どんな二次方程式でも解ける「解の公式」があるように、実は四次方程式にも一般に解を求められる公式が存在します。
それを発見したとされているのが、16世紀イタリアの数学者ルドヴィコ・フェラーリです。
その公式が非常に複雑であることに加え、初めて発表されたのはフェラーリの師匠であるカルダーノの著書『アルス・マグナ』でした。
この記事では、フェラーリが発見した四次方程式の解の公式の内容と証明と使用例、さらにその発見や発表に至るまでの経緯について、数学史の先生Fukusukeがわかりやすく解説します。
この記事を読めば、四次方程式がどのようにして解けるのか、そしてフェラーリの公式が数学史の中でどれほど画期的だったのかがわかります。
四次方程式の解の公式とは?
任意の四次方程式が解ける
解の公式と聞いて最も有名なのは、二次方程式の解の公式です。
どんな二次方程式でも、以下の式に数をあてはめることによって、解を求めることができました。
二次方程式$~ax^2+bx+c=0~~(a \neq 0)~$の解は、次の式で求めることができる。
x=\frac{-b \pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a} これと同様に、あてはめれば解を求められる公式が四次方程式にも存在します。
それが、四次方程式の解の公式です。
四次方程式
ax^4+bx^3+cx^2+dx+e=0~~~~(a\neq0)
を変形してできる四次方程式
(y^2+t)^2=(my+n)^2~~~~\cdots(*)
の解は次のように求められる。
y=\frac{-m \pm \sqrt{m^2-4(t+n)}}{2} ~,~ \frac{m \pm \sqrt{m^2-4(t-n)}}{2}この$~y~$を$~x~$にもどすことで、元の四次方程式の解を求めることができる。
$~(*)~$の四次方程式の作り方は、証明の中で紹介しています。
xを直接求める公式はものすごく長い
上記の公式では、$~x~,~a~,~b~,~c~,~d~,~e~$の方程式から$~y~,~t~,~m~,~n~$の方程式に変形をして、$~y~$を求めてから、$~x~$に戻すという説明をしています。
多くの解説書で上記の書かれ方をしていますが、もし二次方程式の解の公式のように、$~x~$を$~a~,~b~,~c~,~d~,~e~$で表したらどのような式が誕生するのでしょうか。
計算の過程は省略しますが、実際に表すと以下のようなとてつもない長さの式になります。
四次方程式
ax^4+bx^3+cx^2+dx+e=0~~~~(a\neq0)
の4つの解$~x_1~,~x_2~,~x_3~,~x_4~$は、次の式でそれぞれ求めることができる。
(横にスクロールすることで、式の全貌を見ることができます)
\begin{aligned}x_{1}=&-{\frac {b}{4a}}\\&-{\frac {1}{2}}{\sqrt {{\frac {b^{2}}{4a^{2}}}+{\frac {\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}{3{\sqrt[{3}]{2}}a}}+{\frac {{\sqrt[{3}]{2}}\left(c^{2}-3db+12ea\right)}{3a{\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}}}-{\frac {2c}{3a}}}}\\&-{\frac {1}{2}}{\sqrt {{{\frac {b^{2}}{2a^{2}}}-{\frac {\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}{3{\sqrt[{3}]{2}}a}}-{\frac {{\sqrt[{3}]{2}}\left(c^{2}-3db+12ea\right)}{3a{\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}}}-{\frac {-{\frac {b^{3}}{a^{3}}}+{\frac {4cb}{a^{2}}}-{\frac {8d}{a}}}{4{\sqrt {{\frac {b^{2}}{4a^{2}}}+{\frac {\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}{3{\sqrt[{3}]{2}}a}}+{\frac {{\sqrt[{3}]{2}}\left(c^{2}-3db+12ea\right)}{3a{\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}}}-{\frac {2c}{3a}}}}}}}-{\frac {4c}{3a}}}}\\
