17行目の秘密

数学雑学数論数学雑学

1行目+2行目=3行目、2行目+3行目=4行目、というように計算していくと17行目で不思議な現象が起きるという数学ネタです。証明も文字式でできるため、教材としても使えるかも!?
①計算規則と例
①試行プログラム
③証明



目次
  • 1. ①計算規則と例
  • 2. ②試行プログラム
  • 3. ③証明

①計算規則と例

ルール


次のような手順で、上図の17行の表を埋めていく。
(1)1行目と2行目に、0~9の整数を1つずつ選び、埋める。
(2)3行目に入る数字は、1行目と2行目の和を埋める。
(ただし2ケタになる場合は、一の位のみ埋める。)
(3)同様に、4行目=2行目+3行目、5行目=3行目+4行目・・・と、17行目まで埋めていく。
 
こんな感じの表が作られます。↓

なんかフィボナッチ数列を想起させる計算規則ですね。ただし、2ケタのときは注意してください。

では、この表のどこがおもしろいのか?実は赤く書かれている2行目がミソになります。

17行目の秘密

上記のルールで表を埋めていくと、1行目の数字に関係なく、2行目の数字によって、17行目の数字が次のように決まる。
2行目の数字が 0 の場合、17行目の数字は 0 となる。
2行目の数字が 1 の場合、17行目の数字は 7 となる。
2行目の数字が 2 の場合、17行目の数字は 4 となる。
2行目の数字が 3 の場合、17行目の数字は 1 となる。
2行目の数字が 4 の場合、17行目の数字は 8 となる。
2行目の数字が 5 の場合、17行目の数字は 5 となる。
2行目の数字が 6 の場合、17行目の数字は 2 となる。
2行目の数字が 7 の場合、17行目の数字は 9 となる。
2行目の数字が 8 の場合、17行目の数字は 6 となる。
2行目の数字が 9 の場合、17行目の数字は 3 となる。

つまり、2行目を決めた時点で、1行目にどんな数を入れようと、17行目は決定するということになります。
数学的に書くと、

17行目の数は、2行目の数の関数である。

ということです。しかも全単射です。

2行目を全て"5″にした状態で、1行目をいろいろと変えて計算した結果が下の表です。

確かに2行目が5であれば、1行目がどんな数であろうと、17行目は5となっています。


②試行プログラム

先ほどの「17行目の秘密」、体験してもらうためにプログラムを組んでみました。5列分用意したので、いろいろ試してみてください。
<使い方>
・1行目と2行目に、0~9の整数を1つずつ入力する。
・一番上の「計算する!」をクリックすると、17行目まで計算されます。

1行目

2行目

3行目
4行目
5行目
6行目
7行目
8行目
9行目
10行目
11行目
12行目
13行目
14行目
15行目
16行目
17行目


③証明

最後に、数式を使って謎を解明していきましょう。

証明

\(~n~\) 行目の数を \(~a_{n}~\) と表す。
\(~a_{1}=a,\) \(~a_{2}=x~\) とする。
3行目をルールによって計算すると、
\begin{equation}
a_{3}=a_{1}+a_{2}=a+x
\end{equation}
同様に、4行目以降計算していくと、

\begin{align}
a_{4}&=x+(a+x)=a+2x \\
a_{5}&=(a+x)+(a+2x)=2a+3x \\
a_{6}&=(a+2x)+(2a+3x)=3a+5x \\
a_{7}&=(2a+3x)+(3a+5x)=5a+8x \\
a_{8}&=(3a+5x)+(5a+8x)=8a+13x \\
a_{9}&=(5a+8x)+(8a+13x)=13a+21x \\
a_{10}&=(8a+13x)+(13a+21x)=21a+34x \\
a_{11}&=(13a+21x)+(21a+34x)=34a+55x \\
a_{12}&=(21a+34x)+(34a+55x)=55a+89x \\
a_{13}&=(34a+55x)+(55a+89x)=89a+144x \\
a_{14}&=(55a+89x)+(89a+144x)=144a+233x \\
a_{15}&=(89a+144x)+(144a+233x)=233a+377x \\
a_{16}&=(144a+233x)+(233a+377x)=377a+610x \\
\end{align}


\begin{align}
a_{4}&=x+(a+x)=a+2x \\
a_{5}&=(a+x)+(a+2x)=2a+3x \\
a_{6}&=(a+2x)+(2a+3x)=3a+5x \\
a_{7}&=(2a+3x)+(3a+5x)=5a+8x \\
a_{8}&=(3a+5x)+(5a+8x)=8a+13x \\
a_{9}&=(5a+8x)+(8a+13x) \\
&=13a+21x \\
\\
a_{10}&=(8a+13x)+(13a+21x) \\
&=21a+34x \\
\\
a_{11}&=(13a+21x)+(21a+34x) \\
&=34a+55x \\
\\
a_{12}&=(21a+34x)+(34a+55x) \\
&=55a+89x \\
\\
a_{13}&=(34a+55x)+(55a+89x) \\
&=89a+144x \\
\\
a_{14}&=(55a+89x)+(89a+144x) \\
&=144a+233x \\
\\
a_{15}&=(89a+144x)+(144a+233x) \\
&=233a+377x \\
\\
a_{16}&=(144a+233x)+(233a+377x) \\
&=377a+610x \\
\end{align}

そして、最終的に、

\begin{equation}
a_{17}=(a+x)+(a+2x)=610a+987x
\end{equation}

となる。この式は、
\begin{equation}
a_{17}=10(61a+98x)+7x
\end{equation}
となるため、1の位に注目する(法を10とする)と、
\begin{equation}
a_{17}\equiv 7x (mod10)
\end{equation}
となり、17行目は2行目の数 \(~x~\) によってのみ影響することがわかった。よって、
\(~x=0~\) のとき、\( a_{17}\equiv 0 (mod10) \)
\(~x=1~\) のとき、\( a_{17}\equiv 7 (mod10) \)
\(~x=2~\) のとき、\( a_{17}\equiv 14 \equiv 4 (mod10) \)
\(~x=3~\) のとき、\( a_{17}\equiv 21 \equiv 1 (mod10) \)
\(~x=4~\) のとき、\( a_{17}\equiv 28 \equiv 8 (mod10) \)
\(~x=5~\) のとき、\( a_{17}\equiv 35 \equiv 5 (mod10) \)
\(~x=6~\) のとき、\( a_{17}\equiv 42 \equiv 2 (mod10) \)
\(~x=7~\) のとき、\( a_{17}\equiv 49 \equiv 9 (mod10) \)
\(~x=8~\) のとき、\( a_{17}\equiv 56 \equiv 6 (mod10) \)
\(~x=9~\) のとき、\( a_{17}\equiv 63 \equiv 3 (mod10) \)
と、17行目にあてはまる数が決まる。 \(~\blacksquare\)

\(~x~\) の係数が \(~7~\) であるため、 \(~x~\) が \(~0~\) から \(~9~\) の整数で全単射となります。


ちょっと計算に時間はかかりますが、数学の良さを感じられる教材になり得るかと思われます。
中1の文字式の応用あたりで授業したいなぁ~。最後の\( mod10~\) の処理が難しいけど・・

   
 
 

数学雑学数論数学雑学

Posted by Fuku