三平方の定理の証明①(ピタゴラスの証明)

Ⅰ 三平方の定理とは
三平方の定理とは、次のような定理です。
上のような直角三角形で、次の等式が成り立つ。
\begin{equation}
a^2+b^2=c^2
\end{equation}
直角三角形の2辺がわかれば、残りの1辺も求まるというもので、紀元前から測量等でも使われてきました。日本では中学3年生(義務教育!)で習います。長い歴史の中で、様々な人により、様々な証明が生み出されてきましたが、今回は一番最初にこの定理を証明したピタゴラスの方法で証明します。
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Ⅱ ピタゴラスの証明
では、ピタゴラスの方法で証明していきます。
1辺が \(~a+b~\) である正方形を用意し、その正方形を下図の赤線のように区切る。このとき、黄色い部分の面積の合計は\( a^2+ b^2~\) となる。
次に、 \(~EH~\) と \(~EI~\) を結ぶ。これらの線分は \(~a,b~\) を2辺とする直角三角形の斜辺であり、長さを \(~c~\) とする。
さらに、\( \triangle EGH ,\triangle IJE~\) を、それぞれ \(~H,I~\) を中心に回転移動させると、次のような図となる。
中央にできる正方形の面積は \(~c\times c=c^2 \)である。
この面積は、正方形\(ABCD\)からオレンジ色の部分の面積を除いた面積(黄色い部分)と同じであるため、
\begin{equation}
a^2+b^2=c^2
\end{equation}
よって、題意は示された。 \(~\blacksquare\)
回転させて、正方形の中に小さい正方形を作るのがミソです。
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Ⅲ その他の証明方法
数百ある証明の中から有名な証明方法をいくつか紹介します。是非いろいろな証明を見て、お気に入りの証明方法を見つけてください。
~順次作成中~
①ピタゴラスの証明 | 正方形を4つの図形にうまく分割し、回転させることにより、その面積関係から三平方の定理を導いています。 |
②ユークリッドの証明 | 等積変形や合同を使って、複雑な計算をせずに証明をします。 |
③内接円を利用した証明 | 内接円を使って、面積を2通りの方法で表して証明をします。 |
④方べきの定理を利用した証明1 | 内部で交わるタイプの方べきの定理を使って証明します。 |
⑤方べきの定理を利用した証明2 | 接線タイプの方べきの定理を使って証明します。 |
⑥レオナルド・ダ・ヴィンチの証明 | 合同な図形をうまく使った証明方法です。 |
⑦トレミーの定理による証明 | 円に内接する長方形に、トレミーの定理を適用します。 |
⑧ジェームズ・A・ガーフィールドの証明 | アメリカの大統領が考えた、台形を使った証明方法です。 |
⑨アン・コンディットの証明 | 16歳の少女が考えた、補助線を多用する証明方法です。 |
⑩無限等比級数を利用した証明 | 垂線によって直角三角形を細かくしていき、最終的には無限等比級数を利用する証明方法です。 |
⑪相似を利用した証明1 | 相似を使った最もシンプルな証明方法です。 |
⑫相似を利用した証明2 | 合同な直角三角形を重ね、相似な三角形を利用しながら、ある三角形の面積を2通りの方法で表します。 |
⑬外接円と直角二等辺三角形を利用した証明 | 外接円に4つの直角二等辺三角形を混ぜた図形から、証明を行います。 |
⑭相似を利用した証明3 | 中学3年生レベルの円、相似の知識を使って三平方の定理を導いています。 |
⑮教科書の証明 | 中学3年生の教科書によく載っている2つの証明方法と、それらを合わせたバースカラ(インドの数学者)の証明を解説しました。 |
他にもいろいろあるので、調べてみてください。
正方形を分割して、回転させるという発想が奇抜ですね。ただ、公理系の基礎を築いたのがピタゴラスよりも後のユークリッドなので、この手法が当時厳密に証明されていたかは謎です・・・。
☆参考文献等
・マイケル・J・ブラッドリー(2009)『数学を切りひらいた人びと1-数学を生んだ父母たち』,pp.29-48,松浦俊輔訳,青土社.
・Bertrand Hauchecorne , Daniel Suratteau(2015)『世界数学者事典』,pp399-400,熊原啓作訳,日本評論社.
・「Geogebra ピタゴラスの定理(三平方の定理)の証明」
![]() 数学を生んだ父母たち 数論、幾何、代数の誕生 (数学を切りひらいた人びと) [ マイケル・J.ブラッドリー ]
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![]() 世界数学者事典 [ ベルトラン・オーシュコルヌ ]
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