倍数の見分け方2(4,6,8,10)
自然数を見たときに、どんな数で割ることができるかをできるだけ簡単に求める方法について紹介します。今回はその中でも小さめの合成数についてのお話です。
①4の倍数の見分け方
②6の倍数の見分け方
③8の倍数の見分け方
④10の倍数の見分け方
ある自然数の下2ケタが4の倍数であるとき、その数は4の倍数である。
32・・・下2ケタは32(4の倍数)であるため、32は4の倍数。
116・・・下2ケタは16(4の倍数)であるため、116は4の倍数。
2168・・・下2ケタは68(4の倍数)であるため、2168は4の倍数。
183150・・・下2ケタは50(4の倍数ではない)であるため、183150は4の倍数ではない。
前回同様、なぜこのような判定ができるのかを証明していきます。
一万の位から\( a,b,c,d,e~\) ( \(~a,b,c,d,e~\) は0~9の自然数)である5ケタの自然数\( N~\) について証明する。(一般性は失われないため)
このとき、\( N~\) は次のような数として表される。
\begin{equation}
N=10000a+1000b+100c+10d+e
\end{equation}
この式を変形すると、
\begin{equation}
N=4(2500a+250b+25c)+10d+e
\end{equation}
となるため、 \(~10d+e~\) (下2ケタ)が4の倍数であれば、 \(~N~\) も4の倍数である。 \(~ \blacksquare \)
別の方法として、素因数分解するうえでは、2の倍数かどうかをまず判定し、2で割った後、その結果が2の倍数かどうかを判定することで、\( 2\times 2=4 \)の倍数の判定ができます。
②6の倍数の見分け方
ある自然数の一の位が偶数で、各ケタの和が3の倍数であれば、その自然数は6の倍数である。
まさに合成数の判定法!といった方法ですね。
「2の倍数の見分け方」と「3の倍数の見分け方」を組み合わせています。
18・・・一の位が8(偶数)で、各ケタの和が9(3の倍数)なので、18は6の倍数。
672・・・一の位が2(偶数)で、各ケタの和が15(3の倍数)なので、672は6の倍数。
91410・・・一の位が0(偶数)で、各ケタの和が15(3の倍数)なので、91410は6の倍数。
338・・・一の位が8(偶数)だが、各ケタの和が14(3の倍数でない)なので、338は6の倍数でない。
315・・・各ケタの和が9(3の倍数)だが、一の位が5(奇数)なので、315は6の倍数でない。
1891・・・一の位が1(奇数)であり、さらに各ケタの和が19(3の倍数でない)なので、1891は6の倍数ではない。
あくまで、(2の倍数)\( \cap\)(3の倍数)であるため、どちらかが該当しているだけでは6の倍数にはなりません。
6の倍数であるための条件は、2の倍数であり、且つ3の倍数であることである。
2と3は互いに素であるため、2の倍数の見分け方(一の位が偶数)と3の倍数の見分け方(各ケタの和が3の倍数)の両方を満たしたとき、その数は6の倍数となる。 \(~ \blacksquare \)
互いに素である数の判定法を組み合わせないといけません。
なぜなら8の倍数の見分け方を、2の倍数と4の倍数の合わせたもの(一の位が偶数で、下2ケタが4の倍数)とすると、20や36のような、条件にはあてはまるのに実際は8の倍数ではないという数が出てきてしまいます。
これは、4の倍数の判定法の中に2の倍数の判定法が含まれているのが問題です。注意しましょう。
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③8の倍数の見分け方
では、8の倍数はどう見分ければよいのか?
2で3回割るという方法もありますが、次のような見分け方が用意されています。
ある自然数の下3ケタが8の倍数ならば、その数は8の倍数である。
56・・・下3ケタは56(8の倍数)であるため、56は8の倍数。
1016・・・下3ケタは016(8の倍数)であるため、1016は8の倍数。
21160・・・下3ケタは160(8の倍数)であるため、21160は8の倍数。
123014・・・下3ケタは014(8の倍数ではない)であるため、123014は8の倍数ではない。
実際、3ケタの数が8の倍数かどうかは、筆算してみないとわかりません。ケタの大きい数が8の倍数かどうかを判定するときの手間を省くという意義があります。
今まで同様、一万の位から\( a,b,c,d,e~\) ( \(~a,b,c,d,e~\) は0~9の自然数)である5ケタの自然数\( N~\) について証明する。(一般性は失われないため)
このとき、\( N~\) は次のような数として表される。
\begin{equation}
N=10000a+1000b+100c+10d+e
\end{equation}
この式を変形すると、
\begin{equation}
N=8(1250a+125b)+100c+10d+e
\end{equation}
となるため、 \(~100c+10d+e~\) (下3ケタ)が8の倍数であれば \(~N~\) は8の倍数である。 \(~ \blacksquare \)
ここまでくるとあまり実用的ではないかな~と思います。
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④10の倍数の見分け方
最後は、10の倍数の判定法です。小学校から「\( \div 10\)」をするうえで役立っています。
ある自然数の一の位が0であるとき、その数は10の倍数である。
10を素因数分解すると、 \(~10=2 \times 5~\) 。そのため、2の倍数(一の位が偶数)と5の倍数(一の位が0か5)の判定法を組み合わせることで、10の倍数(一の位が0)という判定法を得られます。
50・・・一の位が0なので、50は10の倍数。
1020・・・一の位が0なので、1020は10の倍数。
1845・・・一の位が5(0でない)なので、1845は10の倍数ではない。
簡単ですね。証明も単純です。
今まで同様、一万の位から\( a,b,c,d,e~\) ( \(~a,b,c,d,e~\) は0~9の自然数)である5ケタの自然数\( N~\) について証明する。(一般性は失われないため)
このとき、\( N~\) は次のような数として表される。
\begin{equation}
N=10000a+1000b+100c+10d+e
\end{equation}
この式を変形すると、
\begin{equation}
N=10(1000a+100b+10c+d)+e
\end{equation}
となるため、 \(~e~\) (一の位)が10の倍数(0)であれば \(~N~\) は10の倍数である。 \(~ \blacksquare \)
\( e~\) は0~9の自然数なので、必然的に10の倍数にあてはまる \(~e~\) は0のみとなります。
合成数の判定法は、素因数分解上ではあまり覚える意味がありません。
なぜなら、4の倍数だとしたら2の倍数の判定を2回行えばよいからです。
(→倍数の見分け方1(基本的な素数) を参照。)したがって、合成数の判定法は、素数の判定法よりも覚える優先度は下がります。
ただ、覚えておくと一瞬でわかるので、周りから「おぉ~」と言われます。
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