小さな数の数え方
Ⅰ 数の読み方
現在、「0」から「9」までの10個の数字でどんな大きい数でも小さい数でも表すことができます。
ただ、数を口に出して読むときには「数詞」と呼ばれる言葉が必要となってきます。
例えば、「293」。これを読むときに「二九三(にきゅうさん)」と読む日本人はまずいないでしょう。
普通、これを「二百九十三(にひゃくきゅうじゅうさん)」と読みます。
仮にケタが増えたとしても、「1 2345 6789」を「一億 二千三百四十五万 六千七百八十九」と、数詞のおかげで4ケタ刻みで読むことができるのです。(→「大きな数の数え方」へ)
逆に、体温を測ったときの「36.5℃」。これは何と読みますか?
これを「三十六点五度」と読む人もいれば、「三十六度 五分」と読む人もいますよね?
では、小数点以下のケタ数が増えていったときには、どう読むのでしょうか?
よく知られている「分」「厘」よりも下のケタの数詞を、漢字の意味と共に紹介していきます。
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Ⅱ 小さな数の数詞
では、表でまとめてみましょう。「??」が付いているのはあくまでもこの記事の筆者の予測です。
数 | 漢字 | 読み方 | 漢字の意味 |
---|---|---|---|
\(10^{-1}\) | 分 | ブ | 全体を10に分けたときの1つの量 |
\(10^{-2}\) | 厘 | リン | ごくわずかなこと |
\(10^{-3}\) | 毛 | モウ | 毛のように細いもの |
\(10^{-4}\) | 糸 | シ | 糸のように細いもの |
\(10^{-5}\) | 忽 | コツ | たちまちに。にわかに。 |
\(10^{-6}\) | 微 | ビ | かすか。わずか。ほのか。 |
\(10^{-7}\) | 繊 | セン | ほそい糸。細い。か細い。 |
\(10^{-8}\) | 沙 | シャ | 砂 |
\(10^{-9}\) | 塵 | ジン | ちり。ほこり。ゴミ。 |
\(10^{-10}\) | 埃 | アイ | ほこり。小さなゴミ。 |
\(10^{-11}\) | 渺 | ビョウ | 果てしなく広がる。はっきり見えない |
\(10^{-12}\) | 漠 | バク | 果てしないさま。はっきりしない。 |
\(10^{-13}\) | 模糊 | モコ | ぼんやりしてはっきりしないこと |
\(10^{-14}\) | 逡巡 | シュンジュン | 決断をためらってぐずぐずすること。(ぼんやりすること?) |
\(10^{-15}\) | 須臾 | シュユ | しばらく。少しの間。 |
\(10^{-16}\) | 瞬息 | シュンソク | 瞬間にする息のように短い時間 |
\(10^{-17}\) | 弾指 | ダンシ | きわめて短い時間 |
\(10^{-18}\) | 刹那 | セツナ | ごく短い時間 |
\(10^{-19}\) | 六徳 | リットク | 人の守るべき六種の徳目。 |
\(10^{-20}\) | 虚空 | コクウ | 無の空間。 |
\(10^{-21}\) | 清浄 | ショウジョウ | 煩悩など無く、心清らかなさま |
\(10^{-22}\) | 阿頼耶 | アラヤ | 「阿頼耶識」で、個人の存在の根本にある、通常は意識されることのない識。 |
\(10^{-23}\) | 阿摩羅 | アマラ | 「阿摩羅識」で、穢れのない無垢な識。 |
\(10^{-24}\) | 涅槃寂静 | ネハンジャクジョウ | 不生不滅の悟りの境地 |
こうして並べてみると、まずは目に見える小さいものが使われていて、その後「ビョウ」から「モコ」のような風景的なまとまりや、「シュンジュン」から「セツナ」のような時間のまとまりがあるようです。
「リットク」からは、漢字の読み方からもわかるよう仏教用語です。「0(無)」に近いからでしょうか・・・?
ちなみに、打率などで「0.321」を「3割2分1厘」と読みますが、このときの「分」や「厘」は、「割」に対する\(~\displaystyle \frac{1}{10}~,~ \frac{1}{100}~\)です。
ややこしいですよね・・・。
仏教用語も相まって、全て続けて読むとお経のように聞こえます。
◇参考文献等
・日本漢字能力検定協会(2015)『漢検 漢字辞典[第2版]』
・「新纂 浄土宗大辞典」,<http://jodoshuzensho.jp/daijiten/index.php/> 2020年4月14日アクセス
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