解析学で非常に重要な「テイラー級数」。その基になっているのが「テイラーの定理」です。
剰余項を含め、定理の内容を具体例からわかりやすく解説し、証明へと進みます。
- テイラーの定理が表す意味
- テイラーの定理の剰余項の意味
- テイラーの定理の証明
- テイラー級数への拡張
Ⅰ テイラーの定理とは?
Ⅰー① テイラーの定理の内容
テイラーの定理はテイラーの公式とも呼ばれ、以下のような内容となっています。
ある区間において、$~f(x)~$は$~n~$階まで微分可能とする。
その区間内の定点 $~a~$、任意の点$~x~$に対し、
\begin{align*} f(x)&=f(a)+(x-a)\frac{f'(a)}{1!}+(x-a)^2\frac{f^{\prime\prime}(a)}{2!}+\cdots \\ &~~~~~~~~~~~~~~~~+(x-a)^{n-1}\frac{f^{(n-1)}(a)}{(n-1)!}+(x-a)^n\frac{f^{(n)}(\xi)}{n!} \end{align*}
が成り立つ。
ただし、$~\xi~$は$~a~$と$~x~$の間にある点である。
$~\xi~$は「クシー」と読み、この$~\xi~$の条件に関しては、$~a \lessgtr \xi \lessgtr x~$や$~\xi=a+\theta(x-a)~~(0 < \theta < 1)~$と表されることもあります。
また、右辺の最後の項だけ$~\xi~$を使っており、この最終項のことを
R_n=(x-a)^n \frac{f^{(n)}(\xi)}{n!}
と表し、剰余項といいます。
この定理について解説する前に、発見者についても触れておきましょう。
Ⅰー② テイラーの定理の発見者
テイラーの定理は、イギリスの数学者ブルック・テイラー(Brook Taylor , 1685-1731)によって発見されました。
彼が1715年に書いた『増分法』の中に、テイラーの定理が載っています。
しかし、現在の解析学において重要なマクローリン展開の基礎となるテイラーの定理も、当時は重要視されていませんでした。
また、テイラーは剰余項について考えていなかったため、公式としてはアバウトなものでした。
この公式が日の目を浴びるのは、18世紀後半。
1772年にテイラーの定理が「微分法の基礎となる原理」として認められ、ジョゼフ・ルイ・ラグランジュ(Joseph-Louis Lagrange , 1736-1813)が剰余項について言及しました。
これにより、テイラーの定理が現在の形になり、ラグランジュの功績も讃えて、$~R_n~$をラグランジュの剰余ともいいます。
Ⅱ テイラーの定理の意味
テイラーの定理の意味を一言で表すと、
どんな関数も、ある点の周りに限定すれば多項式で近似できる
となります。
Ⅱー① 3次関数を1次関数で近似する
手始めに次の例題を考えてみます。
$~f(x)=x^3-3x^2-6x+8~$の$~x=3~$における接線の式を求めなさい。
接線というのは直線、すなわち一次式です。
数学Ⅱの知識でこの例題は解くことができます。
$~x~$で微分をすると、
f'(x)=3x^2-6x-6
となるため、$~x=3~$における$~f(x)~$の接線の傾きは
\begin{align*} f'(3)&=3\cdot 3^2-6\cdot 3-6 \\ &=27-18-6 \\ &=3 \end{align*}
である。
また、
\begin{align*} f(3)&=3^3-3\cdot 3^2-6 \cdot 3+8 \\ &=27-27-18+8 \\ &=-10 \end{align*}
より、接線の方程式は
\begin{align*} y-f(3)&=f'(3)(x-3) \\ y&=f(3)+(x-3)f'(3) ~~~~\cdots ① \\ y&=-10+(x-3)\cdot 3 \\ y&=3x-19 \end{align*}
と求まる。
さて、もとの三次関数と、求まった接線をグラフに表すと、図3のようになります。
図3の赤枠内を拡大すると、以下の図4のようになります。
図4からもわかる通り、接線のとらえ方を変えると、$~x=3~$付近なら、三次関数$~f(x)=x^3-3x^2-6x+8~$は、一次関数$~f(x) = 3x-19~$に近似できると言えます。
さて、例題1の解説の$①$は
f(x)=f(3)+(x-3)f'(3)
とも表せます。
$~3~$を定点$~a~$として捉えると、もとの三次関数は$~x=a~$の付近なら、
f(x)=f(a)+f'(a)(x-a)~~~~\cdots ②
と近似できるということです。
そして、テイラーの定理を見比べると、$~②~$はテイラー展開の2項目までであることがわかります。
