\(~x^n-1~\)の因数分解(計算編)

数学Ⅱ式と計算数学Ⅱ

 \(~x^2-1~\)の因数分解は中学3年生で、\(~x^3-1~,~x^4-1~\)の因数分解は数学Ⅰで習いますが、\(~x^n-1~\)の形の式の因数分解には何か共通点や規則性はあるのでしょうか? 本記事では、因数分解の過程を示します。

1記事目(本記事) 計算編
Ⅰ \(~x^{10}-1~\)までの因数分解結果
Ⅱ \(~n=2~,~3~,~4~\)の因数分解過程
Ⅲ \(~n=5~,~7~\)の因数分解過程
Ⅳ \(~n=6~\)の因数分解過程
Ⅴ \(~n=8~\)の因数分解過程
Ⅵ \(~n=9~\)の因数分解過程
Ⅶ \(~n=10~\)の因数分解過程

2記事目 考察編①(準備中)
3記事目 考察編②(準備中)


目次
  • 1. Ⅰ \(~x^{10}-1~\)までの因数分解結果
  • 2. Ⅱ \(~n=2~,~3~,~4~\)の因数分解過程
  • 3. Ⅲ \(~n=5~,~7~\)の因数分解過程
  • 4. Ⅳ \(~n=6~\)の因数分解過程
  • 5. Ⅴ \(~n=8~\)の因数分解過程
  • 6. Ⅵ \(~n=9~\)の因数分解過程
  • 7. Ⅶ \(~n=10~\)の因数分解過程

Ⅰ \(~x^{10}-1~\)までの因数分解結果

 まず先に、計算結果だけをお示しします。

\(~x^n-1~\)の因数分解結果


\begin{align}
x^1-1&=(x-1) \\
\\
x^2-1&=(x-1)(x+1) \\
\\
x^3-1&=(x-1)(x^2+x+1) \\
\\
x^4-1&=(x-1)(x+1)(x^2+1) \\
\\
x^5-1&=(x-1)(x^4+x^3+x^2+x+1) \\
\\
x^6-1&=(x-1)(x+1)(x^2+x+1)(x^2-x+1) \\
\\
x^7-1&=(x-1)(x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1) \\
\\
x^8-1&=(x-1)(x+1)(x^2+1)(x^4+1) \\
\\
x^9-1&=(x-1)(x^2+x+1)(x^6+x^3+1) \\
\\
x^{10}-1&=(x-1)(x+1)(x^4+x^3+x^2+x+1)(x^4-x^3+x^2-x+1) \\
\end{align}


\begin{align}
x^1-1&=(x-1) \\
\\
x^2-1&=(x-1)(x+1) \\
\\
x^3-1&=(x-1)(x^2+x+1) \\
\\
x^4-1&=(x-1)(x+1)(x^2+1) \\
\\
x^5-1&=(x-1)(x^4+x^3+x^2+x+1) \\
\\
x^6-1&=(x-1)(x+1)(x^2+x+1)(x^2-x+1) \\
\\
x^7-1&=(x-1)(x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1) \\
\\
x^8-1&=(x-1)(x+1)(x^2+1)(x^4+1) \\
\\
x^9-1&=(x-1)(x^2+x+1)(x^6+x^3+1) \\
\\
x^{10}-1&=(x-1)(x+1)(x^4+x^3+x^2+x+1) \\
&~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(x^4-x^3+x^2-x+1) \\
\end{align}

 以上の結果を見て、「どうやって因数分解したのだろうか?」と気になる方はこの記事の2章以降へ進んでください。
 
 「どんな規則性があるんだろう?」と気になる方は「2記事目 考察編①」をご覧ください。
 
 ということで、この記事では計算過程を示していきたいと思います。


Ⅱ \(~n=2~,~3~,~4~\)の因数分解過程

 中学・高校の教科書レベルの因数分解から始めます。
 
 と言っても、\(~x^2-1~,~x^3-1~\)は因数分解公式として、教科書に載っているので過程は不要でしょう。

因数分解の過程(\(~n=2,3~)\)

