Fukusuke著『教養としての数学史』の内容と特徴を筆者自身が解説!

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教養としての数学史アイキャッチ

 数学は紀元前から世界に影響を与えてきた学問である。

 この事実を全18話で解説する書籍『教養としての数学史』6月11日(水) に発売されます!

 筆者は当ブログ「Fukusukeの数学めも」の管理人Fukusuke

 2作目となる本作は以下のような特徴があります。

  • 紀元前から現代まで、数学が世界にどう影響を与えたかが理解できる。
  • 縦書きで数式少なめ。物語が中心。
  • 数学を世界に活用してきた偉人たちのヒューマンドラマに感動!

 副題は「紀元前から現代まで、新たな世界の成り立ちが見えてくる18講」であり、読む数学ドラマが18話収録されています。

 この記事では、『教養としての数学史』の内容や特徴を筆者自らが解説!

 教養として知っておきたい数学の影響力、タイムマシンに乗った気分で覗いてみませんか?

この記事を読んでわかること

なぜ今、「数学史」と「世界史」なのか?

 現在、著しい発展を遂げるAI(人工知能)

 暮らしが便利になる一方、人間の働き方が大きく変わる時代の転換点が来ています。 

急速に発達するAI社会

 しかし、世界史を俯瞰してみると、こういった時代の転換点は幾度となくあったように思えます。
 特に、ルネサンスやフランス革命、二度の世界大戦などは大きな転換点と言えるでしょう。

 現在のAIで数学が必要不可欠と言われているように、過去の時代の転換点において、数学はどのように貢献してきたのか?
 それを紐解くのが本書『教養としての数学史』です。

 上記の意図で執筆された本書は、「数学史」と「世界史」が融合した新感覚ノンフィクションとなっています。

 『教養としての数学史』を読むことで、数学が歴史を動かし、現代社会の礎を築いてきたダイナミックな存在であることを感じられることでしょう。

『教養としての数学史』の内容

 数学が世界に与えたノンフィクション数学ドラマを18話収録していますが、その18話が4つのChapter、3つの分野に分かれています。

時代別の4つのChapter

 本書『教養としての数学史』は、全18話が時系列に沿って並んでおり、以下の4つのChapterに大別されます。

Chapterタイトル話数扱われている時代
紀元前・科学の暗黒時代(〜中世)2話〜13世紀
科学の黎明期(近世)5話14世紀〜18世紀
動乱の時代(近代)7話19世紀〜1945
平和の道へ(現代)4話1945〜

 各Chapterのはじめには、各話の背景となる世界史の出来事や、主人公となる偉人たちの生きた時代が年表形式でわかります。

Chapter扉ページ(1章)
Chapter扉ページ(1章)

 数学で世界がどう変わったかを理解するために、そのときの世界の状況をざっくりと知っておきましょう。

数学 × 3つの分野

 また、『教養としての数学史』の18話の物語は、内容によって3つの分野に分けることができます。

分野話数内容例
戦争6話武器、軍事戦略、暗号解読、野戦病院
経済6話貿易、保険、経営戦略、株価予測
公共6話民主的な決め方、政治思想、人口統計、マッチング

 天文学や物理学といった理系分野ではなく、どれも数学からは距離をおいた分野となっています。
 そのため、数学が昔から社会の様々なところで役に立っていることを感じることができるでしょう。

全18話の主人公

 各話では、数学を使って世界に影響を与えた偉人の生涯にも焦点が当てられています。

 各chapter、各分野で登場する偉人たちを一挙公開!

戦争経済公共
アルキメデスフィボナッチ
フランソワ・ヴィエトルカ・パチョーリ
ド・モアブル
ダニエル・ベルヌーイ
ニコラ・ド・コンドルセ
フローレンス・ナイチンゲール
フレデリック・ランチェスター
アラン・チューリング
ジョン・フォン・ノイマン アドルフ・ケトレー
ヴィルフレド・パレート
フランク・ベンフォード
ジョン・ナッシュフィッシャー・ブラック&マイロン・ショールズケネス・アロー
デイビッド・ゲイル&ロイド・シャープレー

 登場する偉人たちは数学者に限らず工学者や経済学者など多岐に渡っているのがわかるでしょう。 

『教養としての数学史』特長5選

 この本を執筆するにあたり、読者の皆様に数学史の面白さを最大限にお伝えできるよう、特にこだわった点を5つご紹介します!

数学と社会の「意外な接点」

   「数学は理系のもの」という固定観念を覆し、戦争、経済、公共政策といった文系、とりわけ社会分野との強いつながりを明らかにします。
 特に文系科目が得意な方にこそ、新たな視点として楽しんでいただけるはずです。

数学と戦争、経済、公共のつながり

   「数学史は初めて」という方には知的好奇心を刺激する数学への視点を、「数学や数学史には詳しい」という方には数学が世界史に与えた具体的な影響という新たな視点を提供します。

専門的な内容も”わかりやすく”解説!