ただ、当然ながら三次関数を一次関数で近似しているので精度は悪いです。
Ⅱー② 3次関数を2次関数で近似する
一次関数である接線も見方を変えると、$~x=3~$付近の近似式であることがわかりました。
では、近似の精度を上げるために、今度は2次関数を使って近似してみましょう。
まずは、2次の近似式を作ります。
一次の近似式である$~②~$に、$~(x-a)^2~$の項を追加し、その係数を$~k_2~$として考えると
f(x)=f(a)+f'(a)(x-a)+k_2(x-a)^2
となり、その$~k_2~$を求めるため、両辺を微分していくと、
\begin{align*} f'(x)&=f'(a)+2k_2(x-a) \\ \\ f^{\prime \prime}(x)&=2k_2 \end{align*}
になる。
ここに、$~x=a~$を代入し、$~k_2~$について解くと、
k_2=\frac{f^{\prime \prime}(a)}{2}
になるので、
f(x)=f(a)+f'(a)(x-a)+\frac{f^{\prime \prime}(a)}{2}(x-a)^2~~~\cdots③
と2次の近似式が導出できた。
$~③~$は、テイラーの定理の3項目までとなっていることがわかります。
実際に、先ほどの3次関数を近似してみましょう。
$~f(x)=x^3-3x^2-6x+8~$の$~x=3~$における、2次の近似式を求めなさい。
2次の近似式は$~③~$で作っているので、$~a=3~$を代入するだけです。
f'(x)=3x^2-6x-6
をさらに$~x~$で微分して、
f^{\prime\prime}(x)=6x-6
となるため、
\begin{align*} f^{\prime\prime}(3)&=6\cdot 3-6 \\ &=12 \end{align*}
である。
よって、2次の近似式は
\begin{align*} f(x)&=f(3)+f'(3)(x-3)+\frac{f^{\prime \prime}(3)}{2}(x-3)^2 \\ \\ &=-10+3(x-3)+\frac{12}{2}(x-3)^2 \\ \\ &=-10+3x-9+6(x^2-6x+9) \\ &=-10+3x-9+6x^2-36x+54 \\ &=6x^2-33x+35 \end{align*}
と求まる。
出来上がった近似式を元のグラフと比べてみましょう。
図5の赤枠内を拡大すると、
であり、一次のときよりも格段に精度が上がりました。
Ⅱ-③ n 次関数を(n-1)次関数で近似する
2次の近似式の作り方 を利用し、$~f(x)~$の$~x=a~$付近における$~(n-1)~$次の近似式を作ります。
二次の近似式である$~③~$に、$~(x-a)^3~$の項を追加し、その係数を$~k_3~$として考えると
f(x)=f(a)+f'(a)(x-a)+\frac{f^{\prime \prime}(a)}{2}(x-a)^2+k_3(x-a)^3
となり、その$~k_3~$を求めるため、両辺を微分していくと、
\begin{align*} f'(x)&=f'(a)+f^{\prime \prime}(a)(x-a)+3k_3(x-a)^2 \\ \\ f^{\prime \prime}(x)&=f^{\prime \prime}(a)+3\cdot 2k_3(x-a) \\ \\ f^{\prime \prime \prime}(x)&=3\cdot 2 k_3 \\ \end{align*}
になる。
ここに、$~x=a~$を代入し、$~k_3~$について解くと、
k_3=\frac{f^{\prime \prime \prime}(a)}{3\cdot 2}
になるので、
f(x)=f(a)+f'(a)(x-a)+\frac{f^{\prime \prime}(a)}{2}(x-a)^2+\frac{f^{\prime \prime \prime}(a)}{3!}(x-a)^3
と3次の近似式が導出できた。
これを$~n-1~$次まで繰り返すと、
\begin{align*} f(x)&=f(a)+f'(a)(x-a)+\frac{f^{\prime \prime}(a)}{2}(x-a)^2+ \\ &~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~+\cdots+\frac{f^{(n-1)}(a)}{(n-1)!}(x-a)^{n-1}~~~\cdots ④ \end{align*}
と$~n-1~$次の近似式が求まった。
ただ、$~x=a~$ならば$~④~$と元の式の値が一致するものの、$~a~$付近なので誤差が出ます。
テイラーの定理において、その誤差を表したのが剰余項$~\displaystyle R_n=\frac{f^{(n)}(\xi)}{n!}(x-a)^n~$となります。