 因数分解公式より、
\begin{align}
x^2-1&=(x-1)(x+1) \\
x^3-1&=(x-1)(x^2+x+1)
\end{align}
が成り立つ。

 2乗の場合は中学3年生、3乗の場合は数学Ⅰで学びます。右辺を展開することで、証明が行われます。
 
 では、4乗の場合はというと、数学Ⅰの因数分解における置き換えの例として、よく登場します。

因数分解の過程(\(~n=4~)\)

\begin{align}
x^4-1&=\left( x^2 \right)^2 -1^2 \\
&=(x^2-1)(x^2+1) \\
&=(x-1)(x+1)(x^2+1)
\end{align}

 2行目にかけて、\(~x^2-1~\)の因数分解を応用していますね。
 因数分解はできるところまで行う必要があるので、2行目で出てきた\(~(x^2-1)~\)をさらに因数分解しています。


Ⅲ \(~n=5~,~7~\)の因数分解過程

 さて、問題はここから先の因数分解です。
 \(~n=5~,~7~\)はそれぞれ素数なので、\(~n=4~\)のときのような工夫は使えません。
 
 ただ、\(~n~\)次方程式 \(~x^n-1=0~\)を考えると、必ず\(~x=1~\)を解にもつので、因数定理によって\(~(x-1)~\)を因数にもつことがわかります。
 
 そのことを利用すると、次のような因数分解ができます。

因数分解の過程(\(~n=5~)\)

 下の計算により、
\begin{equation}
(x^5-1)\div(x-1)=x^4+x^3+x^2+x+1
\end{equation}
である。

 したがって、
\begin{equation}
x^5-1=(x-1)(x^4+x^3+x^2+x+1)
\end{equation}
が求まる。

 同様に、7乗の場合も因数定理を使うことで、

因数分解の過程(\(~n=7~)\)

 同様の割り算
\begin{equation}
(x^7-1)\div(x-1)=x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1
\end{equation}
を利用することで、
\begin{equation}
x^7-1=(x-1)(x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1)
\end{equation}
が求まる。

 残念ながら、どちらも実数範囲においてこれ以上の因数分解はできません。


Ⅳ \(~n=6~\)の因数分解過程

 先ほどの\(~n=5~,~7~\)とは違って、合成数である\(~n=6~,~8~,~9~,~10~\)のときは、それより低次の因数分解の結果を応用することで分解が可能です。
 
 \(~n=6~\)から順々に見ていきましょう。

因数分解の過程(\(~n=6~)\)

<方法1>
 \(~x^6=(x^3)^2~\)と考えると、\(~x^2-1~\)の因数分解を利用することで、
\begin{align}
x^6-1&=(x^3)^2-1 \\
&=(x^3-1)(x^3+1)
\end{align}
と変形できる。
 さらに、左のカッコ内は\(~x^3-1\)の因数分解の結果を代入し、右のカッコ内は\(~(-1)^3+1=0~\)より\(~(x+1)~\)を因数にもつので、
\begin{align}
&=\{(x-1)(x^2+x+1)\}\{(x+1)(x^2-x+1)\} \\
&=(x-1)(x+1)(x^2+x+1)(x^2-x+1)
\end{align}
が求まる。


<方法2>
 \(~x^6=(x^2)^3~\)と考えると、\(~x^3-1~\)の因数分解を利用することで、
\begin{align}
x^6-1&=(x^2)^3-1 \\
&=(x^2-1)(x^4+x^2+1) \\
&=(x-1)(x+1)(x^4+x^2+1) \\
\end{align}
と変形できる。
 ここで、一番右のカッコ内において、\(~A^2-B^2~\)の形を作るように式変形を行って因数分解をすると、
\begin{align}
&=(x-1)(x+1)\{(x^4+2x^2+1)-x^2\} \\
&=(x-1)(x+1)\{(x^2+1)^2-x^2\} \\
&=(x-1)(x+1)\{(x^2+1+x)(x^2+1-x)\} \\
&=(x-1)(x+1)(x^2+x+1)(x^2-x+1) \\
\end{align}
が求まる。

