白銀比の紙の3等分の方法

数学雑学平面図形数学雑学

A4やB5の紙(縦横比が \(~1:\sqrt{2}~\) の白銀比)を三等分するための目印を簡単に作る方法を紹介します。そして、なぜそれが3等分になるのかを数学的に証明します。
①紙の三等分の目印
②三等分になる証明
③A4やB5の紙だけに使える理由


目次
  • 1. ①紙の三等分の目印
  • 2. ②三等分になる証明
  • 3. ③A4やB5の紙だけに使える理由

①紙の三等分の目印

 紙を半分に折ることで、紙の2等分は簡単にできます。
2等分したものをさらに半分に折ることで、4等分もできます。

 ただ、紙を3等分するとなると、定規を使ったりしない限り、簡単にはできません。
A4やB5等、縦と横の比が \(~1:\sqrt{2}~\) (白銀比)の紙限定ですが、次の方法で3等分することができます。

白銀比の紙の3等分の方法

(1) まず、半分に折り目を入れます。

(2) 図の2点を結んだ直線が折り目となるように折ります。

\begin{equation}

\end{equation}


(3) 折った先の紙の頂点が3等分の目印になります。

(4) あとは、目印を信じて折るだけ!!

(2)で少し折りにくいことを除けば、非常に簡単な方法です。
しかも、この方法で作った目印は横に3等分しているだけでなく、縦にも3等分しています。

では、なぜこの方法で紙が3等分になるのかを証明してみましょう。


②三等分になる証明

証明に必要な道具は三平方の定理と連立方程式です。

証明

このような白銀比の長方形で考える。

ここで、 \(~FE=x,FP=y~\) とする。

すると、他の辺の長さについても \(~x , y~\) で表すことができる。

さらに、紙を折り曲げているので、 \(~EP~\) や \(~PC~\) の長さもわかる。

 
ここで、△EFPと△PGCに三平方の定理を使うと、
\begin{equation}
\begin{cases}
\displaystyle x^2+y^2=\left(\frac{\sqrt{2}}{2} \right)^2 ・・・①\\
\displaystyle \left(\frac{\sqrt{2}}{2}+x \right)^2+(1-y)^2=1^2  ・・・②
\end{cases}
\end{equation}
①より、
\begin{equation}
\displaystyle x^2+y^2=\frac{1}{2} ・・・③
\end{equation}
②を変形していくと、
\begin{align}
\displaystyle \frac{1}{2}+\sqrt{2}x+x^2+1-2y+y^2&=1 \\
\\
\sqrt{2}x-2y+\frac{3}{2}+x^2+y^2&=1 \\
\end{align}
ここに③を代入すると、
\begin{align}
\displaystyle \sqrt{2}x-2y+\frac{3}{2}+\frac{1}{2}&=1 \\
\\
\displaystyle \sqrt{2}x-2y&=-1 \\
\\
\displaystyle 2y&=\sqrt{2}x+1 ・・・④\\
\end{align}
両辺2乗して、
\begin{equation}
4y^2=2x^2+2\sqrt{2}x+1 ・・・⑤
\end{equation}
が得られた。
 
③を両辺4倍した式に、⑤を代入することで、
\begin{align}
4x^2+4y^2&=2 \\
\\
4x^2+2x^2+2\sqrt{2}x+1&=2 \\
\\
6x^2+2\sqrt{2}x-1&=0 \\
\end{align}
となり、解の公式を使うと、
\begin{align}
\displaystyle x&=\frac{-2\sqrt{2} \pm \sqrt{8+24}}{12} \\
\\
&=\frac{-2\sqrt{2} \pm 4\sqrt{2}}{12} \\
\\
&=\frac{-\sqrt{2} \pm 2\sqrt{2}}{6} \\
\\
&=\frac{\sqrt{2}}{6} , -\frac{\sqrt{2}}{2} \\
\end{align}
\(~x~\) は長さなので、 \(~\displaystyle x=\frac{\sqrt{2}}{6}~\) がわかった。これを④に代入すると、
\begin{align}
\displaystyle 2y&=\sqrt{2}\cdot \frac{\sqrt{2}}{6}+1 \\
\\
2y&=\frac{4}{3} \\
\\
y&=\frac{2}{3}
\end{align}
 
よって、
\begin{align}
\displaystyle AF&=\frac{\sqrt{2}}{2}-\frac{\sqrt{2}}{6}=\frac{\sqrt{2}}{3}=\frac{1}{3}AD \\
\\
PG&=1-\frac{2}{3}=\frac{1}{3}=\frac{1}{3}AB \\
\end{align}
となるため、点Pは紙を縦にも横にも3等分していることが示された。 \(~\blacksquare\)


③A4やB5の紙だけに使える理由

この折り方で三等分できるのは、A4やB5のような白銀比(縦横比 \(~1:\sqrt{2}~\) )限定なのでしょうか。これについても考えてみました。

証明

縦の長さを \(~1~\) 、横の長さを \(~a~\) とした長方形で考える。

点Pが横の長さを3等分するため、 \(~AF=\displaystyle \frac{a}{3}~\) と表せる。また、 \(~FP=b~\) とする。

他の辺の長さについても、 \(~a,b~\) を用いて表せる。

さらに、紙を折り曲げているので、 \(~EP~\) や \(~PC~\) の長さもわかる。

 
ここで、△EFPと△PGCに三平方の定理を使うと、
\begin{equation}
\begin{cases}
\displaystyle \left( \frac{a}{6} \right)^2+b^2=\left( \frac{a}{2} \right)^2 ・・・①\\
\displaystyle (1-b)^2+ \left( \frac{2a}{3} \right)^2=1^2 ・・・②
\end{cases}
\end{equation}
①を変形していくと、
\begin{align}
\displaystyle \frac{a^2}{36}+b^2=\frac{a^2}{4} \\
\\
b^2&= \frac{8}{36}a^2 \\
\\
b&=\pm \frac{2\sqrt{2}}{6}a \\
\\
b&=\pm \frac{\sqrt{2}}{3}a \\
\end{align}
となり、 \(~a , b~\) 共に長さなので、 \(~a , b>0\)であるため、
\begin{equation}
b=\frac{\sqrt{2}}{3}a・・・③
\end{equation}
となる。
 
②に③を代入することで、
\begin{align}
\displaystyle \left( 1-\frac{\sqrt{2}}{3}a \right)^2+ \left( \frac{2a}{3} \right)^2&=1^2 \\
\\
1-\frac{2\sqrt{2}}{3}a+\frac{2}{9}a^2+\frac{4}{9}a^2&=1 \\
\\
9-6\sqrt{2}a+2a^2+4a^2&=9 \\
\\
6a^2-6\sqrt{2}a&=0 \\
\\
6a(a-\sqrt{2})&=0 \\
\\
a&=0,\sqrt{2} \\
\end{align}
よって、長方形の横の長さは \(~\sqrt{2}~\) と求められた。
 
以上より、この折り方で3等分できる長方形の条件は、縦横の比が \(~1:\sqrt{2}~\) の白銀比であることがわかった。 \(~\blacksquare\)


三平方の定理を適用して、ひたすら計算していくという方法でしたが、白銀比の紙が三等分する方法の必要十分条件が証明できました。今度は白銀比と黄金比の記事を書きたいですな。ちなみに自分は白銀比のほうが好きです。

   
 
 


◇参考文献等

数学雑学平面図形数学雑学

Posted by Fuku