0の0乗

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 定義されないとの噂もある「0の0乗」。いろいろな視点から考察していきます。
Ⅰ 指数法則から考える
Ⅱ 極限から考える
Ⅲ 微分から考える
Ⅳ 二項定理から考える


目次
  • 1. Ⅰ 指数法則から考える
  • 2. Ⅱ 極限から考える
  • 3. Ⅲ 微分から考える
  • 4. Ⅳ 二項定理から考える

Ⅰ 指数法則から考える

 指数の話題でもあるので、次の指数法則を使って考察してみましょう。

指数法則

 \begin{equation}
a^{m+n}=a^m \cdot a^n
\end{equation}

 この法則を使うことで、任意の数 \(~a~\) の0乗は次のように計算できます。
\begin{equation}
\displaystyle a^0=a^{1-1}=a^1 \cdot a^{-1}=a\cdot \frac{1}{a}=1
\end{equation}
 これにより、高校時代に習った \(~2^0=1,(-4)^0=1~\) のような計算が裏付けされます。
 
 しかし、 \(~a=0~\) のときにも成り立つと言えるでしょうか。式変形の途中で \(~\displaystyle \frac{1}{a}~\) が出てきています。分母の \(~0~\) は数学界のタブーですので、計算ができません。よって、「 \(~\div 0~\) 」と同様に

  \(~0^0~\) は定義できない

 ということが言えます。
 


Ⅱ 極限から考える

  \(~0^0~\) ということで、底と指数が共に \(~0~\) です。ということで、どちらかを \(~0~\) に固定したうえで、もう一方を \(~0~\) に近づけていくことを考えます。
 
 
① 底を \(~0~\) で固定したとき
 すなわち、 \(~\displaystyle \lim_{x \to +0}0^x~\) の値を考えます。
 
 さて、 \(~0^2~\) は「0を2回かけ合わせたもの」なので、 \(~0 \times 0=0~\) です。よって、
\begin{align}
0^3&=0 \\
0^2&=0 \\
0^1&=0 \\
\end{align}
という式の羅列ができます。
 
 また、 \(~\displaystyle 0^{\frac{1}{2}}~\) は、 \(~\sqrt{0}=0~\) です。よって、
\begin{align}
\displaystyle 0^{\frac{1}{2}}&=0 \\
0^{\frac{1}{4}}&=0 \\
0^{\frac{1}{8}}&=0 \\
\end{align}
と、指数を1からどんどん小さくしていっても値は0になります。
 
したがって、
\begin{equation}
\displaystyle \lim_{x \to +0}0^x=0
\end{equation}
ということがわかります。
 
 
② 指数を \(~0~\) で固定したとき
 逆に、 \(~\displaystyle \lim_{x \to +0}x^0~\) の値を考えます。
 
数Ⅱで学んだ通り、 \(~2^0~\) や \(~3^0~\) はすべて \(~1~\) になります。よって、
\begin{align}
\displaystyle 3^0&=1 \\
2^0&=1 \\
1^0&=1 \\
\left( \frac{1}{2} \right)^0&=1 \\
\left( \frac{1}{4} \right)^0&=1 \\
\left( \frac{1}{8} \right)^0&=1 \\
\end{align}
となり、底がどんどん小さくなっても指数が0なら、その値は1になります。
 
したがって、
\begin{equation}
\displaystyle \lim_{x \to +0}x^0=1
\end{equation}
ということがわかります。
 
 
 以上のから、底を固定するか、指数を固定するかで値が違ってしまうことがわかりました。このことから、

  \(~0^0~\) は値がない(定義できない)

 ということが言えます。


Ⅲ 微分から考える

 微分ということで、 \(~f(x)=x~\) の \(~x=0~\) における微分係数を考えます。

 グラフの形状(平均変化率は常に一定)からもわかる通り、 \(~x~\) の位置にかかわらず \(~f'(x)=1~\) となります。・・・①
 
 しかし、 \(~f(x)=x^n~\) と表したものを微分すると、 \(~f'(x)=nx^{n-1}~\) です。
 今回の \(~f(x)=x~\) は \(~n=1~\) のときのことなので、 \(~f'(x)=x^0~\) となります。
  \(~x=0~\) を代入すると、 \(~f'(0)=0^0~\) となります。・・・②
 
 ①,②より、
\begin{equation}
f'(0)=0^0=1
\end{equation}

 がわかりました。 \(~0^0=1~\) になってしまいましたね。


Ⅳ 二項定理から考える

 最後は二項定理に代入するだけの方法です。

二項定理

 次の等式が成り立つ。
\begin{equation}
\displaystyle (a+b)^n=\sum_{k=0}^{n} {}_n C _k a^k b^{n-k}
\end{equation}

 この二項定理で、 \(~a=1,b=0,n=2~\) を代入して考えてみましょう。

\begin{align}
(左辺)&=(1+0)^2 \\
\\
&=1 \\
\\
\displaystyle (右辺)&=\sum_{k=0}^{2} {}_2 C _k \cdot 1^k \cdot 0^{2-k} \\
\\
&={}_2 C _0 \cdot 1^2 \cdot 0^{0}+ {}_2 C _1 \cdot 1^1 \cdot 0^{1} +{}_2 C _2 \cdot 1^0 \cdot 0^{2} \\
\\
&=1 \cdot 1 \cdot 0^{0}+2 \cdot 1 \cdot 0 +1 \cdot 1 \cdot 0 \\
\\
&=0^{0}+0+0  \\
\\
&=0^{0}
\end{align}


\begin{align}
&(左辺) \\
&=(1+0)^2 \\
&=1 \\
\\
&\displaystyle (右辺) \\
&=\sum_{k=0}^{2} {}_2 C _k \cdot 1^k \cdot 0^{2-k} \\
\\
&={}_2 C _0 \cdot 1^2 \cdot 0^{0}+ {}_2 C _1 \cdot 1^1 \cdot 0^{1} +{}_2 C _2 \cdot 1^0 \cdot 0^{2} \\
\\
&=1 \cdot 1 \cdot 0^{0}+2 \cdot 1 \cdot 0 +1 \cdot 1 \cdot 0 \\
\\
&=0^{0}+0+0  \\
\\
&=0^{0}
\end{align}

 したがって、 \(~(左辺)=(右辺)~\) より、

\begin{equation}
0^0=1
\end{equation}

 これまた、 \(~0^0=1~\) が導かれました。


 数学の秩序をもってしても、はっきりとした答えが出ない \(~0^0~\) の神秘性。さすが、悪魔の数字0!
あ、次は「0!」の話題にしますか。

   
 
 


◇参考文献等
・「埼玉工業大学 機械工学学習支援セミナー」,<https://www.sit.ac.jp/user/konishi/JPN/L_Support/SupportPDF/0thPowerOfRealNumber.pdf> 2018年10月29日アクセス