い方法です。
(1の位を消した数)+(消した1の位の数を$~5~$倍した数)が7の倍数であれば、その自然数は7の倍数である。
?? 意味がよくわからない‥‥。
1桁ずつ消していく方法の例
説明だけだとわかりづらいですが、特定の作業をしながら1桁ずつ消していく方法です。
・$~238~$の場合
$~238~$の1の位を消した数は$~23~$。
消した1の位の数を$~5~$倍すると、$~8 \times 5=40~$。
よって、$~23+40=63~$は$~7~$の倍数であるため、$~238~$は$~7~$の倍数。
・$~849~$の場合
$~849~$の1の位を消した数は$~84~$。
消した1の位の数を$~5~$倍すると、$~9 \times 5=45~$。
よって、$~84+45=$$129~$が$~7~$の倍数かどうかを調べればよい。
$~129~$の1の位を消した数は$~12~$。
消した1の位の数を$~5~$倍すると、$~9 \times 5=45~$。
よって、$~12+45=57~$は$~7~$の倍数ではないため、$~129~$や$~849~$も$~7~$の倍数ではない。
・$~34125~$の場合
$~34125~$の1の位を消した数は$~3412~$。
消した1の位の数を$~5~$倍すると、$~5 \times 5=25~$。
よって、$~3412+25=$$3437~$が$~7~$の倍数かどうかを調べればよい。
$~3437~$の1の位を消した数は$~343~$。
消した1の位の数を$~5~$倍すると、$~7 \times 5=35~$。
よって、$~343+35=$$378~$が$~7~$の倍数かどうかを調べればよい。
$~378~$の1の位を消した数は$~37~$。
消した1の位の数を$~5~$倍すると、$~8 \times 5=40~$。
よって、$~37+40=77$は$~7~$の倍数であるため、$~378~$や$~3437~$や$~34125~$も$~7~$の倍数である。
このように、7の倍数だと判断できる数まで、同じ作業を繰り返して桁数を下げていくことが必要となります。
そのため、桁数が増えれば増えるほど手数が増えるので大変です。
1桁ずつ消していく方法の証明
3桁ごとに区切る理由は、$~1001~$によるものです。
百の位から$~a~,~b~,~c~$($~a~,~b~,~c~$は$~0~$~$~9~$の自然数)である3ケタの自然数$~N~$について証明する。
$~N~$は次のように表せる。
N=100a+10b+c
この式を変形すると、
\begin{align*} N&=100a+10b+50c-49c \\ &=10(10a+b+5c)-49c \\ &=10(10a+b+5c)-7 \cdot 7c \\ \end{align*}
となるため、$~10a+b+5c~$ ( (1の位を消した数)+(消した1の位の数を$~5~$倍した数) )が7の倍数であれば、$~N~$も7の倍数となる。
11の倍数判定法
11の倍数判定法の例
$~11~$の倍数判定法もいくつかあります。
ただ、$~7~$の倍数判定法と違って、計算が楽で手数も少ない方法があるので、それを覚えておきましょう。
一の位から1桁ごとに区切り、それらを交互に加減した結果が11の倍数であれば、 その自然数は11の倍数である 。
$~7~$の倍数判定法①と似ていますが、1桁ずつ区切るため、出てくる数は大抵2桁で収まります。
- 132 の場合、$~1-3+2=0~$で11の倍数であるため、132 は 11の倍数。
- 90728 の場合、$~9-0+7-2+8=22~$で11の倍数であるため、90728 は 11の倍数。
- 12345678 の場合、$~1-2+3-4+5-6+7-8=-4~$で11の倍数ではないため、12345678 は 11の倍数ではない。
これなら暗算でできる!
