4次方程式解の公式

大学・一般数学方程式・不等式大学・一般数学

ルドヴィコ・フェラーリが発見した4次方程式の解の公式とその証明、またその発見までの経緯について紹介します。


目次
  • 1. Ⅰ 歴史
  • 2. Ⅱ 解の公式と証明
  • 3. Ⅲ 例

Ⅰ 歴史

 1545年、ジェロラモ・カルダノが著書『アルス・マグナ』で3次方程式の解の公式について初めて述べました。この『アルス・マグナ』の中で、実は4次方程式の解の公式についても載せています。
 4次方程式の解の公式を発見したのは、カルダノの弟子であるルドヴィコ・フェラーリ。フェラーリは、タルタリアのヒントから3次方程式の解の公式をカルダノと探っているうちに、4次方程式の解の公式を見つけました。
 フェラーリはその後、3次方程式の解の公式の発表でカルダノと揉めたタルタリアと、数学試合(互いにいくつか問題を出し合い、期限までに解いた数が多いほうが勝ち)を行い、勝利しています。

※合わせてどうぞ↓



Ⅱ 解の公式と証明

4次方程式解の公式

4次方程式
\begin{equation}
ax^4+bx^3+cx^2+dx+e=0
\end{equation}
を変形してできる4次方程式
\begin{equation}
(x^2+l)^2=(mx+n)^2
\end{equation}
から、この方程式の解は次のように求められる。

\begin{equation}
x=\displaystyle \frac{-m \pm \sqrt{m^2-4(l+n)}}{2} , \frac{m \pm \sqrt{m^2-4(l-n)}}{2}
\end{equation}


\begin{multline}
x=\displaystyle \frac{-m \pm \sqrt{m^2-4(l+n)}}{2} , \\
\\
\frac{m \pm \sqrt{m^2-4(l-n)}}{2}
\end{multline}

 解の公式を得られるまでの式変形が大変ですが、この手順を踏むことで4次方程式の解が確実に求まります。では、どのような式変形を施せばよいのかを証明の中で見てみましょう。

証明


4次方程式
\begin{equation}
ax^4+bx^3+cx^2+dx+e=0
\end{equation}
の両辺を、\( a \)でわると、
\begin{equation}
\displaystyle x^4+\frac{b}{a}x^3+\frac{c}{a}x^2+\frac{d}{a}x+\frac{e}{a}=0
\end{equation}
となり、それぞれの係数を文字で置き換えて、
\begin{equation}
\displaystyle x^4+Ax^3+Bx^2+Cx+D=0
\end{equation}
とできる。ここで、\( \displaystyle y=x+\frac{1}{4}A ~\) で置き換えて、式変形していくと、
\begin{split}
(左辺)&=\displaystyle \left( y-\frac{A}{4} \right) ^4 + A\left( y-\frac{A}{4} \right) ^3 +B \left( y-\frac{A}{4} \right) ^2 + C \left( y-\frac{A}{4} \right) + D \\ \\
&= \displaystyle y^4-Ay^3+\frac{3}{8}A^2y^2 – \frac{1}{16}A^3 y + \frac{1}{256}A^4 + A y^3 -\frac{3}{4}A^2y^2 \\
&\ \ +\frac{3}{16}A^3y – \frac{1}{64}A^4 +B y^2 – \frac{1}{2}AB y +\frac{1}{16}A^2B +Cy -\frac{1}{4}AC + D \\ \\
&=\displaystyle y^4+\left(\frac{3}{8}A^2 – \frac{3}{4}A^2 +B \right)y^2 + \left(-\frac{1}{16}A^3+\frac{3}{16}A^3-\frac{1}{2}AB+C \right) y \\
&\ \ + \left( \frac{1}{256}A^4 – \frac{1}{64}A^4 + \frac{1}{16}A^2B – \frac{1}{4}AC +D \right) \\ \\
\end{split}
この式のカッコの中をさらに文字で置き換えることにより、どんな4次方程式も \begin{equation}
y^4+py^2+qy+r=0
\end{equation}
と変形することができる。この式を移項して、
\begin{equation}
y^4=-py^2-qy-r
\end{equation}
とし、両辺に\( 2ty^2+t^2 ~\) を加えると、
\begin{align}
y^4+2ty^2+t^2&=-py^2-qy-r+2ty^2+t^2 \\ \\
(y^2+t)^2&=(2t-p)y^2-qy+t^2-r \\
\end{align}
となる。ここで使った \(~t~\) はどのような数であれば良いかを考える。 左辺が2乗の形になったため、右辺も\( (my+n)^2 \)の形になれば、

\begin{align}
(y^2+t)^2&=(my+n)^2 \\ \\
(y^2+t)^2-(my+n)^2 &=0 \\ \\
(y^2+my+t+n)(y^2-my+t-n)&=0 \\
\end{align}


\begin{align}
(y^2+t)^2=(my+n)^2& \\ \\
(y^2+t)^2-(my+n)^2 &=0 \\ \\
(y^2+my+t+n)(y^2-my+t-n)&=0 \\
\end{align}

