ロルの定理

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平均値の定理を証明する上で必要なロルの定理についてです。
Ⅰ ロルの定理とイメージ
Ⅱ ロルの定理の証明


Ⅰ ロルの定理とイメージ

 ロルの定理は、フランスの数学者ミッシェル・ロル(Michel Rolle)が1690年に発表した導関数に関する定理です。

ロルの定理

 閉区間 \(~[a,b]~\) で連続、開区間 \(~(a,b)~\) で微分可能な関数 \(~f~\) に関して、 \(~f(a)=f(b)~\) ならば \(~f'(c)=0~\) を満たす \(~c \in (a,b)~\) が存在する。

この文章を読んだだけでは、なかなか理解しづらいと思います。そこで、いろいろな関数で成り立つかを考えてみました。
 

例1

\(~f(x)=x^2(a=-2,b=2)~\) の場合

 閉区間 \(~[-2,2]~\) で連続、開区間 \(~(-2,2)~\) で微分可能、 \(~f(-2)=f(2)=4~\) である。
 ロルの定理より、 \(~-2~\) から \(~2~\) の中で、微分係数が \(~0~\) (すなわち、 \(~x~\) 軸と平行)になるような点が存在する。

確かに \(~f'(0)=0~\) となっている。

例2

\(~f(x)=\sin{x}(a=0,b=2 \pi )~\) の場合

 閉区間 \(~[0,2 \pi]~\) で連続、開区間 \(~(0,2 \pi)~\) で微分可能、 \(~f(0)=f(2 \pi)=0~\) である。
 ロルの定理より、 \(~0~\) から \(~2 \pi~\) の中で、微分係数が \(~0~\) (すなわち、 \(~x~\) 軸と平行)になるような点が存在する。

確かに \(~\displaystyle f’\left(\frac{1}{2} \pi \right)=0,\displaystyle f’\left(\frac{3}{2} \pi \right)=0~\) となっている。

この例2のように、微分係数が \(~0~\) になる点が複数になることもあります。

例3

\(~f(x)=x^3-6x^2+9(f(a)=f(b)=2)~\) の場合

 閉区間 \(~[a,b]~\) で連続、開区間 \(~(a,b)~\) で微分可能、 \(~f(a)=f(b)=2~\) である。
 ロルの定理より、 \(~a~\) から \(~b~\) の中で、微分係数が \(~0~\) (すなわち、 \(~x~\) 軸と平行)になるような点が存在する。

確かに \(~f'(1)=0,f'(3)=0~\) となっている。

とにかく高さ \(~y~\) が同じ点を2つ見つけると、その間には必ず微分係数が0になる点が存在するというのが、ロルの定理の主張です。
 
しかし、いくら同じ高さでも、次のような例ではロルの定理は成り立ちません。

反例1

\(~f(x)=\tan{x}(a=0,b=\pi)~\) の場合


 ロルの定理は成り立たず、 \(~f'(c)=0~\) となるような \(~c \in (a,b)~\) は存在しません。

 反例1のように、適用範囲に不連続な点 \(~\displaystyle \left( \frac{\pi}{2} \right) ~\) がある場合は、ロルの定理の前提条件に不適のため、ロルの定理は使えません。

反例2

\(~f(x)=|x|(a=-2,b=2)~\) の場合


 ロルの定理は成り立たず、 \(~f'(c)=0~\) となるような \(~c \in (a,b)~\) は存在しません。

 反例2のように、適用範囲に微分不可能な点( \(~0~\) )がある場合も、ロルの定理の前提条件に不適のため、ロルの定理は使えません。
 


Ⅱ ロルの定理の証明

 Ⅰに挙げた多くの例で、ロルの定理のイメージが沸いたかと思われます。では、どんな時でも成り立つかを証明してみましょう。

証明

\(~f(a)~\) との比較で場合分けをする。
 
(1)  \(~f(a)~\) よりも大きくなる点が存在とき

グラフの形は次のようになり、最大値の原理より、 \(~x \in(a,b)~\) で最大値 \(~f(c)(c \in (a,b) )~\) が存在する。

  \(~c~\) で微分可能であるため、 \(~f'(c)~\) を考える。
  \(~b~\) 側からの接線の傾きは右下がり(0以下)なので
\begin{equation}
f'(c)=\displaystyle \lim_{h \to +0}\frac{f(c+h)-f(c)}{h} \le 0
\end{equation}
また、 \(~a~\) 側から接線の傾きは右上がり(0以上)なので
\begin{equation}
f'(c)=\displaystyle \lim_{h \to -0}\frac{f(c+h)-f(c)}{h} \ge 0
\end{equation}
これらより、
\begin{equation}
f'(c)= 0
\end{equation}
が求まる。
 
(2)  \(~f(a)~\) よりも小さくなる点が存在とき

グラフの形は次のようになり、最小値の原理より、 \(~x \in(a,b)~\) で最小値 \(~f(c)(c \in (a,b) )~\) が存在する。

(1)と同様に考えて、 \(~b~\) 側からの接線の傾きは右上がり(0以上)なので
\begin{equation}
f'(c)=\displaystyle \lim_{h \to +0}\frac{f(c+h)-f(c)}{h} \ge 0
\end{equation}
また、 \(~a~\) 側から接線の傾きは右下がり(0以下)なので
\begin{equation}
f'(c)=\displaystyle \lim_{h \to -0}\frac{f(c+h)-f(c)}{h} \le 0
\end{equation}
これらより、
\begin{equation}
f'(c)= 0
\end{equation}
が求まる。
 
(3)  \(~f(x)=t(一定)~\) のとき

  \(~f(a)~\) よりも大きくなる点や小さくなる点が存在しないとき、グラフの形は次のようになる。

\(~x\in(a,b)~\) で、 \(~f'(x)=t’=0~\) となるため、
\begin{equation}
f'(c)= 0
\end{equation}
である。
 
(1)~(3)より、題意は示された。 \(~\blacksquare \)

 


使う際には、その関数が連続で微分可能でないといけません。ご利用条件をお忘れなきよう・・・。

   
 
 


◇参考文献等
・高木貞治(2010)『定本 解析概論』,p.51,岩波書店.
・Bertrand Hauchecorne , Daniel Suratteau(2015)『世界数学者事典』,pp399-400,熊原啓作訳,日本評論社.