タレス(Thales)

数学者数学者

タレス(Thales)
<ギリシャ→エジプト・バビロニア→ギリシャ>
・数学の定理を最初の証明
・ピラミッドの高さの導出

B.C.624547

 B.C.
624
  ミレトス(アテネの300km東の港町)で生まれる。
若い頃  エジプトやバビロニアへ旅行し、天文学や数学等、関心のあることを追究した。
 B.C.
590
ミレトスで「イオニア哲学学校」を創立し、天文学、数学、哲学を教えた。
→問うことの大切さを強調し、世界の動きは論理的に説明できることを力説した。
 
また、数学は無関係な規則の集まりではなく、論理的につながりあっていることを教えた。
 学校
時代
 円と三角形の幾何学的な性質について、5つの定理を証明した。
→詳細(①タレスの定理
B.C.
585
日食を正確に予測した。
→バビロニアの天文学者たちの長年の記録から、どうしてこの日に日食が起こるのかを説明し、ギリシャの人々を驚かせた。
B.C.
547
70歳余りで死去。
時期
不明
夏至、春分や秋分などを予測し、説明する理論を唱えた。
恒星の観測も行い、船乗りが航路を決める際に北極星を頼るよう勧めた。
エジプトを訪れたとき、国王から依頼され、ピラミッドの高さを求めた。
→詳細(②影から求めるピラミッドの高さ
船が岸からどのくらい離れているかを推定する方法を考えた。
→詳細(③船の位置の算出
史実
不明
岩塩を運ぶロバの伝説
→詳細(④ロバの伝説
井戸の中にいたという伝説
→タレスは特定の星を調べるために、月や他の星の光を遮ることができる井戸の中から観察していた。

目次
  • 1. ①タレスの定理
  • 2. ②影から求めるピラミッドの高さ
  • 3. ③船の位置の算出
  • 4. ④ロバの伝説

①タレスの定理

 タレスは円と三角形の幾何学的な性質について、5つの定理を証明しました。
それらの5つの定理は、当時から正しいことは知られていましたが、なぜそれが正しいかを説明した人がいませんでした。
タレスは、幾何学の基本公理からその定理を論理的に導く方法を明らかにしました。

定理1

円の直径は円を二等分する。
タレスの定理1

定理2

二等辺三角形の底角は等しい。
タレスの定理2

定理3

対頂角は等しい。
タレスの定理3

定理4

1辺が直径となる円に内接する三角形は直角三角形である。
タレスの定理4

定理5

1つの辺とその両端の角がそれぞれ等しい2つの三角形は合同である。
タレスの定理5

タレスが与えた証明は失われており、証明をしたという事実だけが残っています。
しかし、数学の定理は証明しなければならないという考えは、数学というものを大きく変えました。
タレスが論理的推論を強調したことは、今日の数学の基本的な特徴となっています。


②影から求めるピラミッドの高さ

 タレスは学識のある人物であると評判が広まったため、旅先へ難しい問題を解決するための助言を求められるようになりました。
 
エジプトを訪れたときの問題がピラミッドの高さを求めるというものです。
彼の問題解決のプロセスをたどってみます。
 

ピラミッドの高さの求め方

・タレスは太陽の光によってできる影が、時間によって違うことを観察した。

・自分の影の長さが自分の身長と同じになるとき、ピラミッドの高さもピラミッドの影の長さと同じになると言う推理から、ピラミッドの高さを求めた。
ピラミッドの影

こうして、首尾よくピラミッドの高さを求めることができました。


③船の位置の算出

 これもまた、タレスが知識を求められて答えた問題です。陸にいながらにして、沖を航海する船がどのくらい離れた位置にいるかを計算で求めました。

船までの距離の求め方

(1)任意のA地点から船を見て、その方角と直角となるような直線を引く。

(2)任意のB地点から、(1)の直線と直交するような線を引く。

(3)すると、図のような図形が出来上がるため、△OAF∽△OCBとなる。(直角と対頂角で二角相等)
船までの距離
(4)よって、\( \displaystyle OF=\frac{OA\cdot OB}{OC} \)となるので、O地点から海岸までの距離をOFから引けば、船がどのくらい沖にいるのかがわかります。

ピラミッドの高さ同様、相似をうまく使っています。


④ロバの伝説

 あくまで伝説ではありますが、タレスの頭の良さが伺えるお話があります。

 岩塩鉱から塩を掘り出した労働者は、塩を袋に詰めてロバの背中に乗せて運んでいた。途中、浅い川を渡らなければならない。ある日、川を渡っている最中にロバが転倒した。背中に乗っていた塩の大半が水に溶けてしまい、軽くなったため、その日ロバは残りの道中楽であった。
 その日以降、ロバは川で転倒し続け、楽することを覚えた。なぜ毎日ロバが川で転倒するのかわからない鉱山の人々がタレスに助けを求めた。タレスは数日間、ロバの様子を観察し続け、ロバの狙いがわかった。
 翌日、ロバの背中に乗せた袋には、塩ではなく海綿(スポンジのようなもの)を入れた。これまで同様にロバは川でわざと転倒するも、その日は海綿が水を吸い、ずっと重くなった。何日か海綿を運ばせることで、ロバが川で転倒することはなくなり、元通り塩を運べるようになった。(終わり)

ロバも賢いですが、タレスはそれをうまく利用して解決しました。原因を探り、その原因を改善すべく策を講じる、今と変わらない問題解決のプロセスです。


 数学に証明という概念を導入したこと、これが今の数学にまでつながっています。どうしてそうなるのか?この疑問を持つことが人生で大切なことなのでしょうね。・・・・タレスの言葉の受け売りです。

   
 
 


☆参考文献等
・マイケル・J・ブラッドリー(2009)『数学を切りひらいた人びと1-数学を生んだ父母たち』,pp.14-28,松浦俊輔訳,青土社.
・片野善一郎(2005)『素顔の数学者たち-数学史に隠れた152のエピソード』,pp2 , 裳華房.
・タレスの画像→©Wikipedia(パブリックドメイン)

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Posted by Fuku