三角不等式

F数 数A平面図形F数 数A

 単純なようで何かと有用な三角不等式。どのような不等式なのかを例で理解しつつ、その証明まで紹介します。
Ⅰ 三角不等式とは?
Ⅱ 証明


目次
  • 1. Ⅰ 三角不等式とは?
  • 2. Ⅱ 証明

Ⅰ 三角不等式とは?

 まずは不等式の中身を確認してみましょう。

三角不等式

 すべての三角形において、任意の2辺の和は残りの1辺よりも大きい。

 すなわち、
\begin{align}
AC+BC &> AB \\
BC+AB &> AC \\
AB+AC &> BC
\end{align}
 が成り立つ。

 この三角不等式は、どんな三角形についても、

 1番大きい辺よりも、残りの2辺の和のほうが大きくなる

ということを表しています。
 
 具体的に例を挙げてみましょう。

(1)  \(~3,4,5~\) の直角三角形

 上図で、以下の3本の不等式が成り立つ。
\begin{align}
3+4=7 &> 5 \\
4+5=9 &> 3 \\
5+3=8 &> 4
\end{align}
 
(2)  \(~3,5,7~\) の三角形(余弦定理でよく出てくる)

 上図で、以下の3本の不等式が成り立つ。
\begin{align}
3+5=8 &> 7 \\
5+7=12 &> 3 \\
7+3=10 &> 5
\end{align}

 当たり前のようですが、確かに成り立っていますね。


Ⅱ 証明

 では、証明に入ります。

証明

  \(~AB~\) を最大辺とする \(~\triangle ABC~\) において、 \(~AC+BC > AB~\) を示す。

 まず、辺 \(~BC~\) の延長線上に \(~CA=CD~\) となる点 \(~D~\) をとる。

 このとき、
\begin{equation}
AC+BC=CD+BC=BD\cdots ①
\end{equation}
 また、 \(~\triangle CAD~\) は二等辺三角形であるため、
\begin{equation}
\angle CDA=\angle CAD\cdots ②
\end{equation}

角の位置関係から、
\begin{equation}
\angle BAD > \angle CAD\cdots ③
\end{equation}
 ②,③より \(~\angle BAD > \angle CDA~\) なので、「三角形の辺と角の大小」より、
\begin{equation}
BD > AB\cdots ④
\end{equation}
①,④より、
\begin{equation}
AC+BC > AB
\end{equation}
が示された。 \(~\blacksquare~\)

 「三角形の辺と角の大小」を使うことで、証明することができました。
 直感的にわかることも厳密に証明しようとすると、思いがけない補助線を用意したり、以前証明した三角形に関する性質を使ったりと、なかなか手の込んだものになりますね・・・。


  \(~A~\) 地点から \(~B~\) 地点に向かいたいのに、 \(~C~\) 地点に寄り道をすると、長い距離歩くことになります。
 こういった当たり前のことを三角不等式は表しているんです。

   
 
 


◇参考文献等
・(2015)『四訂版 体系数学1 幾何編』,p.130,数研出版.