 \(~6=3\times2~\)と\(~6=3\times 2~\)を利用した2通りの方法でした。
 若干、<方法2>のほうが式変形が難しかったですね。
 
 ちなみに、\(~n=6~,~8~,~9~,~10~\)のときも、\(~n=5~,~7~\)のときと同様に因数定理から始める方法もあります。
\begin{align}
x^6-1&=(x-1)(x^5+x^4+x^3+x^2+x+1) \\
\end{align}
 ただ、右側のカッコでさらに因数定理を使ったり、公式が使えるように変形したりと考えるうえでは大変なので、この記事では使っていません・・・。

 万能ゆえに不便なのは数学ではよくある話・・・。(二次方程式の解の公式とか)


Ⅴ \(~n=8~\)の因数分解過程

 次は\(~n=8~\)ですが、\(~8=4\times 2~\)か\(~8=2 \times 4~\)なので、こちらも2通りです。

因数分解の過程(\(~n=8~)\)

<方法1>
 \(~x^8=(x^4)^2~\)と考えると、\(~x^2-1~\)の因数分解を利用することで、
\begin{align}
x^8-1&=(x^4)^2-1 \\
&=(x^4-1)(x^4+1)
\end{align}
と変形できる。
 さらに、左のカッコ内に\(~x^4-1~\)の因数分解の結果を代入すれば
\begin{align}
&=\{(x-1)(x+1)(x^2+1)\}(x^4+1) \\
&=(x-1)(x+1)(x^2+1)(x^4+1)
\end{align}
が求まる。


<方法2>
 \(~x^8=(x^2)^4~\)と考えると、\(~x^4-1~\)の因数分解を利用することで、
\begin{align}
x^8-1&=(x^2)^4-1 \\
&=(x^2-1)(x^2+1)(x^4+1) \\
\end{align}
と変形できる。
 さらに、左のカッコ内に\(~x^2-1~\)の因数分解の結果を代入すれば
\begin{align}
&=\{(x-1)(x+1)\}(x^2+1)(x^4+1)
\end{align}
が求まる。

 どちらの方法にせよ、スッキリ因数分解ができました。


Ⅵ \(~n=9~\)の因数分解過程

 次の\(~n=9~\)は平方数のため、\(~9=3\times 3~\)しかありません。

因数分解の過程(\(~n=9~)\)

 \(~x^9=(x^3)^3~\)と考えると、\(~x^3-1~\)の因数分解を利用することで、
\begin{align}
x^9-1&=(x^3)^3-1 \\
&=(x^3-1)(x^6+x^3+1)
\end{align}
と変形できる。
 さらに、左のカッコ内に\(~x^3-1~\)の因数分解の結果を代入すれば
\begin{align}
&=\{(x-1)(x^2+x+1)\}(x^6+x^3+1) \\
&=(x-1)(x^2+x+1)(x^6+x^3+1)
\end{align}
が求まる。

 次数が大きくなってきたので、指数法則に注意が必要ですが、スッキリ因数分解ができました。


Ⅶ \(~n=10~\)の因数分解過程

 最後に\(~n=10~\)ですが、\(~10=5\times 2~\)か\(~10=2 \times 5~\)なので、\(~n=6~,~8~\)と同様に2通りです。

因数分解の過程(\(~n=10~)\)

<方法1>
 \(~x^{10}=(x^5)^2~\)と考えると、\(~x^2-1~\)の因数分解を利用することで、
\begin{align}
x^{10}-1&=(x^5)^2-1 \\
&=(x^5-1)(x^5+1)
\end{align}
と変形できる。
 さらに、左のカッコ内には\(~x^5-1~\)の因数分解の結果を代入し、右のカッコ内は\(~(-1)^5+1=0~\)より\(~(x+1)~\)を因数にもつので、

\begin{align}
&=\{(x-1)(x^4+x^3+x^2+x+1)\}\{(x+1)(x^4-x^3+x^2-x+1)\} \\
&=(x-1)(x+1)(x^4+x^3+x^2+x+1)(x^4-x^3+x^2-x+1)
\end{align}


\begin{align}
&=\{(x-1)(x^4+x^3+x^2+x+1)\} \\
&~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\{(x+1)(x^4-x^3+x^2-x+1)\} \\
\\
&=(x-1)(x+1)(x^4+x^3+x^2+x+1) \\
&~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(x^4-x^3+x^2-x+1)
\end{align}