\end{aligned}\begin{aligned}x_{2}=&-{\frac {b}{4a}}\\&-{\frac {1}{2}}{\sqrt {{\frac {b^{2}}{4a^{2}}}+{\frac {\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}{3{\sqrt[{3}]{2}}a}}+{\frac {{\sqrt[{3}]{2}}\left(c^{2}-3db+12ea\right)}{3a{\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}}}-{\frac {2c}{3a}}}}\\&+{\frac {1}{2}}{\sqrt {{{\frac {b^{2}}{2a^{2}}}-{\frac {\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}{3{\sqrt[{3}]{2}}a}}-{\frac {{\sqrt[{3}]{2}}\left(c^{2}-3db+12ea\right)}{3a{\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}}}-{\frac {-{\frac {b^{3}}{a^{3}}}+{\frac {4cb}{a^{2}}}-{\frac {8d}{a}}}{4{\sqrt {{\frac {b^{2}}{4a^{2}}}+{\frac {\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}{3{\sqrt[{3}]{2}}a}}+{\frac {{\sqrt[{3}]{2}}\left(c^{2}-3db+12ea\right)}{3a{\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}}}-{\frac {2c}{3a}}}}}}}-{\frac {4c}{3a}}}}\\\end{aligned}\begin{aligned}x_{3}=&-{\frac {b}{4a}}\\&+{\frac {1}{2}}{\sqrt {{\frac {b^{2}}{4a^{2}}}+{\frac {\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}{3{\sqrt[{3}]{2}}a}}+{\frac {{\sqrt[{3}]{2}}\left(c^{2}-3db+12ea\right)}{3a{\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}}}-{\frac {2c}{3a}}}}\\&-{\frac {1}{2}}{\sqrt{ {{\frac {b^{2}}{2a^{2}}}-{\frac {\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}{3{\sqrt[{3}]{2}}a}}-{\frac {{\sqrt[{3}]{2}}\left(c^{2}-3db+12ea\right)}{3a{\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}}}+{\frac {-{\frac {b^{3}}{a^{3}}}+{\frac {4cb}{a^{2}}}-{\frac {8d}{a}}}{4{\sqrt {{\frac {b^{2}}{4a^{2}}}+{\frac {\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}{3{\sqrt[{3}]{2}}a}}+{\frac {{\sqrt[{3}]{2}}\left(c^{2}-3db+12ea\right)}{3a{\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}}}-{\frac {2c}{3a}}}}}}}-{\frac {4c}{3a}}}}\\\end{aligned}\begin{aligned}x_{4}=&-{\frac {b}{4a}}\\&+{\frac {1}{2}}{\sqrt {{\frac {b^{2}}{4a^{2}}}+{\frac {\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}{3{\sqrt[{3}]{2}}a}}+{\frac {{\sqrt[{3}]{2}}\left(c^{2}-3db+12ea\right)}{3a{\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}}}-{\frac {2c}{3a}}}}\\&+{\frac {1}{2}}{\sqrt {{{\frac {b^{2}}{2a^{2}}}-{\frac {\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}{3{\sqrt[{3}]{2}}a}}-{\frac {{\sqrt[{3}]{2}}\left(c^{2}-3db+12ea\right)}{3a{\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}}}+{\frac {-{\frac {b^{3}}{a^{3}}}+{\frac {4cb}{a^{2}}}-{\frac {8d}{a}}}{4{\sqrt {{\frac {b^{2}}{4a^{2}}}+{\frac {\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}{3{\sqrt[{3}]{2}}a}}+{\frac {{\sqrt[{3}]{2}}\left(c^{2}-3db+12ea\right)}{3a{\sqrt[{3}]{2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a+{\sqrt {\left(2c^{3}-9dbc-72eac+27eb^{2}+27d^{2}a\right){}^{2}-4\left(c^{2}-3db+12ea\right){}^{3}}}}}}}-{\frac {2c}{3a}}}}}}}-{\frac {4c}{3a}}}}\\\end{aligned}フェラーリが発見したとされている
四次方程式の解の公式は、16世紀のイタリアの数学者ルドヴィコ・フェラーリ(Ludovico Ferrari, 1522年2月2日〜1565年10月5日)が発見者とされています。

(出典:https://mathshistory.st-andrews.ac.uk/Biographies/Ferrari/poster/born/)
発表されたのは、1545年のジェロラモ・カルダーノの著書『アルス・マグナ』。
カルダーノは本書の中で3次方程式の解の公式について発表したうえで、次の様に記しています。
前のもの(三次方程式の解法)よりも高貴なもう一つの規則がある。それは、私の求めに応じて、ロドヴィコ・フェッラーリから提供されたものである。
カッツ『代数学の歴史』p187
『アルス・マグナ』の後半の章で、4次方程式の解の公式とその使い方が紹介されました。
そのため、カルダーノの著書の中で、フェラーリが発見した四次方程式の解の公式が発表されるという、一見すると矛盾した状況が生まれています。

フェラーリによる四次方程式の解の公式の証明
実は、四次方程式の解の公式の証明方法はいくつかあります。
しかしながら、最初に公式を発見したのはフェラーリであるため、彼の証明方法について詳しく解説します。
フェラーリの証明の概要
フェラーリによる四次方程式$~ax^4+bx^3+cx^2+dx+e=0~$の解の公式において、鍵となるのは次の2つへの式です。
(y^2+t)^2=(my+n)^2~~~~\cdots(☆)
y=\frac{-m \pm \sqrt{m^2-4(t+n)}}{2} ~,~ \frac{m \pm \sqrt{m^2-4(t-n)}}{2}~~~~\cdots(☆☆)証明の方針としては、以下のとおりです。
- $~x^4~$の係数を$~1~$にした方程式$~x^4+Ax^3+Bx^2+Cx+D=0~$をつくる。
- $ ~\displaystyle x=y-\frac{1}{4}A ~$を代入して、$~y^4+py^2+qy+r=0をつくる。
- ある値$~t~$を利用して、$~(y^2+t)^2=(my+n)^2~$をつくる。
- 平方根をとれば$~y~$の二次方程式となるため、二次方程式解の公式を使って$~y~$が求められる。
もちろん、$~x~$を求めたければ、最後に$ ~\displaystyle x=y-\frac{1}{4}A ~$によって元に戻す必要があります。
三次方程式の解の公式と同様、最後は二次方程式に帰着されるのが面白いですね。

フェラーリの証明方法の詳説
では、先の手順で行われる式変形を詳しく書いていきます。
四次方程式
ax^4+bx^3+cx^2+dx+e=0
の両辺を、$~a~$でわると、
x^4+\frac{b}{a}x^3+\frac{c}{a}x^2+\frac{d}{a}x+\frac{e}{a}=0となり、それぞれの係数を文字で置き換えて、
x^4+Ax^3+Bx^2+Cx+D=0
とできる。
次に、左辺を$ ~\displaystyle x=y-\frac{1}{4}A ~$で置き換えると、
\begin{align*}&~~~~~(左辺) \\