   現役数学教員としての知見を活かし、専門性の高い内容も身近な例を交えながら丁寧に解説しました。

放物線の焦点を虫眼鏡を例に説明
放物線の焦点を虫眼鏡を例に説明

 また、数式も極力シンプルにし、数学が苦手な方でも直感的に理解できるよう工夫しています。
 例えば、本書で扱っている「ランチェスターの一次法則」は以下のように表現されるのが一般的です。

ランチェスターの一次法則

 $~x~$人の兵士を有するX軍と、$~y~$人の兵士を有するY軍が戦うとき、それぞれの武器性能を$~\alpha~,~\beta~$とすると、時間$~t~$に対して以下の式が成り立つ。

\frac{dx}{dt}=-\alpha~ , ~ \frac{dy}{dt}=-\beta 

これを『教養としての数学史』では、次のように表現しています。

『教養としての数学史』におけるランチェスターの一次法則
『教養としての数学史』におけるランチェスターの一次法則

 X軍とY軍の武器性能を同じとしてとらえ、一定時間ごとに1人ずつ減っていく設定です。
 このように、数式の根幹部分は変えずに、細部を簡素化しているのがわかるでしょう。

 もちろん、数式を見なくても理解できるよう、その式が表している意味を文章で説明しているので、数式アレルギーの方もご安心ください!

歴史の背景がスッと頭に入る年表

   先述の通り、各Chapterの冒頭には、その時代を象徴する出来事をまとめた年表を掲載。

 そのChapter登場する偉人たちが、どのような時代背景のもとで活躍したのかを把握できます。

Chapter扉ページ(2章)

 例として、ルカ・パチョーリでいえば、複式簿記を体系化するにあたって、以下のような時代背景が見えてきます。

  • 14世紀初頭:イタリアで商人の子への教育が始まる
  • 14~15世紀:イタリアで地中海貿易が流行し、複雑な商取引が増加する
  • 1450年頃:活版印刷術が発明され、知識の普及が容易になる
  • 1494年:パチョーリが複式簿記を体系化し、ヨーロッパに広まっていく

 この年表ページに目を通すことで、時代の概観を掴んだうえで各話を楽しめます

臨場感あふれるタッチの挿絵

 各Chapterに1点ずつ挿絵を入れ、当時の雰囲気をイメージしやすくしました。

ローマ数字の計算に困る商人の挿絵 ©芦刈将

 イラストレーターは芦刈将様。
 各話の時代背景に沿った、臨場感あふれるイラストをありがとうございました。

 芦刈様のサイトもカッコイイです↓↓

洗練されたデザイン

   アルキメデスが際立つクールなテイストの表紙、その話を象徴する一文から始まる各話のタイトルページ、先に紹介した臨場感のあるイラストなど、本書は読んでいることを思わずアピールしたくなるデザインとなっています。

各話のタイトルページ
各話のタイトルページ

 また、数学を扱っているものの世界史的な側面が強いため、縦書きで書かれています。
 数式は縦書きではなく、図として横書きにしているのでご安心を。

数式は横書き
数式は横書き

 サイズはカバンにも入れやすいコンパクトな四六判(B5のノートのおおよそ半分のサイズ)です。

『教養としての数学史」大きさ
『教養としての数学史」大きさ

 前作の『数学史図鑑』はお家で、今作の『教養としての数学史』は移動時間にお楽しみください。

かんき出版様より

 かんき出版様のサイトに掲載されている紹介文です。
 編集担当の方にお願いして、引用させていただきました。

「数学史」のブログで月間8万PV!
中学生、高校生の数学授業に取り入れている人気!
数式を飛ばしてもわかる「読む数学ドラマ」を18話収録


ルネサンス、フランス革命、世界大戦……、
時代が変わる節目に、数学はどう影響したのか。

実はその裏には、知られざる「数学ドラマ」があったのです。

●第三次世界大戦を防いだ、アメリカの数学者
●慈愛だけではない。ナイチンゲールが後世に残した遺産
●ムッソリーニの政治思想を変えた、ある数学者の講義
●予測不可能な株価変動を予測する数式

世界史を揺るがす数学の影響力は、とにかくスケールがでかい。
これまでになかった新感覚な歴史が見えてくることでしょう。

そして、数学者の人間味溢れる人生に心を揺さぶられます。

〇ノーベル賞を生んだ、5000kmの手紙のやりとり
〇ドイツ軍からイギリスを救った英雄、なぜ自殺に追い込まれたか
〇妻を亡くし、娘を亡くし、それでも研究し続けたその熱意とは
〇平等を訴えたある貴族の、裏切られる最期
〇20000以上のデータを、ひたすら集めた奇人の発見した法則
〇死期を正確に予測した数学者
〇言ってはいけない暗号解読を、高らかに自慢した異端者

本書は、これまでの「数学」「世界史」の概念が変わるノンフィクション

数学史だけが持つ「視点」で物事が見えてくる。

まとめ:数学と世界史に対する見方が変わる一冊

 数学と世界史。
 一見すると無関係に思える二つの分野が、実は密接に絡み合い、互いに影響を与えながら紀元前からは現代までの世界を形作ってきました。

 『教養としての数学史』は、その壮大なドラマを紐解き、あなたの知的好奇心を刺激する一冊です。

 数学を世界史から、あるいは世界史を数学から眺めてみませんか?

 紙の書籍、電子書籍ともに から購入できます!

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