完全数

6や28のように「自身を除く約数の和がその数と等しくなる」自然数を完全数と言います。その完全数の性質等を紹介します。
①完全数とは
②完全数とメルセンヌ素数
③完全数と奇数の立方和
④完全数の一の位は6か8
⑤完全数の未解決問題



目次

①完全数とは

まずは定義から。

完全数

その数自身を除く約数の和が、その数自身と等しい自然数のことを完全数という。

ちょっとわかりにくいですが、例を挙げると非常にわかりやすいです。↓↓

6・・・6の約数は 1 , 2 , 3 , 6 。
その数自身(6)を除く約数の和は 1+2+3=6。
よって、6は完全数である。
 
28・・・28の約数は 1 , 2 , 4 , 7 , 14 , 28 。
その数自身(28)を除く約数の和は1+2+4+7+14=28。
よって、28は完全数である。

逆に、8のようにその数自身を除く約数の和(7)が、元の数より小さくなる自然数を不足数
12のようにその数自身を除く約数の和(16)が、元の数より大きくなる自然数を過剰数といいます。
 
無限にある自然数の中から完全数を見つけるのは簡単そうに見えますが・・・。
完全数を小さい順に挙げていくと、以下の通りです。
6
28
496
8128
33550336
8589869056
・・・
最初の4つの完全数はピタゴラスが見つけました。
紀元前から研究が始まっていたということですね。


②完全数とメルセンヌ素数

完全数とメルセンヌ素数は密接に関わっています。メルセンヌ素数とは、次のような定義で表されます。

メルセンヌ素数

$~p~$ を素数とする。
$~M_p =2^p-1 ~$ が素数ならば、 $~M_{p}~$ をメルセンヌ素数という。

メルセンヌ素数の説明は、後日記事を書きます。
このメルセンヌ素数と完全数の間には次のような命題があります。

完全数とメルセンヌ素数の関係

\begin{equation}
n=M_{p}\cdot 2^{p-1} \Longleftrightarrow nは偶数の完全数
\end{equation}

少し確かめてみましょう。

$~p=2~$ のとき、 $~M_{2}=3~$ なので、3はメルセンヌ素数。
\begin{align}
M_{2} \cdot 2^{2-1} &=(2^2-1) \cdot 2 \\
&=3 \cdot 2 \\
&=6
\end{align}
6は偶数の完全数である。
 
$~p=3~$ のとき、 $~M_{3}=7~$ なので、7はメルセンヌ素数。
\begin{align}
M_{3} \cdot 2^{3-1} &=(2^3-1) \cdot 4 \\
&=7 \cdot 4 \\
&=28
\end{align}
28は偶数の完全数である。

確かに、メルセンヌ素数から完全数が求められています。
では証明です。

証明

まず、「 $~ n=M_{p}\cdot 2^{p-1} \Longrightarrow nは偶数の完全数~$ 」を証明する。

$~n=M_{p}\cdot 2^{p-1}=(2^p-1)2^{p-1}~$ で、 $~n~$ の約数の総和から、 $~n~$ (その数自身)を引いた式を考えると、 $~2^p-1~$ が素数(メルセンヌ素数)であることから、
\begin{align}
&(1+2^p-1)(1+2+2^2+\cdots+2^{p-1})-n \\
=&2^p(2^p-1)-n  \\
& (左辺の右側は初項1、公比2の等比数列) \\
=&2\{2^{p-1}(2^p-1)\}-n \\
=&2n-n \\
=&n
\end{align}
$~n~$ 自身を除く約数の総和がその数自身と等しくなったため、 $~n~$ は完全数である。 $~\blacksquare$


次に「 $~ n=M_{p}\cdot 2^{p-1} \Longleftarrow nは偶数の完全数~$ 」を証明する。

偶数の完全数 $~n~$ が2で$~ (m-1) $回割れるものとする。 $~(m \ge 2)~$
すなわち、
\begin{equation}
n=2^{m-1} \cdot x (xは奇数)・・・①
\end{equation}
この約数の和は、 $~x~$ の約数の和を $~S_{x}~$ として、
\begin{align}
&(1+2+2^2+\cdots+2^{m-1})S_{x} \\
=&(2^m-1)S_{x} \\
& (初項1、公比2の等比数列の和)\\
\end{align}
$~n~$ が完全数であることから、
\begin{equation}
n=(2^m-1)S_{x} -n
\end{equation}
、つまり、
\begin{equation}
2n=(2^m-1)S_{x}
\end{equation}
ここに $~n~$ を代入すると、
\begin{align}
2\cdot 2^{m-1} \cdot x&=(2^m-1)S_{x} \\
2^m \cdot x &=(2^m-1)S_{x} \\
\\
S_{x}&=\displaystyle \frac{2^m \cdot x}{2^m-1} \\
\\
S_{x}&=\displaystyle \frac{2^m \cdot x-x+x}{2^m-1} \\
\\
S_{x}&=\displaystyle \frac{(2^m -1)x+x}{2^m-1} \\
\\
S_{x}&=\displaystyle x+\frac{x}{2^m-1} ・・・・②\\
\end{align}
ここで、 $~S_{x} , x~$ は共に整数なので、 $~\displaystyle \frac{x}{2^m-1}~$ も整数。
よって、 $~ x , \displaystyle \frac{x}{2^m-1}~$ はどちらも $~x~$ の約数であり、
$~m\ge 2 $から$~ 2^m-1 \ge 3~$ となるので、 $~x>\displaystyle \frac{x}{2^m-1}~$ 。

