浜村渚の計算ノート1-4(πレーツ・オブ・サガミワン)
青柳碧人さんの『浜村渚の計算ノート』1巻の読了記録です。
あらすじや感想だけでなく、話の中に出てきた数学的話題についても順次紹介していきます。
Ⅰ 本のデータ
Ⅱ あらすじ
Ⅲ 感想
Ⅳ 登場する数学的な話題
Ⅰ 本のデータ
タイトル | 浜村渚の計算ノート |
小タイトル | \(~\log{10000}\).\(~\pi\)レーツ・オブ・サガミワン |
著者 | 青柳 碧人 |
出版社 | 講談社 |
発売日 | 2011年6月15日 |
価格(税抜) | 581円 |
ISBNコード | 9784062769815 |
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Ⅱ あらすじ
神奈川県相模湾に浮かぶ小さな島・津殿島。
この島に近い海沿いの町を中心に、最近姿を消す人々が多くなっていた。また同時期にその周辺では、5ケタの数字が書かれたTシャツを着たコンビニ強盗が食料品だけを盗みをはたらいていた。
消えた人たちは津殿島にいると確信した地元警察からの情報では、島の高台のポールに「 \(~\pi~\) 」と書かれたドクロの海賊旗と、数学テロ組織・黒い三角定規のマークの旗が掲げられているという。
その報告を受けた黒い三角定規・特別対策本部の武藤たちは、浜村渚と円周率を10万桁覚えている鑑識課の上原ヤマトと共に現地へ向かった。
捜査会議の調査前、津殿署の近くのコンビニに向かった武藤、渚、ヤマトの3人は偶然にもコンビニ強盗に巻き込まれてしまう。
しかし、渚とヤマトの協力で、そのまま3人は津殿島への潜入に成功する。
島を指揮するキャプテン・ルドルフからの入団試験に合格した3人は海賊となり、捜査を始めたものの、武藤と渚は海賊に適さぬ行動をとったため牢屋に入れられてしまう。
その牢屋の中で彼らは「黒ひげ先生」と呼ばれる人物に出会い、反乱を狼煙を上げようとするも、武藤が警察の人間であることがルドルフにバレてしまい・・・・。
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Ⅲ 感想
まずはこの話のタイトルの「\(\pi\)レーツ・オブ・サガミワン」。ここから、「円周率」「海賊」「相模湾」というキーワードが読み取れますね。そして、まさにその通りの物語です。
この話で特徴的な人物をピックアップします。
まずは「上原ヤマト」。
警視庁鑑識課23班の新入りで、円周率を10万桁覚えています。さらにすごいのは、最初から「3.1415・・」と言えるだけではなく、任意のケタ数からも数字を言い始められることです。
「3500ケタ目から」
と言われれば
「267111369908658516398・・・・・・」
と答えます。
普通なら、「17番目のアルファベットは何?」と聞かれたとしても、瞬時には答えられません。クセのあるキャラですが、円周率のケタ数が話の核となる海賊島では大活躍します。
次に挙げたいのは「キャプテン・ルドルフ」。モチーフは円周率近似値導出に一生をかけたルドルフ・ファン・ケーレンというドイツの数学者です。
キャプテン・ルドルフは黒い三角定規の数学の国の建設を目標に掲げ、攫ってきた人々に数学を教えると共に軍事訓練を施し、黒い三角定規の勢力拡大に向け動いています。
彼の壮大な夢、横暴な性格などから海賊らしさが伝わってきます。
「海賊」と「円周率」という異色の組み合わせですが、それらが違和感なくつながって描写されています。例えば、海賊団の女性幹部に関してこんな文章があります。
「彼女は先ほどから、一本の針をつまみ上げては、テーブルの上に平行に引かれた数本の直線めがけて落とす、という退屈な作業を続けていた。」
普通に考えると、退屈しのぎに針で遊ぶという危ない人間を想起させる行動ですが、数学的に見ると確率的に円周率を求める「ビュッホンの針」という手法であるため、海賊と円周率がうまく融合した表現となっています。
キャプテン・ルドルフを頂点とした上下関係がはっきりしている海賊団の秩序が、そしてそれが渚の考え方によって崩れる瞬間は見もの。
渚とヤマトの活躍にご期待ください!!
Ⅳ 登場する数学的な話題
この本の中で登場する数学的な話題を紹介しておきます。Fukusukeが興味を持った話題については、順次別ページで書き加えていきます。
また、本によってはネタバレにつながる話題もありますので、注意してクリックしてください。
円周率、Fukusukeは語呂で覚えられるところ(30ケタ)までしか覚えていません。ただ、生徒たちには「円周率どのくらいまで言えます?」と毎年質問されるので、数学教員としてはもっと覚えないといけませんね(> <)
◇参考文献等
・青柳碧人(2014)『浜村渚の計算ノート』,講談社.
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