&=\left( y-\frac{A}{4} \right) ^4 + A\left( y-\frac{A}{4} \right) ^3 +B \left( y-\frac{A}{4} \right) ^2 + C \left( y-\frac{A}{4} \right) + D \\ \\&=y^4-Ay^3+\frac{3}{8}A^2y^2 - \frac{1}{16}A^3 y + \frac{1}{256}A^4 + A y^3 -\frac{3}{4}A^2y^2 \\&\ \ +\frac{3}{16}A^3y - \frac{1}{64}A^4 +B y^2 - \frac{1}{2}AB y +\frac{1}{16}A^2B +Cy -\frac{1}{4}AC + D \\ \\&=y^4+\left(\frac{3}{8}A^2 - \frac{3}{4}A^2 +B \right)y^2 + \left(-\frac{1}{16}A^3+\frac{3}{16}A^3-\frac{1}{2}AB+C \right) y \\&\ \ + \left( \frac{1}{256}A^4 - \frac{1}{64}A^4 + \frac{1}{16}A^2B - \frac{1}{4}AC +D \right) \end{align*}となり、この左辺のカッコの中はすべて定数であるため、別の文字で置き換えることにより、
\begin{equation*}y^4+py^2+qy+r=0\end{equation*}と表すことができる。
$~y~$の四次方程式を移項することで、
y^4=-py^2-qy-r
が得られ、両辺に$~2ty^2+t^2 ~$を加えると、
\begin{align*}
y^4+2ty^2+t^2&=-py^2-qy-r+2ty^2+t^2 \\
(y^2+t)^2&=(2t-p)y^2-qy+(t^2-r) ~~~\cdots ①\\
\end{align*}となる。
ここで、右辺を2乗の形にする場合、判別式が$~0~$になればよいので、
(-q)^2-4(2t-p)(t^2-r)=0
を満たす$~t~$を求めればよい。
この方程式を計算すると、
\begin{align*}
q^2-4(2t^3-pt^2-2rt+pr) &=0 \\
q^2-8t^3+4pt^2+8rt-4pr &=0 \\
-8t^3+4pt^2+8rt+(q^2-4pr) &=0
\end{align*}という$~t~$の3次方程式であることがわかるため、三次方程式の解の公式を利用することで、$①$の右辺が2乗の形になる$~t~$が求められる。
その解を$~t_1~$とし、$~t=t_1~$を$~①~$に代入することで、右辺は2乗の形、すなわち重解を持つ二次方程式の形になる※ため、
(y^2+t_1)^2=(2t_1-p)\left\{y-\frac{q}{2(2t_1-p)}\right\}^2と変形できる。
右辺の$~y^2~$の係数も2乗の中に入れることによって、
(y^2+t_1)^2=\left\{\sqrt{2t_1-p}~y-\frac{q}{2\sqrt{2t_1-p}}\right\}^2であり、この右辺の$~y~$以外はすべて定数であるため、$~m~,~n~$で置き換えることにより、
(y^2+t_1)^2=(my+n)^2
という$~(左辺)^2=(右辺)^2~$の形ができた。
ここで両辺の平方根をとることで、
\begin{align*}
y^2+t_1 &=\pm(my+n) \\
\end{align*}なので、次の2つの二次方程式ができる。
\begin{cases}
&y^2+t_1 =my+n \\
&y^2+t_1 =-(my+n) \\
\end{cases}これらをそれぞれ変形すると、
\begin{cases}
&y^2-my+(t_1-n)=0 \\
&y^2+my+(t_1+n)=0 \\
\end{cases}であり、それぞれの二次方程式に解の公式を適用すれば、
y=\frac{m\pm\sqrt{m^2-4(t_1-n)}}{2}~,~\frac{-m\pm\sqrt{m^2-4(t_1+n)}}{2} が求められる。■
四次方程式の解の公式の使用例
実際に解の公式を利用して、四次方程式を解いてみます。
途中の三次方程式が簡単に解ける例
三次方程式の解の公式と同様、様々な式変形が必要であることがわかりました。
では、証明と同様の手順を踏んで、四次方程式を1題解いてみましょう。
次の四次方程式を解きなさい。
x^4-12x^3+49x^2-78x+40=0
解の公式を知らなければ、式を満たす$~x~$を探して因数定理へとつなげます。
この例題で言えば、$~x=1~$が見つかるので、
(x-1)(x^3-11x^2+38x-40)=0
と変形でき、さらに右のカッコの三次方程式から、$~x=2~$が見つかるので、
(x-1)(x-2)(x^2-9x+20)=0
であるため、ここから解をすべて求めると、
\begin{align*}
(x-1)(x-2)(x-4)(x-5)&=0 \\
x&=1,2,4,5
\end{align*}と求まります。