Ⅱ-④ 剰余項の例
先ほどの3次関数についての誤差(剰余項)を調べてみましょう。
わかりやすく1次関数(接線)と比較してみます。
$~f(x)=x^3-3x^2-6x+8~$とその1次近似式$~y=3x-19~$の、$~x=4~$における誤差を求める。
元の三次関数に$~x=4~$を代入すると、
\begin{align*} f(4)&=4^3-3\cdot 4^2-6\cdot 4+8 \\ &=64-48-24+8 \\ &=0 \end{align*}
であり、一次の近似式に $~x=4~$を代入すると、
\begin{align*} y&=3\cdot 4-19 \\ &=-7 \end{align*}
となるため、誤差(剰余項)は$~7~$である。
剰余項の値からを$~\xi~$求める。
一次の近似式のため、剰余項は$~R_2~$で表される。
R_2=\frac{f^{(2)}(\xi)}{2!}(x-4)^2
この$~R_2~$から$~\xi~$の値を求めると、
\begin{align*} \frac{f^{\prime\prime}(\xi)}{2!}(4-3)^2&=7 \\ f^{\prime\prime}(\xi)&=14 \\ 6\xi-6&=14 \\ 6\xi&=20 \\ \xi&=\frac{10}{3} \end{align*}
とわかる。
この例で求まった$~\xi~$の値は、テイラーの定理の条件である$~a=3 < \xi < 4=x~$を満たしています。
このように、$~n~$次式を、$~x=a~$付近で$~n-1~$次式で近似したときの誤差が剰余項$~R_n~$であることは理解できました。
しかし、なぜ$~\displaystyle R_n=\frac{f^{(n)}(\xi)}{n!}(x-a)^n~$で表されるのかは解決していないため、次章以降でテイラーの定理を直接証明をして、この疑問を解決します。
Ⅲ テイラーの定理の証明
Ⅲー① 証明の予備知識
テイラーの定理の証明をするにあたって、「コーシーの平均値の定理」を利用します。
閉区間$~[a,b]~$で連続、開区間$~(a,b)~$で微分可能な$~f(x)~,~g(x)~$に関して$~g(b)-g(a)\neq 0 ~$ならば、
\frac{f(b)-f(a)}{g(b)-g(a)}=\frac{f'(c)}{g'(c)}
を満たす$~c \in (a,b)~$が存在する。(ただし、$~g'(c)\neq 0~$)
この定理の証明は、下の関連記事をご覧ください。
Ⅲー② テイラーの定理の証明
証明では、コーシーの平均値の定理を繰り返し使用します。
$~F(x)~$を次のように定義する。
\begin{align*} F(x)&=f(x)-\left\{ f(a)+(x-a)\frac{f'(a)}{1!}+\cdots \right. \\ &~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ \left.+(x-a)^{n-1}\frac{f^{(n-1)}(a)}{(n-1)!} \right\}~\cdots ⑤ \end{align*}
$~f(x)~$が$~n~$階微分可能なので、$~F(x)~$も$~n~$階微分可能である。
$⑤$に$~x=a~$を代入することで、
\begin{align*} F(a)&=f(a)-\left\{ f(a)+(a-a)\frac{f'(a)}{1!}+\cdots+(a-a)^{n-1}\frac{f^{(n-1)}(a)}{(n-1)!} \right\} \\ \\ &=f(a)-f(a) \\ &=0 \end{align*}
が求まる。
$⑤$の両辺を1階微分すると、
\begin{align*} F'(x)&=f'(x)-\left\{ 0+\frac{f'(a)}{1!}+2(x-a)\frac{f^{\prime \prime}(a)}{2!}+\cdots \right. \\ &\left.~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~+(n-1)(x-a)^{n-2}\frac{f^{(n-1)}(a)}{(n-1)!} \right\} \\ \\ &=f'(x)-\frac{f'(a)}{1!}-(x-a)\frac{f^{\prime \prime}(a)}{1!}-\cdots-(x-a)^{n-2}\frac{f^{(n-1)}(a)}{(n-2)!} \end{align*}
となるため、ここに$~x=a~$を代入すると、
F'(a)=f'(a)-f'(a)=0
が求まる。
$⑤$の両辺を2階微分すると、
