三平方の定理の証明⑧(ジェームズ・A・ガーフィールドの証明)

中3数学平面図形中3数学

 三平方の定理には数百もの証明方法があります。今回は第20代アメリカ合衆国大統領のジェームズ・A・ガーフィールドが思いついた証明方法について紹介します。
Ⅰ 三平方の定理とは
Ⅱ ジェームズ・A・ガーフィールドの証明
Ⅲ その他の証明方法


目次
  • 1. Ⅰ 三平方の定理とは
  • 2. Ⅱ ジェームズ・A・ガーフィールドの証明
  • 3. Ⅲ その他の証明方法

Ⅰ 三平方の定理とは

 三平方の定理とは、次のような定理です。(再掲)

三平方の定理(ピタゴラスの定理)


上のような直角三角形で、次の等式が成り立つ。
\begin{equation}
a^2+b^2=c^2
\end{equation}

 直角三角形の2辺がわかれば、残りの1辺も求まるというもので、紀元前から測量等でも使われてきました。日本では中学3年生(義務教育!)で習います。
 
 長い歴史の中で、様々な人により、様々な証明が生み出されてきましたが、今回は第20代アメリカ合衆国大統領のジェームズ・A・ガーフィールドが、他の国会議員たちと数学の議論をしているときにふと思いついた証明方法を紹介します。


Ⅱ ジェームズ・A・ガーフィールドの証明

 証明に入る前に、ジェームズ・A・ガーフィールドという人物について触れておきます。

 ジェームズ・エイブラム・ガーフィールド(1831-1881)はアメリカ合衆国の政治家で、第20代アメリカ合衆国大統領(1881)でもある。

 現在でも入学するのが難しいマサチューセッツ州のウィリアムズ大学を卒業し、1859年に政界入りを果たす。
 
 1880年の大統領選挙に共和党の大統領候補として指名され当選。翌年1881年3月に就任したものの、その年の7月に銃撃され、それが原因で9月に死去した。
 
 学歴からもわかるよう、博学の大統領であり、片手でラテン語、もう一方の手でギリシャ語を同時に書けるという奇才ぶりである。

 では、彼が1876年に思いついた三平方の定理の証明を見ていきましょう。

証明

 直角三角形 \(~ABC~\) において、半直線 \(~CA~\) 上に \(~AD=a~\) となる \(~D~\) をとる。
 次に、 \(~AD~\) に垂直な線分 \(~DE~\) を \(~B~\) と同じ側に作り、 \(~AE~\) を結ぶ。

 このとき、 \(~\triangle ABC~\) と \(~\triangle EAD~\) において、
\begin{align}
仮定より、& AC=ED=b \\
& BC=AD=a \\
& \angle ACB=\angle EDA=90^{\circ}
\end{align}
 以上より、二辺夾角相等なので、 \(~\triangle ABC \equiv \triangle EAD~\) 。
 したがって、
\begin{align}
&EA=AB=c \\
&\angle EAD=\angle ABC \cdots ①
\end{align}
となる。

 次に、 \(~\angle BAE~\) を求める。
 位置関係から、
\begin{equation}
\angle BAE=180^{\circ}-(\angle BAC+\angle EAD)
\end{equation}
となり、①を代入すると、
\begin{align}
\angle BAE&=180^{\circ}-(\angle BAC+\angle ABC) \\
&=180^{\circ}-90^{\circ} \\
&=90^{\circ}
\end{align}
と求まる。

 ここで、台形 \(~BCDE~\) の面積 \(~S~\) は
\begin{align}
S&=\displaystyle (a+b)\times (a+b) \times \frac{1}{2} \\
\\
&=\frac{(a+b)^2}{2} \cdots ②
\end{align}
と表せるが、 \(~\triangle ABC,\triangle ABC,\triangle ABC~\) の3つの直角三角形の和から
\begin{align}
S&=\displaystyle a \times b \times \frac{1}{2}+a \times b \times \frac{1}{2}+c \times c \times \frac{1}{2} \\
\\
&=\frac{ab}{2}+\frac{ab}{2}+\frac{c^2}{2} \\
\\
&=ab+\frac{c^2}{2} \cdots ③
\end{align}
とも表せる。
 
 ②、③より、
\begin{align}
\displaystyle \frac{(a+b)^2}{2}&=ab+\frac{c^2}{2} \\
\\
(a+b)^2&=2ab+c^2 \\
\\
a^2+2ab+b^2&=2ab+c^2 \\
\\
a^2+b^2&=c^2
\end{align}
 
 となり、三平方の定理は示された。 \(~\blacksquare\)

 台形の面積をうまく利用した方法でした。


Ⅲ その他の証明方法

 是非いろいろな証明を見て、お気に入りの証明方法を見つけてください。
~順次作成中~

①ピタゴラスの証明  正方形を4つの図形にうまく分割し、回転させることにより、その面積関係から三平方の定理を導いています。
②ユークリッドの証明 等積変形や合同を使って、複雑な計算をせずに証明をします。
③内接円を利用した証明 内接円を使って、面積を2通りの方法で表して証明をします。
④方べきの定理を利用した証明1 内部で交わるタイプの方べきの定理を使って証明します。
⑤方べきの定理を利用した証明2 接線タイプの方べきの定理を使って証明します。
⑥レオナルド・ダ・ヴィンチの証明 合同な図形をうまく使った証明方法です。
⑦トレミーの定理による証明 円に内接する長方形に、トレミーの定理を適用します。
⑧ジェームズ・A・ガーフィールドの証明 アメリカの大統領が考えた、台形を使った証明方法です。
⑨アン・コンディットの証明  16歳の少女が考えた、補助線を多用する証明方法です。
⑩無限等比級数を利用した証明  垂線によって直角三角形を細かくしていき、最終的には無限等比級数を利用する証明方法です。
⑪相似を利用した証明1  相似を使った最もシンプルな証明方法です。
⑫相似を利用した証明2  合同な直角三角形を重ね、相似な三角形を利用しながら、ある三角形の面積を2通りの方法で表します。

他にもいろいろありますよ~('ω’)ノ


 他の国会議員たちと数学の議論・・・。国会議員も数学好きなんですね・・・。


 
 


◇参考文献等
・E・マオール(2008)『ピタゴラスの定理-4000年の歴史』,pp.148-149,伊理由美訳,岩波書店.
・「Wikipedia」,<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89 > 2019年8月26日アクセス
・ジェームズ・A・ガーフィールドの画像→©Wikipedia(パブリックドメイン)

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Posted by Fuku