②より、 $~S_{x}~$ が $~x~$ の異なる2つの約数の和で表されているため、 $~x~$ は素数となり、
\begin{align}
\displaystyle \frac{x}{2^m-1}&=1 \\
x&=2^m-1 \\
\end{align}
これを、①に代入して、
\begin{equation}
n=2^{m-1}(2^m-1)=M_{m}\cdot 2^{m-1}
\end{equation}
となる。これはメルセンヌ素数の形である。 $~\blacksquare$

この定理により、メルセンヌ素数と偶数の完全数の関係性が1対1対応していることがわかるため、メルセンヌ素数を見つければ偶数の完全数も見つかるということになります。
 
ちなみにこの証明、前半部分はユークリッドが、後半部分はオイラーが考え出したものです。


③完全数と奇数の立方和

完全数と奇数の立方和

6以外の偶数の完全数は、1から連続する奇数の立方和で表すことができる。

\begin{align}
・1^3+3^3&=1+27 \\
&=28 (完全数)
\end{align}
\begin{align}
・1^3+3^3+5^3+7^3&=1+27+125+343 &\\
&=496 (完全数)
\end{align}


\begin{align}
・&1^3+3^3+5^3+7^3+9^3+11^3+13^3+15^3 \\
&=1+27+125+343+729+1331+2197+3375 \\
&=8128 (完全数)
\end{align}


\begin{align}
・&1^3+3^3+5^3+7^3+9^3+11^3  \\
&+13^3+15^3 \\
\\
&=1+27+125+343+729+1331 \\
&+2197+3375 \\
\\
&=8128 (完全数)
\end{align}

これ以上は面倒なので確かめませんが・・・。神秘的ですね!
②で証明したことを使えば、単純な計算で証明することができます。

証明

奇数の立方和を考えていくと、

\begin{align}
&1^3+3^3+5^3+\cdots+(2n-1)^3 \\
&=\displaystyle \sum_{k=1}^{n} (2k-1)^3 \\
&=\displaystyle \sum_{k=1}^{n} (8k^3-12k^2+6k-1) \\
\\
&=\displaystyle 8\left\{ \frac{n(n+1)}{2} \right\}^2-12\frac{n(n+1)(2n+1)}{6} \\
&+6\frac{n(n+1)}{2}-n \\
\\
&=2n^2(n+1)^2-2n(n+1)(2n+1) \\
&+3n(n+1)-n \\
\\
&=n\{ 2n(n+1)^2-2(n+1)(2n+1) \\
&+3(n+1)-1\} \\
\\
&=n\{ 2n(n^2+2n+1)-2(2n^2+3n+1) \\
&+3n+3-1 \} \\
\\
&=n\{ 2n^3+4n^2+2n-4n^2-6n-2 \\
&+3n+3-1 \} \\
\\
&=n\{ 2n^3-n \} \\
&=n^2\{ 2n^2-1 \} \\
\end{align}


\begin{align}
&1^3+3^3+5^3+\cdots+(2n-1)^3 \\
&=\displaystyle \sum_{k=1}^{n} (2k-1)^3 \\
&=\displaystyle \sum_{k=1}^{n} (8k^3-12k^2+6k-1) \\
\\
&=\displaystyle 8\left\{ \frac{n(n+1)}{2} \right\}^2-12\frac{n(n+1)(2n+1)}{6}+6\frac{n(n+1)}{2}-n \\
\\
&=2n^2(n+1)^2-2n(n+1)(2n+1)+3n(n+1)-n \\
&=n\{ 2n(n+1)^2-2(n+1)(2n+1)+3(n+1)-1\} \\
&=n\{ 2n^(n^2+2n+1)-2(2n^2+3n+1)+3n+3-1 \} \\
&=n\{ 2n^3+4n^2+2n-4n^2-6n-2+3n+3-1 \} \\
&=n\{ 2n^3-n \} \\
&=n^2\{ 2n^2-1 \} \\
\end{align}

