\(~x^n-1~\)の因数分解(考察編①)

数学Ⅱ式と計算数学Ⅱ

 \(~x^2-1~\)の因数分解は中学3年生で、\(~x^3-1~,~x^4-1~\)の因数分解は数学Ⅰで習いますが、\(~x^n-1~\)の形の式の因数分解には何か共通点や規則性はあるのでしょうか? 本記事では、因数分解結果と\(~n~\)の整数的性質を見比べます。

1記事目 計算編

2記事目(本記事) 考察編①
Ⅰ カッコの個数に注目
Ⅱ 約数に対応する式
Ⅲ 応用例

3記事目 考察編②(準備中)


目次
  • 1. Ⅰ カッコの個数に注目
  • 2. Ⅱ 約数と対応する式
  • 3. Ⅲ 応用例

Ⅰ カッコの個数に注目

 前記事の「\(~x^n-1~\)の因数分解(計算編)」で導いた因数分解の結果をまずは載せておきます。

\(~x^n-1~\)の因数分解結果


\begin{align}
x^1-1&=(x-1) \\
\\
x^2-1&=(x-1)(x+1) \\
\\
x^3-1&=(x-1)(x^2+x+1) \\
\\
x^4-1&=(x-1)(x+1)(x^2+1) \\
\\
x^5-1&=(x-1)(x^4+x^3+x^2+x+1) \\
\\
x^6-1&=(x-1)(x+1)(x^2+x+1)(x^2-x+1) \\
\\
x^7-1&=(x-1)(x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1) \\
\\
x^8-1&=(x-1)(x+1)(x^2+1)(x^4+1) \\
\\
x^9-1&=(x-1)(x^2+x+1)(x^6+x^3+1) \\
\\
x^{10}-1&=(x-1)(x+1)(x^4+x^3+x^2+x+1)(x^4-x^3+x^2-x+1) \\
\end{align}


\begin{align}
x^1-1&=(x-1) \\
\\
x^2-1&=(x-1)(x+1) \\
\\
x^3-1&=(x-1)(x^2+x+1) \\
\\
x^4-1&=(x-1)(x+1)(x^2+1) \\
\\
x^5-1&=(x-1)(x^4+x^3+x^2+x+1) \\
\\
x^6-1&=(x-1)(x+1)(x^2+x+1)(x^2-x+1) \\
\\
x^7-1&=(x-1)(x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1) \\
\\
x^8-1&=(x-1)(x+1)(x^2+1)(x^4+1) \\
\\
x^9-1&=(x-1)(x^2+x+1)(x^6+x^3+1) \\
\\
x^{10}-1&=(x-1)(x+1)(x^4+x^3+x^2+x+1) \\
&~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(x^4-x^3+x^2-x+1) \\
\end{align}

 今回は、これらの式の規則性を考察していこうと思うのですが、注目したいのはカッコの個数です。
 \(~n~\)に対応するカッコの個数をまとめると、以下のようになっています。

\(n\) \(1\) \(2\) \(3\) \(4\) \(5\) \(6\) \(7\) \(8\) \(9\) \(10\)
カッコの個数 \(1\) \(2\) \(2\) \(3\) \(2\) \(4\) \(2\) \(4\) \(3\) \(4\)

 さて、ここで何かに気付けるでしょうか?
 
 単純な数列ではないですが、素数である\(~n=2~,~3~,~5~,~7~\)のとき、カッコの個数が\(~2~\)個であることがヒントです。
 
 答えは・・・
 
\(~x^n-1~\)の因数分解後カッコの個数は、\(~n~\)の約数の個数と同じになります。
 
 確認をしてみましょう。

\(n\) 因数分解 約数
\(1\) \((x-1)\)
カッコは1個
\(~1~\)
約数は1個
\(2\) \((x-1)(x+1)\)
カッコは2個
\(~1~,~2~\)
約数は2個
\(3\) \((x-1)(x^2+x+1)\)
カッコは2個
\(~1~,~3~\)
約数は2個
\(4\) \((x-1)(x+1)(x^2+1)\)
カッコは3個
\(~1~,~2~,~4~\)
約数は3個
\(5\)
\((x-1)(x^4+x^3+x^2+x+1)\)
カッコは2個


