旧ISBNコードのしくみ

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2007年1月から13ケタとなったISBNコード。その前に出版された書籍のISBNコードは10ケタでした。現行の13ケタと比較しながら、10ケタのISBNコード(ISBN-10)について説明します。
①ISBN-10の概要
②ISBN-10の数学的工夫
③ISBN-10判定プログラム
④ISBN-10の10ケタ目算出のプログラム



この記事を読んでわかること

①ISBN-10の概要

 ISBNコードとは、出版された書籍の1冊1冊に付いている識別番号のことで、1書名ごとに1つ割り当てられています。
このコードの中には、出版された国、出版社の情報が入っていて、本屋等の検索機で見つけたい本を識別することができます。
2007年より前に出版された書籍にはISBNコードは10ケタがついていましたが、番号の枯渇への懸念から2007年以後は13ケタとなり、今に至っています。(現行のISBNコードについては、ISBNコードのしくみへ)

10ケタのISBNコードを持つ本を1冊挙げます。

これは『江戸時代の寺子屋入門』という1996年に出版された本です。消費税も3%となっています。この

4-87639-707-4

という10ケタの数字を使って、ISBN-10の見方を解説します。

(1)1ケタ目(例なら”4″)
最初の数字は、国記号といい、”4″は「日本」で出版された書籍であることを表します。日本の記号は1ケタですが、国によっては国記号で2ケタ、3ケタ使うところもあります。
(ISBN-13では、最初に”978″という接頭数字が3ケタ並んだあと、国記号となります。)

(2)2ケタ目から6ケタ目(例なら”87639″)
国記号の次に来る数字は、出版社記号といい、”87639″なら「研成社」の出版物であることを表します。出版社によって、2ケタから5ケタくらいまで使います。ちなみに”00″は岩波書店です。
(ISBN-13と同じ)

(3)7ケタ目から9ケタ目(例なら”707″)
出版社記号のあとは書名記号となります。同じ出版社の書籍でもここだけは数字が違ってきます。
この数字により、研成社の出版する本の中でも、『江戸の寺子屋入門』というタイトルの本であると識別されます。
国記号や出版記号で使ってきたケタ数がずれてきましたが、書名記号を9ケタ目まで使うことは全ISBN-10共通です。
(ISBN-13と同じ)

(4)10ケタ目(例なら”4″)
最後の1ケタはチェック数字(チェックデジット)と呼ばれ、この数字だけは本の情報とは関係なく、9ケタ目までの数字によって、ユニークに決まります。(「ユニーク」は数学用語で「唯一」という意味) このチェック数字によって、ISBNコードの入力ミスを防ぐことができます。
(ISBN-13と同じだが、チェック数字を算出する方法が違う)

このチェック数字は、どのようにして決まるのか?これを次の章で解説していきます。


②ISBN-10の数学的工夫

 先ほど詳しく紹介したISBNコードの10ケタ目のチェック数字(チェックデジット)。この数字はどのような計算方法で、ユニークに決まるのかを説明します。

チェック数字の決め方

次のような10ケタのISBNコードで、
\begin{equation}
a_{1}a_{2}a_{3}a_{4}a_{5}a_{6}a_{7}a_{8}a_{9}C
\end{equation}
チェック数字 $~C $は次の式を満たすように定まる。
\begin{multline}
10 a_{1}+9a_{2}+8a_{3}+7a_{4}+6a_{5}+5a_{6}\\
+4a_{7}+3a_{8}+2a_{9}+C \equiv 0 (mod11)
\end{multline}

つまり、1ケタ目は10倍、2ケタ目は9倍、・・・9ケタ目は2倍、10ケタ目(チェック数字)は1倍、とした数を全て足すと、11の倍数になるということです。

この規則のおかげで、数字を入れ間違えたり、数字の順番を間違たりした場合、11で割り切れなくなるため、瞬時にエラーが出てきて、入力ミスに気づくことができます。

先ほど例で挙げたISBNコードについて見てみましょう。

ISBNコード

4-87639-707-4

のチェック数字を確かめてみる。
先ほどの式に数をあてはめていくと、


\begin{multline}
10\cdot 4+9\cdot 8+8\cdot 7+7\cdot 6+6\cdot 3+5\cdot 9 \\
+4\cdot 7+3\cdot 0+2 \cdot 7+C \equiv 0 (mod11)
\end{multline}
\begin{align}
40+72+56+42+18+45+28+0+14+C &\equiv 0 (mod11) \\
\\
315+C &\equiv 0 (mod11) \\
\\
C&=4
\end{align}