となり、2次方程式が2つの形となる。 右辺が\( (my+n)^2 \)の形になるための条件は、\( (右辺) =0 \)の判別式\( D=0 \)となればよいので、
\begin{equation}
q^2-4(2t-p)(t^2-r)=0
\end{equation}
をみたす\( t \)を決定すればよい。 そのような\( t \)を決定することで、4次方程式は
\begin{equation}
(y^2+my+t+n)(y^2-my+t-n)=0
\end{equation}
となるため、2次方程式の解の公式から、最終的な解として
\begin{equation}
y=\displaystyle \frac{-m\pm\sqrt{m^2-4(t+n)}}{2} , \frac{m\pm\sqrt{m^2-4(t-n)}}{2}
\end{equation}
が得られる。


4次方程式
\begin{equation}
ax^4+bx^3+cx^2+dx+e=0
\end{equation}
の両辺を、\( a \)でわると、
\begin{equation}
\displaystyle x^4+\frac{b}{a}x^3+\frac{c}{a}x^2+\frac{d}{a}x+\frac{e}{a}=0
\end{equation}
となり、それぞれの係数を文字で置き換えて、
\begin{equation}
\displaystyle x^4+Ax^3+Bx^2+Cx+D=0
\end{equation}
とできる。ここで、\( \displaystyle y=x+\frac{1}{4}A ~\) で置き換えて、式変形していくと、
\begin{align}
&(左辺) \\
\\
&=\displaystyle \left( y-\frac{A}{4} \right) ^4 + A\left( y-\frac{A}{4} \right) ^3 \\
&+B \left( y-\frac{A}{4} \right) ^2 + C \left( y-\frac{A}{4} \right) + D \\
\\
&= \displaystyle y^4-Ay^3+\frac{3}{8}A^2y^2 – \frac{1}{16}A^3 y + \frac{1}{256}A^4 \\
&+ A y^3 -\frac{3}{4}A^2y^2 +\frac{3}{16}A^3y – \frac{1}{64}A^4 \\
&+B y^2 – \frac{1}{2}AB y +\frac{1}{16}A^2B \\
&+Cy -\frac{1}{4}AC + D \\
\\
&=\displaystyle y^4+\left(\frac{3}{8}A^2 – \frac{3}{4}A^2 +B \right)y^2 \\
&+ \left(-\frac{1}{16}A^3+\frac{3}{16}A^3-\frac{1}{2}AB+C \right) y \\
&+ \left( \frac{1}{256}A^4 – \frac{1}{64}A^4 + \frac{1}{16}A^2B – \frac{1}{4}AC +D \right)
\end{align}
この式のカッコの中をさらに文字で置き換えることにより、どんな4次方程式も \begin{equation}
y^4+py^2+qy+r=0
\end{equation}
と変形することができる。この式を移項して、
\begin{equation}
y^4=-py^2-qy-r
\end{equation}
とし、両辺に\( 2ty^2+t^2 ~\) を加えると、
\begin{align}
y^4+2ty^2+t^2&=-py^2-qy-r+2ty^2+t^2 \\ \\
(y^2+t)^2&=(2t-p)y^2-qy+t^2-r \\
\end{align}
となる。ここで使った \(~t~\) はどのような数であれば良いかを考える。 左辺が2乗の形になったため、右辺も\( (my+n)^2 \)の形になれば、
\begin{align}
(y^2+t)^2&=(my+n)^2 \\ \\
(y^2+t)^2-(my+n)^2 &=0 \\ \\
(y^2+my+t+n)(y^2-my+t-n)&=0 \\
\end{align}
となり、2次方程式が2つの形となる。 右辺が\( (my+n)^2 \)の形になるための条件は、\( (右辺) =0 \)の判別式\( D=0 \)となればよいので、
\begin{equation}
q^2-4(2t-p)(t^2-r)=0
\end{equation}
をみたす\( t \)を決定すればよい。 そのような\( t \)を決定することで、4次方程式は
\begin{equation}
(y^2+my+t+n)(y^2-my+t-n)=0
\end{equation}
となるため、2次方程式の解の公式から、最終的な解として
\begin{multline}
y=\displaystyle \frac{-m\pm\sqrt{m^2-4(t+n)}}{2} , \\
\\
\frac{m\pm\sqrt{m^2-4(t-n)}}{2}
\end{multline}
が得られる。