\((x-1)\)
\((x^4+x^3+x^2+x+1)\)
カッコは2個
\(~1~,~5~\)
約数は2個
\(6\)
\((x-1)(x+1)(x^2+x+1)(x^2-x+1)\)
カッコは4個


\((x-1)(x+1)\)
\((x^2+x+1)(x^2-x+1)\)
カッコは4個


\(~1~,~2~,~3~,~6~\)
約数は4個


\(1,2,3,6\)
約数は4個

 確かに\(~n=6~\)まで合致していますね。
 \(~n=7~\)から\(~n=10~\)についても確かめられます。
 
 ちなみに、\(~n=11~\)以降も少し覗いてみると・・・

\(n\) 因数分解 約数
\(11\)
\begin{align}
&(x-1) \left(x^{10}+x^9+x^8+x^7+x^6+x^5 \right. \\
&~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ \left. +x^4+x^3+x^2+x+1 \right)
\end{align}
カッコは2個


\begin{align}
&(x-1) \left(x^{10}+x^9+x^8 \right. \\
&~~\left. +x^7+x^6+x^5+x^4 \right. \\
&~~~~~~ \left. +x^3+x^2+x+1 \right)
\end{align}
カッコは2個

\(~1~,~11~\)
約数は2個


\(1,11\)
約数は2個

\(12\)
\begin{align}
&(x-1)(x+1)(x^2+x+1)(x^2+1) \\
&~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(x^2-x+1)(x^4-x^2+1)
\end{align}
カッコは6個


\begin{align}
&(x-1)(x+1) \\
&~~(x^2+x+1)(x^2+1) \\
&~~~~~(x^2-x+1)(x^4-x^2+1)
\end{align}
カッコは6個

\(~1~,~2~,~3~,~4~\)
\(~~~~~~~~~~~~~6~,~12~\)
約数は6個


\(1,2,\)
\(~3,4,\)
\(~~6,12\)
約数は6個

 約数の数が多い\(~n=12~\)も確かめられました。しかしながら、

 実は、カッコの個数と約数の個数が一致しているだけではないんです。

 次章で説明します。


Ⅱ 約数と対応する式

 因数分解後のカッコと約数の間には、さらに興味深い規則が隠れています。
 
 先ほどの表を参考にすると、因数分解後のカッコの式には、すべての\(~x^n-1~\)に共通して登場する式があるのに気づけましたか?
 
 そうです。\(~(x-1)~\)は毎回登場していますね。
 
 次に、すべての\(~n~\)で共通する約数はいくつでしょうか?
 
 これは当然\(~1~\)になりますね。
 
 
 次に、因数分解後のカッコの式で、\(~n~\)が偶数のときにのみ、\(~x^n-1~\)に共通して登場する式は何でしょうか?
\begin{align}
x^2-1&=(x-1)(x+1) \\
x^4-1&=(x-1)(x+1)(x^2+1) \\
x^6-1&=(x-1)(x+1)(x^2+x+1)(x^2-x+1)
\end{align}
 \(~(x-1)~\)以外で共通しているのは\(~(x+1)~\)ですね。
 
 次に、偶数に共通する約数はいくつでしょうか?
 
