根号($ \sqrt{\quad}$)の中に根号($ \sqrt{\quad}$)、さらにその中にも根号($ \sqrt{\quad}$)・・・。
高校数学では二重根号まで習いますが、今回は無限に根号の中に根号がある式の中で、興味深いものを紹介します。
Ⅰ 一般化
Ⅱ 結果がきれいな式
この記事は「①(解法編)」と②(計算結果編)の二部で構成されています。
Ⅰ 一般化
前回の「①(解法編)」で、
\begin{equation}
\sqrt{2+\sqrt{2+\sqrt{2+\sqrt{2+\cdots}}}}=2
\end{equation}
ということが求められました。
無限に根号と $~2~$ が続いていった結果が $~2~$ になるという、数学の美しさが表れています。
しかし、根号と $~3~$ が無限に続く場合は、値を求めてあげると
\begin{equation}
\displaystyle \sqrt{3+\sqrt{3+\sqrt{3+\sqrt{3+\cdots}}}}=\frac{1+\sqrt{13}}{2}
\end{equation}
という答えが出てきます。
値が汚いですね・・・。あまり美しくない・・・。
ここで、無限に根号と $~a~$ が続いていった場合、すなわち一般化を考えました。
$~a~$ を正の定数として、次の式が成り立つ。
\begin{equation}
\displaystyle \sqrt{a+\sqrt{a+\sqrt{a+\sqrt{a+\cdots}}}}= \frac{1 + \sqrt{1+4a}}{2}
\end{equation}
\begin{align}
\displaystyle &\sqrt{a+\sqrt{a+\sqrt{a+\sqrt{a+\cdots}}}} \\
\\
&= \frac{1 + \sqrt{1+4a}}{2}
\end{align}
ということで、なぜこのような式が出るのかを証明していきます。
$~a~$ を正の定数として、次の $~x~$ の値を求める。
\begin{equation}
\displaystyle x=\sqrt{a+\sqrt{a+\sqrt{a+\sqrt{a+\cdots}}}}
\end{equation}
上記の式は、
\begin{equation}
\displaystyle x=\sqrt{a+x}
\end{equation}
とおけるため、両辺2乗することで、
\begin{align}
x^2&=a+x \\
\\
x^2-x-a&=0 \\
\\
x&=\displaystyle \frac{1 \pm \sqrt{1+4a}}{2} \\
\end{align}
と解ける。 $~x \ge 0~$ より、
\begin{equation}
x=\displaystyle \frac{1 + \sqrt{1+4a}}{2} \\
\end{equation}
が言えた。
これにより、 $~a~$ によって、式の値がきれいになるかどうかが決まることがわかりました。
Ⅱ 結果がきれいな式
上の公式により、 $~\sqrt{1+4a}~$ が整数になれば、無限多重根号の計算結果がきれいな数になることがわかりました。
実際、 $~a=2~$ のときは、
\begin{align}
&\sqrt{2+\sqrt{2+\sqrt{2+\sqrt{2+\cdots}}}} \\
\\
&=\displaystyle \frac{1 + \sqrt{9}}{2} \\
\\
&= \frac{1 + 3}{2} \\
\\
&=2
\end{align}
となりましたね。
同じような例を少し挙げてみましょう。
\begin{align}
&\sqrt{6+\sqrt{6+\sqrt{6+\sqrt{6+\cdots}}}} \\
\\
&=\displaystyle \frac{1 + \sqrt{25}}{2} \\
\\
&= \frac{1 + 5}{2} \\
\\
&=3
\end{align}
\begin{align}
&\sqrt{12+\sqrt{12+\sqrt{12+\sqrt{12+\cdots}}}} \\
\\
&=\displaystyle \frac{1 + \sqrt{49}}{2} \\
\\
&= \frac{1 + 7}{2} \\
\\
&=4
\end{align}
\begin{align}
&\sqrt{20+\sqrt{20+\sqrt{20+\sqrt{20+\cdots}}}} \\
\\
&=\displaystyle \frac{1 + \sqrt{81}}{2} \\
\\
&= \frac{1 + 9}{2} \\
\\
&=5
\end{align}
というように、奇数の平方数は4で割ると必ず1余るため、
任意の正の奇数に対して、ある自然数 $~a~$ が存在して、その奇数を $~\sqrt{4a+1}~$ の形で表すことができます。
つまり、2以上のすべての自然数 $~n~$ に対して、ある自然数 $~a~$ を使って、
\begin{equation}
\displaystyle n=\sqrt{a+\sqrt{a+\sqrt{a+\sqrt{a+\cdots}}}}
\end{equation}
と表すことができるということです。
ちなみに、”あの”値も無限多重根号で表せます。
\begin{equation}
\sqrt{1+\sqrt{1+\sqrt{1+\sqrt{1+\cdots}}}}=\displaystyle \frac{1 + \sqrt{5}}{2} \\
\end{equation}
\begin{align}
&\sqrt{1+\sqrt{1+\sqrt{1+\sqrt{1+\cdots}}}} \\
\\
&=\displaystyle \frac{1 + \sqrt{5}}{2} \\
\end{align}
右辺は $~\displaystyle \frac{1 + \sqrt{5}}{2}=1.618 \cdots~$ ということで、黄金比 になっています!
しかも、左辺は 1 が並んでいてきれいですね。
ということで、もっと研究すると楽しそうな無限の世界でした。
黄金比、さすが美しいですね。
また、自分の好きな自然数を無限多重根号で表してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、Fuku(29)は、
\begin{equation}
\sqrt{812+\sqrt{812+\sqrt{812+\sqrt{812+\cdots}}}}
\end{equation}
で作れます。
◇参考文献等
・「無限多重根号の不思議」,<http://azisava.sakura.ne.jp/math/nested_radical.html > 2019年3月31日アクセス
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