Ⅲ 例

3次方程式の解の公式と同様、様々な式変形が必要であることがわかりました。 では、証明と同様の手順を踏んで、4次方程式を1題解いてみましょう。

例題

次の4次方程式を解の公式を用いて解きなさい。
\begin{equation}
x^4-12x^3+49x^2-78x+40=0
\end{equation}

解説


まず、\( \displaystyle y=x+\frac{-12}{4}=x-3 \)で置き換えると、4次方程式の左辺は、
\begin{align}
(左辺)&= (y+3)^4-12(y+3)^3+49(y+3)^2-78(y+3)+40 \\ \\ &=y^4+12y^3+54y^2+108y+81-12(y^3+9y^2+27y+27)\\ &+49(y^2+6y+9)-78(y+3)+40 \\ \\
&=y^4+54y^2+108y+81-108y^2-324y-324\\
&+49y^2+294y+441-78y-234+40 \\ \\
&=y^4-5y^2+4
\end{align}
よって、例題の4次方程式は
\begin{equation}
y^4-5y^2+4=0
\end{equation}
と変形できた。この式を移項して、
\begin{equation}
y^4=5y^2-4
\end{equation}
となる。ここで、両辺に\( 2ty^2+t^2 \)を加えると、
\begin{align}
y^4+2ty^2+t^2&=5y^2-4+2ty^2+t^2 \\ \\
(y^2+t)^2&=(5+2t)y^2+t^2-4
\end{align}
となるため、右辺の判別式\( D ~\) が \(~0~\) となるように、\( t ~\) を求めると、 \begin{align}
-4(5+2t)(t^2-4)&=0 \\
\end{align}
\begin{equation}
t=\displaystyle -\frac{5}{2} , \pm 2
\end{equation}
となる。どの\( t ~\) の値を使ってもよいため、計算しやすさから\( t=2 ~\) を採用して、 4次方程式に代入すると、
\begin{align}
(y^2+2)^2&=(5+2\times 2)y^2+2^2-4 \\ \\
(y^2+2)^2&=9y^2 \\ \\
(y^2+2)^2-9y^2&=0 \\ \\
(y^2+3y+2)(y^2-3y+2)&=0 \\ \\
(y+2)(y+1)(y-2)(y-1)&=0 \\
\end{align}
\begin{equation}
y=-2,-1,1,2
\end{equation}
であり、最初に\( y=x-3 \)と置き換えていたため、最終的に求めたい解 \(~x~\) は、
\begin{equation}
x=1,2,4,5
\end{equation}
となり、解は求まった。


まず、\( \displaystyle y=x+\frac{-12}{4}=x-3 \)で置き換えると、4次方程式の左辺は、
\begin{align}
&(左辺)\\
&= (y+3)^4-12(y+3)^3+49(y+3)^2 \\
&-78(y+3)+40 \\
\\
&=y^4+12y^3+54y^2+108y+81 \\
&-12(y^3+9y^2+27y+27) \\
&+49(y^2+6y+9)-78(y+3)+40 \\
\\
&=y^4-5y^2+4
\end{align}
よって、例題の4次方程式は
\begin{equation}
y^4-5y^2+4=0
\end{equation}
と変形できた。この式を移項して、
\begin{equation}
y^4=5y^2-4
\end{equation}
となる。ここで、両辺に\( 2ty^2+t^2 \)を加えると、
\begin{align}
y^4+2ty^2+t^2&=5y^2-4+2ty^2+t^2 \\ \\
(y^2+t)^2&=(5+2t)y^2+t^2-4
\end{align}
となるため、右辺の判別式\( D ~\) が \(~0~\) となるように、\( t ~\) を求めると、 \begin{align}
-4(5+2t)(t^2-4)&=0 \\
\end{align}
\begin{equation}
t=\displaystyle -\frac{5}{2} , \pm 2
\end{equation}
となる。どの\( t ~\) の値を使ってもよいため、計算しやすさから\( t=2 ~\) を採用して、 4次方程式に代入すると、
\begin{equation}
(y^2+2)^2=(5+2\times 2)y^2+2^2-4
\end{equation}
となるため、あとはこれを因数分解する。
\begin{align}
(y^2+2)^2&=9y^2 \\ \\
(y^2+2)^2-9y^2&=0 \\ \\
(y^2+3y+2)(y^2-3y+2)&=0 \\ \\
(y+2)(y+1)(y-2)(y-1)&=0 \\
\end{align}
\begin{equation}
y=-2,-1,1,2
\end{equation}
であり、最初に\( y=x-3 \)と置き換えていたため、最終的に求めたい解 \(~x~\) は、
\begin{equation}
x=1,2,4,5
\end{equation}
となり、解は求まった。

実際、例題の4次方程式を因数分解すると、
\begin{align}
&x^4-12x^3+49x^2-78x+40 \\
&=(x-1)(x-2)(x-4)(x-5)
\end{align}
となるため、この4次方程式の解の公式で、確かに求められていることがわかります。


3次方程式ほどではないけど、解の公式が複雑・・・。(・□・) 解の公式というか、解を求めるマニュアルですね。

   
 
 


☆参考文献
・Bertrand Hauchecorne , Daniel Suratteau(2015)『世界数学者事典』,pp399-400,熊原啓作訳,日本評論社.