サンクトペテルブルグのパラドックス

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コイントスとその賞金に関するパラドックスで、期待値による考えが、現実の感覚と相反する場合があることを示しています。
①パラドックスの内容
②パラドックスの回避


このパラドックスは、1738年ダニエル・ベルヌーイが学術雑誌に発表したものです。
パラドックスは以下のような問題から与えられます。

問題

表と裏が同様に確からしく\( \displaystyle \frac{1}{2} \)で出るコインがある。このコインを裏が出るまで投げ続け、裏が出たらゲーム終了。以下のように賞金が手に入る。

1回も表が出なかった。→1円
1回表が出てから裏が出た。→2円
2回表が出てから裏が出た。→4円
3回表が出てから裏が出た。→8円
4回表が出てから裏が出た。→16円
・・・・

このゲームの参加費を設定する場合、何円であれば適当だろうか。


目次
  • 1. ①パラドックスの内容
  • 2. ②パラドックスの回避

①パラドックスの内容

疑問

このゲームの期待値はいくつだろうか?

感覚としては、このゲームの参加費として妥当な金額は5円~100円くらいだろう。
4円ゲットするために、コインが2回連続で表が出る(確率は\( \displaystyle \frac{1}{4} ~\))ことでさえ、難しいと感じる。

しかし、期待値の定義に従って計算してみると・・・

期待値の計算

1回も表が出ない確率は\( \displaystyle \frac{1}{2} \)

1回表が出てから裏が出る確率は\( \displaystyle \frac{1}{2} \times \frac{1}{2} \)

2回表が出てから裏が出る確率は\( \displaystyle \frac{1}{2^2} \times \frac{1}{2} \)

3回表が出てから裏が出る確率は\( \displaystyle \frac{1}{2^3} \times \frac{1}{2} \)

・・・・

と続くため、期待値を計算すると、

\begin{align}
& \displaystyle \frac{1}{2} \times 1 +\frac{1}{2^2} \times 2 + \frac{1}{2^3} \times 4 + \frac{1}{2^4} \times 8 + \cdots \\
\\
&=\frac{1}{2} + \frac{1}{2} + \frac{1}{2} + \frac{1}{2} + \cdots \\
\\
&=\infty
\end{align}

となるため、期待値は正の無限大に発散する。

我々の感覚と期待値上が全く違う

というのが、このサンクトペテルブルグのパラドックスである。


②パラドックスの回避

疑問

このような矛盾が生じる理由はどこにあるのか?

実は割と簡単なところにある。

もし、コインが20回連続で表が出たとしよう。
その場合、賞金は\( 2^{20}=1,048,576 \)円となる。
さらには、30回連続で表が出た場合は\( 2^{30}=1,073,741,824 \)円であり、10億円を超すことになる。

つまり、期待値の計算では無限に賞金を設定しているが、実際はそんなに多くの賞金を用意することができないため、現実の感覚とは違う数値が出てくるのである。

パラドックスが生じる理由

主催者の所持金を無限と仮定したうえで、期待値計算をしたため矛盾が生じた。

仮に、賞金の限度を表が20回分の1,048,576円とした場合、期待値は

\(~\displaystyle \frac{1}{2} \times 1 +\frac{1}{2^2} \times 2 + \frac{1}{2^3} \times 4 + \cdots + \frac{1}{2^{21}} \times 2^{20} \)

\(~ \displaystyle =\frac{1}{2} \times 21 \)

\(~=10.5 \)

となり、10.5円という現実的な金額となります。


明らかにこのゲーム、稼げませんよね。それなのに、期待値は発散するなんで・・・・。無限の力はおそろしいです。

   
 
 

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Posted by Fuku