\begin{multline}
10\cdot 4+9\cdot 8+8\cdot 7+7\cdot 6+6\cdot 3+5\cdot 9 \\
+4\cdot 7+3\cdot 0+2 \cdot 7+C \equiv 0 (mod11)
\end{multline}
\begin{align}
&40+72+56+42+18+45 \\
&+28+0+14+C \equiv 0 (mod11) \\
\\
& 315+C \equiv 0 (mod11) \\
\\
&C=4
\end{align}

よって、確かにチェック数字は4となっている。

もう1つ例を見ておきます。

1998年に出版された『金田一少年の事件簿 短編集3』というマンガの背表紙です。↓

ISBNコードを抜き出すと、

4-06-333966-1

です。これを先ほどの式にあてはめていくと、

\begin{multline}
10\cdot 4+9\cdot 0+8\cdot 6+7\cdot 3+6\cdot 3+5\cdot 3 \\
+4\cdot 9+3\cdot 6+2 \cdot 6+C \equiv 0 (mod11)
\end{multline}
\begin{align}
40+0+48+21+18+15+36+18+12+C & \equiv 0 (mod11) \\
\\
208+C &\equiv 0 (mod 11) \\
\\
C&=1
\end{align}


\begin{multline}
10\cdot 4+9\cdot 0+8\cdot 6+7\cdot 3+6\cdot 3+5\cdot 3 \\
+4\cdot 9+3\cdot 6+2 \cdot 6+C \equiv 0 (mod11)
\end{multline}
\begin{align}
& 40+0+48+21+18+15 \\
&+36+18+12+C \equiv 0 (mod11) \\
\\
&208+C \equiv 0 (mod 11) \\
\\
&C=1
\end{align}

よって、チェック数字は1となり、写真と合致している。

ということで、チェック数字は数式で求めることができます。
 
ちなみに、下の『名探偵コナン 38巻』(2002年出版)のISBN-10のチェック数字を見ると・・

4-09-126168-X

となっており、Xは自分で求めないといけません。・・・ではなく、”X”はローマ数字の”10″です。”10″と表記してしまうと、11ケタになってしまうので、”X”で表しています。


③ISBN-10判定プログラム

ISBN-13同様に作ってみました。
(2007年以降の13ケタのISBNコード判定はこちら→ISBN-13の判定

<手順>
(1)テキストボックスに10ケタの数字を入れる。(ハイフンは不要、半角英数字で!)
(2)「ISBNコードですか?」ボタンを押す。




わざと順番を入れ替えてエラーが出ることを確かめてみてください。
もちろん”X”を使うこともできます。


④ISBN-10の10ケタ目算出のプログラム

こちらは、9ケタ目まで入力すると、10ケタ目(チェック数字)が算出されるプログラムです。
(2007年以降のISBN-13の13ケタ目算出はこちら→ISBN-13の13ケタ目算出

<手順>
(1)テキストボックスに9ケタの数字を入れる。(ハイフンは不要)
(2)「チェック数字を調べる」ボタンを押す。






ちょっとしたマジックができるかも!?


昔は10ケタだったんですね。足りなくなりそうだから、ケタ数を増やす。なんかIPアドレスみたい・・。

   
 
 


☆参考文献等
・マーカス・デュ・ソートイ(2016)『数字の国のミステリー』,pp.318-321,冨永星訳,新潮社.
・「日本図書コード管理センター」,< http://www.isbn-center.jp/index.html> 2016年3月10日アクセス

☆写真としての引用
・佐藤健一編(1996)『江戸の寺子屋入門』,研成社.
・天樹征丸・さとうふみや(1998)『金田一少年の事件簿 短編集3 ―金田一少年の冒険―』,講談社.
・青山剛昌(2002)『名探偵コナン(38)』,小学館.

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