基礎例題と問題解説で数学Ⅰを教科書の流れで理解する「れいもん」。
今回は単項式と多項式についての用語や式の整理の仕方についてを理解しましょう。
- 単項式の係数と次数について
- 多項式の係数と次数について
- 降べきの順の表し方
「れいもん」では、数研出版の検定済教科書『数学Ⅰ』の流れに沿って、例題と問題を解説しています。
手書きの解説は、タップすることで拡大することができます。
1-1-A 単項式と多項式
まずは言葉について知っておきましょう。
- 単項式‥‥かけ算だけでつながった式。 例:$~2,x,3a^2,-5x^2y~$
- 係数‥‥単項式で、数の部分。(指定された文字以外)
- 次数‥‥文字の個数。(指定された文字)
文字の指定がない場合
まずは中学校でも学んできたパターン。
単項式$~5a^3~$の係数は$~5~$。次数は$~3~$。
文字は$~a~$だけなので、数の部分は$~3~$で、$~a~$は$~3a^3=3\times a \times a \times a~$なので3個あります。
単項式$~-3x^2y~$の係数は$~-3~$。次数は$~3~$。
$~x,y~$の両方が文字なので、数の部分は$~-3~$であり、次数に関しては、$~x~$が2個、$~y~$が1個で合計3個となります。

中学校と同じだね。簡単!
文字の指定がある場合
高校数学では、特定の文字に着目して係数や次数を考えることがあります。
ポイントは、着目した文字以外は数扱いすること。例を見てみましょう。
単項式$~2abx^3y^2~$を、$~x~$について着目すると、係数は$2aby^2~$、次数は$~3~$
$~x~$だけが文字なので、他の文字は数になります。よって、次数は$~x^3~$から3です。



「$~x~$だけを文字として認める」という法令だよ。
その下では$~y~$は文字として扱われず、数になるんだ。
多項式
- 多項式‥‥いくつかの単項式の和として表される式。 例:$~x^2+4xy-3y^3~$
- 項‥‥多項式においての、各単項式。
- 整式‥‥多項式のこと。
多項式に関する用語はこの通りです。



呪文のような式の正体は多項式だったんだね。
さっきマスターした単項式の集まりだと思えば、分かりやすい!
1-1-B 式を整理する
同類項をまとめる
- 同類項‥‥多項式の中で、文字の部分が同じである項。 例:$~3x^3+7x-6x^3-9~$における$~3x^3~$と$~6x^3~$
多項式では、同類項は1つにまとめて整理します。
例題で確認しましょう。
\begin{align*} 7x^2+x-4-9x^2-8x+2&=(7-9)x^2+(1-8)x+(-4+2) \\ &=-2x^2-7x-2 \end{align*}
$~x^2~$の項、$~x~$の項、そして文字のない数字同士をまとめることができました。
次数と定数項
- 多項式の次数‥‥同類項をまとめた多項式の中で、最も次数の高い項の次数。次数が$~n~$の多項式を$~n~$次式という。
- 定数項‥‥多項式において、着目した文字を含まない項。
単項式と同じく、2種類以上の文字を含む多項式でも、特定の文字に着目して、他の文字は数と同様に扱うことがあります。
例題で確認しましょう。
(1) 多項式$~ax^2+bx+c~$
$~x~$に着目すると、2次式であり、定数項は$~c~$である。
(2) 多項式$~2x^3y^4+ax+b~$
$~y~$に着目すると、4次式であり、定数項は$~ax+b~$である。
$~x~$と$~y~$に着目すると、7次式であり、定数項は$~b~$である。



2種類以上の文字に着目することもあるよ。
どの文字が指定されているかよく確認しよう。
降べきの順、昇べきの順
- 降べきの順に整理する‥‥多項式を、ある文字に着目して項の次数が低くなる順に整理すること。
- 昇べきの順に整理する‥‥多項式を、ある文字に着目して項の次数が高くなる順に整理すること。



