三平方の定理の証明⑦(トレミーの定理による証明)
三平方の定理には数百もの証明方法があります。今回は「トレミーの定理」を利用した証明方法について紹介します。
Ⅰ 三平方の定理とは
Ⅱ トレミーの定理による証明
Ⅲ その他の証明方法
- 1. Ⅰ 三平方の定理とは
- 2. Ⅱ トレミーの定理による証明
- 3. Ⅲ その他の証明方法
Ⅰ 三平方の定理とは
三平方の定理とは、次のような定理です。
上のような直角三角形で、次の等式が成り立つ。
\begin{equation}
a^2+b^2=c^2
\end{equation}
直角三角形の2辺がわかれば、残りの1辺も求まるというもので、紀元前から測量等でも使われてきました。日本では中学3年生(義務教育!)で習います。長い歴史の中で、様々な人により、様々な証明が生み出されてきましたが、今回は「トレミーの定理」(別名「プトレマイオスの定理」)を使った証明方法を紹介します。
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Ⅱ トレミーの定理による証明
まずは、トレミーの定理についてです。
円に内接する任意の四角形ABCDについて、次の等式が成り立つ。
\begin{equation}
AC \times BD=AB \times CD + BC \times DA
\end{equation}
「2本の対角線の積は、2組の対辺の積の和に等しい」ということを表しています。
色分けして見やすくすると、次のようになります。
\(AC \times BD\) \(~=~\) \(AB \times CD\) \(~+~\) \(BC \times DA\)
この定理の証明は、「トレミーの定理」からご覧ください。
では、トレミーの定理を使って、三平方の定理を証明していきます。
円に内接する長方形ABCDを考える。 \(~AB=a~\) 、 \(~BC=b~\) 、 \(~AC=c~\) とする。
トレミーの定理より、
\(AC \times BD\) \(~=~\) \(AB \times CD\) \(~+~\) \(BC \times DA\)
が成り立ち、 \(~BD=AC=c~\) 、 \(~CD=AB=a~\) 、 \(~DA=BC=b~\) より、
\(c \times c\) \(~=~\) \(a \times a\) \(~+~\) \(b \times b\)
\(c^2\) \(~=~\) \(a^2\) \(~+~\) \(b^2\)
よって、三平方の定理は示された。 \(~\blacksquare\)
任意の内接四角形でトレミーの定理が成り立つため、長方形でトレミーの定理を適用してあげるだけの証明でした。
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Ⅲ その他の証明方法
是非いろいろな証明を見て、お気に入りの証明方法を見つけてください。
~順次作成中~
①ピタゴラスの証明 | 正方形を4つの図形にうまく分割し、回転させることにより、その面積関係から三平方の定理を導いています。 |
②ユークリッドの証明 | 等積変形や合同を使って、複雑な計算をせずに証明をします。 |
③内接円を利用した証明 | 内接円を使って、面積を2通りの方法で表して証明をします。 |
④方べきの定理を利用した証明1 | 内部で交わるタイプの方べきの定理を使って証明します。 |
⑤方べきの定理を利用した証明2 | 接線タイプの方べきの定理を使って証明します。 |
⑥レオナルド・ダ・ヴィンチの証明 | 合同な図形をうまく使った証明方法です。 |
⑦トレミーの定理による証明 | 円に内接する長方形に、トレミーの定理を適用します。 |
⑧ジェームズ・A・ガーフィールドの証明 | アメリカの大統領が考えた、台形を使った証明方法です。 |
⑨アン・コンディットの証明 | 16歳の少女が考えた、補助線を多用する証明方法です。 |
⑩無限等比級数を利用した証明 | 垂線によって直角三角形を細かくしていき、最終的には無限等比級数を利用する証明方法です。 |
⑪相似を利用した証明1 | 相似を使った最もシンプルな証明方法です。 |
⑫相似を利用した証明2 | 合同な直角三角形を重ね、相似な三角形を利用しながら、ある三角形の面積を2通りの方法で表します。 |
⑬外接円と直角二等辺三角形を利用した証明 | 外接円に4つの直角二等辺三角形を混ぜた図形から、証明を行います。 |
⑭相似を利用した証明3 | 中学3年生レベルの円、相似の知識を使って三平方の定理を導いています。 |
⑮教科書の証明 | 中学3年生の教科書によく載っている2つの証明方法と、それらを合わせたバースカラ(インドの数学者)の証明を解説しました。 |
他にもいろいろありますよ~('ω’)ノ
一見短いようですが、トレミーの定理がの証明がやや長め。是非、トレミーの定理の証明もご覧ください。
◇参考文献等
・E・マオール(2008)『ピタゴラスの定理-4000年の歴史』,pp.143-146,伊理由美訳,岩波書店.
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