さて、この 例題1 を解の公式で解いてみましょう。
四次方程式
x^4-12x^3+49x^2-78x+40=0
はすでに $~x^4~$の係数$~1~$であるため、このままでよい。
次に、左辺を$ ~\displaystyle x=y-\frac{1}{4}\cdot(-12)=y+3 ~$で置き換えると、
\begin{align*}
&~~~~(左辺) \\
&= (y+3)^4-12(y+3)^3+49(y+3)^2-78(y+3)+40 \\
\\
&=y^4+12y^3+54y^2+108y+81-12(y^3+9y^2+27y+27)\\
&~~~~~~~~+49(y^2+6y+9)-78(y+3)+40 \\
\\
&=y^4+54y^2+108y+81-108y^2-324y-324\\
&~~~~~~~~+49y^2+294y+441-78y-234+40 \\
\\
&=y^4-5y^2+4
\end{align*}と表すことができる。
$~y~$の四次方程式を移項することで、
y^4=5y^2-4
が得られ、両辺に$~2ty^2+t^2 ~$を加えると、
\begin{align*}
y^4+2ty^2+t^2&=5y^2-4+2ty^2+t^2 \\
(y^2+t)^2&=(2t+5)y^2+(t^2-4) ~~~\cdots ②\\
\end{align*}となる。
ここで、右辺が2乗の形になる場合、判別式$~D=0~$となるので、
\begin{align*}
0^2-4(2t+5)(t^2-4)&=0 \\
(2t+5)(t^2-4)&=0 \\
t&=-\frac{5}{2}~,~-2~,~2
\end{align*}と$~t~$が求まる。
$~t=2~$を$~②~$に代入することで、
\begin{align*}
(y^2+2)^2&=9y^2 \\
(y^2+2)^2&=(3y)^2
\end{align*}と変形できる。
ここで両辺の平方根をとることで、
\begin{align*}
y^2+2 &=\pm(3y) \\
\end{align*}なので、次の2つの二次方程式ができる。
\begin{cases}
&y^2+2=3y \\
&y^2+2 =-3y \\
\end{cases}これらをそれぞれ変形すると、
\begin{cases}
&y^2-3y+2=0 \\
&y^2+3y+2=0 \\
\end{cases}であり、それぞれの二次方程式に解の公式を適用すれば、
\begin{align*}
y&=\frac{3\pm\sqrt{3^2-4\cdot1\cdot 2}}{2}~,~\frac{-3\pm\sqrt{(-3)^2-4\cdot1\cdot 2}}{2} \\
\\
y&=\frac{3\pm1}{2}~,~\frac{-3\pm1}{2} \\
\\
y&=2~,~1~,~-1~,~-2 \\
\end{align*}
と$~y~$の値が求められる。(この場合は因数分解でも解けますが・・・)
よって、$~x=y+3~$に代入し、四次方程式$~x^4-12x^3+49x^2-78x+40=0~$の解は、
x=5~,~4~,~2~,~1
と求められた。
例題1 のように、STEP3 における$~t~$が因数定理などで簡単に求められる場合は、上記の様な計算量でカタがつきます。
(それでも計算が大変ですが…。)
途中の三次方程式が簡単に解けない例
四次方程式を解くために、三次方程式の解の公式が必要な例も解いてみましょう。
次の四次方程式を解きなさい。
x^4+8x^3-7x^2-2x+3=0
こちらは、式を満たす$~x~$が見つからないため、通常であれば手も足も出ません。
しかし、フェラーリによる四次方程式
四次方程式
x^4+8x^3-7x^2-2x+3=0
はすでに $~x^4~$の係数$~1~$であるため、このままでよい。
次に、左辺を$ ~\displaystyle x=y-2 ~$で置き換えると、
\begin{align*}
&(左辺) \\
&=(y-2)^4 + 8(y-2)^3 - 7(y-2)^2 - 2(y-2) + 3 \\
&=y^4 - 8y^3 + 24y^2 - 32y + 16 + 8(y^3 - 6y^2 + 12y - 8) \\
&~~~~~~~~~~~~~- 7(y^2 - 4y + 4) - 2y + 4 + 3 \\
\\
&=y^4 - 8y^3 + 24y^2 - 32y + 16 + 8y^3 - 48y^2 + 96y - 64 \\
&\qquad - 7y^2 + 28y - 28 - 2y + 7 \\
\\
&=y^4 - 31y^2 + 90y - 69 &\\
\end{align*}であるため、3次の項がない四次方程式
y^4 - 31y^2 + 90y - 69=0
が出来上がった。
$~y~$の四次方程式を移項することで、
y^4 = 31y^2 - 90y + 69
