三平方の定理の証明⑨(アン・コンディットの証明)

中3数学平面図形中3数学

 三平方の定理には数百もの証明方法があります。今回は、アメリカの16歳の少女が提出した、補助線を多用した証明方法です。
Ⅰ 三平方の定理とは
Ⅱ アン・コンディットの証明
Ⅲ その他の証明方法


目次
  • 1. Ⅰ 三平方の定理とは
  • 2. Ⅱ アン・コンディットの証明
  • 3. Ⅲ その他の証明方法

Ⅰ 三平方の定理とは

 三平方の定理とは、次のような定理です。(再掲)

三平方の定理(ピタゴラスの定理)


上のような直角三角形で、次の等式が成り立つ。
\begin{equation}
a^2+b^2=c^2
\end{equation}

 直角三角形の2辺がわかれば、残りの1辺も求まるというもので、紀元前から測量等でも使われてきました。日本では中学3年生(義務教育!)で習います。
 
 長い歴史の中で、様々な人により、様々な証明が生み出されてきましたが、今回は1938年にアメリカのインディアナ州のサウスベンドの中央中等・高等学校の女学生が提出したことで有名な方法を紹介します。


Ⅱ アン・コンディットの証明

 では、彼女が思いついた証明方法を辿ってみましょう。

証明

  \(~c~\) を斜辺とする直角三角形 \(~ABC~\) において、 \(~AB,BC,CA~\) をそれぞれ1辺とした正方形 \(~AEDB,BCFG,CAHI~\) を外側に作り、 \(~FI~\) を結ぶ。

 
  \(~AB~\) の中点を \(~P~\) とし、直線 \(~CP~\) と \(~FI~\) の交点を \(~R~\) とする。

 このとき、 \(~\angle ACB=90^{\circ}~\) であるため、 \(~AB~\) を直径とした \(~\triangle ABC~\) の外接円の中心が \(~P~\) となる。
 そのため、半径であることから
\begin{equation}
AP=PC \cdots ①
\end{equation}
が成り立つ。
 
 また、 \(~\triangle ABC~\) と \(~\triangle IFC~\) において、 \(~AC=IC~\) , \(~BC=FC~\) , \(~\angle ACB=\angle ICF=90^{\circ}~\) であるため、二辺夾角相等より \(~\triangle ABC \equiv \triangle IFC~\) 。
 よって、
\begin{align}
AB=IF &\cdots ② \\
\angle BAC=\angle FIC &\cdots ③
\end{align}

 ①より、 \(~\triangle APC~\) は二等辺三角形なので、
\begin{equation}
\angle BAC=\angle PCA \cdots ④
\end{equation}
であり、③と④より、
\begin{equation}
\angle FIC=\angle PCA \cdots ⑤
\end{equation}
とわかる。
 
 また、 \(~\triangle CIR~\) で外角の性質から
\begin{equation}
\angle FIC+\angle IRC=\angle PCA +90^{\circ}
\end{equation}
であり、⑤を使うと、
\begin{equation}
\angle IRC=90^{\circ} \cdots ⑥
\end{equation}
とわかる。
 
 
  \(~\triangle PIC~\) \(~\triangle PFC~\) に注目する。

 それぞれ \(~PC~\) を底辺としたとき、⑥より、 \(~PR \perp IF~\) なので、
\begin{align}
\triangle PIC&=\displaystyle \frac{1}{2}\times PC \times IR \\
\\
\triangle PFC&=\displaystyle \frac{1}{2}\times PC \times RF \\
\end{align}
であるため、
\begin{align}
\triangle PIC+\triangle PFC&=\displaystyle \frac{1}{2}\times PC \times (IR+RF) \\
\\
&=\displaystyle \frac{1}{2}\times PC \times IF \\
\end{align}
となり、②より
\begin{align}
\triangle PIC+\triangle PFC&=\displaystyle \frac{1}{2}\times PC \times AB \cdots ⑦ \\
\end{align}
である。
 