11の倍数判定法の証明
判定法としては簡単でしたが、証明自体は$~11~$の倍数を作り出すために工夫を凝らします。
一万の位から$~a~,~b~,~c~,~d~,~e~$($~a~,~b~,~c~,~d~,~e~$は$~0~$~$~9~$の自然数)である5ケタの自然数$~N~$について証明する。
$~N~$は次のように表せる。
N=10000a+1000b+100c+10d+e
この式を変形すると、
\begin{align*} N&=(9999a+a)+(1001b-b)+(99c+c)+(11d-d)+e \\ &=9999a+1001b+99c+11d+a-b+c-d+e \\ &=11(909a+91b+9c+d)+(a-b+c-d+e) \end{align*}
となるため、$~a-b+c-d+e~$( 1桁ずつに区切って交互に加減した結果 )が$~11~$の倍数であれば、$~N~$も$~11~$の倍数である。■
倍数判定法の作り方
倍数判定法の一般形
$~11~$の倍数は、$~7~$の倍数判定法②と同じように、一の位を消していく方法でも判定できます。
しかも$~11~$や$~7~$だけに限らず、$~2~$と$~5~$以外のすべての素数の倍数判定法が作れるのです。
結論として、次のことが言えます。
$~2~$や$~5~$と互いに素な自然数$~n~$の倍数判定法は、ある整数$~x~$を使って、次のような形で表される。
(1の位を消した数)+(消した1の位の数を$~x~$倍した数)が$~n~$の倍数であれば、その自然数は$~n~$の倍数である。
$~x~$の値は、判定したい倍数によって変わってくるため、求める必要があります。
倍数判定法の作り方の例(11の倍数判定法)
$~11~$の倍数判定法を実際に作ってみましょう。
$~11~$の倍数を調べるための$~x~$の値を求める。
3ケタの数$~N=100a+10b+c~$について考えると、
\begin{align*} N&=100a+10b+10xc-10xc+c \\ &=10(10a+b+xc)-(10x-1)c \\ \end{align*}
と変形できる。
ここで、$~(10x-1)~$が$~11~$の倍数となるような整数$~x~$を見つければよいので、それを満たす$~x~$は$~x=-1~$や$~x=10~$などがある。
よって、$~11~$の倍数判定法として、以下の2通りを与えることができる。
- (1の位を消した数)+(消した1の位の数を$~(-1)~$倍した数)が$~n~$の倍数であれば、その自然数は$~n~$の倍数である 。
- (1の位を消した数)+(消した1の位の数を$~10~$倍した数)が$~n~$の倍数であれば、その自然数は$~n~$の倍数である 。
$~x~$にあてはある整数は何でもよいですが、$~x~$が大きいほど処理を行うたびに数が大きくなってしまうので、判定法としては機能しません。
そのため、$~x~$の絶対値が小さいものをなるべく選びましょう。
- 132 の場合、
$~132~$の1の位を消した数は$~13~$。
消した1の位の数を$~(-1)~$倍すると、$~2 \times (-1)=-2~$。
よって、$~13-2=11~$は$~11~$の倍数であるため、$~132~$は$~11~$の倍数。
$~132~$の1の位を消した数は$~13~$。
消した1の位の数を$~10~$倍すると、$~2 \times 10=20~$。
よって、$~13+20=33~$は$~11~$の倍数であるため、$~132~$は$~11~$の倍数。
$~x=-1~$でも$~x=10~$でも倍数判定法が機能することが確かめられました。
作成した倍数判定法の一覧と例外
これにより、ほぼすべての素数の倍数判定法が作れます。
$~3~$の倍数判定法も作成することができますが、前述の方法を使ったほうが速いのは明らかでしょう。
この万能に思える倍数判定法の作成方法ですが、$~2~$や$~5~$と互いに素な自然数$~n~$についてのみ使えます。
なぜなら、$~2~$の倍数判定法を作るために求める$~x~$は、$~10x-1~$が$~n~$の倍数になるように設定するため、
10x-1=2\cdot(5x)-1
となり、どんな$~x~$を選んでも余り$-1~$が出てしまうからです。
ただ、$~2~$の倍数判定法や$~5~$の倍数判定法は、この方法を利用しなくても簡単に求まるので、大した影響ではないでしょう。
まとめ
以上、有名な倍数判定法から聞いたことがないような倍数判定法までを紹介・証明してきました。
有用性さえ問わなければ、どんな整数にも倍数判定法は存在するということが言えます。
ただ、覚える価値があるかどうかと言われると話は別です。
$~2~,~3~,~5~,~11~$の倍数判定法は使えるようにしておいたうえで、$~7~$の倍数かどうかは実際に割って確かめるということを意識しておけば、大抵の約分や素因数分解、$~\sqrt{}~$に関する問題は攻略できるので、この中で覚えていない物があった方はこれを機に覚えてしまいましょう。
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