階差数列型で、n=1 のときに成り立たなくなる例

数学B数列数学B

 \(~\displaystyle a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k~\)。これを計算した後に、\(~n=1~\)でも成り立つかの検算をしますが、今回はそれを行う理由と、\(~n=1~\)で成り立たない数列の例を紹介します。
Ⅰ \(~n=1~\)を確かめる理由
Ⅱ \(~n=1~\)でほぼ成り立つ理由
Ⅲ \(~n=1~\)で成り立たない例


目次
  • 1. Ⅰ \(~n=1~\)を確かめる理由
  • 2. Ⅱ \(~n=1~\)でほぼ成り立つ理由
  • 3. Ⅲ \(~n=1~\)で成り立たない例

Ⅰ \(~n=1~\)を確かめる理由

 まずは、そもそもの話。

 なぜ\(~n=1~\)で成り立つかどうかの確認をするのでしょうか?

 その理由は簡単で、\( ~\{a_n\} ~\)の階差数列を\( ~\{b_n\} ~\)としたとき、
\begin{equation}
a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k~~~\cdots (*)
\end{equation}
と表されます。ここに\(~n=1~\)を代入すると、
\begin{equation}
a_1=a_1+\sum_{k=1}^{0}b_k~~~\cdots (**)
\end{equation}
となります。ここで、困るのが\(~\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}b_k~\)の部分。

 \(~k=1~\)から\(~k=0~\)までの\(~b_k~\)の和!?

と困るわけです。
 
 そこで、実際の式では、\(~n \geqq 2~\)という制約をつけて\(~(*)~\)の右辺を計算し、最後に\(~n=1~\)のときにも等式が成り立つかを確かめる必要があるのです。
 
 1つ、よくある問題の例を挙げておきます。

 \(~1 , 2 , 4 , 7 , 11 , 16 , \cdots~\)で与えられている数列\( ~\{a_n\} ~\)を求める。
 
 この数列の階差数列\( ~\{b_n\} ~\)を調べると、
\begin{equation}
1 \xrightarrow{b_1=1} 2 \xrightarrow{b_2=2} 4 \xrightarrow{b_3=3} 7 \xrightarrow{b_4=4} 11 \xrightarrow{b_5=5} 16 \cdots
\end{equation}
となっている。
 
 \(~b_n=n~\)と表せるので、\(~n \geqq 2~\)のとき、
\begin{align}
a_n&=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k \\
\\
&=1+\sum_{k=1}^{n-1}k \\
\\
&=1+\frac{1}{2}n(n-1) \\
\\
&=\frac{1}{2}n^2-\frac{1}{2}n+1
\end{align}
となる。
 
 また、\(~n = 1~\)のとき、
\begin{align}
a_1&=\frac{1}{2}\cdot 1^2-\frac{1}{2}\cdot 1+1 \\
\\
&=\frac{1}{2}-\frac{1}{2}+1 \\
\\
&=1
\end{align}
であるため、\(~n=1~\)のときにも成り立つ。
 
 したがって、一般項は
\begin{equation}
a_n=\frac{1}{2}n^2-\frac{1}{2}n+1
\end{equation}
と求まった。


Ⅱ \(~n=1~\)でほぼ成り立つ理由

 先ほどの例で、\(~n=1~\)のとき成り立っていることを確かめました。
 
 今まで解いてきた多くの階差数列型の問題でも、\(~n=1~\)のとき成り立っていたのではないでしょうか?
 
 この章では、その理由を探っていきます。
 
 
 着目するのは、\(~(*)~\)の式に出てくる\(~\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}b_k~\)の部分。
 
 教科書等で出てくる階差数列\(~b_k~\)の和の計算は、ほぼ全て以下の計算(実数倍やそれらの和を含めて)に帰着されます。

\(~n-1~\)までの\(~\Sigma~\)の公式

\begin{align}
&\sum_{k=1}^{n-1}1=n-1 \\
\\
&\sum_{k=1}^{n-1}k=\frac{1}{2}n(n-1) \\
\\
&\sum_{k=1}^{n-1}k^2=\frac{1}{6}n(n-1)(2n-1) \\
\\
&\sum_{k=1}^{n-1}k^3=\left\{ \frac{1}{2}n(n-1) \right\}^2 \\
\\
&\sum_{k=1}^{n-1}cr^{k-1}=\frac{c(1-r^{n-1})}{1-r} ~~~(等比数列型) \\
\end{align}

 これらの式の右辺に\(~n=1~\)を代入してみると、見事にすべて\(~0~\)になります。
 
 つまり、\(~\displaystyle \sum_{k=1}^{0}b_k~\)は定義できないものの、\(~\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}b_k~\)を計算してから\(~n=1~\)を代入することで、\(~\displaystyle \sum_{k=1}^{0}b_k=0~\)が求まります。
 
 よって、\(~(**)~\)の式で、
\begin{align}
a_1&=a_1+0 \\
\\
a_1&=a_1
\end{align}
となり、\(~\Sigma~\)計算をして求まった\(~\{a_n\}~\)の一般項は、\(~a_1~\)でも必ず成り立つのです。


Ⅲ \(~n=1~\)で成り立たない例

 では、本題に入っていきます。
 \(~\Sigma~\)計算をして求まった\(~\{a_n\}~\)が、\(~n=1~\)で成り立たなくするにはどうすればいいのでしょう?
 