 また、 \(~\triangle AEP~\) にも注目すると、
\begin{align}
\triangle AEP&=\displaystyle \frac{1}{2}\times AP \times AE \\
\end{align}
であり、①や正方形の性質から
\begin{align}
\triangle AEP&=\displaystyle \frac{1}{2}\times PC \times AB \cdots ⑧ \\
\end{align}
とわかる。
 
 ⑦、⑧より、
\begin{equation}
\triangle PIC+\triangle PFC=\triangle AEP
\end{equation}
が成り立つ。
 
 
 次に、 \(~ED,FG,HI~\) の中点を \(~L,M,N~\) として、それらを \(~P~\) と結ぶと、正方形の各辺とそれぞれ平行になる。

  \(~\triangle PIC~\) は、 \(~IC~\) を底辺とすると、
\begin{align}
\triangle PIC&=\displaystyle \frac{1}{2} \times IC \times NI \\
\\
&=\frac{1}{2}\times AC \times \left( \frac{1}{2}AC \right) \\
\\
&=\frac{1}{4}b^2 \cdots ⑩
\end{align}
である。
 
 同様に、 \(~\triangle PFC~\) は、 \(~FC~\) を底辺とすると、
\begin{align}
\triangle PFC&=\displaystyle \frac{1}{2} \times FC \times MF \\
\\
&=\frac{1}{2}\times BC \times \left( \frac{1}{2}BC \right) \\
\\
&=\frac{1}{4}a^2 \cdots ⑪
\end{align}
である。
 
 また、 \(~\triangle AEP~\) の面積は、
\begin{align}
\triangle AEP&=\displaystyle \frac{1}{2} \times AP \times AE \\
\\
&=\frac{1}{2}\times AB \times \left( \frac{1}{2}AB \right) \\
\\
&=\frac{1}{4}c^2 \cdots ⑫
\end{align}
とわかる。
 
 ⑩~⑫を、⑨に代入して、
\begin{align}
\displaystyle \frac{1}{4}a^2+\frac{1}{4}b^2&=\frac{1}{4}c^2 \\
\\
a^2+b^2&=c^2
\end{align}
 となり、三平方の定理は示された。 \(~\blacksquare\)

 奇抜な補助線によって、三角形の面積を2通りで表してつなげるという証明方法でした。


Ⅲ その他の証明方法

 是非いろいろな証明を見て、お気に入りの証明方法を見つけてください。
~順次作成中~

①ピタゴラスの証明  正方形を4つの図形にうまく分割し、回転させることにより、その面積関係から三平方の定理を導いています。
②ユークリッドの証明 等積変形や合同を使って、複雑な計算をせずに証明をします。
③内接円を利用した証明 内接円を使って、面積を2通りの方法で表して証明をします。
④方べきの定理を利用した証明1 内部で交わるタイプの方べきの定理を使って証明します。
⑤方べきの定理を利用した証明2 接線タイプの方べきの定理を使って証明します。
⑥レオナルド・ダ・ヴィンチの証明 合同な図形をうまく使った証明方法です。
⑦トレミーの定理による証明 円に内接する長方形に、トレミーの定理を適用します。
⑧ジェームズ・A・ガーフィールドの証明 アメリカの大統領が考えた、台形を使った証明方法です。
⑨アン・コンディットの証明  16歳の少女が考えた、補助線を多用する証明方法です。
⑩無限等比級数を利用した証明  垂線によって直角三角形を細かくしていき、最終的には無限等比級数を利用する証明方法です。
⑪相似を利用した証明1  相似を使った最もシンプルな証明方法です。
⑫相似を利用した証明2  合同な直角三角形を重ね、相似な三角形を利用しながら、ある三角形の面積を2通りの方法で表します。

他にもいろいろありますよ~('ω’)ノ


 複雑で目が回りそう・・・。


 
 


◇参考文献等
・E・マオール(2008)『ピタゴラスの定理-4000年の歴史』,pp.149-151,伊理由美訳,岩波書店.

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Posted by Fuku