数学好きや受験生必見!
毎年新年を迎えるにあたり、西暦に関する数学ネタや西暦に関する受験問題について気になっている方も多いでしょう。
そこで、西暦を使った数学ネタを毎年発信している現役数学教員が、$~2025~$という数が持っている性質を当たり前のものからマニアックなものまで解説!
- $~2025~$年は一生のうちにほぼ二度と出会えない平方数の年。
- 九九表の81マスすべての和は$~2025~$
このような$~2025~$の性質をいろいろと知り、$~2025~$年を数学的な視点から楽しく迎えましょう!
2025 を素因数分解してわかること
まずは、$~2025~$を素因数分解してみましょう。
$~3~$の倍数判定や$~5~$の倍数判定は容易にできるため、迷うことなく素因数分解ができます。
2025=3^4 \times 5^2
この結果を利用してわかることをまとめてみましょう。
2025 は 45 の2乗で表せる
素因数分解の結果を次のように変形すると、$~2025~$は$~45~$の2乗で表せることがわかります。
2025=3^4 \times 5^2=(3^2 \times 5)^2=45^2
$~2025~$よりも1つ前の平方数は$~44^2=1936~$、1つの後の平方数は$~46^2=2116~$であるため、$~2025~$年時点で$~89~$歳以上あるいは残り$~91~$年以上生きられる方以外は、最初で最後の平方数の年となります。
2025 の約数は15個で総和は 3751
素因数分解の結果から、$~2025~$の約数について以下のことがわかります。
$~2025=3^4×5^2~$より、約数の個数は
(4+1)\times (2+1)=15~(個)
とわかる。
また、約数の総和については
\begin{align*} &~~~~(1+3^1+3^2+3^3+3^4)(1+5^1+5^2) \\ &=121 \times 31 \\ &=3751 \end{align*}
とわかる。
具体的に、2025の約数を小さい順に並べてみると、$~1~$,$~3~$,$~5~$,$~9~$,$~15~$,$~25~$,$~27~$,$~45~$,$~75~$,$~81~$,$~135~$,$~225~$,$~405~$,$~675~$,$~2025~$であり、自身($~2025~$)を除く約数の和は$~1726~$となるため、$~2025~$は不足数(自身以外の約数の和が、自身よりも小さくなる数)と言うこともできます。
昨年($~2024~$)は過剰数でした。
そもそも奇数の過剰数は激レア!
2025は410番目のハーシャッド数
$~2025~$は410番目のハーシャッド数(harshad number)です。
ハーシャッド数の定義は次のように与えられます。
自然数の各位の和が、もとの自然数の約数に含まれている数をハーシャッド数という。
$~2021~$と$~2025~$を例にハーシャッド数かどうかを判別してみましょう。
$~2021~$の各位の和は$~2+0+2+1=5~$。
$~2021~$の約数は、$~1~,~43~,~47~,~2021~$であり、各位の和である$~5~$が含まれていないため、$~2021~$はハーシャッド数ではない。
$~2025~$の各位の和は$~2+0+2+5=9~$。
$~2025~$の約数は、$~1~$,$~3~$,$~5~$,$~9~$,$~15~$,$~25~$,$~27~$,$~45~$,$~75~$,$~81~$,$~135~$,$~225~$,$~405~$,$~675~$,$~2025~$であり、各位の和である$~9~$が含まれているため、$~2025~$はハーシャッド数である。
$~2022~$、$~2023~$、$~2024~$、$~2025~$は連続したハーシャッド数です。
$~2025~$が410番目という時点で、約$~\displaystyle \frac{1}{5}~$の自然数がハーシャッド数であるとわかります。
2025 は九九表 81 マスの和
$~2025~$について、最も特筆すべきネタが九九表の和です。
なんと、この九九表81マスの和が$~2025~$になります。
九九表 81 マスの和の計算方法①
エレガントな計算方法を紹介します。
次の4つの九九表を用意する。
- ① 元の九九表
- ② ①を時計回りに$~90^{\circ}~$回転させた九九表
- ③ ①を時計回りに$~180^{\circ}~$回転させた九九表
- ④ ①を時計回りに$~270^{\circ}~$回転させた九九表
①
②
③
④
①~④の九九表を重ねて、同じ位置にある数をたすと以下のようになる。
したがって、九九表1つあたりの和は
100\times81 \div 4 =2025
と求めることができる。
この方法は、連続する自然数の乗法表ゆえにできるエレガントな方法です。
実際、$~j~$行$~k~$列の数について、①~④の九九表における数は、
- ① $~j \times k=jk~$
- ② $~j \times (10-k)=10j-jk~$
- ③ $~(10-j) \times k=10k-jk~$
- ④ $~(10-j) \times (10-k)=100-10k-10j+jk~$
であることから、これらをすべてたすと$~100~$だけが残ります。
九九表 81 マスの和の計算方法②
実際、上記のようなエレガントな方法を思いつかなくても、数列の和という観点から$~\Sigma~$を利用して求めることができます。
$~j~$行$~k~$列の数は$~jk~$と表せるので、九九表 81 マスの和は以下のように表すことができる。
\sum_{j=1}^{9} \sum_{k=1}^{9} jk
九九表が$~m=9~$行目、$~n=9~$列目までとして、$~\Sigma~$の計算をすると、
\begin{align*} \sum_{j=1}^{m} \sum_{k=1}^{n} jk&=\sum_{j=1}^{m} j \sum_{k=1}^{n} k \\ \\ &=\sum_{j=1}^{m} j \cdot \frac{1}{2}n(n+1) \\ \\ &=\frac{1}{2}n(n+1) \cdot \sum_{j=1}^{m} j \\ \\ &=\frac{1}{2}n(n+1) \cdot \frac{1}{2}m(m+1) ~~~~\cdots(*) \end{align*}
であるため、$~m=9~,~n=9~$を代入することで、$~(*)~$は
\frac{1}{2}\cdot 9\cdot 10 \cdot \frac{1}{2}\cdot 9\cdot 10=2025
となり、九九表 81 マスの和が$~2025~$と求められた。
$~\sum~$が持つ意味を理解できているかが測れる計算問題でした。
2025 は連続する立方数の和
実は、先ほどの$~(*)~$の式から、さらにおもしろいことがわかります。
九九表のような縦と横が同じ長さの乗法表においては$~m=n~$となるため、$~(*)~$は次のようにまとめられます。
\frac{1}{2}n(n+1) \cdot \frac{1}{2}n(n+1) =\left\{ \frac{1}{2}n(n+1) \right\}^2
さて、この右辺を見て、数学Bを学んだ方は何か見覚えがあるのではないでしょうか?
