浜村渚の計算ノート1-1(ぬり絵をやめさせる)
青柳碧人さんの『浜村渚の計算ノート』シリーズの読了記録です。
あらすじや感想だけでなく、話の中に出てきた数学的話題についても順次紹介していきます。
Ⅰ 本のデータ
Ⅱ あらすじ
Ⅲ 感想
Ⅳ 登場する数学的な話題
Ⅰ 本のデータ
タイトル | 浜村渚の計算ノート |
小タイトル | \(~\log{10}\). ぬり絵をやめさせる |
著者 | 青柳 碧人 |
出版社 | 講談社 |
発売日 | 2011年6月15日 |
価格(税抜) | 581円 |
ISBNコード | 9784062769815 |
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Ⅱ あらすじ
少年犯罪急増の理由を義務教育内容にあると発表された世の中、物事を数値化する数学は、他人を慈しむ人間性を否定し得るとして学校教育からほとんど姿を消してしまった。
そんな学習指導要領が施行されてから1年、インターネットのフリー動画サイト「Zeta Tube」に、日本を代表する数学者である高木源一郎ことドクター・ピタゴラスからテロ声明が出された。
彼はテロ組織「黒い三角定規」の主導者である。20年間学校現場で使われていた彼の数学ソフトには、予備催眠プログラムが仕込まれていたため、電話一本で誰もが組織の意のままに操られるようになるというものだった。
彼の声明から1か月後、長野県茅倉市でサラリーマンの絞殺死体が発見された。現場には黒い三角定規のカード。その後、長野県内各所で次々に殺人事件が起こっていった。
一方警察では、高木の数学ソフトを利用したことない人間で「黒い三角定規・特別対策本部」が結成されたものの、数学に無知な者の集まりであった。
そこに現れた女子中学生・浜村渚。中2で塾にも通っていないが、数学だけは得意であり、対策本部の大人たちをあっと言わせる能力を持っていた。
対策本部の若手の武藤、大山、瀬島と共に、長野県で起きた事件の謎を、渚は解き明かしていく・・・。
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Ⅲ 感想
記念すべき「浜村渚の計算ノート」シリーズ1作目の第1話!ではなくて、第 \(~\log{10}~\) 話!
ヒロインは千葉県の公立中学校に通う女子中学生・浜村渚。ショートカットの前髪に、とろんとした二重まぶた。眼鏡もかけておらず、世間の持つ理系女子のイメージとはかけ離れた容貌です。
武器は表紙にさくらんぼの絵が描かれた計算ノート。同じ数学好きとして、出会ってみたいタイプの女の子です。(Fukusukeは賢い人が好きです。)
かたや悪役は「黒い三角定規」というテロ組織。数学が排他的に扱われる政府の方針に抗議し、数学の地位を取り戻すために、破壊活動をしていくという、数学が好きすぎてどこか歪んでしまった存在。
数学嫌いな人にとっては最悪の存在に変わりないですが、数学好きにとっては複雑な存在です。
とある理由から「黒い三角定規・特別対策本部」に集められた若手の3人の武藤、大山、瀬島も、それぞれに個性があり、彼らのやり取りも楽しめます。
数学という教科は、系統的という教科の性質上、好き嫌いが分かれやすい教科ですが、この物語の中でも同様です。
純粋に数学が好きな渚、数学が好きすぎて考え方が過剰になってしまっているテロリスト集団、数学に関しては無知なものの渚と出会って、数学の良さや楽しさを少しずつ理解していく武藤たち。
数学に託つけた活動を繰り返していくテロリスト集団に、渚や武藤たちがどう対峙していくのかに注目の小説です。
さて、第 \(~\log{10}~\) 話は長野県の各地で殺人事件が起きていく話。
対策本部の操作では、犯罪が起こる場所はランダムと考えられていたものの、渚の登場によって一変します。ただ、犯罪が起こりうる場所を特定できたものの、犯罪は止まりません。
しかし、武藤たちとのやり取りの中で渚は解決方法を思いつき、警視庁の協力によって事件が解決します。
数学のルールで殺人事件を起こす「黒い三角定規」を、そのルールの下で解決に導き、数学が得意なテロリストですら渚に驚嘆するという、読んでいて非常に爽快な \(~\log{10}~\) 話目でした。
※ \(~\log~\) は常用対数(底は \(~10~\) )として扱われているのでご注意を(笑)
※登場する市町村は実在しません。
Ⅳ 登場する数学的な話題
この本の中で登場する数学的な話題を紹介しておきます。福助が興味を持った話題については、順次別ページで書き加えていきます。
また、本によってはネタバレにつながる話題もありますので、注意してクリックしてください。
このシリーズを読んで、数学小説の面白さを知りました!!ちなみに2015年12月4日に都内某所で行われたサイン会で青柳さん本人からサインをいただきました。ありがとうございました!!
※Fukusukeの本名にはモザイクをかけています。
◇参考文献等
・青柳碧人(2014)『浜村渚の計算ノート』,講談社.
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