三平方の定理の証明⑩(無限等比級数を利用した証明)

 三平方の定理には数百もの証明方法があります。今回は、直角三角形を無限に細かくしていき、最終的には無限等比級数を利用する証明方法を紹介します。
Ⅰ 三平方の定理とは
Ⅱ 無限等比級数を利用した証明
Ⅲ その他の証明方法


目次

Ⅰ 三平方の定理とは

 三平方の定理とは、次のような定理です。(再掲)

三平方の定理(ピタゴラスの定理)


上のような直角三角形で、次の等式が成り立つ。
\begin{equation}
a^2+b^2=c^2
\end{equation}

 直角三角形の2辺がわかれば、残りの1辺も求まるというもので、紀元前から測量等でも使われてきました。日本では中学3年生(義務教育!)で習います。
 
 長い歴史の中で、様々な人により、様々な証明が生み出されてきましたが、今回は John Arioni という方が思いついた、無限等比級数の収束を利用する証明方法を紹介します。


Ⅱ 無限等比級数を利用した証明

 比の関係式が多く登場します↓↓

証明

  $~C=90^{\circ},b > a~$ の直角三角形 $~ABC~$ において、 $~C~$ から $~AB~$ に垂線 $~CD=h_1~$ を下ろす。
 また、その $~D~$ から $~AC~$ に垂線 $~DE=a_1~$ を下ろし、 $~CE=b_1~$ とする。

 このとき、各三角形は二角相等より、相似の関係となっている。
 
  $~\triangle DCE~$ $ \triangle ABC~$ より、
\begin{align}
h_1 : c &= b_1 : a \\
\\
b_1 c&=ah_1 \\
\\
\displaystyle b_1&=\frac{a}{c}h_1 \cdots ①
\end{align}
である。
 
 また、 $~\triangle ABC~$ において、底辺を $~c~$ としたときの高さが $~h_1~$ なので、面積の関係から
\begin{align}
\displaystyle \frac{1}{2}ch_1&=\frac{1}{2}ab \\
\\
h_1&=\frac{c}{a}b \cdots ②
\end{align}
がわかる。
 
 ②を①に代入することで、
\begin{align}
\displaystyle b_1&=\frac{a}{c}\cdot \frac{a}{c}b \\
\\
&=\frac{a^2}{c^2}b \cdots ③
\end{align}
が求まる。
 

 また、 $~\triangle DCE~$ $ \triangle CBD~$ より、
\begin{align}
h_1 : a &= a_1 : h_1 \\
\\
a a_1 &=h_1^2 \\
\\
a_1&=\frac{1}{a}h_1^2
\end{align}
であり、ここに②を代入することで、
\begin{align}
a_1&=\frac{1}{a}\cdot \frac{a^2}{c^2}b^2 \\
\\
&=\frac{b^2}{c^2}a \cdots ④
\end{align}
が求まる。
 
 次に、 $~E=90^{\circ}~$ 直角三角形 $~ADE~$ において、 $~E~$ から $~AD~$ に垂線 $~EF=h_2~$ を下ろす。
 また、その $~F~$ から $~AE~$ に垂線 $~FG=a_2~$ を下ろし、 $~EG=b_2~$ とする。

 このとき、同様の作業により、
\begin{equation}
\displaystyle a_2=\frac{AE^2}{AD^2}a_1
\end{equation}
となるが、 $~\triangle ADE~$ $ \triangle ABC~$ より、
\begin{equation}
\displaystyle \frac{AE}{AD}=\frac{AC}{AB}=\frac{b}{c}
\end{equation}
なので、
\begin{equation}
\displaystyle a_2=\frac{b^2}{c^2}a_1 \cdots ⑤
\end{equation}
が成り立つ。
 

 また、 $~\triangle FED~$ $ \triangle DCE~$ より、
\begin{align}
a_2 : a_1 &= b_2 : b_1 \\
\\
a_1 b_2 &=a_2b_1 \\
\\
b_2&=\frac{1}{a_1}a_2b_1
\end{align}
であり、ここに⑤を代入することで、
\begin{align}
b_2&=\frac{1}{a_1}\cdot \frac{b^2}{c^2}a_1 \cdot b_1 \\
\\
&=\frac{b^2}{c^2}b_1 \cdots ⑥
\end{align}
が求まる。
 
