三平方の定理の証明⑦~トレミーの定理による証明をわかりやすく解説! トレミーって誰のこと?~

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 三平方の定理の証明は、紀元前からあらゆる人があらゆる方法で考え出してきました。

 この記事では、数学Ⅰの発展内容として扱われるトレミーの定理を用いた証明方法を、現役数学教員がわかりやすく解説します。

 円に内接する長方形にトレミーの定理を適用するだけの簡単な証明方法なので、この記事を読んで三平方の定理の証明のバリュエーションを増やしましょう。

この記事を読んでわかること
  • トレミーの定理の概要とその歴史
  • トレミーの定理を利用した三平方の定理の証明方法

 三平方の定理の内容や、三平方の定理の別証についてはこちらから↓↓

この記事を読んでわかること

トレミーの定理とは?

トレミーは誰のこと?

 ローマ時代の数学者クラウディオス・プトレマイオスClaudius Ptolemaeus , 85頃-165頃)は、トレミー(Ptolemy)とも呼ばれ、アレクサンドリアの地で科学の研究をしていました。

<図1> プトレマイオス
<図1> プトレマイオス
(出典:Unknown authorUnknown author, Public domain, via Wikimedia Commons)

 天文学を科学的に考察するなかで、三角関数を研究するようになりました。
 現在の教科書の巻末についている三角関数の表の元となる、正弦の表を作成しています。

 その作成の際に多用したのが、彼の著書『アルマゲスト』に載っていたトレミーの定理です。

トレミーの定理の内容

 プトレマイオス(トレミー)が三角比を考える際に利用したトレミーの定理。
 円に内接する四角形の性質となっています。

トレミーの定理

 円に内接する任意の四角形ABCDについて、次の等式が成り立つ。

AC \times BD=AB \times CD + BC \times DA
<図2> トレミーの定理
<図2> トレミーの定理

 この定理は、2本の対角線の積は、2組の対辺の積の和に等しいということを表しています。
 色分けして見やすくすると、次の図3のようになります。

$AC \times BD$$~=~$$AB \times CD$$~+~$$BC \times DA$

<図3> トレミーの定理の解説
<図3> トレミーの定理の解説

 
 証明については、相似や余弦定理を使うことで可能です。

トレミーの定理による証明

 トレミーの定理の証明さえできれば、これを利用した三平方の定理の証明自体は簡単にできます。
 最初の図を覚えることで、いつでも導けるようになるでしょう。

証明

 図4のような、円に内接する長方形ABCDを考える。

<図4> 証明の図
<図4> 証明の図

 $~AB=a~$、$~BC=b~$、$~AC=c~$としたとき、トレミーの定理より、

$AC \times BD$$~=~$$AB \times CD$$~+~$$BC \times DA$

が成り立つ。

 よって、$~BD=AC=c~$$~CD=AB=a~$$~DA=BC=b~$より、

\begin{align*}
c \times c &=a\times a+b \times b  \\
c^2&=a^2+b^2
\end{align*}

であることが示された。■

 任意の内接四角形でトレミーの定理が成り立つため、長方形でトレミーの定理を適用するだけの証明でした。


なんで「プトレマイオス」が「トレミー」なの?

 英語圏だと「マイケル」を「マイク」って呼ぶことあるよね?
 それと同じ理由だよ。

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