√2が無理数であることの証明

数学Ⅰ式と計算数学Ⅰ

無理数の代表として挙げられる\( \sqrt{2} \)。この\( \sqrt{2} \)が無理数であることの証明を2通り紹介します。
①命題と予備知識
②一般的な証明
③素因数2の偶奇を利用した証明


上の方法以外の奇抜な証明方法もあります。→「√2が無理数であることの証明(面積の利用)


目次

①命題と予備知識

命題

\( \sqrt{2} \)は無理数である。

無理数とは有理数ではない数のことです。有理数は分数\( \displaystyle \frac{a}{b} (a,b \in \mathbb{Z} , b \neq 0) ~\) で表せる数のことなので、無理数は分数で表せない数と言うことができます。

この辺のことをうまく使って証明していきます。


②一般的な証明

教科書で背理法を習うと、その例として必ずと言っていいほど出てくる証明です。

証明

背理法で示す。
\(~\sqrt{2}~\) は無理数ではない、つまり有理数と仮定すると、
互いに素な2つの自然数 \(~a,b~\) を用いて、
\begin{equation}
\displaystyle \sqrt{2}=\frac{a}{b}
\end{equation}
と表せる。これを変形していくと、
\begin{align}
\displaystyle a&=\sqrt{2}b \\
\\
a^2&=2b^2 ・・・①
\end{align}
となり、 \(~a^2~\) は偶数であることがわかる。
 
さらに、下の補題1より、 \(~a~\) も偶数であることがわかる。・・・②

補題1

\(~n~\) を整数とする。このとき、
\(~n^2~\) が偶数ならば、 \(~n~\) は偶数である。


証明
対偶を証明する。補題1の対偶は、

\( n~\) ならば、 \(~n^2~\) は奇数である。

という命題となるので、これを証明する。

奇数 \(~n~\) は、整数 \(~k~\) を用いて \(~n=2k+1~\) と表されるので、
\begin{align}
n^2&=(2k+1)^2 \\
&=4k^2+4k+1 \\
&=2(2k^2+2k)+1 \\
\end{align}
\(~ 2k^2+2k ~\) は整数なので、 \(~n^2~\) は奇数となる。

よって、対偶が示されたので、元の命題も示された。 \(~\blacksquare\)

ゆえに、 \(~a~\) はある自然数 \(~c~\) を用いて
\begin{equation}
a=2c  ・・・③
\end{equation}
と表せる。
③を①に代入すると、
\begin{align}
(2c)^2&=2b^2 \\
4c^2&=2b^2 \\
2c^2&=b^2
\end{align}
この式より、\( b^2 \)が偶数であることがわかり、補題1より、 \(~b~\) も偶数であることがわかる。・・・・④
②、④より \(~a , b ~\) は共に偶数であることが示されたが、これは \(~a,b~\) が互いに素であることに矛盾する。
 
よって、 \(~\sqrt{2}~\) が無理数であることが示された。  \(~\blacksquare \)

非常に論理的ですが、少しまどろこっしい証明方法ですね。


③素因数2の偶奇を利用した証明

こちらは教科書には載っていませんが、「なるほど」と思える証明方法です。

証明

背理法で示す。
\(~\sqrt{2}~\) は無理数ではない、つまり有理数と仮定すると、
互いに素な2つの自然数 \(~a,b~\) を用いて、
\begin{equation}
\displaystyle \sqrt{2}=\frac{a}{b}
\end{equation}
と表せる。これを変形していくと、
\begin{align}
\displaystyle a&=\sqrt{2}b \\
\\
a^2&=2b^2 ・・・①
\end{align}
となる。
下の補題2より、

補題2

\(~n~\) を整数とする。 \(~n^2~\) が持つ素因数2は偶数個である。


証明
(ⅰ) \(~n~\) が奇数の時、整数 \(~k~\) を用いて \(~n=2k+1~\) と表せる。このとき、
\begin{align}
n^2&=(2k+1)^2 \\
&=4k^2+4k+1 \\
\end{align}
となるため、素因数2は0個(偶数個)である。
 
(ⅱ) \(~n~\) が偶数の時、 \(~n~\) を素因数分解すると、次のように表せる。
\begin{equation}
n=2^m \cdot a (mは自然数 , aは奇数)
\end{equation}
このとき、
\begin{align}
n^2&=(2^m \cdot a)^2 \\
&=2^{2m} \cdot a^2
\end{align}
であり、 \(~2^{2m}~\) には素因数2が偶数個あり、 \(~a^2~\) には(ⅰ)より素因数2が0個であるため、 \(~n^2~\) が持つ素因数2は偶数個である。
 
(ⅰ)、(ⅱ)より題意は示された。  \(~\blacksquare \)

①の左辺の \(~a^2~\) が持つ素因数2は偶数個である。
①の右辺の \(~2b^2~\) が持つ素因数2は奇数個となる。
以上から、素因数2の個数が両辺で異なるため矛盾。

よって、 \(~\sqrt{2}~\) が無理数であることが示された。  \(~\blacksquare \)


素因数2の偶奇に着目した証明、初めて知ったときに鳥肌が立ちました。まさに「僕」(数学ガールの)の気分です。

   
 
 


☆参考文献等
・結城浩(2008)『数学ガール/フェルマーの最終定理』,pp.102-105,SB Creative.

数学Ⅰ式と計算数学Ⅰ

Posted by Fuku