 ここまでの作業を繰り返し行い、 $~\triangle ABC~$ を細かくしていくと、次のような図になる。

 このとき、 $~b_3,b_4~$ についても、⑥を繰り返し使うことで、
\begin{align}
\displaystyle b_3&=\frac{b^2}{c^2}b_2=\left( \frac{b}{c} \right)^4 b_1 \\
\\
\displaystyle b_4&=\frac{b^2}{c^2}b_3=\left( \frac{b}{c} \right)^6 b_1 \\
\end{align}
と求まる。すなわち、
\begin{equation}
\displaystyle b_n=\left( \frac{b}{c} \right)^{2n-2} b_1
\end{equation}
であり、これを無限に続けていくと、

\begin{align}
b&=b_1+b_2+b_3+b_4+\cdots \\
\\
&=\displaystyle b_1+\left( \frac{b}{c} \right)^2 b_1++\left( \frac{b}{c} \right)^4 b_1+\left( \frac{b}{c} \right)^6 b_1+\cdots \\
\\
&=b_1 \left\{ 1+\left( \frac{b}{c} \right)^2 +\left( \frac{b}{c} \right)^4 +\left( \frac{b}{c} \right)^6 +\cdots
\right\} \\
\\
\end{align}


\begin{align}
b&=b_1+b_2+b_3+\cdots \\
\\
&=\displaystyle b_1+\left( \frac{b}{c} \right)^2 b_1++\left( \frac{b}{c} \right)^4 b_1+\cdots \\
\\
&=b_1 \left\{ 1+\left( \frac{b}{c} \right)^2 +\left( \frac{b}{c} \right)^4 +\cdots \right\} \\
\\
\end{align}

である。
 
 ここで、中かっこの式は、初項 $~1~$ 、公比 $~\displaystyle 0 < \left( \frac{b}{c} \right)^2 < 1~$ の無限等比級数であるため、 \begin{align} b&=b_1 \cdot \frac{1}{1-\frac{b^2}{c^2}} \\ \\ &=b_1 \cdot \frac{c^2}{c^2-b^2} \end{align} となり、③を代入することで、 \begin{align} b&=\frac{a^2}{c^2}b \cdot \frac{c^2}{c^2-b^2} \\ \\ 1&=\frac{a^2}{c^2-b^2} \\ \\ c^2-b^2&=a^2 \\ \\ c^2&=a^2+b^2 \end{align} となり、三平方の定理は示された。 $~\blacksquare$

 垂線によって $~b~$ を無限に細かく分け、収束する無限等比級数の形にもっていくという数学Ⅲとのコラボレーションでした。


Ⅲ その他の証明方法

 是非いろいろな証明を見て、お気に入りの証明方法を見つけてください。
~順次作成中~
[pythagorastable]
他にもいろいろありますよ~(‘ω’)ノ


 とうとう無限の概念まで絡んできました・・・。


 
 


◇参考文献等
・「Pythagorean Theorem」,<http://www.cut-the-knot.org/pythagoras/Proof100.shtml> 2019年10月10日アクセス

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コメント

コメント一覧 (3件)

  • 突然のコメントにもかかわらず、
    丁寧にご返信をありがとうございます。
    参考文献も勉強になりそうです。
    偶然たどり着いたFukusukeさんのHPでしたが、
    様々なテーマをとても分かりやすく興味深くご紹介されており、
    勉強になるとともに、純粋に楽しく拝見させていただいています。
    楽しみが一つ増えました。
    これからもよろしくお願いいたします。

  • はじめまして。
    等比級数の和による三平方の定理の証明、面白いですね。
    実は偶然、その逆、三平方の定理による等比級数の和の導出を見つけました。
    同じようなものがないか検索して、このページにたどり着いた次第です。
    等比級数の和と三平方の定理について、必要十分の関係が示されたように見えますが、
    一部問題もあり、ネットに投稿してアドバイスを求めています。
    http://suseum.jp/gq/question/3127
    その際に、このページのURLを参考として掲載させていただきました。
    どうぞよろしくお願いいたします。

    •  引用&コメントありがとうございます。
       無限が絡んでくるので、必要十分の関係を示すの難しそうですね。

       三平方の定理については、参考文献にも書きましたが、下記のサイトにいろいろな証明が載っています。
      https://www.cut-the-knot.org/pythagoras/index.shtml

       ヒントが見つかれば幸いです。

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