実は、この右辺は$~\sum~$の公式として4つめに出てくる立方和の公式です。
\sum_{k=1}^n k^3=\left\{ \frac{1}{2}n(n+1) \right\}^2
すなわち、$~m=n=9~$の九九表の和である$~2025~$は、以下のように変形ができるということです。
\begin{align*} 2025&=\left( \frac{1}{2}\cdot 9 \cdot 10 \right)^2 \\ \\ &=\sum_{k=1}^9 k^3 \\ \\ &=1^3+2^3+3^3+4^3+5^3+6^3+7^3+8^3+9^3 \end{align*}
九九表から発展させ、$~2025~$が$~1~$から$~9~$までの自然数の立方和であることが導かれました。
2025 に関する他の性質や数式
これまでに登場しなかった、$~2025~$のもつ美しい性質や数式を4つ紹介します。
2025 を 2 ケタずつ区切った数の和の平方は 2025
文章にすると意味がわかりづらいですが、数式で見ると美しいと思える性質です。
$~2025~$という 4 ケタの数を 2 ケタずつに区切ると、$~20~$と$~25~$。
これらの和を平方すると、以下のように$~2025~$となる。
(20+25)^2=45^2=2025
このような 4 ケタの整数はたったの 3 つだけ。
- $~2025~$→$~(20+25)^2=45^2=2025~$
- $~3025~$→$~(30+25)^2=55^2=3025~$
- $~9801~$→$~(98+1)^2=99^2=9801~$
レアな性質であることがわかりますね!
2025 の各ケタに 1 ずつ加えた数も平方数
さらにレアな性質がこちら。
$~2025~$の各ケタの数を$~1~$ずつ増やした$~3136~$は、$~56^2~$で表せるため平方数である。
これと同様の性質を持つ平方数を小さいほうから 6 つ挙げると、
- $~0^2=0~$→$~1=1^2$
- $~5^2=25~$→$~36=6^2~$
- $~45^2=2025~$→$~3136=56^2~$
- $~115^2=13225~$→$~24336=156^2~$
- $~2205^2=4862025~$→$~5973136=2444^2~$
- $~245795^2=60415182025~$→$~71526293136=267444^2~$
であり、4 ケタの整数の中では$~2025~$のみという非常にレアな性質であることがわかります。
2025 は 4 乗数と 6 乗数の和で表せる
$~2025~$は次のように、4乗数と6乗数の和で表すことができます。
2025=6^4+3^6
偶然見つけられたわけではなく、素因数分解からこの式を導出できます。
\begin{align*} 2025&=3^4\times 5^2 \\ &=3^4 \times 25 \\ &=3^4 \times (2^4+3^2) \\ &=3^4 \times 2^4+3^4 \times 3^2 \\ &=(3 \times 2)^4+3^{(4+2)} \\ &=6^4+3^6 \end{align*}
同様な式変形をすれば他の式も得られますが、比較的美しいのが今回の式でした。
2025 は Π でも表せる
九九表などで$~\sum~$を利用して$~2025~$を表しましたが、$~\Pi~$でも表すことが可能です。
2025=\prod_{k=1}^3 \left\{k^2+(3-k)^2\right\}
実際に右辺を計算して確かめてみましょう。
\begin{align*} &~~~\prod_{k=0}^3 \left\{k^2+(3-k)^2\right\} \\ \\ &=(0^2+3^2)\times(1^2+2^2)\times(2^2+1^2)\times(3^2+0^2) \\ &=9 \times 5 \times 5 \times9 \\ &=2025 \end{align*}
結局は$~45^2~$につながりますが、確かに$~2025~$になりました。
こちらについても、同様の式変形から他にも$~\Pi~$を使った式を作れますが、美しいと感じたのが今回の式でした。
まとめ
$~2025~$に関する性質を紹介しました。
- $~2025=3^4 \times 5^2~$と素因数分解できる。
- $~2025~$は九九表 81 マスの和である。
- $~2025~$の各ケタに特定の操作を加えることで、非常に珍しい性質を見ることができる。
$~2025~$年は、ほとんどの人にとって一生に一度の平方数の年。
良い1年になりますように。
コメント