三平方の定理の証明④(方べきの定理の利用1)

 三平方の定理は、何百もの証明方法があるといわれています。
 この記事では、方べきの定理を利用した最も簡単な証明方法を解説します。

この記事を読んでわかること
  • 方べきの定理の概要とその歴史
  • 方べきの定理を利用した三平方の定理の証明方法
目次

Ⅰ 方べきの定理と『原論』

 方べきの定理は数学Aで学ぶ、円と2本の直線に関する性質で、3パターン存在します。
 今回の三平方の定理の証明では、その中でも最も基本的な、円の内部で2直線が交わるパターンを利用します。

方べきの定理1

 円の内部の点$~P~$を通る2本の弦$~AB~$と弦$~CD~$に関して、次の等式が成り立つ。

PA \cdot PB= PC \cdot PD
方べきの定理1
<図1> 方べきの定理1

 証明は$~\triangle APC$∽$\triangle DPC~$を使います。

 方べきの定理は紀元前から存在していました。
 ユークリッドの『原論』の第3巻の命題35には、以下のように述べられています。

『原論』第3巻命題35

 円の内部の点$~P~$を通る弦がその円と交わる点を$~A~$と$~B~$とするとき、積$~PA\times PB~$は一定である——$~P~$を通るあらゆる弦に対して同じ値をとる。

 『原論』から2000年以上経った1927年、三平方の定理の証明を371個集めた『ピタゴラスの命題』が出版されました。

 その中に、方べきの定理を利用した証明方法が載っていたものの、定理を適用してあげるだけの方法なので、もっと昔から存在していた証明方法であると推察されます。

Ⅱ 方べきの定理を利用した証明

 では、三平方の定理の証明に入りましょう。

証明

 半径$~c~$の円$~O~$で、直径を$~AB~$とする。
 $~AB~$上で中心から$~a~$離れている点を$~P~$とし、$~P~$を通り$~AB~$と垂直な弦$~CD~$を作り、$~CP~$の長さを$~c~$とする。

円と内部の2直線
<図2>  円と内部の2直線 1

 $~PC=PD~$より、$~PD=b~$。
 $~OB~$は半径なので、$~PB=c-a~$とわかる。

円と内部の2直線②
<図3> 円と内部の2直線2

 ここで、「方べきの定理1」を使うと、

\begin{align*}
PA \cdot PB&= PC \cdot PD \\
(c+a)\cdot (c-a)&=b \cdot b \\
c^2-a^2&=b^2 \\
c^2&=a^2+b^2 ~~~~\cdots ①
\end{align*}

が求まる。

 $~c~$は半径だったので、$~OC=c~$。

円と内部の2直線③
<図4>  円と内部の2直線3

 直角三角形$~OPC~$に注目すれば、$①$より三平方の定理が証明されたことが言える。■

 円の中の等しい辺の長さをうまく利用しながら、方べきの定理を用いた証明でした。


もしかしたらユークリッドが思いついた証明方法だったかもしれないね。

 確かに。
 ユークリッドは「花嫁の椅子」を使って、三平方の定理を証明しているから、思いついていたとしてもわざわざ載せたりしなさそう・・・。

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