ここで、 $~n^2=2^{p-1}~$ とすると、
\begin{align}
&=2^{p-1}(2\cdot 2^{p-1}-1) \\
&=2^{p-1}(2^p-1) \\
&=2^{p-1}\cdot M_{p}
\end{align}
となり、②の定理より、これは偶数の完全数を表す。 $~\blacksquare $

これまた偶数の完全数の性質が証明されました。


④完全数の一の位は6か8

$~ 6, 28,496,8128,33550336 ,\cdots$
完全数を小さい順に見ていくと、一の位は6か8であるように見えます。最後にこのことを証明しておきます。

偶数の完全数の一の位

偶数の完全数の一の位の数は6か8である。

証明

②の定理より、偶数の完全数は $~M_{p} \cdot 2^{p-1}=(2^p-1)\cdot 2^{P-1} $で表される。ここで、 $~p~$ は素数であることから、以下のように場合分けをする。
 
(ⅰ) $~p=2~$ のとき、
\begin{align}
(2^2-1)\cdot 2^1&=3\cdot 2 \\
&=6
\end{align}
となり、一の位は6である。
 
(ⅱ) $~p=4m+1 ( m \in \mathbb{N}) ~$ で表されるとき、

\begin{align}
(2^{4m+1}-1)\cdot 2^{4m+1-1}&=(2^{4m+1}-1)\cdot 2^{4m} \\
&=(16^m \cdot 2-1)\cdot 16^m \\
&\equiv (6 \cdot 2-1)\cdot 6 (mod 10) \\
&= 66 \\
&\equiv 6 (mod 10) \\
\end{align}
となり、10で割ると余りが6となるため、一の位は6となる。
 
(ⅲ) $~p=4m+3 ( m \in \mathbb{N}) ~$ で表されるとき、
\begin{align}
(2^{4m+3}-1)\cdot 2^{4m+3-1}&=(2^{4m+3}-1)\cdot 2^{4m+2} \\
&=(16^m \cdot 8-1)\cdot 16^m \cdot 4 \\
&\equiv (6 \cdot 8-1)\cdot 6 \cdot 4 (mod 10) \\
&= 47 \cdot 24 \\
&\equiv 7 \cdot 4 (mod 10) \\
&= 28 \\
&\equiv 8 (mod 10) \\
\end{align}


\begin{align}
&(2^{4m+1}-1)\cdot 2^{4m+1-1} \\
&=(2^{4m+1}-1)\cdot 2^{4m} \\
&=(16^m \cdot 2-1)\cdot 16^m \\
&\equiv (6 \cdot 2-1)\cdot 6 (mod 10) \\
&= 66 \\
&\equiv 6 (mod 10) \\
\end{align}
となり、10で割ると余りが6となるため、一の位は6となる。
 
(ⅲ) $~p=4m+3 ( m \in \mathbb{N}) ~$ で表されるとき、
\begin{align}
&(2^{4m+3}-1)\cdot 2^{4m+3-1} \\
&=(2^{4m+3}-1)\cdot 2^{4m+2} \\
&=(16^m \cdot 8-1)\cdot 16^m \cdot 4 \\
&\equiv (6 \cdot 8-1)\cdot 6 \cdot 4 (mod 10) \\
&= 47 \cdot 24 \\
&\equiv 7 \cdot 4 (mod 10) \\
&= 28 \\
&\equiv 8 (mod 10) \\
\end{align}

となり、10で割ると余りが8となるため、一の位は8となる。
 
(ⅰ)~(ⅲ)より題意は示された。 $~\blacksquare$

ということで、これまで「偶数の」という条件付きで完全数の性質について証明してきました。
それを踏まえたうえで最後の章を見ていきましょう。


⑤完全数の未解決問題

完全数の未解決問題

・奇数の完全数は存在するか?
・完全数は無限に存在するか?

有名なものとして、以上の2つの未解決問題があります。 
これだけコンピュータが発達しても奇数の完全数は見つかっておらず、存在しないことの証明もされていません。
もし、これが証明されれば、これまでに紹介したの3つの定理は全て、「偶数の」という条件が無くなります。
 
また、偶数の完全数についても、メルセンヌ素数が無限に存在するかどうかが明らかになっていないため、完全数も無限に存在するかどうかはわかりません。


メルセンヌ素数と完全数がつながっていることに一番の驚きを感じました。しかも、それを証明したのが時代が全く違うユークリッドとオイラーというところにもロマンを感じます。

   
 
 


よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次
閉じる