 先ほどの議論で、\(~\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}b_k~\)が\(~\Sigma~\)公式の基本形に帰着され、それらの右辺が\(~0~\)になってしまうことが、\(~n=1~\)でも必ず成り立つ理由につながっていました。
 
 ということは、\(~\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}b_k~\)が特殊な形になればいいのです。
 
 そのような例を2つほど挙げてみます。

例1

 \(~1 , 1 , 3 , 6 , 10 , 15 , \cdots~\)で与えられている数列\( ~\{a_n\} ~\)を求める。
 
 この数列の階差数列\( ~\{b_n\} ~\)を調べると、
\begin{equation}
1 \xrightarrow{b_1=0} 1 \xrightarrow{b_2=2} 3 \xrightarrow{b_3=3} 6 \xrightarrow{b_4=4} 10 \xrightarrow{b_5=5} 15 \cdots
\end{equation}
となっているため、次のように表される。
\begin{equation}
b_n = \begin{cases}
0 & (n=1) \\
n & (n \geqq 2)
\end{cases}
\end{equation}
 
 よって、\(~n \geqq 2~\)のとき、
\begin{align}
a_n&=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k \\
\\
&=1+b_1+\sum_{k=2}^{n-1}k \\
\\
&=1+0+\left\{ \frac{1}{2}n(n-1)-1\right\} \\
\\
&=\frac{1}{2}n(n-1)
\end{align}
となる。
 
 また、\(~n = 1~\)のとき、
\begin{align}
a_1&=\frac{1}{2}\cdot 1 \cdot (1-1) \\
\\
&=0
\end{align}
であるため、\(~n=1~\)のときには成り立たない。
 
 したがって、一般項は
\begin{equation}
a_n = \begin{cases}
1 & (n=1) \\
\frac{1}{2}n(n-1) & (n \geqq 2)
\end{cases}
\end{equation}
と求まった。

 ちょっと無理がある感が否めませんが、確かに\(~n=1~\)では成り立っていません。
 
 似てはいますが、例1よりもスッキリさせた例がこちら。(「おいしい数学」さんを参考)

例2

 \(~1 , 2 , 2 , 3 , 5 , 8 , \cdots~\)で与えられている数列\( ~\{a_n\} ~\)を求める。
 
 この数列の階差数列\( ~\{b_n\} ~\)を調べると、
\begin{equation}
1 \xrightarrow{b_1=1} 2 \xrightarrow{b_2=0} 2 \xrightarrow{b_3=1} 3 \xrightarrow{b_4=2} 5 \xrightarrow{b_5=3} 8 \cdots
\end{equation}
となっているため、\(~b_n=|n-2|~\)と表される。
 
 よって、\(~n \geqq 2~\)のとき、
\begin{align}
a_n&=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}|k-2| \\
\\
&=1+b_1+\sum_{k=2}^{n-1}(k-2) \\
\\
&=1+|1-2|+\left\{ \frac{1}{2}n(n-1)-2(n-1)-(1-2) \right\} \\
\\
&=1+1+\frac{1}{2}n(n-1)-2(n-1)+1 \\
\\
&=3+\frac{1}{2}(n-1)(n-4)
\end{align}
となる。
 
 また、\(~n = 1~\)のとき、
\begin{align}
a_1&=3+\frac{1}{2}(1-1)(1-4) \\
\\
&=3
\end{align}
であるため、\(~n=1~\)のときには成り立たない。
 
 したがって、一般項は
\begin{equation}
a_n = \begin{cases}
1 & (n=1) \\
3+\frac{1}{2}(n-1)(n-4) & (n \geqq 2)
\end{cases}
\end{equation}
と求まった。

 絶対値を使って、きれいに見せてはいますが、要は
\begin{equation}
b_n = \begin{cases}
1 & (n=1) \\
n-2 & (n \geqq 2)
\end{cases}
\end{equation}
と場合分けをしているため、例1と同じような仕組みです。
 
 
 他にもいろいろな関数を試してみましたが、\(~n=1~\)で成り立ってしまったので結果だけ書いておきます。
 

(1) \(~1 , 1 , 1+\log{2} , 1+\log_{2}+\log{3} , 1+3\log{2}+\log{3} , \cdots~\)で与えられている数列\( ~\{a_n\} ~\)

 \(~b_n=\log{n}~\)となり、この一般項は
\begin{equation}
a_n=1+\log{(n-1)!}
\end{equation}
となります。\(~0!=1~\)より、\(~a_1=1~\)で成立します。
 
 

(2) \(~\displaystyle 1 , \frac{3}{2} , \frac{5}{3} , \frac{7}{9} , \frac{11}{6} , \cdots~\)で与えられている数列\( ~\{a_n\} ~\)

 \(~b_n=\displaystyle \frac{1}{k(k+1)}~\)となり、この一般項は
\begin{equation}
a_n=2-\frac{1}{n}
\end{equation}
となります。\(~a_1=1~\)で成立します。
 
 

(3) \(~\displaystyle 1 , 1 , 2 , 3 , 5 , 7 ,\cdots~\)で与えられている数列\( ~\{a_n\} ~\)

 \(~b_n=\displaystyle \left[ \frac{1}{2}n \right]~\)(ガウス記号)となり、この一般項は
\begin{equation}
a_n = \begin{cases}
\frac{1}{4}n^2-\frac{1}{2}n+\frac{5}{4} & (n が奇数) \\
\frac{1}{4}n^2-\frac{1}{2}n+1 & (n が偶数)
\end{cases}
\end{equation}
となります。\(~a_1=1~\)で成立します。
 
 
 意外と\(~\Sigma~\)計算の中で\(~(n-1)~\)が出てきてしまい、\(~\displaystyle \sum_{k=1}^{0}b_k=0~\)が成り立ってしまいました。


 生徒の質問によって、また1つ賢くなりました。


 
 


◇参考文献等
・「おいしい数学」,<https://hiraocafe.com/note/kaisagatasuuretsu.html > 2020年3月26日アクセス

数学B数列数学B

Posted by Fuku