\begin{align*} F^{\prime \prime}(x)&=f^{\prime \prime}(x)-0-\frac{f^{\prime \prime}(a)}{1!}-2(x-a)\frac{f^{\prime \prime \prime}(a)}{2!}-\cdots \\ &~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~-(n-2)(x-a)^{n-3}\frac{f^{(n-1)}(a)}{(n-2)!} \\ \\ &=f^{\prime \prime}(x)-\frac{f^{\prime \prime}(a)}{1!}-(x-a)\frac{f^{\prime \prime \prime}(a)}{1!}-\cdots \\ &~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~-(x-a)^{n-3}\frac{f^{(n-1)}(a)}{(n-3)!} \end{align*}
となるため、ここに$~x=a~$を代入すると、
F^{\prime \prime}(a)=f^{\prime \prime}(a)-f^{\prime \prime}(a)=0
が求まる。
これを繰り返していくと、$⑤$の両辺を$~(n-1)~$階微分したとき、
F^{(n-1)}(x)=f^{(n-1)}(x)-\frac{f^{(n-1)}(a)}{1!}
となるため、ここに$~x=a~$を代入すると、
F^{(n-1)}(a)=f^{(n-1)}(a)-f^{(n-1)}(a)=0
が求まる。
ここまでの結果より、
F(a)=F'(a)=F^{\prime \prime}(a)=\cdots=F^{(n-1)}(a)=0
が求まった。
$⑤$の両辺を$~n~$階微分したとき、
F^{(n)}(x)=f^{(n)}(x)-0=f^{(n)}(x)~~~\cdots ⑥
より、$~x=a~$を代入すると、
F^{(n)}(a)=f^{(n)}(a)
が求まる。
ここで、$G(x)=(x-a)^n~$とおき、$~F(x)~$と$~G(x)~$でコーシーの平均値の定理を使うと、
\frac{F(x)-F(a)}{G(x)-G(a)}=\frac{F'(x_1)}{G'(x_1)}
が成り立つ。(ただし、$~x_1~$は$~x \lessgtr x_1 \lessgtr a~$を満たす)
この式に、$~F(a)=0~,~G(a)=(a-a)^n=0~$を代入すると、
\frac{F(x)}{G(x)}=\frac{F'(x_1)}{G'(x_1)}~~~\cdots ⑦
となる。
次に、$~F'(x)~$と$~G'(x)~$でコーシーの平均値の定理を使うと、
\frac{F'(x_1)-F'(a)}{G'(x_1)-G'(a)}=\frac{F^{\prime \prime}(x_2)}{G^{\prime \prime}(x_2)}
が成り立つ。(ただし、$~x_2~$は$~x_1~$と$~a~$の間なので、$~x \lessgtr x_1 \lessgtr x_2 \lessgtr a~$を満たす)
この式に、$~F'(a)=0~,~G'(a)=n(a-a)^{n-1}=0~$を代入すると、
\frac{F'(x_1)}{G'(x_1)}=\frac{F^{\prime \prime}(x_2)}{G^{\prime \prime}(x_2)}~~~\cdots ⑧
となる。
これを$~F^{(n-1)}(x)~$と$~G^{(n-1)}(x)~$まで続けていくと、$~F^{(n-1)}(a)=0~$,$~G^{(n-1)}(a)=n(n-1)\cdots 3\cdot 2(a-a)=0~$より、
\frac{F^{(n-1)}(x_{n-1})}{G^{(n-1)}(x_{n-1})}=\frac{F^{(n)}(x_n)}{G^{(n)}(x_n)}~~~\cdots⑨
となるため、省略した部分も含めて$⑦$から$⑨$までをまとめると、
\frac{F(x)}{G(x)}=\frac{F^{(n)}(x_n)}{G^{(n)}(x_n)}~~~\cdots ⑩
であり、この$~x_n~$は
x \lessgtr x_1 \lessgtr x_2 \lessgtr \cdots \lessgtr x_{n-1} \lessgtr x_n \lessgtr a
を満たすため、$~x_n~$は$~x~$と$~a~$の間にある値である。
ここで、$~G(x)=(x-a)^n~$の$~n~$階微分を求めると、
\begin{align*} G^{(n)}(x_n)&=n(n-1)(n-2)\cdots 2 \cdot 1 \\ &=n! \end{align*}
