三平方の定理の証明⑬~外接円と直角二等辺三角形を利用した証明をわかりやすく解説!~

 三平方の定理の証明は、紀元前からあらゆる人があらゆる方法で考え出してきました。

 この記事では、外接円と直角二等辺三角形を利用した証明方法を、現役数学教員がわかりやすく解説します。

 今回の証明は、20世紀後半~21世紀にベトナム人の Bui Quang Tuan によって考案されたもので、その人物についても簡単に触れていきます。

 最近の証明方法ということもあり、複雑で普通は気づけないような方法。
 この記事を読んで、その難しさを味わってみましょう。

この記事を読んでわかること
  • Bui Quang Tuan について
  • 外接円と直角二等辺三角形を利用した証明方法について

 三平方の定理の内容や、三平方の定理の別証についてはこちらから↓↓

目次

Bui Quang Tuan について

 今回の証明方法は、ベトナム人の Bui Quang Tuan(1962~)によって考案されたもので、彼は自身のサイトFacebookTwitterで数学の面白さを発信しています。

 彼のサイトのプロフィールには、次のようなキャッチフレーズが書かれています。

To discover new interesting: first observe all strange, abnormal but then make them familiar, normal

MTG (My Triangle Geometry)~About より引用

Bui Quang Tuan は、今回紹介する方法以外にも、三平方の定理の証明をいくつか考案していて、三平方の定理の証明を100種類以上まとめている英字サイトに採用されています。

 その中でも、彼のFacebookのアイコンにもなっている、三平方の定理の証明方法を1つ解説していきます。

外接円と直角二等辺三角形を利用した証明

 直角三角形の外部に図をどんどん書き足していく方法です。

三平方の定理の証明⑬

 図1のように、$~a < b~$である直角三角形$~ABC~$の外接円 $~O~$を描く。

<図1> 外接円を追加
<図1> 外接円を追加

 次に、直線$~AC~$上に、$~CD=a~$となるような$~D~$を図2のようにとる。

 このとき、$~\triangle BCD~$は直角二等辺三角形となる。

<図2> 直角二等辺三角形を1つ追加
<図2> 直角二等辺三角形を1つ追加

 さらに、図3のように、直線$~DB~$と円$~O~$の$~B~$ではない交点を$~E~$とし、さらに直線$~AE~$と直線$~BC~$の交点を$~F~$とする。

 このとき、$~\angle BEF=90^{\circ}~$であり、対頂角から$~\angle BEF=45^{\circ}~$なので、$~\triangle BEF~$も直角二等辺三角形となる。

<図3>  直角二等辺三角形をもう1つ追加
<図3>  直角二等辺三角形をもう1つ追加

 また、$~\angle BCA=90^{\circ}~$であることから、$~\triangle ACF~$も直角二等辺三角形である。

<図4> 2つの直角二等辺三角形
<図4> 2つの直角二等辺三角形

 四角形$~AFBD~$の面積$~S~$は、図4から

\begin{align*}
S&=\triangle BCD+\triangle ACF \\
&=\frac{a^2}{2}+\frac{b^2}{2}~~~~\cdots ①
\end{align*}

と表せる。

<図5> FDを結び、合同を示す
<図5> FDを結び、合同を示す

 ところで、$~\triangle EFD~$と$~\triangle EBA~$において、

\begin{align*}
EF&=EB ~~~~\cdots ②\\
\angle FED&=\angle BEA=90^{\circ} ~~~~\cdots ③\\
\end{align*}

であり、$~\triangle AED~$も直角二等辺三角形であることから、

ED=EA~~~~\cdots ④

となるため、$②$~$④$より二辺夾角相等で$~\triangle EFD \equiv \triangle EBA~$とわかる。

 よって、

FD=BA=c

が求まる。

<図6> 合同により、FDの長さが求まった
<図6> 合同により、FDの長さが求まった

 さらに、$~DE \perp AF~,~FC \perp AD~$であることから、$~DE~$と$~FC~$の交点$~B~$は、$~\triangle ADF~$の垂心である。

 したがって、直線$~AB~$と$~FD~$の交点を $~G~$とすると、$~AG \perp FD~$である。

<図7> AGはFDの垂線
<図7> AGはFDの垂線

 以上より、四角形$~AFBD~$の面積$~S~$は、

\begin{align*}
S&=\triangle FBA+\triangle DBA \\
\\
&=c \cdot FG \cdot \frac{1}{2}+c \cdot DG \cdot \frac{1}{2} \\
\\
&=\frac{c}{2}(FG+DG) \\
\\
&=\frac{c}{2}\cdot c \\
\\
&=\frac{c^2}{2} ~~~\cdots ⑤
\end{align*}

と表せる。

 $①~,~⑤~$より、

\begin{align*}
\frac{a^2}{2}+\frac{b^2}{2}&=\frac{c^2}{2} \\
\\
a^2+b^2&=c^2
\end{align*}

が示された。■

 外接円と2つの直角二等辺三角形を追加することで、いろいろな図形の性質が噛み合い、三平方の定理を証明することができました。


直角二等辺三角形を2つ追加したつもりが、実は4つもあり、合同な図形に垂心‥‥。化学反応し過ぎ!

Bui Quang Tuanという人物は、他にもトリッキーな証明方法や数に関する面白い性質をたくさん発信しているよ。

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