が得られ、両辺に$~2ty^2+t^2 ~$を加えると、
\begin{align*}
y^4 + 2ty^2 + t^2 &= (2t+31)y^2 - 90y + (69+t^2) \\
(y^2+t)^2&=(2t+31)y^2-90y+(t^2+69) ~~~\cdots ②\\
\end{align*}となる。
ここで、右辺が2乗の形になる場合、判別式の値が$~0~$となるので、
\begin{align*}
45^2 - (2t+31)(69+t^2) &=0\\
2025 - (2t^3 + 138t + 2139 + 31t^2) &=0\\
2025 - 2t^3 - 138t - 2139 - 31t^2 &=0\\
-2t^3 - 31t^2 - 138t - 114&=0\\
\end{align*}という$~t~$の3次方程式になる。
この三次方程式をカルダーノの方法で解く。
まずは$~t^3~$の係数を$~1~$にすると、次のような三次方程式となる。
t^3 + \frac{31}{2}t^2 + 69t + 57 = 0ここで、$~\displaystyle t = s – \dfrac{31}{6}$ とおくと、
\begin{align*}
\left(s - \frac{31}{6}\right)^3 + \frac{31}{2}\left(s - \frac{31}{6}\right)^2 + 69\left(s - \frac{31}{6}\right) + 57 &= 0 \\
\\
s^3 - \frac{31}{2}s^2 + \frac{961}{12}s - \frac{29791}{216} + \frac{31}{2}\left(s^2 - \frac{31}{3}s + \frac{961}{36}\right) \\
+ 69s - \frac{713}{2} + \frac{114}{2} &= 0
\\
\\
s^3 - \frac{31}{2}s^2 + \frac{961}{12}s - \frac{29791}{216} + \frac{31}{2}s^2 - \frac{961}{6}s + \frac{29791}{72} \\+ 69s - \frac{713}{2} + \frac{114}{2} &= 0 \\
\\
s^3 - \frac{133}{12}s - \frac{5110}{216} &= 0 \\
\\
s^3 - \frac{133}{12}s - \frac{2555}{108} &= 0
\end{align*}と、$~s^2~$の項を消去することができ、$~s=u+v~$とおくと、
\begin{align*}
(u+v)^3-\frac{133}{12}(u+v)-\frac{2555}{108}&=0\\
\\u^3+3uv(u+v)+v^3-\frac{133}{12}(u+v)-\frac{2555}{108}&=0\\
\\
u^3+v^3-\frac{2555}{108}+(u+v)\left(3uv-\frac{133}{12} \right)&=0\\
\end{align*}であるため、恒等式から次の2つの方程式が成り立つ。
\begin{cases}
&u^3+v^3=\dfrac{2555}{108} \\
\\
&uv=\dfrac{133}{12}
\end{cases}下の式を$~\displaystyle u^3v^3=\frac{2352637}{46656}~$とすることで、解と係数の関係から、$~u^3~$と$~v^3~$を解に持つ$~w~$の方程式
w^2-\frac{2555}{108}w+\frac{2352637}{46656}=0ができる。
この$~w~$を得るために、二次方程式の解の公式を利用すると、
\begin{align*}
w &= \dfrac{\dfrac{2555}{108} \pm \sqrt{\dfrac{6528025}{11664} - \dfrac{2352637}{11664}}}{2} \\
\\
&= \dfrac{\dfrac{2555}{108} \pm \sqrt{\dfrac{4175388}{11664}}}{2} \\
\\
&= \dfrac{\dfrac{2555}{108} \pm \sqrt{\dfrac{12887}{36}}}{2} \\
\\
&= \dfrac{2555 \pm 18\sqrt{12887}}{216}
\end{align*}と$~w~$が2つ求められ、これらがそれぞれ$u^3$、$v^3$ である。
三次方程式の解は、 $s=u+v$ であったことから、
\begin{align*} s &= \sqrt[3]{\dfrac{2555 + 18\sqrt{12887}}{216}} + \sqrt[3]{\dfrac{2555 - 18\sqrt{12887}}{216}} \\
\\