が求まる。


<方法2>
 \(~x^{10}=(x^2)^5~\)と考えると、\(~x^5-1~\)の因数分解を利用することで、
\begin{align}
x^{10}-1&=(x^2)^5-1 \\
&=(x^2-1)(x^8+x^6+x^4+x^2+1) \\
\end{align}
と変形できる。
 さらに、左のカッコ内には\(~x^2-1~\)の因数分解の結果を代入し、右のカッコ内では、\(~A^2-B^2~\)の形を作るように式変形を行って因数分解をすると、

\begin{align}
&=\{(x-1)(x+1)\}\{(x^8+x^4+1+2x^6+2x^4+2x^2)-x^6-2x^4-x^2\} \\
&=(x-1)(x+1)\{(x^4+x^2+1)^2-x^2(x^4+2x^2+1)\} \\
&=(x-1)(x+1)\{(x^4+x^2+1)^2-x^2(x^2+1)^2\} \\
&=(x-1)(x+1)[(x^4+x^2+1)^2-\{x(x^2+1)\}^2] \\
&=(x-1)(x+1)\{(x^4+x^2+1)+x(x^2+1)\}\{(x^4+x^2+1)-x(x^2+1)\} \\
&=(x-1)(x+1)(x^4+x^2+1+x^3+x)(x^4+x^2+1-x^3-x) \\
&=(x-1)(x+1)(x^4+x^3+x^2+x+1)(x^4-x^3+x^2-x+1) \\
\end{align}


\begin{align}
&=\{(x-1)(x+1)\} \\
&~~~~\{(x^8+x^4+1+2x^6+2x^4+2x^2)-x^6-2x^4-x^2\} \\
\\
&=(x-1)(x+1)\{(x^4+x^2+1)^2-x^2(x^4+2x^2+1)\} \\
\\
&=(x-1)(x+1)\{(x^4+x^2+1)^2-x^2(x^2+1)^2\} \\
\\
&=(x-1)(x+1)[(x^4+x^2+1)^2-\{x(x^2+1)\}^2] \\
\\
&=(x-1)(x+1)\{(x^4+x^2+1)+x(x^2+1)\} \\
&~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\{(x^4+x^2+1)-x(x^2+1)\} \\
\\
&=(x-1)(x+1)(x^4+x^2+1+x^3+x) \\
&~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(x^4+x^2+1-x^3-x) \\
\\
&=(x-1)(x+1)(x^4+x^3+x^2+x+1) \\
&~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(x^4-x^3+x^2-x+1) \\
\end{align}

が求まる。

 予め結果がわかっていないと、<方法2>の式変形はできなさそうです。
 
 
 \(~n=5~,~7~\)や\(~n=9~\)の比較すると、\(~n~\)がどのようなかけ算で表されるかによって、因数分解の方法や結果に影響が出ているのがわかります。
 
 「2記事目 考察編①」や「3記事目 考察編②」では、\(~n~\)の整数的な性質と、\(~x^n-1~\)の因数分解の結果の関係について、2つの観点から言及していきたいと思います。


 対称式と同様、次数を重ねるごとに低次で求めた結果を使えるのが楽しいですね。


 
 


◇参考文献等
・「\(x^n-1\)の因数分解に見られる数と式の不思議な関係」,<https://www.math.kyushu-u.ac.jp/pages/pdf/laboratory_koike.pdf > 2020年5月4日アクセス

数学Ⅱ式と計算数学Ⅱ

Posted by Fuku