ナポレオンの定理

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ナポレオンの定理は、フランスの皇帝ナポレオンが自ら見つけた定理と言われています。
余弦・正弦定理や加法定理を使い、計算によって証明しました。
①ナポレオンの定理とは
②証明


目次
  • 1. ①ナポレオンの定理とは
  • 2. ②証明

①ナポレオンの定理とは

 18世紀末の革命後、フランスの皇帝になったナポレオンは数学好きで才能も優れていたと言われています。
そんなナポレオンが編み出した、普通ではあまり考えないような定理の中身を見てみましょう。

ナポレオンの定理

任意の△ABCに対し、各辺を1辺とした正三角形を外部に作る。
それらの正三角形の重心をそれぞれ結んでできる三角形は正三角形となる。

ピタゴラスの定理の証明で出てくる「花嫁の椅子」を想起させる図ですね。
各正三角形の重心を結ぶと、また正三角形が出てくるという面白さがあります。


②証明

では、証明で謎を解き明かしましょう。使うのは高1で出てきた正弦定理と余弦定理、そして、高2で習う加法定理です。

証明

\(~AB=c ,BC=a ,CA=b~\) とする。
下図のように、D,E,Fをとる。そして、CEとCFを結ぶ。

CEは下の正三角形における重心且つ外心なので、正弦定理より、
\begin{equation}
2CE=\displaystyle \frac{a}{\sin{60°}}
\end{equation}
これを変形することで、
\begin{align}
2CE&=\displaystyle \frac{a}{\frac{\sqrt{3}}{2}} \\
\\
2CE&=\displaystyle \frac{2a}{\sqrt{3}} \\
\\
CE&=\displaystyle \frac{a}{\sqrt{3}} \\
\end{align}
となる。
同様に、右上の正三角形でも正弦定理を使うことで、
\begin{equation}
CF=\displaystyle \frac{b}{\sqrt{3}}
\end{equation}
である。
 
ここで、E,Fがそれぞれの正三角形の重心且つ外心であることを使うと、∠BCE=∠ACF=30°。

△CEFで余弦定理を使うと、

\begin{align}
EF^2&=\displaystyle \left( \frac{a}{\sqrt{3}} \right)^2+ \left( \frac{b}{\sqrt{3}} \right)^2 – 2 \cdot \frac{a}{\sqrt{3}} \cdot \frac{b}{\sqrt{3}} \cdot \cos{(C+60°)} \\
\\
&=\frac{a^2}{3}+\frac{b^2}{3}-\frac{2ab}{3}(\cos{60°} \cos{C} -\sin{60°}\sin{C}) \\
\\
&=\frac{a^2}{3}+\frac{b^2}{3}-\frac{2ab}{3}(\frac{1}{2} \cos{C} -\frac{\sqrt{3}}{2} \sin{C}) ・・・(*)\\
\end{align}
が求まる。
 
△ABCの余弦定理の変形から、
\begin{equation}
\cos{C}=\displaystyle \frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}
\end{equation}
また、△ABCの正弦定理の変形から、
\begin{equation}
\sin{C}=\displaystyle \frac{c}{2R} (Rは△ABCの外接円の半径)
\end{equation}
より、これらを \(~(*)~\) に代入することにより、
\begin{align}
EF^2&=\displaystyle \frac{a^2}{3}+\frac{b^2}{3}-\frac{2ab}{3}\left(\frac{1}{2}\cdot \frac{a^2+b^2-c^2}{2ab} -\frac{\sqrt{3}}{2} \cdot \frac{c}{2R}\right) \\
\\
&=\frac{a^2}{3}+\frac{b^2}{3}-\frac{2ab}{3}\left(\frac{a^2+b^2-c^2}{4ab} -\frac{\sqrt{3}c}{4R} \right) \\
\\
&=\frac{a^2}{3}+\frac{b^2}{3}-\frac{1}{6}\left(a^2+b^2-c^2\right) -\frac{\sqrt{3}abc}{6R} \\
\\
&=\frac{a^2}{6}+\frac{b^2}{6}+\frac{c^2}{6} -\frac{\sqrt{3}abc}{6R} \\
\end{align}
が導出される。


\begin{align}
EF^2&=\displaystyle \left( \frac{a}{\sqrt{3}} \right)^2+ \left( \frac{b}{\sqrt{3}} \right)^2 \\
&- 2 \cdot \frac{a}{\sqrt{3}} \cdot \frac{b}{\sqrt{3}} \cdot \cos{(C+60°)} \\
\\
&=\frac{a^2}{3}+\frac{b^2}{3} \\
&-\frac{2ab}{3}(\cos{60°} \cos{C} -\sin{60°}\sin{C}) \\
\\
&=\frac{a^2}{3}+\frac{b^2}{3} \\
&-\frac{2ab}{3}(\frac{1}{2} \cos{C} -\frac{\sqrt{3}}{2} \sin{C}) ・・・(*)\\
\end{align}
が求まる。
 
△ABCの余弦定理の変形から、
\begin{equation}
\cos{C}=\displaystyle \frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}
\end{equation}
また、△ABCの正弦定理の変形から、
\begin{equation}
\sin{C}=\displaystyle \frac{c}{2R} (Rは△ABCの外接円の半径)
\end{equation}
より、これらを \(~(*)~\) に代入することにより、
\begin{align}
EF^2&=\displaystyle \frac{a^2}{3}+\frac{b^2}{3} \\
&-\frac{2ab}{3}\left(\frac{1}{2}\cdot \frac{a^2+b^2-c^2}{2ab} -\frac{\sqrt{3}}{2} \cdot \frac{c}{2R}\right) \\
\\
&=\frac{a^2}{3}+\frac{b^2}{3}\\
&-\frac{2ab}{3}\left(\frac{a^2+b^2-c^2}{4ab} -\frac{\sqrt{3}c}{4R} \right) \\
\\
&=\frac{a^2}{3}+\frac{b^2}{3} \\
&-\frac{1}{6}\left(a^2+b^2-c^2\right) -\frac{\sqrt{3}abc}{6R} \\
\\
&=\frac{a^2}{6}+\frac{b^2}{6}+\frac{c^2}{6} -\frac{\sqrt{3}abc}{6R} \\
\end{align}
が導出される。

 
△ADFについても、同様に計算することで、
\begin{equation}
DF^2=\displaystyle \frac{a^2}{6}+\frac{b^2}{6}+\frac{c^2}{6} -\frac{\sqrt{3}abc}{6R}
\end{equation}
また、△BDEについても
\begin{equation}
DE^2=\displaystyle \frac{a^2}{6}+\frac{b^2}{6}+\frac{c^2}{6} -\frac{\sqrt{3}abc}{6R}
\end{equation}
となるため、
\begin{equation}
DE^2=DF^2=EF^2 \\
\end{equation}
つまり、
\begin{equation}
DE=DF=EF \\
\end{equation}
であり、△DEFが正三角形であることが示された。 \(~\blacksquare\)

複雑な式計算ですが、使っているのは数Ⅰと数Ⅱの三角関数の有名な定理でした。


あのナポレオンが考えた定理というところが、すごいですよね。
彼は証明もしたのでしょうか・・・。気になります。

   
 
 


◇参考文献等
・青柳碧人(2015)『浜村渚の計算ノート 6さつめ パピルスよ、永遠に』,pp.152-155,講談社.
・「ナポレオンの定理」,<http://sintakenoko.la.coocan.jp/Cabri/CNapoleon1.html> 2017年12月31日アクセス