&= \dfrac{\sqrt[3]{2555 + 18\sqrt{12887}}}{6} + \dfrac{\sqrt[3]{2555 - 18\sqrt{12887}}}{6}
\end{align*}$~s~$の三次方程式の解1つが求められた。(実際は虚数解も存在する)
$~\displaystyle t = s – \dfrac{31}{6}$より、$~t~$の三次方程式の解の1つ$~t_1~$は、
t_1= -\frac{31}{6} + \frac{\sqrt[3]{2555 + 18\sqrt{12887}}}{6} + \frac{\sqrt[3]{2555 - 18\sqrt{12887}}}{6}と求められる。
$~t=t_1~$を$~②~$に代入すると、右辺の二次方程式は$~t_1~$を重解とするので、
\begin{align*}
(y^2+t_1)^2&=(2t_1+31)\left(y-\frac{90}{2(t_1+31)} \right) \\
\\
(y^2 + t_1)^2 &= (2t+31)\left(y - \frac{45}{(2t_1+31)}\right)^2 \\
\end{align*}と変形できる。
ここで両辺の平方根をとることで、
\begin{align*}
y^2 + t_1 &= \pm\sqrt{2t_1+31}\left(y - \frac{45}{2t_1+31}\right)
\end{align*}なので、次の2つの二次方程式ができる。
\begin{cases}
y^2 - \sqrt{2t_1+31}\, y + t_1 + \dfrac{45}{\sqrt{2t_1+31}} = 0 \\[8pt]
y^2 + \sqrt{2t_1+31}\, y + t_1 - \dfrac{45}{\sqrt{2t_1+31}} = 0
\end{cases}これらの二次方程式に解の公式を使うと、
\begin{cases}
&y= \displaystyle \frac{\sqrt{2t_1+31} \pm \sqrt{2t_1+31 - 4\!\left(t_1 + \dfrac{45}{\sqrt{2t_1+31}}\right)}}{2} \\
\\
&y=\displaystyle \frac{-\sqrt{2t_1+31} \pm \sqrt{2t_1+31 - 4\!\left(t_1 - \dfrac{45}{\sqrt{2t_1+31}}\right)}}{2} \\
\\
\end{cases}であり、根号の中を計算すると、
\begin{cases}
&y=\displaystyle \frac{\sqrt{2t_1+31} \pm \sqrt{-2t_1+31 - \dfrac{180}{\sqrt{2t_1+31}}}}{2}\\
\\
&y=\displaystyle \frac{-\sqrt{2t_1+31} \pm \sqrt{-2t_1+31 + \dfrac{180}{\sqrt{2t_1+31}}}}{2}
\end{cases}と$~y~$の値が求められる。
最後に、$ x=y-2 ~$に代入することで、四次方程式$~x^4+8x^3-7x^2-2x+3=0~$の解は、
\begin{equation*}
x = -2 + \frac{\sqrt{2t_1+31} \pm \sqrt{-2t_1+31 - \dfrac{180}{\sqrt{2t_1+31}}}}{2}
\end{equation*}\begin{equation*}
x = -2 + \frac{-\sqrt{2t_1+31} \pm \sqrt{-2t_1+31 + \dfrac{180}{\sqrt{2t_1+31}}}}{2}
\end{equation*}の4つであり、ここに
\begin{equation*}
t_1 = -\frac{31}{6} + \frac{\sqrt[3]{2555 + 18\sqrt{12887}} + \sqrt[3]{2555 - 18\sqrt{12887}}}{6}
\end{equation*}を代入すれば、四次方程式の完全な解が得られる。
四次方程式の解の公式を使うために、三次方程式の解の公式を使うという、とてつもなく長い計算となりました。
まとめ
この記事では、四次方程式の解の公式の中でも、最も初期に発見されたルドヴィコ・フェラーリによる解法を紹介しました。
- フェラーリが発見し、その師匠であるカルダーノの『アルス・マグナ』の中で1545年に公表された。
- $~x^4~$の係数を$~1~$にし、変数変換で3次の項を消去するところからスタートする。
- 2乗=2乗の形を作るために、3次方程式の解の公式を使う必要がある。
- 最終的に二次方程式に帰着させ、2次方程式の解の公式を使う必要がある。

こんなの覚えられるわけにゃい!!



確かに解の公式というよりは、解のマニュアルだね・・・