であるため、この結果と$~G(x)=(x-a)^n~$と$⑥$を、$⑩$に代入すると、
\begin{align*} \frac{F(x)}{(x-a)^n}&=\frac{f^{(n)}(x_n)}{n!} \\ \\ F(x)&=(x-a)^n \frac{f^{(n)}(x_n)}{n!}~~~\cdots⑪ \end{align*}
が求まる。
$~⑪~$の$~x_n~$は、$~x~$と$~a~$の間にあるため、これを$~\xi~$に置き換えて$~⑤~$に代入すると、
\begin{align*} (x-a)^n \frac{f^{(n)}(\xi)}{n!}&=f(x)-\left\{ f(a)+(x-a)\frac{f'(a)}{1!} +\cdots\right. \\ &~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\left. +(x-a)^{n-1}\frac{f^{(n-1)}(a)}{(n-1)!} \right\} \\ \\ f(x)&=f(a)+(x-a)\frac{f'(a)}{1!} +\cdots\\ &~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~+(x-a)^{n-1}\frac{f^{(n-1)}(a)}{(n-1)!}+(x-a)^n \frac{f^{(n)}(\xi)}{n!} \end{align*}
となり、テイラーの定理が示された。■
剰余項$~R_n=\displaystyle (x-a)^n\frac{f^{(n)}(\xi)}{n!}~$に出てくる$~\xi~$は、コーシーの平均値の定理に由来することがわかりました。
Ⅳ テイラー級数への拡張
テイラーの定理を拡張すると、解析学上で非常に重要な公式へと繋がっていきます。
ある区間において、$~f(x)~$は無限回微分可能とする。
その区間内の定点 $~a~$、任意の点$~x~$に対し、
\lim_{n \to \infty}{R_n}=\lim_{n \to \infty}{\frac{f'(\xi)}{n!}(x-a)^n}=0~~~~(x \lessgtr \xi \lessgtr a)
のとき、
f(x)=f(a)+(x-a)\frac{f'(a)}{1!}+(x-a)^2\frac{f^{\prime\prime}(a)}{2!}+\cdots+(x-a)^n\frac{f^{(n)}(a)}{n!}+\cdots
となり、この右辺を$~f(x)~$のテイラー級数といい、この式変形をテイラー展開という。
テイラーの定理とテイラー級数の相違点として、以下の2点が挙げられます。
- $~f(x)~$の前提が、無限回微分可能になっている。
- 剰余項$~R_n~$が無い代わりに、項が無限に続いている。
テイラー級数は、テイラーの定理における剰余項(誤差)$~R_n~$が$~0~$に近づく前提の上で、$~f(x)~$が無限和で表されることを主張しています。
このテイラー級数の良いところは、$~\sin{x}~$や$~e^x~$のように、$~x~$を代入したときの値が分かりづらい関数も、定点$~a~$のまわりであれば、多項式として近似できることにあります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
どうでもいいけど、$~\xi~$書きにくくない?
うん‥‥。
パソコン上(Tex)だと、「\xi」ですぐ書けるんだけどね‥‥。
コメント
コメント一覧 (3件)
ご返信ありがとうございます。
訂正ありがとうございま。
これからも執筆活動を頑張ってください!
このページのおかげでテイラーの定理についてより理解が深まりました。ありがとうございます!
そして、僭越ながら、説明に誤りがあったのでコメントさせていただきます。私の勘違いであれば申し訳ございません。
Section Ⅱ-ⅳ(剰余項を求める)において、「2次の近似式についても同様に、誤差から剰余項のξの値を求めることができます。」と説明されているのですが、実際には f”'(ξ) = 6 となりξの値は具体的に求まりません。つまり、この2次近似式において、誤差はxと a の値によってのみ決定されることがわかると思います。
改めて、私の勘違いであれば申し訳ございません。
数学太郎さん、嬉しいコメントありがとうございます。
ご指摘通り、説明に誤りがありました。申し訳ございません。
確かに\(~f”'(\xi)=~6~\)(定数)になるため、\(~\xi~\)の値は求まりませんね。
訂正させていただきました。
コメントいただき、助かりました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。