 当然、偶数は2の倍数なので、\(~2~\)となります。
 
 このように考えていくと、各カッコの中の式が、特定の約数と1対1対応していることが見えてきます。
 
 そこで、約数\(~m~\)に対応するカッコの中の多項式を\(~F_m(x)~\)と表現し、表にまとめてみましょう。

\(m\) \(F_m(x)\)
\(1\) \(x-1\)
\(2\) \(x+1\)
\(3\) \(x^2+x+1\)
\(4\) \(x^2+1\)
\(5\) \(x^4+x^3+x^2+x+1\)
\(6\) \(x^2-x+1\)
\(7\) \(x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1\)
\(8\) \(x^4+1\)
\(9\) \(x^6+x^3+1\)
\(10\) \(x^4-x^3+x^2-x+1\)
\(11\)
\(x^{10}+x^9+x^8+x^7+x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1\)


\(x^{10}+x^9+x^8+x^7+x^6\)
\(~~~~~~~~~~~~+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1\)
\(12\) \(x^4-x^2+1\)

 これにより、因数分解の結果は、
\begin{align}
x^1-1&=F_1(x) \\
x^2-1&=F_1(x)F_2(x) \\
x^3-1&=F_1(x)F_3(x) \\
x^4-1&=F_1(x)F_2(x)F_4(x) \\
x^5-1&=F_1(x)F_5(x) \\
x^6-1&=F_1(x)F_2(x)F_3(x)F_6(x) \\
\end{align}
というように、表すことができます。
 
 カッコ内の式と約数が、このような美しい対応を見せてくれる理由については、「\(~x^n-1~\)の因数分解(考察編②)」をご覧ください。


Ⅲ 応用例

 カッコ内の式と約数の対応がわかれば、\(~n~\)が大きくなったときの\(~x^n-1~\)の因数分解に利用することができます。
 
 例として、この記事でまだ登場していない\(~x^{18}-1~\)の因数分解について考えてみましょう。

 約数\(~m~\)に対応するカッコの中の多項式\(~F_m(x)~\)を考えると、
\begin{equation}
x^{18}-1=F_1(x)F_2(x)F_3(x)F_6(x)F_9(x)F_{18}(x)~~\cdots ①
\end{equation}
と表せる。
 
 また、因数分解公式から、
\begin{align}
x^{18}-1&=(x^9)^2-1 \\
&=(x^9+1)(x^9-1) \\
&=(x^9+1)F_1(x)F_3(x)F_9(x)~~~\cdots ②
\end{align}
と求まる。
 
 \(~①~\)と\(~②~\)を比較することで、
\begin{equation}
x^9+1=F_2(x)F_6(x)F_{18}(x)~~~\cdots ③
\end{equation}
とわかり、さらに左辺に因数分解公式を適用すると、
\begin{align}
x^{9}+1&=(x^3)^3+1 \\
&=(x^3+1)(x^6-x^3+1) \\
&=(x+1)(x^2-x+1)(x^6-x^3+1) \\
&=F_2(x)F_6(x)(x^6-x^3+1)~~~\cdots ④
\end{align}
と求まる。
 
 \(~③~\)と\(~④~\)を比較することで、
\begin{equation}
F_{18}(x)=(x^6-x^3+1)
\end{equation}
とわかるため、

\begin{align}
x^{18}-1&=(x-1)(x+1)(x^2+x+1)(x^2-x+1)(x^6+x^3+1)(x^6-x^3+1)
\end{align}


\begin{align}
x^{18}-1&=(x-1)(x+1)(x^2+x+1)(x^2-x+1) \\
&~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(x^6+x^3+1)(x^6-x^3+1)
\end{align}

と求まった。

 この作業により、次数を下げて因数分解を考えることができますね。
 
 
 1記事目の「\(~x^n-1~\)の因数分解(計算編)」の結果から、面白い規則性に気付けた2記事目でした。次の3記事目「\(~x^n-1~\)の因数分解(考察編②)」では、今回の面白い規則性の理由について解き明かします!!


 数と式が融合しました。数学はつながっています。


 
 


◇参考文献等
・「\(x^n-1\)の因数分解に見られる数と式の不思議な関係」,<https://www.math.kyushu-u.ac.jp/pages/pdf/laboratory_koike.pdf > 2020年5月4日アクセス

数学Ⅱ式と計算数学Ⅱ

Posted by Fuku