多項式の項を並べる順番に決まりがあるということ?
例題で練習してみましょう。
多項式$~x^2+3xy+y^2-4x+7y-5~$の整理
(1) $~x~$について降べきの順に整理すると
x^2+(3y-4)x+(y^2+7y-5)
(2) $~y~$について降べきの順に整理すると
y^2+(3x+7)y+(x^2-4x-5)



降べきの順に整理する方が一般的だけど、昇べきの順に整理することもあると覚えておこうね。
練習問題
ここまで解説してきた内容について、練習問題を用意しました。
練習問題を解くことで、今回の内容について理解を深めましょう。
大問1 単項式の係数と次数
次の単項式の係数と次数をいえ。
$~(1) 5a^6~$
$~(2) x^3y^4~$
$~(3) -7x^5y^3z~$
大問1の解答と解説
(1) 係数:$~5~$、次数:$~6~$
(2) 係数:$~1~$、次数:$~7~$
(3) 係数:$~-7~$、次数:$~9~$


大問2 特定の文字に着目した時の単項式の係数と次数
次の単項式で、[ ]内の文字に着目したときの、係数と次数をいえ。
$~(1) 3a^3x^2y~$ [$~x~$],[$~y~$],[$~a~$]
$~(2) -4ab^2xy^3~$ [$~x~$と$~y~$]
大問2の解答と解説
(1) [$~x~$] 係数:$~3a^3y~$、次数:$~2~$
[$~y~$] 係数:$~3a^3x^2~$、次数:$~1~$
[$~a~$] 係数:$~3x^2y~$、次数:$~3~$
(2) [$~x~$と$~y~$] 係数:$~-4ab^2~$、次数:$~4~$


大問3 多項式の同類項をまとめる
次の多項式の同類項をまとめよ。また、この多項式は何次式であるか。
$~(1) 3x^2-7x-8-4x^2+6x-9~$
$~(2) 2a^2-ab+5b^2-7a^2+10ab-4b^2~$
$~(3) -4x^4+x^3-6x^2+5x-3+4x^4-2x^2+x+9~$
大問3の解答と解説
(1) $~-x^2-x-17~$、2次式
(2) $~-5a^2+9ab+b^2~$、2次式
(3) $~x^3-8x^2+6x+6~$、3次式


大問4 特定の文字に着目した時の多項式の係数と次数
次の多項式は、[ ]内の文字に着目すると、それぞれ何次式であるか。
また、そのときの定数項をいえ。
$~(1) x^2+ax-5~$ [$~x~$],[$~a~$]
$~(2) x^2-3(a+b)x-ab~$ [$~x~$]
$~(3) 6x^3+4x^2y^3+y^2-7~$ [$~x~$],[$~y~$],[$~x~$と$~y~$]
大問4の解答と解説
(1) [$~x~$] 2次式、定数項:$~-5~$
[$~a~$] 1次式、定数項:$~x^2-5~$
(2) [$~x~$] 2次式、定数項:$~-ab~$
(3) [$~x~$] 3次式、定数項:$~y^2-7~$
[$~y~$] 3次式、定数項:$~6x^3-7~$
(2) [$~x~$と$~y~$] 5次式、定数項:$~-7~$


大問5 多項式の整理
次の多項式を、$~x~$について降べきの順に整理せよ。
$~(1) x^2-1+3x+2x^4-4x^3~$
$~(2) 3x^2+2xy+2y^2-5x+7y-9~$
大問5の解答と解説
(1) $~2x^4-4x^3x^2+3x-1~$
(2) $~3x^2+(2y-5)x+(2y^2+7y-9)~$


まとめ
高校数学の第一歩である、文字式の計算。
用語や計算のルールがいくつもありますが、すべてとても大事なので覚えてしまうのがよいです。
これから先の高校数学でも文字式の計算は必須なので、スラスラと確実に問題を解けるようにしましょう。
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