三平方の定理の証明⑤(方べきの定理の利用2)

 三平方の定理は、何百もの証明方法があるといわれています。
 この記事では、接線が登場する方べきの定理を利用した証明方法を解説します。

この記事を読んでわかること
  • 方べきの定理の概要とその歴史
  • 方べきの定理を利用した三平方の定理の証明方法
目次

Ⅰ 方べきの定理と『原論』

 方べきの定理は数学Aで学ぶ、円と2本の直線に関する性質で、3パターン存在します。
 今回の三平方の定理の証明では、その中でも接線が登場するパターンを利用します。

方べきの定理2

 円の外部の点$~P~$から円に引いた接線の交点を$~T~$とする。
 $~P~$を通り、この円と2点$~A~,~B~$で交わる直線を引くと、次の等式が成り立つ。

PT^2= PA \cdot PB
方べきの定理2
<図1> 方べきの定理2

 証明は$~\triangle PAB$∽$\triangle PCA~$を使います。

 方べきの定理は紀元前から存在していました。
 ユークリッドの『原論』の第3巻の命題36には、以下のように述べられています。

『原論』第3巻命題35

 円の外部の点$~P~$を通る弦がその円と交わる点を$~A~$と$~B~$とするとき、積$~PA\times PB~$は$~PT^2~$に等しい。ここで$~PT~$は$~P~$から円への接線の長さである。

 『原論』から2000年以上経った1927年、三平方の定理の証明を371個集めた『ピタゴラスの命題』が出版されました。

 その中に、方べきの定理を利用した証明方法が載っていたものの、定理を適用してあげるだけの方法なので、もっと昔から存在していた証明方法であると推察されます。


Ⅱ 方べきの定理2を利用した証明

 では、接線型の方べきの定理を利用して、三平方の定理を証明してみましょう。

証明

 半径$~a~$の円$~O~$で、円周上の点$~T~$における長さ$~b~$の接線$~AT~$を引く。
 直線$~PO~$と円$~O~$の2つの交点をそれぞれ$~A~$と$~B~$とする。

円と接線1
<図2> 円と接線1

 $~PO=c~$とすると、各辺の長さは図3のようになる。

円と接線2
<図3> 円と接線2

 ここで、「方べきの定理2」を使うと、

\begin{align*}
PA^2 &= PB \cdot PC \\
b^2&=(c-a) \cdot (c+a) \\
b^2&=c^2-a^2 \\
a^2+b^2&=c^2  ~~~~\cdots ①
\end{align*}

が求まる。

 したがって、直角三角形$~PTO~$に注目すれば、$①$より三平方の定理が証明されたことが言える。■

 接線と半径が直交する性質を使った証明でした。


方べきの定理って3パターンあったよね。
もう1パターンで、三平方の証明はできないの?

 う~ん。
 同じことを考えたけど、思いつかなかったなぁ。

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