三平方の定理の証明⑮(教科書の証明)

中3数学平面図形中3数学

 三平方の定理には数百もの証明方法があります。今回は中3の教科書でよく見かける2つの証明方法について解説します。


スポンサーリンク

Ⅰ 三平方の定理とは

 三平方の定理とは、次のような定理です。

三平方の定理(ピタゴラスの定理)


上のような直角三角形で、次の等式が成り立つ。
\begin{equation}
a^2+b^2=c^2
\end{equation}

 直角三角形の2辺がわかれば、残りの1辺も求まるというもので、紀元前から測量等でも使われてきました。
 日本では中学3年生で習います。
 
 長い歴史の中で、様々な人により、様々な証明が生み出されてきました。
 
 今回は教科書でよく見かける、直角三角形と正方形を組み合わせた証明方法を解説します。


スポンサーリンク


Ⅱ 教科書の証明1

 ほとんどの教科書に載っている三平方の定理の証明方法から見てみましょう。

証明1

 直角をはさむ二辺の長さが\(~a~,~b~\)、斜辺が\(~c~\)の直角三角形を4つ組み合わせて、一辺が\(~a+b~\)の大きな正方形を下の図のように作る。
証明1の図
 このとき、内側には一辺が\(~c~\)の正方形ができる。
 この正方形の面積\(~c^2~\)は、外側の正方形の面積から、4つの直角三角形の面積を引いても求まるため、
\begin{align}
(a+b)^2-\frac{1}{2}\cdot a \cdot b \cdot 4 &=c^2 \\
\\
a^2+2ab+b^2-2ab&=c^2 \\
a^2+b^2&=c^2
\end{align}
となり、三平方の定理が示された。 \(~\blacksquare\)

 図形的にも計算的にもシンプルなことが、多くの教科書が採用している理由の1つと言えるでしょう。


スポンサーリンク


Ⅲ 教科書の証明2

 こちらも多くの教科書に載っていて、先ほどの証明の後の練習問題として登場する証明方法です。

証明2

 直角をはさむ二辺の長さが\(~a~,~b~\)、斜辺が\(~c~\)の直角三角形を4つ組み合わせて、一辺が\(~c~\)の正方形を下の図のように作る。
証明2の図
 このとき、内側には一辺が\(~b-a~\)の正方形ができる。
 一辺\(~c~\)の正方形の面積\(~c^2~\)は、一辺\(~b-a~\)の正方形の面積と、4つの直角三角形の面積の和でも求まるため、
\begin{align}
(b-a)^2+\frac{1}{2}\cdot a \cdot b \cdot 4 &=c^2 \\
\\
b^2-2ab+a^2+2ab&=c^2 \\
a^2+b^2&=c^2
\end{align}
となり、三平方の定理が示された。 \(~\blacksquare\)

 Ⅱ章の証明と同じようにできるため、練習問題として選ばれている理由がわかりますね。


Ⅳ バースカラの証明

 余談ですが、上の2つの証明を組み合わせた証明方法もあります。
 12世紀にインドの数学者バースカラ(Bhaskara)が示したものです。

バースカラの証明

 直角をはさむ二辺の長さが\(~a~,~b~\)、斜辺が\(~c~\)の直角三角形を8つ組み合わせて、下の図のような正方形を作る。
バースカラの証明の図
 Ⅱ章の証明より、
\begin{equation}
(a+b)^2-\frac{1}{2}\cdot a \cdot b \cdot 4 =c^2~~~\cdots ①
\end{equation}
であり、Ⅲ章の証明より、
\begin{equation}
(b-a)^2+\frac{1}{2}\cdot a \cdot b \cdot 4 =c^2~~~\cdots ②
\end{equation}
が成り立つ。
 
 \(①+②\)より、
\begin{align}
(a+b)^2+(b-a)^2&=2c^2 \\
a^2+2ab+b^2+b^2-2ab+a^2&=2c^2 \\
2a^2+2b^2=&=2c^2 \\
a^2+b^2&=c^2
\end{align}
となり、三平方の定理が示された。 \(~\blacksquare\)

 この証明は古代中国の数学書『周髀算経』にも載っていたようです。

周髀算経の図
出典:Wikimedia Commons, Public domainc

Ⅴ その他の証明方法

 数百ある証明の中から有名な証明方法をいくつか紹介します。是非いろいろな証明を見て、お気に入りの証明方法を見つけてください。
~順次作成中~

①ピタゴラスの証明  正方形を4つの図形にうまく分割し、回転させることにより、その面積関係から三平方の定理を導いています。
②ユークリッドの証明 等積変形や合同を使って、複雑な計算をせずに証明をします。
③内接円を利用した証明 内接円を使って、面積を2通りの方法で表して証明をします。
④方べきの定理を利用した証明1 内部で交わるタイプの方べきの定理を使って証明します。
⑤方べきの定理を利用した証明2 接線タイプの方べきの定理を使って証明します。
⑥レオナルド・ダ・ヴィンチの証明 合同な図形をうまく使った証明方法です。
⑦トレミーの定理による証明 円に内接する長方形に、トレミーの定理を適用します。
⑧ジェームズ・A・ガーフィールドの証明 アメリカの大統領が考えた、台形を使った証明方法です。
⑨アン・コンディットの証明  16歳の少女が考えた、補助線を多用する証明方法です。
⑩無限等比級数を利用した証明  垂線によって直角三角形を細かくしていき、最終的には無限等比級数を利用する証明方法です。
⑪相似を利用した証明1  相似を使った最もシンプルな証明方法です。
⑫相似を利用した証明2  合同な直角三角形を重ね、相似な三角形を利用しながら、ある三角形の面積を2通りの方法で表します。
⑬外接円と直角二等辺三角形を利用した証明  外接円に4つの直角二等辺三角形を混ぜた図形から、証明を行います。
⑭相似を利用した証明3  中学3年生レベルの円、相似の知識を使って三平方の定理を導いています。
⑮教科書の証明  中学3年生の教科書によく載っている2つの証明方法と、それらを合わせたバースカラ(インドの数学者)の証明を解説しました。

他にもいろいろあるので、調べてみてください。


ふくすけ笑顔
バースカラの証明は、とって付けた感ありますね・・・。

◇参考文献等
・「Pythagorean Theorem」,<https://www.cut-the-knot.org/pythagoras/index.shtml#3> 2021年1月26日アクセス
・(2016)『未来へひろがる 数学3』,pp.174-175,啓林館.
・(2017)『新編 新しい数学3』,pp.178-179,東京書籍.

中3数学平面図形中3数学

Posted by Fuku